ジョジョの奇妙な冒険6部に登場した、ナルシソ・アナスイ。徐倫に恋し、終盤では承太郎に結婚の許可をもらおうとした人物です。
徐倫に自信満々でアピールしていたように見えたアナスイですが、承太郎には「最初から徐倫と結ばれるとは思っていない」と発言していました。そこで今回は、アナスイがなぜこの発言をしたのか、いくつかのパターンを想定しながら考察してみます。
パターン1: 徐倫の心が清すぎて、アナスイは結婚できないと思っていた
1つ目は徐倫の心の清さにより、アナスイが結婚できないと思っていたパターンです。まずは承太郎に結婚の許可をもらおうとした際のアナスイの発言に注目してみます。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(94頁)
犯罪歴があることが、自分に影を落としていたアナスイ。それが恋愛に対する自信のなさに繋がっていた可能性もありそうです。犯罪者同士の恋愛ならまだしも、徐倫は冤罪だし…両思いにはなれないと思っていても、不思議ではなさそうなところ。
ましてやアナスイは徐倫に、こんな惚れ方をしていました。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』16巻 集英社(95頁)
他にも「ひとつのことを見つめる集中力に引きつけられる」と言いながら瞳を褒めたり、やたら目に執着しているアナスイ。でもその瞳がアナスイの崩壊しそうな心を引きつけ「燃える」とまで言わせているのだから、徐倫のことはさぞ美しい存在に見えたはず…だから魅力的な徐倫に比べて、犯罪者としての自分が余計に闇深く見えたのかもしれません。
このように考えると、アナスイが徐倫との結婚を本当に難しく思っていたのは、光り輝く徐倫と自分の心を比較してしまったからなのではないでしょうか。徐倫に自分にはない清さを感じてしまったために、恋愛はどこか諦めていたのかもしれません。
アナスイが承太郎に許可をもらおうとした理由
ところでアナスイは、なぜ承太郎に結婚の許可を得ようとしたのでしょうか。自分の心を救うための許可なら、徐倫に「言葉だけでも結婚OKって言ってくれ~!」と言えば良かったのでは…?初対面の承太郎より、アナスイの良さも見てきた徐倫の方が、無理矢理でも許可をもらいやすいはずです。
それでも徐倫に許可を得なかったのは、愛する人に嘘をつかせたくなかったのではないかな~と思います。徐倫への気持ちが、ある種の信仰のようでもあったアナスイ。そんな尊く愛しい人には本当のことを言って欲しい、なんて気持ちがあったのかもしれません。あるいは徐倫と結ばれないと思っていたアナスイなので、「徐倫は許可なんてくれる訳ない」と思っていたりして…
このように考えるとアナスイが徐倫ではなく、承太郎に許可をもらおうとした理由は、繊細な恋心によるものだったと想像出来そうです。アナスイ、結構ピュアなところあるし優しいもんな…
徐倫とアナスイの恋についてはこちらでも取り上げています~!
パターン2:承太郎なら本音を理解してもらえると思ったアナスイ
お次は承太郎なら、アナスイの本音を理解してもらえると判断したパターンを見ていきます。徐倫に惚れるオレの気持ち、承太郎さんなら分かるでしょ…?と考えたアナスイが、心の内を明かしたという説です。
このパターンの場合ではアナスイの台詞は全て本音なので、承太郎への発言通り、徐倫との結婚は難しいと考えていることになります。でも徐倫を見ていると心が洗われるし、本当に素敵と感じていたのもまた事実。
そんな風に徐倫の存在が人の心を光で照らすことを、父である承太郎は誰よりも知っていたはずです。命を懸けられるほど愛していたんだもの…!きっと承太郎だって、一人娘の存在に勇気づけられたことがあったはずだもんね~!
だからこそアナスイは、徐倫が心の支えであろう承太郎なら、自分の心を理解してくれると考えたのではないでしょうか。お嬢さんが素敵なのは、父のあなたが1番知っているでしょ!オレも同じだよ〜〜〜〜!!!という気持ちで、本音を打ち明けていたのかもしれません。
このようにアナスイは、徐倫の素晴らしさを最も知る承太郎になら共感してもらえると思ったのではないでしょうか。許可が欲しかったアナスイなので、徐倫との恋は実らなくても、同情の上でのお許しだけならもらえるかも…!?なんて考えていたりして…
アナスイが承太郎に本音を話した理由と、徐倫へのアピールの謎
今度はアナスイが承太郎に本音を話した理由をもう少し掘り下げつつ、徐倫に強気でアピールしていた理由を考察してみます。
アナスイは承太郎に許可をもらおうとする際に、殺人罪を犯していることも暴露していました。初対面の男に犯罪者だけど結婚許して!と言われて許す親はそういないことは、アナスイだってきっと分かっていたはずです。それでもあえて事実を暴露したのはなぜなのでしょうか。
これね~父であり、愛娘と同じ清い心を持った承太郎の前で嘘をつくことだけはしたくなかったのかな~~~…と。犯罪歴も含めて、承太郎の前では嘘をつかずに本音で勝負する。それが殺人者の足かせを負ったアナスイなりの精一杯の誠意だったのではないでしょうか。もしそうならアナスイのことを応援したくなるよな~!
