5部ポルナレフはなぜディアボロへのリベンジに燃えていたのか

ジョジョコラム

『ジョジョの奇妙な冒険』の5部「黄金の風」に登場したジャン=ピエール・ポルナレフ。物語ではブチャラティチームに接触を図り、ディアボロへのリベンジを果たそうとします。

ところでなぜポルナレフは、ディアボロへのリベンジに燃えていたのでしょうか。少し考察してみました。


1. ポルナレフ自身の人生を取り戻すため

1つ目の理由は、ポルナレフ自身の人生を取り戻すためです。5部で再登場するまでに、ポルナレフの身に起きたことについて考えてみました。

まずポルナレフが、ディアボロにリベンジをするきっかけになった出来事をおさらいしてみます。

1990年代にポルナレフは承太郎と、スタンド能力を発現させる「弓と矢」の追跡調査を行っていた。
とある青年が「弓と矢」をヨーロッパに持ち出して以降、フランスで少年少女の麻薬犯罪が急増していることに気づく。
そこからパッショーネの存在にたどりつくポルナレフ。

しかしポルナレフは、パッショーネによって通信手段は遮断され、孤立無援状態だった。
承太郎やSPW財団の助けを借りられず、孤独な戦いを強いられ、最後はディアボロに右目、右腕、両足を奪われてしまう

人生ハードモード過ぎる。後半部しんどすぎない…?
岩盤に落下し全身を打ちつけられたものの、しぶといポルナレフはどうにか生き残ります。

でもポルナレフは頭より先に行動してしまうタイプ。そんな彼にとって体の自由を奪われたことは、いかにストレスの溜まることだったか…想像に難くはありません。

そんな鬱々とした中で、ポルナレフは偶然レクイエム化を発見する訳ですが、自分の代わりに戦える者がいればディアボロを倒すことが出来るかもしれない。ポルナレフにとっては、ディアボロに一矢報いる大チャンス到来です。鬱々とした中で、こんな明るい希望が見えるなんて…!そりゃーリベンジに燃えたくもなるもんです。

死んだ仲間の意思を受け継ぐため

個人的なリベンジはもちろんですが、ポルナレフにとって打倒ディアボロは、3部で散った仲間のためにも大事な目的だったはずです。
というのも、ディアボロとDIOには深~~~い関係があることが、承太郎の台詞から伺えます。アンジェロと矢についての話をした後のシーンです。

荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』29巻 集英社(166頁)

DIOのスタンド能力が発動したのは矢のせいだったという話ですが、それを発掘したのはディアボロでした。つまりDIOがスタンド能力を発現させたのは、結果的にはディアボロが原因とも言えます。


ポルナレフとしては仲間の死を無駄にしないためにも、DIOに力を与える事の発端となったディアボロを倒すことは義務だったのかもしれません。5部の最後でも、仲間を失っても矢を破壊せずに前に進もうとするジョルノにこんなことを述べています。

荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(225頁)

「それが生き残った者の役目」という台詞は、自分が3部サバイバーであり、承太郎と共に矢の追跡調査を行ってきたからこそ言える台詞ではないでしょうか。きっと花京院たちの死をモチベーションにしながら、体を張ってきたのだと思います。

精神的孤立から脱却の必要性

そして現実問題として、孤立した生活からの脱出も必要です。車椅子生活のポルナレフは、時には承太郎やSPW財団などを含めた、周りの手助けも必要なはず。そして矢とパッショーネの調査結果も報告したいところです。

しかし現状はパッショーネから身を隠すために、隠遁するしかありませんでした。パソコンを使えている辺り、通信手段自体は確保されていることは伺えます。ただ承太郎たちに連絡を取っている様子がないことから、孤立無援状態は継続しているようです。

さて、この生活に耐えられるかどうか。

…………

う~~~~~ん、無理!!!!こんなの一般人でも無理じゃん…
肉体的にもですが、まず精神的に孤独すぎる…しかもポルナレフは元来明るくておしゃべり。ますます辛そうじゃん…性格変わっちゃってるし…

肉体的には戻らなくとも、ポルナレフとしては脱・孤立して、承太郎たちとかつてのように交流したいときっと思っていたはずです。そんな風に自分の人生を取り戻すためにも、ディアボロへのリベンジは必須だったのではないでしょうか。

