「花京院の1番の仲良しはポルナレフ」説を検証してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険の3部「スターダストクルセイダース」に登場した、花京院典明とジャン=ピエール・ポルナレフ。
旅の中で、年下の花京院がポルナレフに当たりが強いことは、度々指摘されています。

その一方で、「花京院の1番の仲良しはポルナレフ」という説もチラホラ…
今回は本当に花京院とポルナレフは仲良しなのか、心理学的な面からも検証してみました!


1. 反動形成

まず花京院のポルナレフに対する言動を、「反動形成」の点から検証です。反動形成とは、「自分の本心とは逆の行動をとる」ことを指します。例えば、相手に嫌われるのが怖くて冷たくしてしまったり、強く当たることで関わりを持とうとしたり…

いわゆる「好きな子に意地悪しちゃう」という行動も、反動形成のひとつです。

花京院のポルナレフに対する冷たい言動

花京院はポルナレフに、冷たい言動をとることもしばしば。いくつか挙げてみました。

・皇帝・吊られた男戦前(アニメ版):レストランで「俺の口に合うものを頼んでおいて」とのポルナレフの注文に、「彼の口に合うということは何でもいいってことです」
・死神13戦:夢の中のスタンドと理解しないポルナレフに「わからんやつだな」とイラつきながら観覧車の壁に当たる
・審判戦:アヴドゥル生存を隠していた理由を「ポルナレフは口が軽いから」と本人に説明
・女教皇戦:コーヒーを欲しがるポルナレフに「自分で入れろ」
・ンドゥール戦直前:「ヘリコプターだ」とはしゃぐポルナレフに「見りゃ分かる」と冷たい一言

こんなのされたら泣いちゃう…
もはや嫌われているんじゃないかと、勘違いしそうなものも混ざっていますね…でもポルナレフは嫌われている訳ではないのです。

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花京院のフォロー集

散々言ってる花京院ですが、意外とポルナレフをフォローしていることもあります。
例えば死神13戦では、花京院の反撃シーンで「夢の中にスタンドを持ち込む方法を思いついたのは君のおかげ」と言い、ポルナレフをデレさせました。

またアニメオリジナルシーンとして、女教皇戦でコーヒーを入れた後、ポルナレフが「5人集まれるのが嬉しい」と一言。
これに一同「うん」と頷きます。5人の仲の良さが強調されている描写です。その前には「パンツー丸見え」でピシガシグッグッするシーンもありましたね~!

やっぱり花京院はポルナレフを嫌っている訳ではないのです。
言いやすい相手だからなのか、反動形成なのか…色々理由はありそうですが、冷たい言動はコミュニケーションの一環のようです。

かまってほしい!?花京院

花京院の言動で「これ反動形成じゃない?」と気になったのが、カメオ戦直後のアヴドゥル生存のネタばらし。

普通ならポルナレフに「みんなで相談して騙すことにしたんだよ~ごめんね」とでも言えば良さそうなところです。ところが花京院は「ポルナレフに内緒にしようと提案したのはこの僕」と自分が発案したと強調。さらに直前には「ポルナレフは口が軽いから」なんてわざわざ言ってしまうのです。しかも真顔で。毒舌ぅ…。


まるでポルナレフに「おめーなぁ!」とでもツッコんで欲しそうな一幕です。

もし本当にツッコんで欲しくてこの発言していたら、めちゃくちゃ反動形成じゃないですか…こんな風に反動形成にありがちな、冷たい態度が見え隠れする花京院なのでした。

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2. 類似性の法則と相補性の法則

次は「類似性の法則」と「相補性の法則」から検証です。真逆の法則になりますが、順番に見ていきましょう!

2-1. 類似性の法則

類似性の法則とは、自分と似たもの、共通点を持っている相手に好感を抱くことです。出身地や趣味などの共通点を見つけると、相手との距離が縮まるのは、類似性の法則が働くからなのだとか。

では花京院とポルナレフの場合はどうでしょうか。

肉の芽を埋められた過去

花京院とポルナレフの場合、最も大きな共通点は「DIOに肉の芽を埋められた」こと。

特に花京院には、この旅に同行する理由となっているだけに、とても重要な出来事でした。肉の芽を埋められたことは屈辱的なだったようで、このように述べています。

自分がゆるせなかった…ヤツに精神的に屈した自分を呪った!承太郎に助けられ この旅に出た理由もそれだ!二度とあの時のみじめな花京院には絶対に戻らないッ!
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』25巻 集英社(56頁)

またポルナレフにもDIOに屈したことに対して、このようなセリフを吐いています。

おれは前におまえに会った時 心の奥底までおまえの恐怖の呪縛と巨大な悪に屈伏した あの時俺は「負け犬」としての人生を歩みはじめたわけだ 死よりも恐ろしいぜ!! てめーに利用されることへの欲求だけの人生なんてな
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(32頁)

ポルナレフも旅の最大の目的ではなかったとは言え、DIOに屈した屈辱を強く抱いているのです。

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「DIOへのリベンジ」という目的の一致

そしてDIOの館からいったん退却した際に、こんなシーンがあります。


荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(72頁)

あの冷静沈着な花京院がこんな風に言うのは、意外じゃないですか?

