【美術本】『カラー版 北斎』は北斎初心者からマニアまで超オススメ!

美術の話

大久保純一先生著の『カラー版 北斎』を手に入れました~!

新書版なので、薄めの本になります。
しかしとっても内容が濃くて、詳しい!

初心者から上級者まで、幅広い浮世絵ファンの方にオススメしたい1冊でした!
ということで、『カラー版 北斎』をレビューします!

『カラー版 北斎』のココがスゴイ!

『カラー版 北斎』は、約200ページに北斎に関する内容がギッシリ詰まっています!
今回はその中でも特にスゴイ!と思った3点をご紹介します。

1. 北斎の全画業、立ち位置が分かる!

1つ目は、葛飾北斎の一生の画業と、その立ち位置がさらえるという点です。
こちらは3つに分けて説明します。

1-1. 北斎の画業に影響を与えたもの

まず北斎の画業と、それに影響を与えたものがよく分かります。
『カラー版 北斎』は、北斎のデビューから晩年の画業までを章ごとに分けて説明されている本です。

その内容は、ただ北斎の作品を解説するにとどまりません。
時代ごとの画風、力を入れていたジャンル、北斎の興味などを踏まえた上で、描かれた浮世絵の特徴や、当時の浮世絵市場における意味合いを紐解いていきます。

例えば、銅版画など西洋の文化と、傑作『冨嶽三十六景』への影響、当時の摺りの技術向上と、北斎の画風の変化の関係性など、どれも面白い解説ばかり!
浮世絵好きは、興味をそそる内容です。

1-2. 相対的に見た、北斎の立ち位置

次に当時の葛飾北斎の立ち位置が相対的に分かるという点です。

当時から名の知れた浮世絵師だった北斎。
ただ実際の評価や、他の絵師との比較は聞いたことがない方も多いのではないでしょうか。

この『カラー版 北斎』では北斎だけではなく、同時代に生きた絵師と比較した上での、北斎のポジションが解説されています。

1-3. 北斎 vs 広重の風景画比較は必見!

特に面白いのは、風景画のジャンルにおける北斎の立ち位置。

大久保純一先生は、特に歌川広重を専門に研究されていらっしゃいますので、風景画においての、北斎と広重の比較は必見です!両者の違いはどこか、なぜ北斎は風景画の作品が減少していったのか、といった疑問から、風景画のジャンルにおける、両者の作品比較や当時の評価など、とても興味深い内容でした!

2. 当時の出版事情・需要を踏まえた解説!

2点目は当時の出版事情や需要を踏まえて、北斎の画業が解説されていることです。

特に印象的だったのが、『北斎漫画』についての項目です。


※『カラー版 北斎』102~103頁  実際の『北斎漫画』も掲載されています。

「北斎が弟子に都度お手本を描くのが面倒だったため、絵手本として出版した」という論がよく聞かれる『北斎漫画』。

しかし『カラー版 北斎』ではこれに加えて、当時の絵手本事情や『北斎漫画』の内容を考慮し、当時の絵手本の需要や、絵自体の面白さにも注目して、出版の経緯を探っていました。

本書では、浮世絵を考える際に重要な手掛かりとなる、当時の出版事情を考慮し、北斎の画業を丁寧に振り返っています!

3. 初心者から上級者まで楽しめる!しかもカラー版!

3つ目は、何といっても初心者から上級者まで、
幅広い浮世絵ファンが、カラーで楽しめる内容の濃さです。

新書版なので、持ち運びしやすい大きさの『カラー版 北斎』。
しかしその内容は、ただ北斎の生涯と作品ををたどるにとどまりません。
同時代の絵師や西洋の影響、版元との関係性など、細かく述べられています。

また『カラー版 北斎』とのタイトル通り、絵は全てカラーです!
なんと、見開き総カラーのページもあります。


※『カラー版 北斎』142~143頁

しかもお値段は1000円!コスパ最高じゃないですか…

北斎初心者はもちろんですが、中級者以上にもオススメです!

まとめ:『カラー版 北斎』は内容が濃くて面白い!コスパも最高!

『カラー版 北斎』の良かったポイント3点をレビューしました。

かなり細かな部分まで分析された本なので、大げさではなく、
1冊読めばかなりの北斎通になれること間違いなし!?という内容でした。
北斎初心者の方から、マニアな方までオススメしたいです!

新書版なので、通勤通学の合間に読むのにもぴったり。
人は、ぜひ読んでみてくださいませ~!

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