ジョジョの奇妙な冒険5部ではレクイエム化という現象が登場し、ポルナレフ、ジョルノのスタンドがレクイエム化に成功、ディアボロが失敗していました。
今回はレクイエム化の発動条件について心理学の観点から考察してみました。
1. レクイエム化の発動条件を満たしたポルナレフ
まずはレクイエム化に成功したポルナレフについてです。ジョルノとの共通点としてすぐに挙がるのが黄金の精神ですが、ここでは心理学者ユングが提唱したmbti(16タイプ)の「個性化」に注目して考察してみます。個性化とは自分のコンプレックスや弱点を認め、うまく付き合いながらさらに個性を伸ばし、成長した姿のこと。ひとりの人間としての完成体のようなイメージです。
でね、この個性化に大切なのが心理機能を使いこなすこと。16タイプごとに1番得意なこと、それを補助する機能、遊びの機能、苦手な機能を4つにわけて、各タイプはどのようにものを考えて動いているのか?ということを8種類のうち4種類で示すものです。ESFPであろうポルナレフを例にとってみると…
Fi(補助機能=第一機能を動かすガソリン):オレの気持ち!オレの正義!を大事にする
Te(代替機能=遊び的な要素、ちょっと暴走しやすい):損得勘定、効率性、論理性
Ni(劣等機能=苦手なこと):未来を見据えられない、計画性がない
代替機能Teは不安定な機能、劣等機能Niは1番の弱点に当たります。たしかに3部時点でのポルナレフは自分の気持ちを正直に行動できた一方、計画性はゼロでしたよね~!つまりNiやTeを弱点と認識し、彼なりにうまく使いこなすことが、個性化した姿となります。
で、劣等機能や代替機能は危機の時に開花することがあるのですが、5部のポルナレフは体の欠損により、得意なSe(機動力)が強制終了させられた上に、ディアボロから身を隠さなくてはいけないという大ピンチに!この危機を脱するために、他人に矢を託すという未来と計画が必要となった結果、不得意なNiやTeが花開きました。あの一皮むけた性格は、個性化が完了し、切込み隊長から長期的な戦略を練る思慮深さが芽生えたからだったんですね~!
ジョジョ界でも屈指の個性化成功者であろうポルナレフですが、もしレクイエム化できた理由が個性化であるならば、他のキャラクターは発動条件を満たしていたのでしょうか。検証してみます。
ポルナレフの個性化の詳しい話はこちら

2. レクイエム化の発動条件を満たしたジョルノの個性化の過程
レクイエム化に成功したジョルノのmbtiは恐らくINTJ。心理機能は第一機能から順にこんな感じね。
Te(補助機能=第一機能を動かすガソリン):効率性、論理性、客観的データの重視
Fi(代替機能=遊び的な要素、ちょっと暴走しやすい):自分のこだわり、美学、気持ち
Se(劣等機能=苦手なこと):未来を予測しすぎて今を見て動くのが苦手
見事にポルナレフと真逆な並びですね~!つまりNiとTeを連携させて未来を見据えて論理的な計画を立てるのは上手でも、現実を直視するのが苦手だったり、時にこだわりや感情が強くなりすぎるタイプです。それがよくわかるのが幼少期の回想シーン。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(156頁)
これね~NiとTeが得意ゆえの悪循環にハマっていたんですよね~!誰もジョルノに手を差し伸べてくれない状況を、「きっと僕はお先真っ暗だ(Ni)」「なぜならみんな僕に冷たいから(Te)」とTeは辛い経験のデータを集め、Niはネガティブな未来を予測してしまうループから抜け出せなかったんじゃないかな~…その結果、不安定なFi(=自分の気持ち)も「僕に存在価値はないのでは」とまで感じていたのではないでしょうか。
さらに劣等機能はSeと、今を見るのが不得意なんですよね~…もしSeがポジティブに機能すれば「みんな僕に冷たいし未来は暗い、でも今食べてるジェラートは美味しいし、天気もいい!最高!」とちょっと前を向けたはず。つまりこの頃のジョルノは個性化前なのはもちろん、全ての心理機能が影を落とし、ネガティブに機能していたようなイメージではないでしょうか。辛い時代だ…

ジョルノの個性化と名もなきギャングとの関係
そんなジョルノの転機となったのが、名もなきギャングを救ったこと。「みんな僕に冷たい」と感じていたところに「僕に優しいギャングがいた!」という衝撃的なデータが入ってきたことで、「世間は冷たいだけじゃない、優しい人もいる!(Te)」→「未来は明るいかも!ギャングになればいいのかも!(Ni)」と明るいNiとTeのループに書き換わったんですよね~!
同時に不安定な劣等機能Se(現実を見る)は「この世は悪くないはずだ!」と、現実のプラスの面をキャッチできるようになったのではないでしょうか。そして代替機能Fi(自分の気持ち)の進化といえばこれ。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』49巻 集英社(85頁)
何言ってんだおまえ?(様式美)
自己肯定感ゼロだったFiは、強烈な野望へと進化を遂げていましたよね~!得意技を消されたポルナレフが自分の弱点と格闘した上で個性化したとすれば、ジョルノはギャングの件で全ての心理機能が輝きを放つ成長過程を辿った個性だったのではないでしょうか。まさに黄金体験…!

