ジョジョの奇妙な冒険4部に登場した山岸由花子。広瀬康一に恋する女子高生です。初登場時は広瀬康一に手編みのセーターを編んだり監禁したりと、その重すぎる女ぶりは衝撃的でしたが、その後は無事に両想いになります。
そんな山岸由花子の恋愛を思わず応援したくなったジョジョファンの方もいらっしゃるかと思いますが、なぜ応援したくなるのでしょうか。その秘密を考察です!
1. 恋愛における山岸由花子の魅力
まず恋愛における、山岸由花子の魅力を確認していきます。
山岸由花子は、外見的なスペックが超高いです。顔の可愛さ、スタイルの良さ、髪の美しさといった外見は、辻彩先生にも「とても美人」と言われているほどでした。さらに裁縫も料理も出来るなんて…完璧じゃあないですか…
しかし山岸由花子の魅力は、これだけではありません。男選びの目、受け答えなどもとても素敵なのです。
山岸由花子の男を見る目の確かさ
山岸由花子は、男を見る目も確かです。こちらも辻彩先生のお墨付きでした。外見が高スペックな由花子ちゃんが選んだ男は、広瀬康一。自分をモテないと自覚している男の子です。
荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』32巻 集英社(18頁)
「当然ですけど」が悲しい…
確かに康一くんは、仗助ほど度胸があるわけでも、露伴先生ほど名声があるわけでもない。スタイルも決して良い方ではありません。由花子ちゃんとパッと並んだ時に、お似合いという感じでもない(ごめん)。だけどとっても優しく、機転が利く性格です。
例えば、由花子ちゃんに監禁されて殺されかけた時も、数手先を読んで由花子ちゃんの命を助けることを考えていました。そして圧巻だったのは、シンデレラで由花子ちゃんに顔を選ぶように頼まれた時のシーン。
荒木飛呂彦(1994年)『ジョジョの奇妙な冒険』38巻 集英社(62頁)
…こんなこと言えます?
好きになったばっかりの女の子を庇うなんて…優しさと男気に溢れていますね~~~~!
外見が超美人なのに、不完全だけど優しい男の子を選ぶ由花子ちゃん。こんな男の子に恋したのなら、頑張れ由花子!と応援したくもなります。
受け答えの可愛さ
さらに由花子ちゃんって、受け答えがなかなか可愛らしいんですよね~!
例えばこのシーンです。康一くんと2人でお茶をすることになった由花子ちゃん。チョコレートパフェを頼もうとした康一くんの「女の子っぽいですかね~?」なんて一言に、由花子ちゃんはこう返しています。
荒木飛呂彦(1994年)『ジョジョの奇妙な冒険』37巻 集英社(158頁)
…完璧じゃない?こんなの言われたら、嬉しいに決まってるじゃあないですか!!!
チョコレートパフェを頼むのに遠慮がちな相手に、「私も食べたいと思ってた!」とまで言われたら、ほっとするわ嬉しいわで、康一くんみたいに「よかったあ~~~」ってなっちゃうもんです。
しかも康一くん、「2つねーっ」って店員さんにタメ口まで聞いているし。居酒屋で生2つ頼むノリやんけ…
それくらい嬉しいんですよ…きっと…
あとは何といってもこのシーン。シンデレラで顔を選べなくなってしまった、由花子ちゃんの決断です。
荒木飛呂彦(1994年)『ジョジョの奇妙な冒険』38巻 集英社(58頁)
あの由花子ちゃんが、3歩後ろを歩く女の子になっているぞ…!!!普段強気なだけに、こういう乙女心溢れる言動は可愛らしく映るものです。しかし荒木先生、この横顔めちゃくちゃ可愛く描いてるな…
由花子ちゃんのナチュラルに可愛らしい言動は、恋愛においても大きな武器なのではないでしょうか。
2. 恋愛に翻弄される山岸由花子への共感
ザ・重い女な由花子ちゃん。恋愛面では相手を振り回すだけではなく、時に自分も振り回されがちでした。そんな彼女の恋愛模様は、読者が共感出来るところでもあります。
特に注目したいのは、憧れの広瀬康一とキスする場面での一コマです。
荒木飛呂彦(1994年)『ジョジョの奇妙な冒険』38巻 集英社(25頁)
由花子ちゃんの顔面崩壊の原因となったシーンですが、これかなり重要ですよね…何でアニメ版カットしたんだ…
今まで康一くんのためなら何だってこなしてきた由花子ちゃん。夜通し編んだセーターから、魚の仕入れ、電気椅子作りまで、その方向性はともかく、なんでもやり遂げてきました。っていうか電気椅子ってなんだよ!努力家すぎるだろ!!!
