ジョジョの奇妙な冒険6部に登場したプッチとウェザー・リポート。双子の兄弟という衝撃的な関係性が明かされた2人でした。
ジョジョでは血の繋がりがある者同士、身体的特徴やスタンドに類似点が見られることがありますが、この2人の場合はどうでしょうか。今回はウェザー・リポートとプッチが似ているのか、考察してみました。
1. プッチとウェザー・リポートの外見的特徴
まずはプッチとウェザー・リポートの外見的特徴について、見ていきます。若かりしウェザー・リポートとプッチが対峙するシーンで、2人の顔の特徴に注目してみると…
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』15巻 集英社(64-65頁)
似てる。顔面のパーツがほぼ一緒じゃんよ~~~~!!!
二卵性双生児とはいえ、兄弟だもんな…それでも読者が血の繋がりに気づかないのは、髪型と肌や目の色の違いが大きいからでしょうね~!特に肌の色の違いは、2人の過去を語る上で重要なことはもちろん、兄弟だと気づかせないために重要な役割を果たしているように見えます。
ところで双子で肌の色が違うことは、かなり珍しいのだとか。二卵性双生児で500分の1、一卵性双生児になると100万分の1と言われているそうです。超レアケース!
プッチとウェザー・リポートの足
そしてもう一つ身体的特徴で気になるのが、2人の足についてです。
プッチは生まれつき左足の指が曲がっていました。歩行には問題ないものの、教会内で盛大にずっこけたせいでDIOに心配(?)されることに…一方のウェザー・リポートは、器用につま先立ちで歩いています。
荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』5巻 集英社(81頁)
ウェザー、それ殺し屋の歩き方や。
アニメ版を見るに、過去の回想では普通の歩き方をしているようなので、収監されてからこの歩き方に変わったようです。しかも顔を近づけて話すのも収監後なので、刑務所内で音を抑える必要性があったのかもしれません。
何しろ記憶ゼロなので、収監直後は過酷な刑務所内で生き残る知恵もなかったはず。いじめなどの格好の的になっちゃうよな~。だから身を隠すためとかね…つ、つらすぎる…!
ウェザー・リポートの歩き方の経緯は不明ですが、とにかく偶然にも足に特徴があるこの兄弟。先天的、後天的といった違いはありますが、ちょっと気になる共通点なのでした。
2. プッチとウェザー・リポートの人生比較
次に、プッチとウェザー・リポートの人生を比較してみます。
生まれた直後に離れ離れになってしまった2人ですが、プッチは裕福な家庭で何不自由なく育っていました。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』15巻 集英社(21頁)
ただぺルラとウェザー・リポートを破局させるために、得体の知れないゴロツキに仕事を依頼したり、天国到達のために全世界の人々を犠牲にしたり…と、育ちがいい割には手段を選ばない非情さがあるんだよな…
プッチをはじめとするラスボスの手段がエグイ話もあります。
一方、ウェザー・リポートの家庭環境の描写はかなり少なめ。ただ「バイトをクビになったら困る」なんて言っている辺り、ちょっとお金に困っているのかもしれません。とはいえ、純粋で正義感にあふれる少年に育っています。正義感強すぎて、窓ガラス割ったりしてたけど…
このように比較してみると、兄弟でもその家庭環境や性格がほぼ真逆なこの2人。裕福なのに非情、中流以下なのに純粋と、育ちの良さと人格面は反比例に近い設定なのかもしれません。
プッチとウェザー・リポートと神の関係性
今度はプッチとウェザー・リポートについて、神との関係性という視点からも考えてみます。まずプッチは神学校に進み、神父を職としてる人物。さらにDIOに対しても狂信的でした。ほら…
荒木飛呂彦(2002年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』14巻 集英社(143頁)
こんな例えがさらっと出るプッチ、すごい。
で、DIOの代わりに天国に行こうとする訳ですが、DIOはイタリア語で神を表す単語。つまりプッチは2つの意味で神に仕える者と言えそうです。
