ブチャラティはなぜかっこいいのか理由を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したブローノ・ブチャラティ。ジョルノと並ぶほどの活躍や見せ場の多いキャラクターです。

ファンの間でも人気が高く、かっこいいと評価されることも多いブチャラティですが、今回はかっこよさの理由を考察してみました。


1. ブチャラティは本当に理想の上司なのか

はじめにチームを引っ張るリーダーとしてのブチャラティについてです。理想の上司ランキングでは常連のようにランクインするほど評価の高いブチャラティですが、リーダーとしての能力とかっこよさを考察してみます。

さて世の中の理想の上司について、色々な記事を漁ってみると…「信頼できる」「決断力がある」「面倒見がいい」「部下を適切に褒める、叱る」「感情的にならない」などが挙げられています。もろブチャラティやんけ。

これだけ当てはまっているんだからそりゃ~かっこいい訳ですが、ここでは特に部下との関係や面倒見の良さ、仕事ぶりについて見ていきます。

ブチャラティのかっこよさと部下への態度

まずはブチャラティのチームのメンバーへの態度についてです。アバ茶にプッツンフーゴ、4嫌いにおバカと曲者揃いのブチャラティチーム。そんなメンバーについて、ローリング・ストーンズの回ではこんな発言をしていました。


荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(139頁)

丁寧な口調に表れる強烈な意思表示というか…一人称が「わたし」なのも逆に怖い。

「彼らはわたしを信頼してくれている」は、花屋の男の前からメンバーを絶対退席させないという理由付けでもありますが、それでも互いの信頼関係には絶対的な自信を持っているはず。アバッキオなんて「居場所はここだけ」って発言していたもんね~!

それほどに強い信頼関係を築けたのは、ブチャラティのリーダーシップはもちろん、メンバーに誠心誠意接していたからこそではないでしょうか。皆さんお辛い過去を背負っているんだもんね…信頼関係を築くには心のケアも必要なはず。詳しい描写はありませんでしたが、せめてメンバーが居心地よいと感じられるようにと上手く立ち回っていたのかな~と思います。

そしてチームの一員である以上、役に立てるというやりがいや自信は大事ですが、ブチャラティは何気ないシーンでもメンバーのプライドを大切にしていたのではないでしょうか。例えばズッケェロ戦でのこちら。


荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』49巻 集英社(82頁)

ただこれだけの台詞ですが、「他のメンバーの誰でもなくお前なら」という意味ではアバッキオのやりがいに繋がっていたはず。まあスタンドすぐに出してくれなかったけど。とはいえこんな何気ないやり取りの中でも、クセ強メンバーのプライドを上手にくすぐっていたのかもしれません。

このようにブチャラティの部下への姿勢は、理想の上司としての評価やかっこよさにもつながっているのではないでしょうか。そういえばリゾットも暗殺チームのリーダーですが、あそこもなかなかの面子だったよな~!マンモーニに根掘り葉掘りにド変態(直球)だもんね…リーダーは大変だよな…

暗殺チームのリーダーの話はこちらで…

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ブチャラティの仕事ぶりから見えるかっこよさ

次はブチャラティの仕事ぶりについてです。さて任務の遂行はもちろんですが、ボスへの反乱や機転を利かせる戦闘スタイルなど、判断力の良さも光るブチャラティ。スマートさが際立ちますが、ギャングらしさも忘れていません。手際よく飛行機を盗み、スーツにシミがついた男をボコボコにするメンバーのことは止めず…そして極めつけはこれ。


荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(151頁)

おめめ持ってきチャラティ。そして舌芸へと続く恐怖。

ギャングらしい口調に冷徹な所業でジョルノを追い詰めようとしていました。そしてブチャラティのボスへの裏切りに対し、ナランチャが決断を迷うシーンでは、ちょっと違うベクトルで冷たさが光ります。


荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』56巻 集英社(119頁)

この後の「お前には向いていないから来るな」という忠告含め、優しさゆえの冷たさというか…ボスを裏切るからみんなついてきてね~!とは言わずに各々の決断を尊重していました。ここから先は今まで以上に死の危険が伴う仕事になるし、覚悟ができないなら命を大切にする選択をすべき、ということなんですよね~…

それはきっと愛する父親の死などにより、命の尊さを知っているからなのかもしれません。半端な気持ちのまま付き合わせて、大事な部下が命を落とすのは望んでいないんだろうな~覚悟の上で来たのであれば、まだ仕方がないと言えるところもあるだろうし…「自分で決めろ」と選択させる決断をするのも、リーダーとしての思いやりが見える仕事ではないでしょうか。

ボスへの裏切りについての話は、こちらでも扱っています~!