でもそんな由花子ちゃんが、恋に翻弄されて口紅を塗るのを怠ってしまうのです。これは一大事ですよ!電気椅子作れるのに口紅塗るのサボる!?
でもね、由花子ちゃんの言う通りなんですよね…。好きな相手とキスしている時に「あっ口紅…」なんて言えるかバカヤロー!って話です。わかる!ヒジョーにわかるよその気持ち、ひしひしとなあ~…
辻彩先生との大事な約束をおろそかにするほど、とっても素敵な時間だったんですよね!
ついでに美術ブログも兼ねているので、美術的なことを言えばこのキスシーン、クリムトの「接吻」と同じ構図です。こっちが漫画のコマで…
荒木飛呂彦(1994年)『ジョジョの奇妙な冒険』38巻 集英社(24頁)
こっちがクリムトの「接吻」です。
この恍惚感にあふれた絵をモデルにするなんて、荒木先生も幸福感を描きたかったに違いない…。由花子ちゃん、きっと天にも昇る心地だったんだろうな。詳しいことはこの記事にまとめてみましたので、ご興味があればぜひ…!
相手のためを思って完璧に行動してきたはずが、一瞬の快楽に飲まれて決定的なミスを犯した由花子ちゃん。でもこの恋に溺れる様は共感を呼ぶだけではなく、このくらい本気で恋してみたい!と羨ましい気持ちにすらなるのではないでしょうか。
3. 山岸由花子の恋愛の何が変わったのか
山岸由花子はジョジョの中でも人気のあるキャラクターです。が、そもそも皆さん初登場時から、彼女のこと大好きでした…?多分、初登場時は「やばいのが出てきたぞ…」という印象が強かったのではないでしょうか。
人気が出たのは、シンデレラのエピソードがあったからだと思うのです。
ではシンデレラのエピソードの前後で、由花子ちゃんは何が変わったのでしょうか。全てを説明しているのが、このジョセフのセリフです。
荒木飛呂彦(1994年)『ジョジョの奇妙な冒険』37巻 集英社(131頁)
そう、「微妙な気の持ち方」。由花子ちゃんは最初から最後まで、康一くんのことが大好きという気持ちは変わりませんでした。でも由花子ちゃんの康一へくんの接し方は、確実に変わっています。
「自分のため」から「康一くんのため」になった恋愛観
初期の由花子ちゃんは、束縛癖が強くて重い女の子でした。セーターを編んで来たり、スパルタ方式で勉強させたり…と、「康一君のためだと思って…」というのを理由に、自分の理想の男性に近づけようとします。しかし康一との戦闘後には、こんな発言をしています。
荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』32巻 集英社(185頁)
今までは康一を「成長させたい」と自ら積極的に動いていたのに、「思っているだけでいい」と随分大人しくなります。さらにシンデレラに行く直前には思い詰めていたようで…
荒木飛呂彦(1994年)『ジョジョの奇妙な冒険』37巻 集英社(130頁)
あっ…何かしようとはしてたんだ…思っているだけじゃ飽きちゃったんだね…
でもこれまでの「自分のために康一くんを理想の男にしたい」から「康一くんが幸せになるために何かしてあげたい」と、「誰のために行動するか」が明確に変わっています。
つまりシンデレラ後の由花子ちゃんは、康一くんに尽くせる、献身的で健気な女の子なのです。だからより可愛くなったし、思わず応援したくなる魅力的なキャラクターとなったのではないでしょうか。
まとめ:山岸由花子を応援したくなるのは、彼女の変化と読者への共感によるもの
山岸由花子の恋愛について、考察してみました。
強気で恋愛体質な思い女だった山岸由花子は、元からのスペックはもちろん魅力的です。
しかしシンデレラでの出来事を境に、相手のためを思って行動できる女の子へと変貌を遂げたこと、そして思わず共感したくなるほど恋愛に振り回されていたことが、応援したくなる気持ちを思い起こさせていたのではないでしょうか。
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