リゾットは本当に悪なのか、性格や過去から人物像を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したリゾット。暗殺チームのリーダーとして活躍した人物です。

ジョルノたちに立ち向かった暗殺チームでしたが、今回はリゾットがどのような悪役であったのか、性格や過去から人物像を考察してみました。


1. 物語から見えるリゾットの性格

まずはリゾットの性格についてです。ここでは過去やドッピオ戦、部下との関係から性格を考察してみました。

復讐に燃えたリゾットの人生

まずは復讐についてです。さてリゾットのギャング人生は、いとこを事故死させたドライバーの殺害をきっかけに入団し、ドッピオとの戦いに敗れて死亡しました。いとこの件はもちろんですが、ドッピオがソルベとジェラートを殺した張本人なので、復讐で始まり復讐で終えたギャング人生とも考えられるんですよね~…

この復讐について少し考えてみます。まず入団前のリゾットはいとこの件について、ドライバーに下された刑の軽さへの不満から殺害に及んでいました。それは「この刑ではいとこが浮かばれない」「お前ももっと苦しむべきだ」「いとこの命を返してくれ」などの気持ちがあるためで、親族への深い愛情ゆえの行動ではないでしょうか。

そしてボスの部下と踏んだドッピオに戦いを挑んだのは、ボスへの反抗というチームの目標のためでした。この時点で暗殺チームは壊滅状態でしたが、リーダーとして逃げる選択肢はなかったはず。部下が命をかけて必死で戦ったんだもんね…そしてボスの部下を倒すことは、ソルベとジェラートを殺した犯人に近づけることでもあるので、愛するいとこのために立ち上がったように、大事な部下の無念を晴らすぞ!なんて思いもあったのではないでしょうか。

だからドライバー暗殺もドッピオ戦も、他人のために刃を向けた戦いとも言えるんですよね~…そしてそんな行動は深い愛情があるからこそだったのかな~という気がします。あんなに無表情なリゾットですが、実は人情深かったのかもしれません。

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復讐で周りが見えなくなるリゾット

復讐と縁が深そうなリゾットでしたが、今度は復讐時の様子について、ドッピオ戦を中心に見ていきます。リゾットは戦いの序盤、表情や仕草からボスとの繋がりやスタンド使いであることを見抜いていました。さすが暗殺チームのリーダー!と言いたくなるほど超冷静で観察力抜群だったのですが、ドッピオの正体がボスと気づくと…


荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険 』59巻 集英社(59頁)

アカン、死亡フラグ立てちゃった。ジョジョで「勝った」はアウトなのよ…

あの冷静さはどこへやら、急にハイテンションになってしまったリゾット。特に「どんな顔で死ぬのか楽しみ」なんて、相手に対する強い殺意を感じますよね…部下を殺した復讐者として勝利する喜びすら感じさせますが、もしかしてこの人、飲酒運転のドライバーも同じような台詞で殺したんじゃ…?

そしてこの1コマ後を見てみると…


荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険 』59巻 集英社(60頁)

エアロスミスの接近に気づかず、攻撃を食らってしまいます。ドッピオがエアロスミスの音に気づいたことでスタンド使いと見抜いたのに、その音がもはや耳に入っていなかった模様…これ、復讐者としてドッピオを殺せることに興奮しすぎていたからでは…?

これらの様子から、リゾットが復讐に熱くなる様子が見えてくるのではないでしょうか。かなり僅差で敗北したリゾットですが、部下を殺した相手でなければ勝てたのかもな~…

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リゾットは誰のために反旗を翻したのか

次はドッピオがディアボロに歯向かった理由を考察してみます。さて暗殺チームの反発のきっかけは給与への不満で、アニメ版でもギアッチョが待遇への愚痴を述べていました。チーム内での不満が高まっていたのは確かなのですが、リゾット個人としての意見はイマイチわからないんですよね~…超不満かもしれないし、あまり気にしていなかったかもしれないし…

