ジョジョの奇妙な冒険3部に登場したモハメド・アヴドゥル。承太郎たちとともにDIOを倒すために旅立った人物でした。
旅に出た明確な理由の描写がなかったアヴドゥルですが、今回はなぜ旅に出たのか理由を考察しました。
1. アヴドゥルが旅に出たのはジョセフとベスト・パートナーだからこそ!?
まずはジョセフとの関係についてです。両者の付き合いは来日の3年前に始まったとのこと。約1年前にはジョセフにハーミットパープルが発現したそうですが、このあたりからDIOやスタンド関連の会話が自然と多くなったはず。「耐性がなさそうなホリィへの影響が不安」なんて話もきっと出ていたと思われますが、ベスト・パートナーと評されるほどの仲良しさんの心配事が現実となれば、手を差し伸べてあげたくなるよね~!アヴドゥル、人情深いしね。
来日の約4か月前にDIOに遭遇したこともまた、ジョセフに手を貸したい気持ちにさせたのかもしれません。なんせその時の感想が「男とは思えない妖しい色気」「ヤツの言葉は心が安らぐ」「危険な甘さがあるからこそ恐ろしい」「闘おうとは考えもしなかった」だもんな~~~~!DIOの怖さを体感したことが「DIOを野放しにすべきではない」「ホリィをDIOから救ってあげたい」という心情に繋がり、旅立つ動機となったのではないでしょうか。
ちなみにアニメ版のDIO遭遇シーンは、過去の話なのに感情こめまくって臨場感たっぷりに話すアヴドゥルがめっちゃ良いのでぜひ見て…!だからこそ…恐ろしいぃぃぃ~~~~!

旅に出る前からDIOと戦う覚悟が決まっていたアヴドゥル
次にアヴドゥルの覚悟について考えてみます。留置所を出てカフェで話をするシーンでは、承太郎の態度についてアヴドゥルが叱責していました。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(52頁)
初対面でこんな怒り方するなんて厳しい~~~!でもまあブ男って言われたしな。これくらい言ってもよかろう。
でもこの怒り方から、アヴドゥルはDIOとジョースター家の因縁について大マジに考えていることが伺えます。きっと日本に到着前から、ホリィに何か起きるかもしれないこと、DIOを倒しに行く可能性があることを念頭に置いていたんじゃないかな…なんせホリィにスタンドが現れた時にはこんなことを話していたもんね。
JOJOとジョースターさんにだけ DIOの肉体からの影響があり…ホリィさんには異常がないというので安心しきっていた…い…いや 安心しようとしていたのだ ないはずはないのだ ジョースター家の血が流れているかぎりDIOからの影響はあるはずだったのだ
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(139-140頁)
絶対に影響は出ると思いながらも目を背けようとしていたとのこと。それはおっとりしているホリィにスタンドが発現すれば、命にかかわると知っていたからこそのはずです。
だからアヴドゥルは日本に来た時点で、DIOと戦う未来を覚悟していたのではないかな~という気がします。そして敵の居所が故郷エジプトと判明すれば、「自分の土地勘が役に立つはずだ」「これが自分の運命なのだ」とすら思ったのかもしれないよね。何の迷いもなく旅に出発したのは、ジョセフらへの優しい思い、そして覚悟が決まっていたからこそではないでしょうか。
アヴドゥル、全然ブ男じゃなかった説

