徐倫はなぜ成長できたのか理由を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険6部の主人公である空条徐倫。承太郎の娘であり、ジョースター家の血を引くキャラクターです。

そんな徐倫ですが、決して初めから精神的に強い人物ではなく、序盤と終盤ではその言動にかなりの変化が見られます。そこで今回は、徐倫が6部を通してどのように成長したのか、考察してみました。


※6部のネタバレが一部あります!

1. 序盤と終盤の徐倫の比較

まずは序盤と終盤の徐倫の変化を比べてみます。初期の頃の徐倫と言えば、こんな口癖が印象的でした。


荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』1巻 集英社(59頁)

ちょっと何言ってるか分からない(サンドウィッチマン富澤の声で)プーよねって何やねん…


トム・クルーズ似の看守と再会し「飛びてェーッ」だの、弁護士に「飛ぶ気で弁護しろ」だの、序盤で何度も使われた「飛ぶ」。「ヤバイ」のような汎用性の高さを持っていましたが、頭が良さそうな言葉は見えないよな…この辺は荒木先生があえて、ペラペラな今時の若者的なイメージで描きたかったんじゃないかな~!

さらに最初の頃は大騒ぎしがちだった徐倫。弁護士を呼べと叫び、マ…を見られて絶望し、目に指を突かれて痛がり(これは痛いけど)と、興奮しがちなキャラクターでした。そのせいかプッチには小娘扱いされ、エルメェスには「メソメソしていた」と言われるほどです。

それが中盤以降になると、こんなことまで…


荒木飛呂彦(2002年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』13巻 集英社(145頁)

なんということでしょう。女々しかった徐倫がタフになったではありませんか!

ミューミューにも臆することなく「名前は言えるか?」と切り返し、ロメオには超強気で昔と立場が完全に逆転。度胸がつき、肝が据わった言動をするようになりました。いわゆるジョジョでいう「覚悟」が出来た状態になった訳です。

でもなぜここまで徐倫の精神力は変化したのでしょうか。ここからは徐倫の成長の理由を考えてみます。

2. 徐倫を強くした父・承太郎の存在

一つ目は父である承太郎の存在です。徐倫の成長に欠かせなかった人物ですが、承太郎がどのような影響を与えていたのか、考察してみます。

承太郎を守りたい徐倫が引くジョースター家の血

まずは承太郎と、ジョースター家の血を引く徐倫との関係性についてです。ジョースター家といえば代々、守るものが出来ると強い家系です。エリナのために身を粉にするジョナサン、ホリィのために旅に出る承太郎、祖父の代わりに杜王町を守る仗助など、大切なもののために危険を冒してまで奮闘していました。

そして徐倫が守りたいものといえば、承太郎の命です。父を危機から救おうと、刑務所から脱出せずにDISCを奪い返す決心をしていました。大事なもの守る覚悟が出来たジョースター家の人間は、精神的に強くなるはず。徐倫もそのひとりだったのではないでしょうか。

そんな徐倫の成長が分かるのが、厳正懲罰隔離房での出来事でした。あえて収監されたのはもちろんですが、このシーンも徐倫のタフさが垣間見えます。


荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』7巻 集英社(76頁)

虫まみれのパンにも顔にう〇こを投げられても、めげずに成長を誓う徐倫。以前の徐倫であれば、飛びてェ~~~~!!!と騒ぐような出来事も乗り越えていきます。その後はベッドに生えたきのこを食べるまでに…つ、つよすぎる…

このように承太郎の命を守る覚悟を持った徐倫は、精神的に飛躍的な成長を遂げていました。それは強い決意はもちろん、ジョースター家の血を引いていたからこその成長だったのではないでしょうか。

ジョースター家の精神力については、こちらでも触れています~!

【モテ判定】東方仗助は本当にモテるのか、検証してみた
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家族になりたかった徐倫と承太郎

そして家族という側面からも考察してみます。本当は父の愛を欲していた徐倫は、どこかで父といい関係を築きたいと思っていたはずです。しかし承太郎は高熱でも車の盗難で捕まっても、横にはいなかったことが、徐倫の心の寂しさや愛情への疑いに繋がっていました。

さらに家族全体を見ても、円満とは言えませんでした。承太郎としては、家族を危険から遠ざけたい気持ちがあったようですが、それが妻に伝わっていなかったようで…


荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』9巻 集英社(61頁)

この徐倫の陰のある表情よ…!徐倫の母親も必死で日本行きを止めようとしますが、承太郎は日本に行っちゃうんですよね~…そんなすれ違いが重なってか、徐倫の両親は離婚してしまいます。