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そして悲しい決断もしなくてはいけないのが、リーダーのお仕事です。変わり果てたアバッキオを発見した直後のシーンでは…

荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』59巻 集英社(123頁)

メンバーがショックを受ける中でも冷静に、責任の所在を明らかにしながら次の指示を出し、ナランチャの悲痛な叫びの中でも命令を覆すことなくアバッキオを置いて行きました。でも唇をかみ切っていた様子を見るに、ブチャラティも本当は連れて帰りたかったはずです。なんせ付き合いも長いしな…

ナランチャの気持ちも痛いほど理解できたはずですが、任務の優先、そして他のメンバーの安全などを総合的に考えて決断したブチャラティ。過酷な状況下での頭の回転の速さや状況判断力、望まぬ非情の決定すら下す仕事ぶり、そしてそれを冷静にやってのけることもかっこよさに繋がっているのではないでしょうか。

部下を思いながらも時に感情に支配されすぎずにギャングらしくもある…そんなところがブチャラティが評価されるところなのかもしれません。まさに任務遂行する部下も守るなんだよな~!

「今にも落ちてきそうな空の下で」については、こちらで考察しています~!

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2. ブチャラティの潔さと運命との関係

次にブチャラティの潔さと運命との関係についてです。

両親と幸せに暮らしていたであろう幼少期のブチャラティですが、両親の離婚、父親と麻薬密売事件、殺人と段々と人生の雲行きが怪しくなっていきました。本来であれば頭の良さを生かして大学進学でもしていたはずですが、父親を守るためにパッショーネへ入団し、一生懸命に働いていたんですよね~…

そこまで身を粉にしていたのは、父親の安全の保障のためなのはもちろん、運命を受け入れていたからなのかもしれません。例えばブチャラティは有罪判決を受けたミスタについて、このように述べていました。


荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(179頁)

人生には「歩むべき道」があるとのことですが、運命を信じているからこその発言ではないでしょうか。そしてブチャラティ自身にも歩むべき道があると信じ、殺人やギャング入団すら自分の道と考えていたゆえに、仕事にも一生懸命向き合えたのかもしれません。そのために心が犠牲になっていたのが切ないんだけどね…

とはいえ盲目的に働くばかりではなく、自分の信念を基に組織を裏切る一面もありました。この辺りは「さだめられた運命の中でも必死にもがき立ち向かう(=眠れる奴隷から目覚める)ことに意味がある」というジョジョの哲学を踏襲しており、ファンに評価される理由にもなっているのではないかな~と思います。

このようにブチャラティのかっこよさは運命を受け入れられる潔さに、自身のポリシーを曲げない強さがあるからではないでしょうか。運命の受容と抗いを体現した、とてもジョジョらしい魅力を持つキャラクターですよね~!そりゃ~準主人公って言われるよな~!

運命や「眠れる奴隷」については、こちらで考察しています~!

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ブチャラティの死への潔さとかっこよさとの関係

今度はブチャラティの死への潔さについても考えてみます。注目したいのは、ブチャラティ死亡シーンのこちらです。


荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(42頁)

「お前のおかげだよ~」「みんなによろしく言っといて~」と最期の時まで他人を思っていたブチャラティ。優しすぎんか…

で、なんとも潔く昇天していく訳ですが、それはゆっくりと心が死んでいくのを運命と思っていたはずが、ジョルノとの出会いで生き返ったからこそ。夢がある!なんて熱さに刺激を受けて、自分の気持ちに正直に組織の裏切ったところはあるだろうし…短いながらも最後に自分らしい人生を送れたことが、死を受け入れられた大きな理由ではないでしょうか。

とはいえゆっくりと死にゆく中でも周りに愚痴らず、死への恐怖を表に出さず、前向きな態度を見せ続けられるかはまた別の話です。命の危険と隣り合わせな職業上、死の覚悟を持っていたとしても、体の機能が低下していくことに対して「いずれ時間切れになると思っていた」と受け入れ、それでも動き続けられることには「運命と受け取った」とポジティブに言えるのはタフですよね~…人間性に左右される部分というか…

生にすがることも後悔することもなく、死を受け入れて昇天していったブチャラティ。最後までチームを思い続けながら、前を向いて潔く人生を終える姿は、かっこよさのひとつの気がします。またラスボスのディアボロがその真逆の姿で描かれているのがなんとも…

とか言いつつも、なんだか共感してしまうディアボロの話はこちらです

【ジョジョ5部】なぜ私たちはディアボロに共感してしまうのか
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3. ブチャラティのギャングらしからぬ人間味

最後にブチャラティの人間味についてです。ギャングでも優しさがにじみ出ていたブチャラティですが、かっこよさとはどのような関係があるのでしょうか。

困っている人を放っておけないブチャラティ

まずはブチャラティと困りごとを持つ人との関わり方を見ていきます。

さて困っている仕草を見せた人物として思い浮かぶのがトリッシュです。父親との面会に不安を吐露していましたが、そんな彼女に対し「整形するかも」なんてリアルな話をしつつも手を繋いでくれるブチャラティ。「きっと大丈夫だよ~!お父さんと仲良く元気でな!」で済ませてもいいはずですが、任務の範囲を超え、最後まで見守ってくれる優しさが垣間見えます。

さらにトリッシュがディアボロに裏切られた後には「俺の持ち家に住んだらいい」なんて発言も…両親の離婚や愛する父親が他界していることで、親がいない寂しさを知っているからこそ、思わず手を差し伸べてしまうのかもしれません。

ブチャラティと家族の話は、こちらでも触れています~!

