「ジョジョの奇妙な冒険に登場したディオとDIO。同一人物でありながら、雰囲気や性格など多くの違いが見られました。
今回はディオとDIOはどこが違うのか、両者の言動を比較しながら考察してみます。
1. ジョナサンとのかかわりから考えるディオとDIOの違い
最初にディオとDIOの違いについて、ジョナサンとの関わりから考察してみます。ディオは「フヌケにしてやる!」と執拗にジョナサンを貶めようとしていましたが、その理由はジョースター家の財産を乗っ取るためとのこと。でもそれより生まれ育ちが恵まれたジョナサンよりも優位に立つことで、自分がジョナサンよりも優れた存在であるという精神的な満足感を得たかったんじゃないかな~…本当に財産を独り占めしたければ殺害すればいいだけだし…
またディオはジョナサンの彼の一挙一動で気分が左右されていましたが、そもそも自分に自信があればジョナサンに目をくれることも、気持ちが不安定になることもないはずで。つまりパワーも行動力もあるけれど、ジョナサン抜きではアイデンティティを保てないのがディオだったんですよね~…そしてそれを補うために選んだ手段が、性格や思考回路を変えることではなく、吸血鬼の力の獲得で自信を得て、心を武装することだったのではないでしょうか。
一方、DIOにジョナサンの影響を感じられるのが、恐怖について語ったこちらの台詞です。
戦いに敗れ欲するものが手に入らなかった場合………挫折感と敗北感を味わい傷つき…そして 次なる戦いのとき「恐怖」を感じることになる……………
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(133頁)
これきっとジョナサンに敗れた時に感じた心境だったんでしょうね~…でもジョナサンが死亡した今、恐怖する必要は消えたはずでね。比較対象だった相手のボディと融合し、力と自信をつけて復活したことで、ジョナサンと比べて自分を評価する生き方も卒業できたのかもしれないですよね~…実際、3部では他人よりも自分を高めることに目が向いているし。DIO様、超進化じゃん。
ということジョナサンと比べ続けてアイデンティティを保っていたのがディオなら、より精神的に自立したのがDIOといえるのではないでしょうか。名前がディオからDIOに変わったのも、外見的にも内面的にも新しい人生が始まったということだったりして…!?

2. 物で人を惹きつけるディオとカリスマ性を見せたDIO
次はディオとDIOの人の惹きつけ方に注目してみます。ディオはジョナサンから友人や恋人を取り上げ、心に砂漠を作ろうとしていたのが印象的でしたね~!きっと家庭すらめちゃくちゃだった過去の経験から、心の拠り所がない辛さや寂しさを知っているからこその戦略なんだろうな、切ない…
そんなディオの目標は幸せな家庭を築くぞ!ではなく、金持ちになるぞ!と物理的な欲求を満たすことでした。他人からの愛情があまりになさ過ぎたのか、愛情の受け取り方を知らぬまま育ってきたのか…いずれにせよ金があれば貧困はまぬがれたことは想像できても、他人からの愛情で自分が満たされるという発想がなかったゆえに抱いた願望だったんじゃないかな…
そのせいかディオは「強いヤツ、何かしてくれるヤツと友になりたいと誰もが思う」と考え、損得勘定で他人のハートをつかもうとしていました。例えばジョナサンとのボクシング対決の際には、取り巻きにボクシングのテクニックや花火の作り方を教えると約束したりとかね。やっぱり物理こそ人を動かせると信じているタイプなんよ…
ところがDIO時代にはなんとびっくり!圧倒的なカリスマ性で人を惹きつけているではありませんか…!エンヤ婆なんてDIOに欲するものを問われ、こう答えていたほどです。
あなた様のおそばにいることが望み…スタンドとは守護霊のこと……あなたの守護霊はとてつもない力を持っている 悪運のつよい変わった人生も その影響じゃ!あなたの人生を見てみたい!それだけでいいのじゃ わしは…
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(137頁)
肉の芽が刺さっていたとはいえ、他人に人生を捧げたくなるほどの魅力を持っていることが伺えますよね~!あのタフなアヴドゥルでさえ、DIOの言葉は危険な甘さがあり「だからこそぉ、恐ろしいぃ~~~(cv.三宅健太さん)」と評したくらいだもんね…物理ではなく心理的に人の心をつかんでいたことがよくわかるのではないでしょうか。
でもこの変化は強い自尊心があるからこそ。自分に自信がなければカリスマになんてなれないもんね~!成長されたんですね、DIO様。
DIO様が本音をぶちまけたり、素数を数えたりする日記の話