それでも仲間と共に立ち上がったリゾットですが、反抗を決めた理由を考えてみます。まず気になるのはソルベとジェラートの惨殺の件です。アニメ版では2人の死について「忘れろ」とチームに声をかけていましたが、葬儀のシーンでは…


ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風:暗殺者チーム. TOKYO MX, 2018-12-08.(テレビ番組)

最後まで席に残るリゾット。部下には「忘れろ」と言ったものの、本人は忘れられなさそうですよね…ショッキングな出来事だし…そして席で考えていたのは、弔いの気持ち、そして時が来たら反旗を翻すことではないでしょうか。なんせ部下思いで、復讐に燃えるタイプだもの…!

さらにリゾットのプロフィールを見ると、ソルベとジェラートの件の後のチームについて「『首輪』をつけられた状態になっていた」と書いてあります。だからディアボロの所業が恐怖のあまり反抗しなかっただけで、チームの不満が消えた訳ではないんだよな~!仲間思いの一面があるリゾットのことなので、やっぱりチームのためにいずれ立ち上がろうと思っていたんじゃないかな…

このように考えてみると、リゾット個人の反抗の理由は本人の給与への不満というより、ソルベとジェラートの復讐、部下が抱いた不満の解消なのかな~という気がします。やっぱり部下思いっぽいよね~!

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2. ジョジョのキャラクターの台詞とリゾットの人生の比較

次にジョジョの様々なキャラクターの台詞と、リゾットの人生を比較してみます。ここではジョルノ、ブチャラティ、アバッキオの同僚、エルメェスの言葉と比べてみました。

ジョルノとブチャラティの台詞とリゾットとの比較

まずはジョルノ、ブチャラティの台詞との比較からです。さてジョルノといえば覚悟について語ることの多い人物でしたが、ここではギアッチョ戦での台詞に注目してみます。ヤケクソ気味になったミスタを見ての発言でした。

覚悟」とは犠牲の心ではないっ! (中略)「覚悟」とは!! 暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開く事だッ!(中略)ミスタ…あなたの「覚悟」は…この登りゆく朝日よりも明るい輝きで『道』を照らしている そして我々がこれから『向かうべき…正しい道』もッ!
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』55巻 集英社(111、117、141頁)

「暗闇の荒野に進むべき道を切り開く事」から、「覚悟」とは「困難な中でも前進するために全力を尽くすこと」といったニュアンスが伺えるのではないでしょうか。ブチャラティとの初対面でも「始末しようとするって事は始末されるかもしれない危険を『覚悟して来ている人』ですよね?」という言葉がありましたが、こちらも総合すると「目的のために、結果を恐れず全身全霊をかけて立ち向かうこと」がジョルノの思う「覚悟」と考えられそうです。

また「覚悟とは犠牲の心ではない」は、結果的に見れば犠牲になったとしても、無暗に犠牲になる選択をしないことが覚悟という意味ではないでしょうか。イルーゾォ戦でピンチに陥るフーゴを見たアバッキオの「自分がフーゴなら見捨てて欲しいと思う」という言葉にジョルノは反論していましたが、ジョルノの「覚悟」には、命を張る決断をすることと、犠牲になる選択をすることは違うよ~というニュアンスも感じ取れます。

どうやら「命はかけても犠牲となることは避け、目標に対し必死に取り組む」なんて意味になりそうな「覚悟」ですが、ここで暗殺チームはこの覚悟ができていたのか確認してみます。例えばプロシュート兄貴のペッシへのお説教を見てみると…


荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』53巻 集英社(22頁)

俺たちはボスを倒すために、体張って必死こいてやるって決めてんだよ~~~!!!という気持ちが感じられます。脚がもがれるなどの負傷も自己犠牲ではなく、あくまでも自分たちが目指す目標のための行動の一環として全力を傾けた結果なので、この台詞から暗殺チームは皆「覚悟して来てる人」と言えそうです。