2. アヴドゥルとイスラム教の関係
でもいくら友人を救いたい優しさや覚悟があるといっても、命を賭けて旅に出るなんてかなりの勇気がいるはず。ということで次にアヴドゥルの性格の原点について、イスラム教との関係から考えてみます。
さてアヴドゥルの出身地エジプトは人口の約90%がイスラム教徒。3部小説版『ジョジョの奇妙な冒険』にいたっては「エジプト人」と書かれていたアヴドゥルなので、ムスリムの可能性が高そうです。そんなイスラム教の聖典コーランにはこんな記述があります。
36.アッラーを信仰し、何ものをもかれに並置してはいけません。親孝行し、近親たち、孤児たち、貧しい人たち、近くの隣人、遠くの隣人、親しい連れ、旅行者、あなた方の右手が所有する人(奴隷)に親切にしなさい。誠にアッラーは高慢な人や自慢する人を愛しません。
CSP International『クルアーン やさしい和訳』婦人章36
弱者や近くの人には親切にしなさいとのこと。もしアヴドゥルがこの教えを忠実に守っていたとすれば、困っているジョセフを助けたことも納得がいきます。ポルナレフの命を救ったりと何かと手を焼いてしまうのも、天性の性格だけではなく、宗教的な教えによるものなのかもしれないよね。
さらにコーランには、人間ひとりひとりの命をいかに大切にしているかが伺える箇所もありまして…
32.このとき以来、われらはイスラーイールの子孫のために書き記しました。人を殺し地上に腐敗を広めたという理由なく、人一人を殺す者は、全人類を殺したのに等しい、また人一人の命を救う者は、全人類の命を救ったのに等しいと。そして確かにわれらの使徒たちは、かれらに明らかな証拠を持って来ました。でもかれらの多くは、その後も地上において過剰なことをしています。
CSP International『クルアーン やさしい和訳』食卓章32
人をむやみに殺すのはダメ!人の命を救うことはとても大切!という内容です。アヴドゥルもまたこの教えに従っていたとすれば、ホリィの命は大事!絶対に救うべき!と考えていた可能性がありますよね~!友人の娘となればなおさらね。

アヴドゥルにとってのジハードだった3部の旅
最後にイスラム教のジハードとの関連についてです。ジハードとはアラビア語で「奮闘」「努力」を表す言葉で、ムスリムが神アラーのために地位や命を惜しまず最大限の力を尽くすことを指します。よく「聖戦」と訳されがちですが、実は広~~~~い意味を持つ言葉なんですね~!
ジハードには、イスラム教を広める、親切にする、善を行い悪と戦うなど色々な行動が含まれるのだそうです。アヴドゥルがジョセフたちに手を貸してホリィを救おうとしたことも、間違いなくジハードのひとつ。ポルナレフを追ってホル・ホースと戦う、ヴァニラ・アイスからポルナレフとイギーを救うなど身を挺した行動も、ジハードを体現していたのではないでしょうか。
どうやらイスラム教も関係していそうなアヴドゥルの旅立ちの理由。スピンオフ小説『野良犬イギー』では両親の行動がアヴドゥルの性格に影響したという設定でしたが、彼らもきっとムスリムであり、大事な友人、未来のある子供のために身を呈したことはジハードだったはず。そんな生き様を知る息子だからこそ、他人のために身を尽くすことは当然の行いだったのかもしれません。本当、強く優しいんだよなアヴドゥル…!

まとめ:アヴドゥルが承太郎と旅に出たのは彼の覚悟と宗教が理由では
アヴドゥルが承太郎たちと旅に出た理由を考察してみました。ジョセフを思い、ホリィの影響を危惧し、DIOを直接目にしていたアヴドゥル。日本到着前からDIOと戦う覚悟を持っていたのかもしれないですよね~!
イスラム教の影響が伺えるのも、国際色の強い3部らしいところ。アヴドゥルの優しいおせっかいは、宗教的な教えによるところも大きいのではないでしょうか。なんせホル・ホース戦前にポルナレフとマジ喧嘩しても、ちゃ~んと助けに来たもんね~!本当、懐の広いナイスガイだよな~!
3部の愉快な仲間たちの話いろいろ



参考文献
ニール・モリス(2004年)『イスラム教』ゆまに書房
リチャード・テイムズ(1999年)『イスラム教』岩崎書店
高橋盛男「第3回 「ジハード」は「聖戦」じゃな
い」NATIONAL GEOGRAPHIC https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20130128/338276/(2025年8月25日確認)
CSP International「クルアーン やさしい和訳」https://www.cpsglobal.org/sites/default/files/2022-05/Japanese%20Quran.pdf(2025年8月25日確認)