3. 不測の事態の比較から見える怒るディオと焦るDIO
お次はディオとDIOが不測の事態に陥った時の描写を比較していきます。まずディオはエリナにキスをして最高にハイだったはずが、泥水で口をゆすがれると「くだらんプライドだ」とブチギレ。ダニーを殺害した際には「屈辱は果たしたが、自分の欠点は怒りっぽいところ」「もっと冷静に心をコントロールしなくては」と内省しています。反省するとこそこじゃないだろ。
プッツンしやすいディオですが、吸血鬼になるとポコの姉ちゃんにビンタされても動じないなど、かなり心に余裕が出てきたようで…きっと気に食わないことがあっても、人間を越えた力でねじ伏せられるからなんでしょうね~!でもその自尊心を砕かれるとやっぱり弱いのか、ダイアーにバラで顔を傷つけらた時には「よくも~!」とプンスカしていました。
予定外の出来事に怒っちゃうブランドーくんですが、DIOになると怒りよりも焦りの描写が多かったのではないでしょうか。時を止めた中で承太郎の指が動いたのを見ればこの顔よ…
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(203頁)
焦ってますね~~~~!そりゃ~そうだよね!圧倒的な力を身につけたって思ってたんだもんね~!まさかジョースター家の人間が入門してくるとは思うまい。
でもこれブランドーくんであれば、「人間ごときが入門してきやがって!」と瞬間的にプッツンしていたはずなので、かなり感情をコントロールできるようになっていることがわかります。ジョナサンという恐怖は消え、スタンドも鍛えあげたことで得た強い自信があったからこそ冷静になれたんだろうな~…
そんなDIO様の強烈な自尊心が伺えるのが最期の台詞です。
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』28巻 集英社(165頁)
ブレない自信と一人称。さすがDIO様。
まさか負けるなんて…という気持ちが伺えますよね~!ディオ時代に死にかけた時なんて「あの太陽が最後に見るのものなんていやだ~~~~!」と悔しさを滲ませていたのに、自信満々で死ぬなんて…すごい成長だし、健康な精神状態を保つには自信が必要だとよくわかるよね。DIOは真理。

4. DIOが求めた安心とディオからの精神的な成長
DIOの心の安定と関連して、最後にDIOが求めていた安心について考えてみます。3部で「安心を求める事が人間の目的」と話していたDIOですが、きっとディオの頃から金持ちになること、ジョナサンに勝ることで安心や平穏を手に入れたかったんじゃないかな~…同時にスリルも求めちゃうんだろうけど…
そんなDIOがディオよりも落ち着いた性格に変わったのは、ジョナサンの影響はもちろん、成長を心から応援してくれるエンヤ婆や、愛を口にするプッチのような存在がいたことも大きかったのではないでしょうか。
なんせ3部では仲間がいかに安心を与えるかという描写があるからね~!DIOに再会したポルナレフは「ジョースターさんたちがお前への恐怖を吹き飛ばした」と語り、恐ろしいものの片鱗を味わわされて焦るポルナレフのところに現れたジョセフの台詞もこれだもの。
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(45頁)
ドヤるジジイ、カッピョイイですね~~~~!
3人の顔を見た時、ポルポルくんはどれだけホッとしたことか…戦力的にプラスになったことはもちろん、仲間というのはただそこにいるだけで安心を与えてくれる存在なのではないでしょうか。
DIO様だって承太郎たちほど深い絆ではなく一方通行な愛情だったとしても、懸命に支えてくれる人がいたことは確かなはず。もしかしたらそんな人との関わりが安心を生み、ディオからDIOへの心の安定に寄与していたのかもしれません。話し相手がいるというだけでも精神的に楽になったりするしね…!

まとめ:ディオとDIOの比較から見えた違いは精神的な自立、人の惹きつけ方、冷静さなどでは
ディオとDIOの違いを比較して考察してみました。
精神的な自立、人の惹きつけ方、冷静さなど様々な違いがあったディオとDIO。これらは吸血鬼化、ボディやスタンド能力の獲得など様々な自信を得たことや環境の変化が影響しているのではないでしょうか。
しかしDIOを見ていると自信があれば性格が変わり、成長できることがよくわかりますね~!なんせ人生100年越えの人生を歩んだ人(?)だからな~!そりゃ~下手な自己啓発本より、よっぽど人生の真理を突いているはずだよね…!