ジョジョ三大兄貴の話もあります

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ただしジョルノは「覚悟は我々が向かうべき正しき道を照らす」とも発言していました。ジョルノたちの目標は麻薬の撲滅と組織の再建で、体を蝕む麻薬から世の中を守るという点で見れば、一般論としては「正しき道」を目指していることになります。その一方でリゾットたちはチームの給与改善のために動いていました。金のためにディアボロの麻薬の縄張りを奪うことも視野に入れていそうですが、もしそうであるなら世の中ではなく自己の利益のために動き、麻薬の扱いも継続する訳で…ジョルノたちの「正しき道」とは対極なんですよね~!だから覚悟はありつつも、やっぱり主人公サイドの考え方とは違うんだよな~!

そしてもうひとつ、ブチャラティの台詞とも比較してみます。


荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』55巻 集英社(185頁)

無知で無関係のトリッシュを利用しようとするディアボロへの一言でした。本当、ディアボロって悪役…と言いたくなりますが、リゾットたちも自分たちの利益のために、トリッシュをさらおうとする訳で。その点では「吐き気を催す邪悪」とも言えるのではないでしょうか。

このようにジョルノやブチャラティと比べると、リゾットは覚悟ができている人でありつつも、暗殺チームを通しての行動は悪役らしさもあるように見えます。でもそんなバランスが面白いキャラクターですよね…!

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アバッキオの同僚の台詞とリゾットの比較

次はアバッキオの警官時代の同僚の台詞との比較です。

わたしは「結果」だけを求めてはいない 「結果」だけを求めていると人は近道をしたがるものだ……………近道した時真実を見失うかもしれない やる気も次第に失せていく 大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている 向かおうとする意志さえあればたとえ今回は犯人が逃げたとしても いつかはたどり着くだろう? 向かっているわけだからな……………違うかい?
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険 』59巻 集英社(114-115頁)

5部では過程重視vs結果重視の生き方の対比が随所に描かれていましたが、こちらは結果よりも過程を大切にする主人公サイドの考え方を表しており、結果重視のディアボロとは正反対の考え方でした。で、リゾットはどちらに当たるのか考えてみると…まず注目したいのはこの1コマです。


荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(65頁)

「ホルマジオ他6名」より、チームの人数的に他6名にはリゾットも含まれていたことがわかります。そりゃ~輪切りのソルベを見たら、ビビるよね~…それでもボスへの反抗をやめるのではなく、トリッシュの存在に気づくと、もう一度自分たちの目標のために動き出しました。この困難な道でも覚悟を持って行動するという点では、主人公サイド的な面もあるのではないでしょうか。

5部の過程と結果の話が集約された「眠れる奴隷」の考察はこちらで…

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もうひとつ注目したいのは、リゾット死亡直後のディアボロの台詞です。ディアボロが「血液を戻してくれるのなら、部下を殺したブチャラティたちの前で死ぬ屈辱を味わわせずに、今自分が葬ってやる」という取引を持ち掛けるも、リゾットは拒否。最後まで戦う姿勢を崩さなかったことに、ディアボロはこんな言葉を送っています。


荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険 』59巻 集英社(65頁)

これ、超味わい深いですよね…

ディアボロは徹底的に結果を重視しており、その思想は「この世には 『結果』だけが残る」という言葉、途中経過を吹っ飛ばせるキング・クリムゾンの能力などにも現れていました。そんなディアボロが「ブチャラティたちの前での屈辱的な死」=結果より、「チームのリーダーとして目的のために最後まで戦う」=過程を選んだことを絶賛している訳で…これすごいことだよな~!