日没後はDIOに有利となるため、「焦るんじゃあないポルナレフ!」とでも言いそうですが…
でもここではポルナレフに賛同。2人とも、DIOを一刻でも早くぶちのめしたいという気持ちが伺えます。

心強い味方だったポルナレフ

ところでポルナレフのプロフィールを見ると、「目的が一致した場合 これほど心強い味方はいない」との記述があります。
ジョースター御一行の中で、「DIOを倒す」だけではなく「肉の芽を埋められたリベンジを果たす」という目的を持っているのは、この2人だけ。

だからこそ花京院はポルナレフに、目的が一致した心強い仲間として誰よりも親近感を抱いていたのではないでしょうか。

外見的な類似点も?

外見の話にも少し触れてみます。類似性の法則は、身長や髪型、ファッションなど外見にも働くのだそう。

花京院とポルナレフは人種も髪型も全く違いますが、吊り下げ型のピアスという共通点があります。承太郎もピアスをしていますが、キャッチ式。アヴドゥルは…半分ネックレス…?

つまりいわゆる吊り下げ型をつけているのは、ジョースター御一行でこの2人だけです。同じものを持っている者同士、親近感が増していたかもしれません。

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2-2. 相補性の法則

次に「相補性の法則」について考えてみます。

相補性の法則とは、自分が持っていないものを持っている相手に好感を抱くことです。身長が低い人が高い人、内向的な人が外交的な人に好意を抱くようなことを指します。

そして花京院とポルナレフは性格、スタンドなど、逆の性質を持った2人でした。それぞれのプロフィールを確認してみます。 


花京院のプロフィール

花京院のプロフィールには、「(友人には)寛大で優しく、思いやる」「チームの和を大切にする」といった記述されています。チームの中では冷静な頭脳派で、DIOの能力を暴くなど、勝利に欠かせない1人です。

過去には周りの人間にスタンドが見えないことから、友達を作りませんでした。得意なF-MEGAもやり込み具合から察するに、1人黙々とやっていたのでしょうね…そのオタク気質も含めて、内向的なタイプと言えそうです。

スタンドのハイエロファントグリーンは遠隔操作型。結界を張ったり、潜伏を得意としています。

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ポルナレフのプロフィール

ポルナレフのプロフィールには「危険でも近道を行く」「率直に行動」「思ったことは正直に話す」との記述があります。チームの中ではムードメーカーで、時に熱くなりすぎることもありました。

明るく、女の子のナンパも欠かさず愛に生きるポルナレフ。趣味がスポーツ全般という辺りも、外交的さが伺えます。

そしてスタンドのシルバーチャリオッツは近距離パワー型。素早い動きと至近距離の攻撃が特徴的です。

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花京院はポルナレフに惹かれるのか

では花京院がポルナレフに惹かれることはあるのでしょうか。まず相補性の法則から、真逆の性質を持つ2人はお互い好感を持てそうです。

もう少し花京院サイドから考えてみます。

「コミュ力おばけ」のポルナレフへの憧れ

漫画上での花京院は、ジョースター御一行にすぐに溶け込んでいました。でも現実的な想像をすると、友達作りの経験値が低い花京院は、かなり試行錯誤していたはず。みんなとの距離を縮めたいけど、そのやり方が分からない可能性すらあります。

一方で、ポルナレフは明るくコミュ力おばけ。すぐ友達を作れそうなタイプです。それを見た花京院が、憧れたり羨ましく思うのは自然ではないでしょうか。

自分が持っていないものを、持っているからこそ憧れる。花京院にとってポルナレフは、そんな相補性の法則が働く相手だったように思います。

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3. Goodbye Nostalgiaの最終段落は誰のことか

最後にキャラソンからも考えてみます。『The anthology songs 2』に収録されている「Goodbye Nostalgia」。歌詞を見るに、花京院のキャラソンであることに異論はないかと思います。

切ない曲ですが、注目したいのは最終段落です。こんな歌詞がありました。

君の 下手な冗談(ジョーク)を聞き くだらないと笑うよ こんな風に過ごす僕が 僕らしいと思うんだ…。
ジョジョの奇妙な冒険 The anthology songs 2「Goodbye Nostalgia」 作詞:くまのきよみ 作曲・唄Coda(2015年)

この「君の」は誰なのか。検証してみます。

「くだらない」と言える「下手な冗談」を飛ばす相手とは

ジョセフほどの年上に「君」とは言えないし、アヴドゥル、イギーは冗談を言うタイプのキャラではない。

残るは承太郎とポルナレフ。

承太郎もジョークを飛ばすタイプではなさそうです。が、タバコ芸から見るに、持ちネタはかなり面白い可能性…。ただ仮に面白くなくても、花京院が「くだらない」と一蹴出来るとは考えづらい相手です。

 

…となると、あんたしかいないわポルナレフ。

 

ポルナレフのボケに「くだらない」と言っている様子は、なんとなく想像できるところです…。

「ポルナレフの冗談を聞き、くだらないと笑う」僕が僕らしい、と締めるこの曲。花京院が最も自分らしく、自然体でいられるという点から、1番心を許していたのはポルナレフなのではないでしょうか。

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まとめ:花京院はポルナレフに心を許していたし、だからこそ冷たい

「花京院の1番の仲良しはポルナレフ」説を検証してきました。心理学的な観点からキャラソンに至るまで、ポルナレフに親近感や憧れを抱くポイントが確認できました。

心を許している相手だからこそ、冷たい言動をとっていそうな花京院。でも「尊敬している相手とだけ友人になる」彼なので、ポルナレフへのリスペクトも欠かしていないはずです。多分…(小声)

花京院が尊敬、親近感を抱けて、自然体になれる相手であったあろうポルナレフ。原作に2人が1番仲良しという記述はありませんが、少なくとも1番に近しいポジションにいたと言えるのではないでしょうか。




 

 

 

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