ジョジョの奇妙な冒険5部に登場するプロシュート。ジョジョ三大兄貴に数えられるほどの面倒見の良さと男気に定評のあるキャラクターです。
経歴が明かされなかったプロシュートですが、今回はスタンドを考察しながら過去を予想してみました。
1. プロシュートのスタンドの外見から予想できる過去
まずはスタンドのザ・グレイトフル・デッドの外見についてです。こんな感じね。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』53巻 集英社(26頁)
可愛いようで可愛くない少し可愛いスタンド。手が鶏っぽいせいか、なんともいえないペット感がある。
んま~~~~異形のスタンドだよね!体中が目玉だらけですが、似た特徴を持つ妖怪に百々目鬼(大英博物館公式サイトより画像左)がいます。百々目鬼は盗みを働いていた女性の腕に被害者の目が取りついてしまった妖怪です。こういうの苦手な人もいると思うので、画像は外部サイトを貼るね…
また百の目を持つ鬼で悪さをしていた百目鬼というのもいるようで…こちらは約3メートルの大鬼で、口から黒い毒気を吐くそうです。ちょっとザ・グレイトフル・デッドのガスっぽい。他には水木しげる先生による百目も、無数の目を持つキャラクターとして挙げられます。なんだか妖怪ばかりですが、荒木先生はホラーや妖怪を彷彿とさせるデザインをされるからな~…伊藤潤二先生の「うずまき」とウェザー・リポートとか「富江」とディエゴとかね。
元ネタであろうバンド、グレイトフル・デッドの「イン・ザ・ダーク」のジャケットの裏側にも大量の目玉の写真(ちょっと閲覧注意!)など、目の元ネタはいくつも挙げられそうです。ただどれもプロシュートの過去とはイマイチ繋げにくいというか…強いて言えば百々目鬼から女性関係かも?というくらいかな~…無数の目というのはデザイン的にかなりインパクトがあるので、この辺は外見重視なのかもしれません。
カルネにも音楽ネタが詰まっていた話
下半身がないスタンドから予想できるプロシュートの過去
もうひとつスタンドで特徴的だったのが下半身がないことでした。腹部からは垂れ下がるコードのようなものは内臓や血管っぽいし…そんな姿から連想されるのが、テケテケと呼ばれる怪談です。いくつかパターンはあるのですが、有名なのがある寒い土地で女性が電車に轢かれて体が上下真っ二つに分かれたというお話。その女性は寒さで血管が凍り止血され、しばらくは生きていたものの結局は死亡。上半身だけの亡霊となって彷徨っているそうな…
このテケテケを題材にしたホラー映画も製作されているのですが、見てよそのDVDのジャケット。もろザ・グレイトフル・デッドじゃんね~!プロシュートは列車内での戦闘で登場したので、上半身だけのスタンドデザインはもちろん、電車というストーリーも、テケテケが参考にされたのかもしれません。
で、荒木先生はキャラクター製作の際に細かな経歴や趣味嗜好を記した身上調査書を作るそうですが、もしテケテケをプロシュートの過去とも関連させたとすれば…プロシュートには不慮の事故で亡くなった女性に関する経験が書かれていたのかもしれません。しかも5部はリゾット、ブチャラティ、ミスタなど、他人のために殺人を犯した人物が登場するからな~!プロシュートも女性のために犯罪に手を染めた可能性が高そうですよね~!裏社会に入ってきたんだから、きっと殺しだろうな…
2. プロシュートの老化させるスタンド能力と過去との関係
次に老化というスタンド能力との関連についてです。老化させることのメリットは、時間差はあれど確実に殺せること、相手の若さを奪って絶望やパニックに陥れられること、相手より体力的に有利に立てることなどが考えられます。もし老化と過去が関連しており、プロシュートが殺人を犯しているとすれば、ただ殺すのでは気が済まず、地獄に突き落とした上で殺害した経歴が想像できそうです。闇が深いよ兄貴ィ…
そんな殺し方をするのは、相手が救いのない人物だったり、期待が大きく裏切られて失望した時のはず。アニメ版でフーゴが「僕はあなたを尊敬していた」と言いながら大学教授をぶん殴っていたように、敬っていた相手に心底幻滅した経験があったのかもしれません。