ブチャラティにスティッキィ・フィンガーズが発現した理由を考察してみた
スティッキィ・フィンガーズはブチャラティの両親の離婚で発現!?父親の事件との関係は?父親が漁師だからこそ?などブチャラティにスティッキィ・フィンガーズが発現した理由を考察しました。

そして困りごとといえばこのお婆ちゃんも印象的でした。見てよこれ…


荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』49巻 集英社(49頁)

まだ息子が殴るんです~としか言われていないのに、オレから言っておくなんて引き受けてちゃって…家庭内の問題まで解決に奔走しようとするなんて、んも~お人よしなんだから~!しかもアニメ版では、お婆ちゃんの視線に合わせてしゃがむ気遣いを見せていました。優しさが服着ているようなキャラだな…

でもだからこそ町中の人が声をかけてくれるんでしょうね~!誰もが出来そうなのに、実際にはなかなか行動に移せないことを淡々とやってのける訳ですが、そんな理想的な人間像がかっこよさに繋がっているのかもしれません。まさにそこにシビれる!あこがれるゥ!なんだよな~!

子供にやさしいブチャラティと過去との関係

最後はブチャラティと子供の描写についてです。まず思い浮かぶのは、ギャングの仕事を望むナランチャへのブチギレシーンではないでしょうか。


荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』50巻 集英社(176頁)

なお怒られたことでパッショーネに入団してしまった模様。これにはブチャラティもびっくり。

ここまで怒鳴ってたのは、子供をギャングの世界に入れたくないのはもちろん、親が健在なら仲良くして欲しい、学校に行けるなら行って欲しい、という自分が叶わなかった過去があってこその願いがあるからではないでしょうか。

とはいえ入団したからには世話を焼いてくれるブチャラティ。涙目のルカの死に本音を漏らせば気持ちを露わにするなと叱るなど、ギャングの精神を叩きこんでいました。家庭教師代わりにフーゴをつけたのも多分ブチャラティだろうし…なんだかんだで手厚くサポートしてくれていたのではないかな~と思います。

そしてもうひとつ気になるのが、セッコ戦後のこのシーン。


荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』61巻 集英社(105頁)

声をかけてきたドッピオを追い返そうとしたブチャラティ。「ケガをしたのではないなら向こうへ行ってくれ」とのことですが、もしドッピオが負傷していたのなら手を貸してくれるようにも聞こえます。この辺りもきっと相手が子供ゆえの行動のはず。ドッピオも「ブチャラティが子供を犠牲にすることはない」なんて言っていた通り、ボスの耳に届くほど子供に優しいみたいだし…

そして子供がギャングと関わりを持って欲しくない気持ちも、ブチャラティの過去ゆえではないでしょうか。自分が望まずにギャングとの関わりを持ったゆえに殺人まで犯すことになったんだもんね~…自分やこの戦場から離れて欲しい、なんて気持ちが生まれても不思議ではないはずです。

このようにブチャラティは、自分の過去を社会的にか弱い子供への思いやりに変えていたことがかっこよさの一因なのかもしれません。その未来を良きものにして欲しい、自分のような道を歩まないで欲しい。そんな思いすら感じられる言動だからこそ、魅力的に映るのではないでしょうか。

ブチャラティの内面の話は、こちらもどうぞ~!

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まとめ:ブチャラティのかっこよさはきめ細やかで冷静な仕事ぶりや過去によるもの

ブチャラティのかっこよさについて考察してみました。

冷静で的確な判断力で任務を遂行していたのはもちろん、部下や周囲の人への優しさが伺えるブチャラティ。特に子供や問題を抱える人などか弱い人には手を差し伸べずにはいられないようでしたが、それは天性の性格はもちろん、両親の関係や殺人の過去があってこそではないでしょうか。

DIOのような圧倒的なカリスマ性で部下を引き連れるのとは、また違った魅力を持っているブチャラティ。まさにジョジョで一、二を争うザ・出来る男だからこそのかっこよさなんだろうな~!なんか時々ぶっ飛んでるけど。この味は(以下略)

参考文献
Charwork「理想の上司とは?理想の上司の特徴や必要な意識を解説」より
https://go.chatwork.com/ja/column/efficient/efficient-473.html(2023年9月23日確認)
CANVAS「理想の上司とは?求められる条件やダメ上司にならないためのポイントも!」よりhttps://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2020/06/post-350.html(2023年9月23日確認)
Domani「理想の上司とは?特徴やそうなるために必要なことを紹介」よりhttps://domani.shogakukan.co.jp/269639(2023年9月23日確認)
indeed「理想の上司とは“○○”な人!部下から見た「理想の上司」の条件とは?」よりhttps://jp.indeed.com/career-advice/career-development/what-are-the-requirements-of-an-ideal-boss(2023年9月23日確認)

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