ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したプロシュート。ペッシに激を飛ばしながらギャングとしての生き様を見せていました。
兄貴キャラとして定評のあるプロシュートですが、今回はかっこいいと言われる理由を考察してみました。
1. 暗殺チームの一員としてかっこいいプロシュート兄貴
まずは暗殺チームの一員としてのプロシュートについてです。ペッシへの叱咤激励はもちろん、トリッシュ奪還の目的のために身を挺しており、チームのこともよく考えている人でした。これとかね。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(97頁)
切符代から経費削減していく兄貴。薄給なんだもんね~エライッ!
そんなプロシュートは「ブッ殺す」という言葉について、ペッシにこう話していました。
オレたちチームはな!そこら辺のナンパ道路や仲よしクラブで「ブッ殺す」「ブッ殺す」って大口叩いて仲間と心をなぐさめあってるような負け犬どもとはわけが違うんだからな 「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』53巻 集英社(23頁)
暗殺チームなら「ブッ殺す!」なんて口にする間もなく相手を殺しているはずとのこと。俺たちは暗殺のプロだぞ!というプライドや、暗殺とは何ぞやを理解していることが伺えるのではないでしょうか。
そしてそれを言語化するのも上手いんじゃないかな~!「ブッ殺すはアカン、ブッ殺したなら使っていい」のくだりなんて、ギャングでない読者にもよくわかる説明だし…あと言語化する、しないの選択力も高そうですよね~!例えばブチャラティを見つけた際、ペッシは「ホルマジオの敵討ちだ!ブッ殺す!」とプンスカする一方、プロシュートは「うるせーぞ」と一喝しただけでした。
プロシュートだって仲間の死を悲しんでいたはずです。「オレたちチームは」とチームへの帰属意識が感じられる言葉を使っていたくらいだもんね。それでも本来の目的は敵討ちではないこと、目的を達成すれば結果的に敵討ちになると理解していたからこそ、ペッシへの共感を口にせず、「ブッ殺す」を使うなとだけ諭したのではないでしょうか。
プロ意識が高く、魅力的なキャラクターだった兄貴。5部屈指のカッコよさじゃ~~~ん!と言いたくなりますが、ブチャラティらの美学とはまたちょっと違うんですよね~…
2. ブチャラティチームとプロシュート兄貴の比較から見えるかっこよさ
ということでブチャラティチームとプロシュートを比較してみます。さて車内でザ・グレイトフル・デッドを出現させたプロシュートは、乗客を巻き込むんスか!?と驚くペッシにこう述べていました。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(133頁)
やっぱり兄貴ィはスゲーや…
目的のためなら手段を選ばない兄貴。でもジョジョでは無関係な人間を巻き込むのはアウトだからな~…チョコラータなんかディアボロに「最低のゲス」扱いされてたし…しかも「大したことはない」と言っちゃうところを見るに、プロシュートはやっぱり悪役としての哲学を持ったキャラクターなんですよね~…
そして無差別攻撃という点で対比的な存在だったのが、フーゴのパープル・ヘイズです。こちらも一般人を巻き込めるスタンドですが、アバッキオ曰く「フーゴはこいつをめったに出さない」そう。制御可能か否か、殺人か老化かと能力的な問題も大きいとは思いますが、無関係な人を巻き込みたくないというブチャラティチームの美学でもあるんでしょうね~…
だからプロシュートのかっこよさはあくまでもダークヒーローとして。主人公サイドとはまた違ったストイックさが魅力なのではないでしょうか。
プロシュート兄貴は過去が明かされなかったからこそかっこいい!?