そしてウェザー・リポートはぺルラの死後、この世を恨んでいたので、神様は信じていないでしょうね…多分。ただウェザー・リポートの天気を操るスタンドは、ギリシャ神話に登場するゼウスが連想されるところ。ゼウスは雷や雨、嵐を起こす天候の神様なので、ウェザー・リポートの能力に似ています。でもゼウスは、ウェザーと違って浮気性なんだよな…
ということで、神に仕えたプッチに対し、神を信じるどころか自身が神に似ているのがウェザー・リポート。こちらは兄弟間で、ちょっと面白い対比になっているのではないでしょうか。
意志を継ぐプッチ、継がせたウェザー・リポート
そして意志という観点からも、プッチとウェザー・リポートを比較してみます。まずプッチは、DIOの天国に行くという意思を継いだ者であり、自分が天国に行く方法を実行しようとしていました。
一方のウェザー・リポートは死亡する直前に、プッチの能力を利用して自身のスタンドをDISC化しています。そしてそのDISCを利用し、プッチに立ち向かったのがエンポリオ…と考えると、ウェザー・リポートは意志を継がせた者と言えるのではないでしょうか。
意志を継ぐ、継がせるというのはジョジョ定番のストーリーですが、6部ではウェザー・リポートが継がせる者、プッチが意志を継ぐ者と、その役割は真逆と言えそうです。
3. プッチとウェザー・リポートのスタンド比較
最後にプッチとウェザー・リポートのスタンドを比較してみます。ぺルラの死に大きな影響を受けている2人のスタンドですが、その能力の違いについて考えてみました。
まず記憶をDISC化出来る能力を得たプッチですが、「自分の運命を知って覚悟するのは幸福」と考えて天国を目指す中で、メイド・イン・ヘブンの使い手となりました。全世界で時を加速させて宇宙を一巡させるという、んま~~~~何ともお騒がせな能力でしたが、一応プッチなりに人類のより良い未来を築こうとした結果、生まれた能力です。
一方のウェザー・リポートはぺルラの死により、虹とカタツムリが現れるヘビー・ウェザーを発現しました。プッチとは違い、人類を破滅させかねない能力だった訳ですが、そのプロフィールがこちら。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』15巻 集英社(146頁)
「太古の記憶か、または原始の本能のせいか」は、人間の過去を連想させられるところです。そしてプッチのように加速するどころか、のろのろ~と動くカタツムリになっているし、知能にいたってはこの有様。
荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』6巻 集英社(50頁)
カタツムリ化で混乱する兄貴。運動能力、頭脳ともに人間の立場から見たら退化だろうな…ごめんよカタツムリ…
広範囲に影響を与える能力を持つこの兄弟。しかしその能力は、プッチが人類の未来を変えようとして加速したのに対し、ウェザー・リポートは人類をスローな生物へと退化=過去へ向かわせる、対比的な能力として描かれたのかもしれません。
ちなみにオーストラリア神話には、「ユルング」という天候を操る虹色の蛇がいます。まさにプッチとウェザー・リポートの合体版…!
ウェザー・リポートのスタンドについては、こちらで詳しく触れています~!
まとめ:プッチとウェザー・リポートは双子でも対比的な部分が多い
プッチとウェザー・リポートの比較をしてみました。
似ているところもありますが、真逆というほどの設定もかなり多そうなこの2人。双子の兄弟らしさはあるものの、全く違う人生を歩んだ2人であることを感じさせます。
でもいいとこの坊ちゃんだったプッチは、周りが見えない人物になって、育ての母がとんでもないことをやらかしているはずのウェザー・リポートは、正義感にあふれる人物になるなんて…まさかの展開だよな~…どうしてそうなった…
6部の記事はこちらもどうぞ~!
参考文献
ミシェル・フイエ(2006年)『キリスト教シンボル事典』白水社
人民網「英国初のケース!肌と目の色が違う一卵性双生児」http://j.people.com.cn/n3/2016/0226/c94659-9021906.html
CNN「肌の色が違う双子の赤ちゃん、「信じられない幸運」と母 米」https://www.cnn.co.jp/fringe/35095510.html