でもこれだけではリベンジの理由としては弱い。他にもありそうだよね…ということで、次に行きます。

2. 祖国への愛と、妹と重なる若者たち

2つ目の理由は、フランスの若者たちが麻薬犯罪に巻き込まれていたことです。ポルナレフがパッショーネの存在にたどりついたきっかけは、フランスの少年少女たちによる麻薬犯罪・被害の増加に気づいたことでした。これはポルナレフにとってどのような意味があったのでしょうか。

まずフランスは、ポルナレフにとって大事な故郷です。3部のラストシーンではこんな台詞がありました。


荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』28巻 集英社(302頁)

不動産王ジョセフの誘いを断ってフランスに帰国するポルナレフ…祖国愛だな~!

そのフランスで麻薬犯罪に巻き込まれているのは、少年少女たち。最愛の妹・シェリーといくらも年の変わらないティーンも数多く含まれているはずです。大切な故郷で愛する妹と同年代の少年少女たちが道を踏み外し、命を落とす者もいる。そんな様子に、ポルナレフは心を痛めたのかもしれません。

自分の手足だけではなく、妹と重なる愛する祖国の若者の未来も奪ったディアボロ。だからこそディアボロへのリベンジも、やり遂げたい思いは強かったのではないでしょうか。

3. 自分事より他人事でキレるポルナレフ

さらにポルナレフは自分の周りの人間が犠牲となった時に、より本領を発揮するタイプです。ポルナレフの戦いぶりを少し振り返ってみます。


犠牲がいない戦いではしぶとくないポルナレフ

まずポルナレフは誰も犠牲になっていない戦いでは、潔く死を受け入れる傾向があります。

アヴドゥル戦では、短刀を渡されるも、炎に焼かれながらの死を受け入れました。

荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(64頁)

肉の芽に操られていたとはいえ、アヴドゥルに「DIOからの命令をも超える誇り高き精神」と言わせている辺り、ポルナレフ本来の精神性によるものだと考えられます。

そしてカメオ戦でも、アヴドゥルとシェリーの土人形に食い散らかされそうになり、「さて死ぬとするかな」「おれは中途脱落」と発言。特に自分のせいで犠牲になったと勘違いしていたとはいえ、その「アヴドゥルに殺されるならしょうがない」と、こちらもアッサリ…。

自分だけの戦いの死に際は、非常にさっぱりとしているポルナレフなのでした。

自分の周りで犠牲が出た時は強い

その一方で、自分の周りで犠牲が出た場合、通常の何倍もの力を発揮しています。例えば妹・シェリーの件。J・ガイルを倒すため、敵討ちに何年も費やしました。いくら妹大好きお兄ちゃんだからといえ、尋常ではない執着心です。

またヴァニラ・アイス戦でアヴドゥルやイギーがやられた後のブチギレ具合も、目を見張るものがあります。アヴドゥルがガオンされた後の攻撃は、ヴァニラ・アイスを「ポルナレフのスタンドがこんなに素早く、遠くまで攻撃できるなんて…」と驚かせてました。

荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』26巻 集英社(56-57頁)

イギー死亡後は、ヴァニラ・アイスの脳天に一撃を食らわせ、さらに背後を取られた際も猛ラッシュを叩きこんでいます。

自分の周りの人間が犠牲になった時に、より力を発揮出来るのがポルナレフの強さ。ポルナレフ自身だけではなく、愛するフランスの祖国の若者が犠牲になったことで、熱くなれたのかもしれません。

ポルナレフの人間性についてはこの記事でも触れています。よろしければどうぞ~!

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まとめ:自分のため、祖国のためのポルナレフのリベンジ

5部ポルナレフが、ディアボロへのリベンジに燃えていた理由を考察してみました。

自分の人生だけではなく、大切な祖国で、最愛の妹と同世代の若者の未来までぶち壊したディアボロ。ポルナレフにとっては心が痛くなる出来事だったはずです。

そして他人が犠牲になった時にこそより熱くなれるため、ますますリベンジに燃えた。だからこそ、ポルナレフはブチャラティ達と接触できるまで、長年待ち続けることが出来たのではないでしょうか。

打倒ディアボロは、強い精神力を持ったポルナレフだからこそ成功出来たリベンジだったのかもしれません。

ポルナレフの記事はこちらもどうぞ~!

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