【ジョジョ美術】宮本輝之輔と「エニグマ」登場回の美術と元ネタを解説!

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険4部に登場した宮本輝之輔。対象物を紙にする能力「エニグマ」を扱うスタンド使いで、東方仗助や噴上裕也を追い詰めました。

この宮本輝之輔とエニグマが登場する回では、美術モチーフがいくつか登場します。今回は美術の元ネタについて考察していきます!


宮本輝之輔の「エニグマ」の元ネタとなった美術作品

宮本輝之輔のエニグマの元ネタですが、荒木飛呂彦先生が日曜美術館で「エッシャーにインスパイアされた」と言及されていた記憶が…。いくつか作品も紹介されていたので、エニグマの描写とエッシャーの作品を比較してみます。

まずエニグマ発動時の描写について見てみます。こんな感じです。

荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』43巻 集英社(172頁)

2つのモチーフが交互に組み合わされて繰り返し続いてます。

そしてこの元ネタであろう作品が『昼と夜』です。

こちらも2つのモチーフが組み合わせで構成されています。『昼と夜』では雁の形から徐々に干拓地の形へ変化していますね〜!エニグマには見られない変化の仕方です。

そして『水と空Ⅰ』も似たイメージですね。こちらは荒木先生がお気に入りとかコメントしていたような…(記憶が雑)

『昼と夜』と作風が似ており、鳥から魚へのモチーフの繰り返しと変化が見られる作品です。

 宮本輝之輔の本の表紙もエッシャー?

今度は宮本輝之輔が本になった時の表紙にも注目!こんなデザインでした。

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない :7月15日(木) その3 . TOKYO MX, 2016-11-12.(テレビ番組)

この人が宮本輝之輔なんですかね…?髪長いし外ハネだし…


元ネタが明確には分かりませんが、これもエッシャーっぽいんですよね。『もう一つの世界Ⅱ』という作品です。

枠の感じがちょっと似ていません…?
本の表紙では、枠が奥に続いているように見えたり、人が連続して描かれている辺り、ちょっとエッシャーっぽさを感じます。

2. エッシャーとは?

ところでエッシャーとはどんな人物なのでしょうか。

エッシャーは1898年オランダ生まれの画家です。こんな計算された緻密な絵を描いているので、さぞ勉強が出来る人…と思いきや留年するわ、大学は裏口入学するわ、結局大学やめて芸術系の学校に進学するわ、となかなか波乱な学生時代を送ります。

しかし芸術系の学校に通ったことで自身の芸術の才能を見出され(見出したのはなんとサミュエル・メスキータ!)、版画を学び、アートを生涯の仕事とするきっかけになりました。

エッシャーの画風の原点

大学卒業後のエッシャーの作品は、風景画を中心に制作しています。しかし1922年に転機が訪れました。

エッシャーはこの年にスペインのアルハンブラ宮殿に訪れ、イスラム芸術の幾何学模様の装飾に出会います。これがエッシャーに多大な影響を与えているのですが、例えばこちらのタイルモザイク。

めっちゃエッシャーっぽい!!!

同じ模様が繰り返されてパターン化されており、エッシャーとの共通点が感じられます。
また兄の勧めで結晶学の論文を読んだことも、繰り返しを用いる画風に影響を与えました。

でもこのエッシャー、こんな理系っぽい絵なのに数学はイマイチだったらしいんですよね…本当かいな!って思うけど。

エッシャー作品の特徴

様々な影響を受けて自身の画風を確立し始めたエッシャーですが、ここからはエッシャー絵画の特徴を見ていきます。

まず1つ目は「テセレーション」です。正則分割とも言われます。テセレーションとは同じ形を繰り返し使って空間を埋め尽くすことエニグマの描写はまさにこの手法でした。

荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』43巻 集英社(144頁)

2つ目は「メタモルフォース」です。変化の意味を持つ単語ですが、エッシャーの場合で言えば、「モティーフが少しずつ形を変えて、別のモティーフに変化すること」。先ほど挙げた『水と空Ⅰ』でも鳥から魚へと変化していました。


3つ目は「有限と無限」です。「有限の中に無限を表現したい」と考えていたエッシャー。こちらの左の『滝』では、滝で下に流れていった水がいつの間にか上昇し、再び下っていく…という様子を無限に繰り返しています。

永遠に見ていられる不思議…

エッシャーといえばだまし絵も有名ですが、よく「有限の中に無限を表現」を使って描かれていることが多いです。

3. エッシャーのCDジャケットもジョジョつながり!?

ここからはエニグマ以外のエッシャーとジョジョの関係を考察してみます。

版画作品を数多く残したエッシャーですが、イギリスのバンド「モット・ザ・フープル」のアルバムのジャケットも手掛けています

「モット・ザ・フープル」といえば、所属ギタリストだったミック・ラルフスが脱退後に加入したのが「バッド・カンパニー」虹村形兆のスタンドの元ネタになった名前です。こんなところでもジョジョつながり…!

そして山田五郎さんのYoutubeでの投稿にも、興味深いコメントが。
エッシャーはローリングストーンズのアルバムのジャケット制作を頼まれたものの、断っています。五郎さんはそのアルバムは『スティッキーフィンガーズ』だったのでは?」との説を唱えていました。ほ~~~!もし本当ならこれもジョジョつながり。

ちなみに『スティッキーフィンガーズ』のジャケットにはジッパーがついており、ちゃんと開きます。

これがスティッキィ・フィンガーズの元ネタですが…すごいところから出てくるなブチャラティ…

ポルナレフのあのセリフは実はエッシャー!?

最後にポルナレフのセリフもエッシャーっぽかったので、紹介させてください。ポルナレフ好きなのよ…
ポルナレフといえばDIO戦前にこんな名言がありました。

荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(48頁)

ネットでも有名なセリフですね~!


で、こちらがエッシャーが描いた有名な階段の絵です。「ペンローズの階段」と呼ばれる階段で、昇り降りを永遠に繰り返す様子はまさに無限!なのですが…

昇ったはずがいつの間にか降りている…だと…!?(ポルナレフ状態)

エッシャーの絵にはDIOでもいるんか?と言いたくなるような1枚。荒木先生はこれを意識して、ポルナレフのセリフを考えたのでしょうか。セリフにも絵画的要素が入っていたなら、かなり面白いですよね~!ちょっと気になるところです…!

まとめ:エッシャーの描いたテセレーションはエニグマの元ネタ!もしかしたら無限も…!?

宮本輝之輔のエニグマの元ネタとエッシャーについて、考えてみました。

元ネタとなったエッシャーの作品は、無限に続く連続性と変化、無限性が特徴的。エニグマでは特に同じモチーフを連続して描かれたことが、非常に似ています。ただですら恐ろしいスタンドだったエニグマに、エッシャーの絵が加わることで、インパクトの強いスタンドとなったのではないでしょうか。

エニグマ以外のジョジョネタとも関連がありそうなエッシャー。ジョジョファンはぜひ覚えておきたいアーティストです!

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【ジョジョ美術】「山岸由花子はシンデレラに憧れる」の美術と元ネタを解説!
ジョジョ4部の「山岸由花子はシンデレラに憧れる」の回に登場した美術をモチーフにしたシーンと、その元ネタを解説しました。クリムトに加えて、アニメ版で使われたミュシャの作品もご紹介します。

https://bijutsujojo.com/jojoexhibition-art/





 

 

 

 

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