また心の浄化を求めているアナスイにとって、承太郎のような大事な人に嘘をつくことは、さらに心の闇を深くするのかもしれません。だからこそ承太郎の前では誠意をもって本音で対峙していた、なんて想像が出来そうです。
その一方でアナスイは徐倫の前では「結婚は無理だと思っている」なんて素振りを見せず、グイグイアピールしていました。徐倫には本音を見せないんかい!と言いたくなりますが、その理由はやっぱり本気の恋だったからじゃないかな〜!弱気で遠慮がちに接したって、恋は実らないもんね!それでも恋を諦めきれないアナスイは、自分を奮い立たせる意味を含めて、徐倫には強気だったのかもしれません。
このように考えると、アナスイは承太郎には犯罪者であるからこそ、誠心誠意の対応として本音で話したのではないでしょうか。一方で徐倫に対しては、結婚は難しいという気持ちを持ちつつも、恋を成就させるために強気で行動していたのかもしれません。2人には一生懸命な気持ちで接していたんだろうな~!
パターン3:アナスイが承太郎と対峙して、結婚できないと思った
今度は承太郎の話くらいは聞いていたであろうアナスイが、いざ本物の承太郎と対峙したことで、結婚できないという気持ちが増したパターンを考えてみます。
まず注目したいのは最終戦で徐倫がプッチに銃で撃たれたシーンです。絶体絶命のこの瞬間をアナスイは目撃するも、徐倫を救ったのは承太郎でした。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(22頁)
優しい表情で抱きかかえた娘を見つめる承太郎。なんだかピエタ的な雰囲気すらありますが、アナスイもこの2人の姿は目撃していたはずです。こんな親子の絆を感じる姿を見せられたら、自分の入る隙なんてないかも…と思わされてもおかしくないところ。
ジョジョのピエタネタについてはこちらもどうぞ~!
しかもアナスイは承太郎に「徐倫は父から清い意志と心を受け継いでいる」と発言していますが、実物の承太郎を見たからこそ父も清い精神を持っていると感じたのかもしれません。もしそうであるなら親子共に心が清い家庭と、犯罪者の自分は結ばれる訳がないという気持ちに陥るのかも…
また戦闘面でも承太郎は心強い姿を見せていました。例えばプッチの能力に皆が混乱する中で、承太郎はエルメェスに銃で撃つよう冷静に指示を出しています。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(31頁)
見てこの頼もしい背中…!オーラが違うんだよな~!
すぐに状況を理解して仕切れるのは、圧倒的な場数を踏んできた承太郎だからこそ。その場にいたアナスイは、徐倫を守れるのは精神的にはもちろん、戦闘力の面でも承太郎の方が上と感じたんじゃないかな~!
このように考えるとアナスイは、徐倫を力強く守り、娘と同じく清い心を持つ承太郎を見て、どこか弱気になってしまったのかもしれません。徐倫との結婚を初めから難しいと思っていたのかは分かりませんが、いずれにせよ承太郎の登場で気持ちが後ろ向きになってしまったのではないでしょうか。
パターン4:アナスイの行動次第では結婚できると考えていた
最後は、アナスイは行動次第で結婚できると考えていたパターンです。ここではアナスイの「最初から徐倫と結婚出来るなんて思っちゃあいない」の意味を再考してみます。
ここまではこの発言を「最初から徐倫との結婚は諦めていた」というニュアンスで捉えてきました。でももう一つ「何もしなくても結婚出来るなんてことは思っていない」=「行動次第で結婚してくれるかも」という意味も考えられるのではないでしょうか。今回はこちらの意味で考察してみます。
この「行動次第」には、徐倫への「愛してる」発言や結婚指輪などのアピールはもちろん含まれているはずです。でもアナスイが最も考えていた行動は恐らくこのことじゃないかな~…
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(87頁)
「全力で守る」はダイバー・ダウンで自分が盾になり徐倫を守ること。これこそがアナスイの本気の愛ある行動だったのではないでしょうか。
だからこそアナスイは承太郎に、生きのびたら結婚の許可を与えると言ってくれ~!と頼んでいるのです。あくまでも「生きのびたら」がミソ。だってこれから見せる行動は命がけなんだもの…!
でも確かに体を張って守られたなら、徐倫もアナスイの気持ちを無碍にすることは出来ないですよね~…承太郎だって、アナスイの男気を認めてくれるかもしれないし…ちょっと愛が重い気もしますが、アナスイなりの真摯な愛の表現であり、徐倫との結婚に向けた本気の行動だったのではないでしょうか。
アナスイの愛の重さについてはこちらもどうぞ~!
まとめ:アナスイは徐倫との結婚は簡単ではないと思っていたが、精一杯愛していた
アナスイが徐倫との結婚を本当に諦めていたのか、考察してみました。
アナスイが本当に結婚を難しいと最初から考えていたのかは定かではありません。ただどのような理由があれ、アナスイは徐倫や承太郎に対し、本気で向き合っていたことは間違いないはずです。だからこそ命をかけて、徐倫を守ろうとしたのではないでしょうか。
でも最後は徐倫だけではなく、承太郎や仲間も一緒に守ろうとしたんだよな…徐倫一直線に見えるも、本当は周りのことも考えられる優しさを持つアナスイ。徐倫との結婚には至りませんでしたが、せめてアナキスは報われてくれよな~~~~!!!
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