だからドッピオ戦の終盤は、結果は無残な死であったとしても、暗殺チームの一員として最後まで全力を尽くしたリゾットの過程を大事にした行動が描かれているようにも見えるのではないでしょうか。その点でリゾットは、アバッキオの同僚の言う「真実に向かおうとする意思」を持っていた人物だったのではないかな~と思います。

このようにリゾットは悪役でありつつも、過程を大切にする主人公サイドのような面が描かれているキャラクターでもありそうです。もしアバッキオのようにバスに乗ったとしたら、終点にはチームの仲間が待っていてくれていたりして…リゾット、おまえはりっぱにやったのだよ…

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エルメェスとリゾットの復讐の比較

最後に復讐といえばエルメェス!ということで、兄貴の台詞との比較です。まずはエルメェスの復讐論を見てみます。

荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』7巻 集英社(42頁)

復讐しても家族が死んだって結果は変わらないけど、このままじゃ気持ちがおさまらないんだよ~~~~!!!という話でした。で、リゾットが飲酒運転のドライバーを殺した件も「いとこは戻ってこなくとも、このままじゃ俺が許せねえんだよ~~~!!!」という気持ちがあったはず…と考えれば、かなりエルメェスに近い復讐者ではないでしょうか。

そしてリゾットはブチャラティチームを前に部下が全滅してもなお、ブチャラティたちの捜索を続け、ドッピオにも挑みますが、それはもはや仲間のための戦いだったのではないでしょうか。ドッピオ戦の扉絵の相関図を見てみると…


荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険 』58巻 集英社(172-173頁)

ブチャラティチームに「絶対に復讐する!」って書いてあるもんな~!やっぱり部下を失った恨みを晴らすためなんよ…

きっとリゾットはエルメェス同様、部下を殺されて「その事を無理矢理忘れて生活するなんて人生はまっぴらごめん」だからこそ、サルディニア島にはチームで目指したトリッシュ奪還、そして部下の復讐をする「覚悟をして来た」のではないかな~と思います。この身内を殺されて黙ってられるか!はジョジョの復讐物語あるあるですよね、ポルナレフとかね。

このようにエルメェスと比較すると、復讐の動機や心境において共通点がありそうです。部下を殺されたやるせなさはもちろん、難しい状況の中でもここで諦めたら死んだ仲間が浮かばれないと思ったのかもな~…いいリーダーだよな、本当。

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3. リゾットのスタンド「メタリカ」について

最後にリゾットのメタリカについて少し触れてみます。メタリカの能力は鉄分を引き寄せて操る能力で、酸素欠乏症を引き起こして死亡させることができます。これ、もしかしたらいとこの死因が大量出血だったのかもしれないですよね~…事故を起こしたドライバーに対し、「いとこと同じ目に合わせて苦しめてやる」なんて気持ちがあったことがきっかけだったりして。しかも人間をほぼ確実に殺害できる能力からは、絶対に殺すという強い意志を感じますよね…

あとはギャングとして生きる覚悟が決まっていたとかね。殺害の成功率の高さはもちろん、自分が犯人と悟られることなく殺害できるわ、拷問にも使えるわ…と裏社会の人間にはぴったりの能力でもあります。なんか悲しい…

リゾットと元ネタのバンド「メタリカ」との関係

そしてスタンド名の元ネタであろうバンド「メタリカ」との関係についても考察してみました。さて「メタリカ」はメタル界の超大御所バンドで、スラッシュメタル(=メタルの中でもテンポ、ギターソロなどが超速いジャンル)四天王にも数えられています。そりゃ~~そんなバンドが元ネタなら強い訳だわな。

ちなみにジョジョリオンに登場するスタンド「キング・ナッシング」もメタリカに同曲名があり、スラッシュメタル四天王のひとつ「メガデス」の元メンバー、マーティ・フリードマンは、映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」で楽曲提供ジョジョの名言の英語訳本では監修をしています。荒木先生、ハードなバンドもお好きなのかしら…