もうひとつブチャラティたちとの違いとして、過去が明かされていないことが挙げられます。ブチャラティたちは過去が明かされていたからこそ、黄金の精神を持っているのにどうして…と哀れな境遇が胸に迫るキャラクターでした。「心が死んでいた」「居場所がなかった」と語るメンバーには、ギャング入りしたことへの悲壮感すら感じるよね…
一方でプロシュートは過去が明かされていないので、ブチャラティチームほど悲しみを生む要素がありません。だからこそ親近感が生まれ、魅力的に映るのではないでしょうか。
他のキャラクター同様、プロシュートもきっと殺人などのっぴきならない事情でギャング入りしたのだと思います。でもさ、殺人を犯してギャング入りした気持ち、非常にわかるよ~ひしひしとな…という読者はいないはず(多分)。ギャングらしさを表現しきっていないからこそ、兄貴にはどこか親近感が沸くんじゃないかな~……逆にブチャラティたちは、現実離れした憧れのヒーロー的なイメージなのかもしれません。
他の暗殺チームのメンバーも過去はほぼ不明ですが、兄貴は特に身近に感じますよね~!スーツをビシッと着こなす外見や、性格的にも1番表社会に近い人というか…というか他のメンバーなんて許可しないイルーゾォ、ディ・モールトメローネ、ブチギレギアッチョでしょ???クセが強すぎる。
3. ペッシとの関係から見えるプロシュート兄貴のかっこよさ
最後にペッシとの関係からプロシュートの魅力を考えてみます。まず注目したいのは列車に飛び乗ったシーン。切符代をケチるために発車前にトリッシュを奪還したいと話すも、車内での捜索に切り替えた兄貴にペッシは…
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(117頁)
「くせに」と言えるところに仲の良さが表れていますよね~!他にも「ブチャラティたちの顔を全員知ってるよな?」と聞かれれば、「いくら兄貴でも失礼じゃ…?」と返したりと、力だけで従わせる主従関係ではないことが伺えます。プロシュートの死を悟ると戦闘中にもかかわらず涙を流していたように、プロシュートの仕事ぶりを尊敬しつつ、人としても大好きだったんじゃないかな~…
なんせ兄貴はなんだかんだで優しいもんね~!ペッシのスタンド解除に怒った時にはぶん殴りながらも「オレだってヤバイと思う」と寄り添ってくれたりとかね。そして極めつけはこれ。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』53巻 集英社(33頁)
兄貴のお説教、いつも顔が近い。顔面で説得してくる…
勘が悪いと自分を卑下するペッシに「自信を持て」と鼓舞する兄貴。でもこれ、本当にペッシを頼りにしていたんじゃないかな~…「壁の下のスキマの向こう側はなんだ?」「運転室で感じた気配は?」とペッシに答えを求めていましたが、頼れないと思っていたらこんな質問自体しないよね。
実際、ペッシはギャングとしては半人前のマンモーニなのだと思います。だけど見捨てることなく、部下としてはもちろん相方としても認める優しさとリスペクトする姿勢が、人間的なかっこよさに繋がっているのではないでしょうか。ペッシがいるからこそ、プロシュートの魅力が立っているよな~!
プロシュートとペッシはコンビでいてこそかっこいい!?
プロシュートとペッシのコンビの相性についても見てみます。プロシュートって結構ガンガン攻めるんですよね~!列車ごとザ・グレイトフル・デッドしちゃったり、ブチャラティがいる気がする!と勘で列車に乗車したり…
そんな兄貴を確かな観察眼でサポートしていたのがペッシでした。亀を発見し、中にいるメンバーを攻撃しようとした時も…
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』53巻 集英社(41頁)
この後、ブチャラティの背後からの一撃をかわせたのはペッシの気づきがあってこそ。他にも列車の外に投げ出されたプロシュートを針で引っかけたり…と良いアシストをしていたんですよね~!全然カン悪くないじゃん!
一方でプロシュートが倒れ、ペッシがソロで戦うことになると途端に運に見放されたようで…兄貴が始末される!と勘違いして列車を止めたり、ブチャラティに糸で首を折られ、亀の破壊も失敗していました。カンが鈍ったというか、見通しが甘かったというか…
もしかしたらペッシはプロシュートが見ていてくれたからこそ、気を引き締めて頑張れたのかもしれません。兄貴がいなくなるやいなや、うっかり「ブッ殺してやる」なんて発言してしまったりと、大事なところでミスってたもんね~…だからペッシもまたプロシュートがいてこそ輝ける人物だったんじゃないかな~と思います。
そんな相性の良さを見抜かれていたからこそコンビを組まされ、自然と互いをサポートできていたのかもしれないですよね~!コンビゆえに真の魅力が光るというところが5部っぽいよね。
コンビは大体片方がやられると暴走しがち
まとめ:プロシュート兄貴がかっこいいのは悪役としての哲学とペッシがいるから!?
プロシュートのかっこよさについて考察してみました。
たった数話の登場にもかかわらず、根強い人気のあるプロシュート。それは悪役としてブチャラティたちとは違う哲学を見せた、暗殺のプロフェッショナルだからなんでしょうね~!さすが兄貴ィッ!
そして度重なるありがた~いお説教や、戦闘でのかっこいい立ち回りが描写されたのはペッシがいたからこそ。部下としても相方としてもけっこう気に入っていたんじゃないかな~!もしかしたらプロシュートのネックレスのPはペッシの頭文字かもしれんよね。優しすぎるよ兄貴ィ~~~~!!!!
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