3. レクイエム化できなかったディアボロの個性化の失敗
今度は矢に選ばれなかったディアボロについてです。ディアボロはね~~~~個性化に失敗した男なんですよね~…16タイプはジョルノと同じINTJと思われるので、個性化には劣等機能Se(未来を予測しすぎて今を見て動くのが苦手)はもちろん、代替機能Fi(自分のこだわり、美学が強い)という自分の弱点を直視し、受け入れながら使いこなすことが必要となります。
が、今を見るのが苦手すぎるゆえにキング・クリムゾンで未来までスキップしたり、正体がバレたくないというこだわりから娘を傷つけたり…と自分を弱さを受け入れられなかったんですよね~…それどころか外に出て現状確認するなど、苦手なことはドッピオに押しつけてしまったわけで。ひとりの人間としての完成体になるどころか、自我が分裂してしまったのではないでしょうか。
またディアボロの美学は「過程をスキップしてでも絶頂でい続けること」ですが、その正体は自分の弱さを直視せずに結果にたどり着くこと。たとえ絶頂でいられたとしても、その中身はスカスカなんですよね~…個性化にはほど遠いんだよな~…
自分の光も影も受け入れたジョルノたちと、影を受け入れず飲み込まれてしまったディアボロ。矢の力を操れる者は全世界の精神を支配できるとのことでしたが、やはり自分自身を統べて人間として完成された者がレクイエム化でき、戦闘者としてその力をコントロールできる人物が、世界の法則や運命さえも支配する力を手にできるのかもしれません。

4. ブチャラティチームはレクイエム化の条件を満たしていたのか
最後にブチャラティチームはレクイエム化が可能なのか考察してみます。レクイエム化の条件が個性化だとして、ブチャラティチームの成長を見てみると…ざっくりこんな感じね。
ブチャラティ:
社会のルールより愛する父親を守るという自分の正義の選択(ほぼ個性化完了済み)、ただし組織加入後は自分の正義と組織の闇への葛藤で疲弊→組織を裏切ってでも弱者トリッシュを守ると自分の正義を再び貫く
ミスタ:
元々の素質、殺人事件での不当逮捕で手に入れた運命を受け入れ受け流せる強さ、でも4怖い!→目に見えるジンクスではなく、目に見えないジョルノの意志を信じ、覚悟を決めて運命を切り開く強さ
アバッキオ:
同僚の死への罪悪感から、思考を放棄し組織の駒でい続けた→自分の正義を貫くために組織を離脱し、真実に向かおうとする意志を再構築!
ナランチャ:
社会や大人を信じられずブチャラティに依存、知性がコンプレックス→「トリッシュはオレ!」と他人の命令ではなく自身の意志による決断。「学校行くよ、バカにされるのもいいかも」と自分の学力の低さ、集団生活への怖さも受け入れ進もうとした
トリッシュ:
私は護衛されて当然、でもパパって何者?パパ怖い…(アイデンティティを他者に依存したお嬢様)→自分を知りたい!パパは許さない!と自我と自立に目覚める、スパイス・ガール(=自分の精神の具現化)のいうことを信じ行動する
みんな個性化に成功しているっぽいですよね~!きっと矢に選ばれてレクイエム化できたんじゃないかな~という気がします。ミスタは新生パッショーネでの活躍を通じて、より個性化を極めていきそうにすら見えるよね。底の見えない男よ…!

フーゴはレクイエム化の発動条件を満たしていたのか
問題はフーゴね。まだ成長が見られるであろう人物でしたが、恐らく個性化を果たさずに離脱してしまったんじゃないかな~…なんせ弱点であろう「制御できないほどの怒りとスタンド能力」「組織に属することで居場所を確立」「頭が良いゆえの未来への恐怖への敗北」が未解決だったもんね~…レクイエム化は難しいような気がします。
もし個性化するとすれば、「ブチギレることさえも自分の愛すべき一部として受け入れ、感情とスタンドの制御ができるようになること」、「未来や不安定さへの恐怖を越える、自らの魂が納得できる攻めの選択をすること」が必要だったはず。とはいえこれが難しいんですよね…
解決方法としては例えば「僕怒ってるな~そりゃ~むかつくもんな~」とキレる自分を少しずつ客観視できるようになったり、「論理的には不正解だけど、僕の心はこれしかないんだ!」と論理を飛び越えた行動力を身につけることが挙げられるのではないでしょうか。自分こそが自分の絶対的な味方になるイメージね。でもこれが難しいんですよね(2回目)
自分の弱点に目を向けて受け入れる個性化は、苦痛を伴う成長過程です。フーゴの場合は自分をより信じて愛することができた時、ボートに乗り込むことはもちろん、レクイエム化の道も開かれたのではないでしょうか。『恥知らずのパープルヘイズ』のフーゴならいけるかもしれないよね…!

まとめ:レクイエム化の発動条件は心理学的には個性化が必要だったのでは
レクイエム化の発動条件を心理学の観点から考察してみました。ジョルノとポルナレフが個性化を果たしていた一方、ディアボロは自分の弱さを直視できなかったゆえにレクイエム化に失敗していたのではないでしょうか。
またブチャラティチームもかなり個性化に成功していたことがよくわかりますよね~!フーゴは離脱してしまったものの、『恥知らずのパープルヘイズ』でスタンドが進化したところを見るに、スピンオフで個性化に成功したのかもしれません。