で、リゾットのメタリカは「ロオオオオード」という鳴き声(?)を発していましたが、元ネタと思われるのがメタリカのアルバム「ロード」。こちらがジャケットです。


By http://www.metallica.com/images/cover_load_lg.jpg (reduced in size from original using Roxio Photosuite), Fair use, Link

何やら赤い液体らしきものが見えますが、こちらは写真家であるアンドレス・セラーノの作品「Blood and Semen III(直訳:血と精液III)」の一部で、牛の血液と自分の精液を混ぜたものだとか…なかなか強烈な写真ですが、メタリカが血と関係が深いのは、ジャケット由来なのかもしれません。

そんな「ロード」には家族や人生についての曲もチラホラ。例えば「Until It sleeps」の一部を抜粋してみると…

Where do I take this pain of mine(この痛みにどう向き合えばいい?)
I run, but it stays right my side(逃げても追いついてくる)
So tear me open, pour me out(だから俺を引き裂いて、吐き出してくれ)
There`s things inside that scream and shout(俺の中で悲鳴を上げるそれを)
And the pain still hates me(その痛みは俺を憎んでいる)
So hold me, until it sleeps(だからそれが眠るまで抱きしめて)
Just like the curse, just like the stray(呪いのように、野良犬のように)
You feed it once, and now it stays(一度餌をやったから懐いてしまった)

※カッコ内は筆者による訳METALLICA(1996年)「Until It sleeps」『LOAD』 Elektra Entertainment Group

んま~~~5部っぽいですよね~…自分につきまとう暗い過去を背負ったキャラクターだらけの話でしたが、リゾットもまた悲しい心に傷を持つ一人だし…しかも「一度餌をやったから懐いてしまった」なんて、一度殺人を犯したことをきっかけに、暗殺を稼業として生きるようになってしまった人生と被るようにも見えます。

そしてもう一曲「Bleeding Me」にも気になる歌詞がありました。

Caught under wheel's roll車輪の下に捉えられ)
I take the leech, I'm bleeding me(俺の流した血が吸い取られる)
Can't stop to save my soul(俺の魂を守るためには止まれない)
I take the leash that's leading me(束縛している鎖を取る)
I'm bleeding me(俺は血を流している)
I can't take it(俺は受け入れられない)

※カッコ内は筆者による訳METALLICA(1996年)「Bleeding Me」『LOAD』 Elektra Entertainment Group

これ、いとこの事故死の話では…?

「車輪の下」というワードに始まり、「俺の魂を守るために止まれない」は復讐の決意、「受け入れられない」はリゾットの悲痛な心情にも感じられます。しかもなんと!「Bleeding Me」のテーマは、アルコール依存症の苦悩。リゾットのいとこは飲酒運転による事故死なので、やっぱり元ネタなのかもしれません。

ちなみに5部完結から約9年後の2008年、メタリカは「デス・マグネティック」というアルバムを発売しています。直訳は「死の磁気」…ってもろリゾットやないか。こういうのを奇跡っていうんだな、めったにある事じゃねぇ…

音楽ネタが豊富すぎる音石明の話。

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まとめ:リゾットは悪役でも人情味が感じられ、ジョルノたちとの共通点もある人物

リゾットの人物像を考察してみました。部下思いで人情味があり、言動も主人公サイドに似ているところもチラホラ…悪役とはいえどこか共感できるキャラクターなのではないでしょうか。

でもよくよく考えれば、あれだけキャラが濃く、訳アリであろう暗殺チームをまとめられてるんだもんな。そりゃ~一目置かれるかっこよさを持つ人物のはずだよな~!スタンドの強さに、情に熱そうなところ、見かけの威圧感もすごいし…ボーダーパンツはいてあれだけの迫力出せる人、他にいる???凡人がはいたらパジャマにしか見えん。

参考文献
Rolling Stone「メタリカ、『ブラック・アルバム』以降の人気ソング・ベスト10」よりhttps://rollingstonejapan.com/articles/detail/26816/5/1/1(2024年1月22日確認)

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