またスタンドが無差別攻撃というのもフーゴと関連するところ。フーゴはどう猛さが反映されたゆえの能力でしたが、プロシュートには爆発的な怒りの描写はありません。むしろ面倒見のいい兄貴分のようなイメージなので、発現の経緯はフーゴと違うっぽいですよね~…
とすれば、過去の出来事に関わっていた全員を絶望に陥れたいと思ったゆえの能力だったとかね。例えばプロシュートが手をかけた人物の悪行に対して、周囲が見て見ぬ振りをしていたとすれば…「全員が同罪」「殺しはしなくとも罰してやる」なんて気持ちがあり、それがスタンド能力へ昇華したなんてことが考えられるのではないでしょうか。しかし想像するほどに暗いね…
メローネの過去もディ・モールト暗そうな話
死に至らせる順序とプロシュートが過去に手をかけた人物との関係
今度は死に至らせる順序からプロシュートの過去に関係する人物像を考えてみます。ザ・グレイトフル・デッドの攻撃を受けて最も生き残れる確率が高いのは、年齢と体温的に若い女性、逆に早く死に至るのは年老いた男性です。ということはプロシュートが手をかけたのは、敬う気持ちがあった年上の男性の可能性が高そうですよね~…父親、祖父、先生とかね。
一方、守りたい!と考えていたのはかなり若い女性や幼い女の子ではないでしょうか。友人や親戚のほか、妹という可能性もありそうですよね~兄貴は面倒見がいいからな…いずれにせよか弱き存在が犠牲になっているのを見て放っておけなかったのかもしれません。
しかし高齢で尊敬されていた男性が若い女性を苦しめていたとすれば、どう考えても無残な犯罪でしかない気がするよね…支配的な扱いとか性犯罪とか…そりゃ~身内に優しい兄貴ならキレるよな~…
3. なぜプロシュートには「偉大なる死」というスタンド名がついていたのか
最後にザ・グレイトフル・デッドの「偉大なる死」という訳についても考察してみます。わざわざ和訳がつけられているからには何か意味がありそうなところ。でも老化で死ぬこと自体は特に偉大ではないので、スタンド攻撃の効果のことではなさそうです。
とすれば、プロシュートが過去に犯した罪が「偉大なる死」を与えたことに由来しているとかね。殺害した男性が父親や先生のように世話になった人物だったり、周囲からも敬われていたとすれば…相手の罪を表沙汰にして社会的制裁を受けさせるのではなく、自分の手で殺し、非業の死を与えて「あげた」ことで、その人の名誉や偉大さを守ったなんて想像ができそうです。
もしそうならやっぱりプロシュートは、手をかけた相手に多少の情があったのかもしれないですよね~…ただそれを超えるほど許せない出来事に遭遇したために、せめてもの気持ちで「偉大なる死」を演出したのかもしれません。
ということでプロシュートのスタンドからは、若い被害者女性のために高齢の男性をやむなく殺害した過去が浮かび上がってくるのではないでしょうか。他にも色々な想像ができますが、いずれにしてもいたたまれない事件っぽいのが5部らしいよな…
まとめ:プロシュートのスタンドからは女性を男性から守った過去が予想できそう
プロシュートの過去をスタンドから予想してみました。
独特の形状や印象的な和訳がつけられたザ・グレイトフル・デッドからは、プロシュートの暗い過去がイメージできるのではないでしょうか。リゾットが親族への愛情が見える殺人を犯したように、プロシュートもまた親愛の情ゆえの犯罪から裏の世界に入ったのかもしれませんよね~…切ないよ、兄貴ィ…
とはいえ暗殺チームの元ネタはファンタジーやメルヘンだらけ説があるくらいなので、実は過去と全然関係ない可能性もあるっちゃあるよね。プロシュートもペッシと合わせて浦島太郎だもんな。何だったんだこの考察…
5部の考察はこんなのもあります
参考文献
朝里樹「日本現代怪異事典 」笠間書院(2018年)
宇都宮市歴史文化資源活用 推進協議会「宇都宮の民話」https://utsunomiya-8story.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/11/06_minwa.pdf(2025年1月30日確認)
「昭和の不思議101 隠蔽された真相解明号」ミリオン出版(2017年)