物理的にも精神的にも距離があった徐倫と承太郎。でも徐倫は父の生き様を理解し、承太郎は娘に「愛している」と言葉で伝えられた今なら、いい親子関係を築けるはずです。だから徐倫としてはプッチを倒したら、今まで希薄だった家族関係をやり直したい、あらためて父と向き合いたいと思っていたことも想像できるのではないでしょうか。

このように考えると徐倫が強くなったのは、承太郎との関係をより深く持ちたい、そのためにプッチとの戦いで勝利したいと思っていたからかもしれません。

3. 徐倫が知った本物の愛

最後は徐倫と愛についてです。物語の大きなテーマであり、徐倫の成長に重要な要素だった愛。序盤では本物の愛を見抜けなかった徐倫ですが、その後の愛との関わり方を見ていきます。

承太郎の愛を受け入れて成長する徐倫

まずは承太郎の愛と徐倫の成長について考察してみます。徐倫の成長に不可欠だった承太郎の愛ですが、父親の愛についてはこんなことが描かれていました。


荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』9巻 集英社(62頁)

これを徐倫に当てはめると、承太郎の愛を知らない限り、本物の愛を受け取ることが出来ないということになります。

で、徐倫は面会や感覚を通じて、承太郎からの愛に気づきました。つまり刑務所への収監以降、他人からの本物の愛を見抜くようになる訳です。これは徐倫にとって大きな成長ですよね~!

特に恋愛面での変化は著しいものがありました。外面にこだわるロメオを吹っ切り、殺人犯でも本気の愛を差し出したアナスイからの結婚の申し込みを承諾した徐倫。本気で愛してくれる人を選ぶということは、自分を大切にすることにも繋がりますが、そんなところも徐倫の成長であり、承太郎の愛を知った結果だったのではないでしょうか。

このように徐倫の精神的な成長には、承太郎の愛が大きかったと考えられそうです。本物の愛を見分け、自分を大事にするようになるためには、承太郎が必要だったんですね~!やはり父の愛は偉大だ…!

エンポリオたちの愛を受け取り、愛を与えた徐倫

最後にエンポリオと徐倫の愛について、考察してみます。まず注目したいのが、エンポリオとの出会いの場面です。


荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』2巻 集英社(128頁)

助けを求められただけではなく、「いたわる感じ」を受けた徐倫。直感的にエンポリオからの愛を感じたシーンではないでしょうか。その後も父を助けようとする徐倫に、危険な状況でも助け舟を出し続けたエンポリオ。彼なりに目的があったとはいえ、これも本物の愛ですよね~!

一方の徐倫もエンポリオへの愛情が描かれていました。例えばリキエル戦で病院に入る直前のこのシーン。

荒木飛呂彦(2002年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』14巻 集英社(11頁)

しっかり者でもどこか甘えん坊なエンポリオを、キスで愛情表現しながらなだめています。他にも手の異常に「かわいそうに、どうしたのよ」といたわるなど、徐倫はエンポリオに対して、母性的な優しさを見せていました。

で、徐倫がこんなに愛情深い言動をするようになったのは、仲間から愛の表現の仕方を知ったからではないでしょうか。雲のスーツを譲ったウェザー・リポート、仲間の死に責任を感じる徐倫を慰めるアナスイ、マ…でパニックのところに声をかけてくれるエルメェス(もっと他にもあるでしょ!)…など、仲間たちは様々な方法で愛の手を差し伸べてくれました。こんな経験を重ねるうちに、愛されることはもちろん、人を愛する方法を学んでいったのではないかな~と思います。

そして仲間からの本物の愛を受け取った徐倫は最後に、プッチとエンポリオを逃します。その時の台詞がこちら。


荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(182頁)

あんたはみんなに生かされるんだよ~!と諭して送り出しています。自分のことで手一杯だった徐倫が、自分だけではなく仲間の愛も託せるようになるなんて…まさしく、徐倫の愛の表現の集大成なのではないでしょうか。

このように考えると、徐倫は仲間からの愛を知ったからこそ、エンポリオにも愛を与えられるまでに成長したと言えそうです。自分たちの未来のため」という身勝手な主張のロメオに手を貸した徐倫が、他人の希望ある未来のため」に犠牲となってエンポリオから手を放すまでになるなんて、徐倫の変化がよく分かる綺麗な対比では…!?

まとめ:徐倫の成長には承太郎と愛がキーだった

徐倫の成長について考察してみました。

承太郎からの愛情に気づき、瞬く間に変わった徐倫。精神的にタフになったのはもちろん、周囲の人間と愛を交えて接するようになりました。そして最後はエンポリオに仲間からの愛まで託せるなんて…!6部が徐倫の成長物語でもあったことが、とてもよく分かるのではないでしょうか。

徐倫たちがもし生き延びていたら、承太郎とどのような関係になったのかも気になるこの6部。せめてアイリンには幸せになって欲しいよな…!

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