ジョジョの奇妙な冒険4部の主人公である東方仗助。高熱で命の危機にさらされた過去がありますが、それを助けたのが学ランにリーゼントの傷だらけの少年でした。
彼は仗助のヒーロー像となっている訳ですが、この少年とは一体の正体とそしてこのエピソードの意味について考察してみます。
1. 仗助を救った謎の不良は誰だったのか
まずは仗助を救った謎の不良の正体について考えてみます。再三考察されてきた話ですが、未来から来た仗助説は荒木先生が否定しているとすれば、やっぱり名もなき一般人がしっくりくるかな~…というのも、それが一番ジョジョっぽいエピソードに仕上がるからなんですよね~!
他人に手を差し伸べられたことで人生が変わるジョジョのエピソード
4部に限らず、ジョジョは他人に手を差し伸べられたことで、人生が変わっていくという話が何度も登場します。
ジョルノを助けたギャングなんてドンピシャなエピソードですが、スモーキーにとってのジョセフ、ナランチャにとってのブチャラティだって赤の他人であり、彼らに助けられたことが人生の転機になりました。スモーキーなんか初の黒人市長にまでなるからな…
しかも損得勘定抜きに手を差し伸べられたからこそ、心を打たれるんですよね~!ナランチャもブチャラティの怒りに心を動かされたのも、そこが理由だった訳で。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』50巻 集英社(177頁)
身内でも仲間でもないのに親身になってくれたら、そりゃ~嬉しいよな~~~!
そしてジョルノやナランチャは父親に問題が…という仗助との共通点があります。父親という最も身近な手本となる男がいなかった彼らだからこそ、助けた人物は3人にとって男としてのヒーローにもなったんでしょうね~!
情が入る間柄ではなく赤の他人への献身性が伺えるからこそ、光るこれらのエピソード。こんな風に考えると、仗助を救った少年もそれまで何も接触のなかった一般人説がしっくり来るのではないでしょうか。
2. 仗助がジョセフを父と認めたこととの関係性
次に謎の少年の出来事と、仗助が父であるジョセフを見直したことの関係性について見ていきます。出会ったばかりの頃はジョセフとの距離感があった仗助ですが、最終的には「じじい」と呼ぶほどの仲になりました。
この2人の間柄を変えたきっかけとなったのが、謎の少年の話ではないかな~と思うところがあったので、こちらを考察してみます。行ってみよ~!
謎の少年の行動のすごさ
謎の少年とジョセフとの間柄の関係性を考えるために、まず少年が仗助を救ったことのすごさを考えてみます。
その日は歩くのも大変であろう大雪でしたが、ちょっと気になったのがこの少年の外見。仗助の前にはこんな姿で現れました。
荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』35巻 集英社(60頁)
もう一緒に病院に連れて行ってあげたい。だ、だいじょぶ?
車を押した後に大怪我を負った体に、雪で濡れて破れた学ランを羽織って帰るなんて…しかも車が立ち往生した場所は、1~2キロは民家がない農道。満足な体力や衣服のないまま、寒空の下で雪道をひたすら歩かないといけないとか…
まさか死んでないよな…?いや本当に…生きててくれよ…
なんて最悪の事態も想像しうるこの状況。生きていたとしても、体にかなりの負担をかけるリスキーな行動ではあったはずです。それでも手を差し伸べるなんて、黄金の精神すぎる…
仗助を助けたことでますます帰り道が大変になったであろう少年ですが、自分がダメージを負ってまで他人のために行動したからこそ、その心意気に仗助も心を打たれたのかもしれません。
自分を犠牲にして他人のために行動したジョセフ
さて誰かのために自分が犠牲になるという点で思い起こされるエピソードといえば、4部でジョセフが透明な赤ちゃんを助けた話です。血の色を使って、赤ちゃんの居場所を探そうとしてたアレですが、見てこの出血量…
荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』34巻 集英社(101頁)
おじいちゃん死んじゃう!!!!めちゃくちゃバックリいってる…
本人も「年齢的に死ぬかも」と覚悟した上でのこの行動。「こんないい加減な男を尊敬できるわけがない」と怒っていた仗助が、ジョセフを父として認めるきっかけになった出来事でした。
でもなぜ仗助はジョセフを見直したのか。
きっと仗助は、あの時の少年と同じ姿勢を父の中に見たのだと思います。見返りを求めず、赤の他人を一生懸命に救おうとする姿に憧れていたからこそ、父であるジョセフに同じ精神を感じたことは嬉しかったんじゃないかな~!だから父として認めたのはもちろん、一人の男として尊敬したのかもしれません。
このように考えるとジョセフとの関係が進展したのは、ジョセフの行動力はもちろん、仗助が少年に助けられた経験を持っていたからこそとも言えそうです。
3. 仗助のクレイジー・ダイヤモンドとの関係
最後に仗助の過去のエピソードと、クレイジー・ダイヤモンドの能力の関係性を考察してみます。クレイジー・ダイヤモンドは、物体や怪我を治す能力のスタンドであり、高熱をきっかけに発現したようでした。
仗助の優しい性格が反映されたスタンドですが、実はこの少年のエピソードもクレイジー・ダイヤモンドの能力に関係しているのかな~なんてことも考えられそうなのです。ということで、謎の少年のエピソードを振り返ってみます。
注目したいのは車が押されている中、仗助が大怪我を負った少年のことを見ている描写です。
荒木飛呂彦(1993年)『ジョジョの奇妙な冒険』35巻 集英社(62頁)
熱に浮かされていた仗助ですが、少年の姿を見て何か思うところがあったように見えます。少年の行動に心打たれたり、感謝の気持ちが生まれたのはもちろんですが、「あのお兄ちゃんは大丈夫なのだろうか」「せめて怪我と学ランが治ればいいのに」なんてことを思っても不思議ではありません。その頃から仗助が優しかったのならなおさらね…!
だからこそクレイジー・ダイヤモンドが物質的な損傷を治せるのは、あの少年を治してあげたいという気持ちがあったからでは…?とも考えられそうです。病気を治すことが出来ず、あくまでも物質や怪我だけを治せるのも、この少年の怪我と服のダメージが由来なのかもしれません。だからもし少年が病気だったら、病気を治す能力もついていたりして…
ということで、この過去のエピソードとクレイジー・ダイヤモンドについて考えてみると、仗助のスタンド能力は、仗助が少年に抱いた気持ちが反映されたスタンドということも出来そうです。
まとめ:仗助を救った少年は一般人で、その後の仗助に大きな影響を及ぼしていた
仗助を救った謎の少年について考察してみました。
少年の正体は名もなき一般人で、損得勘定抜きに手を差し伸べたからこそ仗助は心を打たれたのではないでしょうか。そして不良との出会いは、スタンドの能力に影響を与えたり、父との関係の修復にも一役買っていそうです。
プッツンの理由として描かれたエピソードでしたが、少年の行動は仗助の人生に大きく影響を与えていたのかもしれません。そりゃ~サザエさんとか言われたらキレるわな…!
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