ポルナレフはなぜトイレでの災難ネタが多いのか理由を考察してみた

ジョジョコラム
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ジョジョの奇妙な冒険3部から登場したポルナレフ。トイレの災難に見舞われがちなキャラクターでした。

今回はなぜポルナレフにはトイレの災難ネタが多いのか、フランスの美学やトイレの歴史から理由を考察しました。


1. ポルナレフのトイレでの災難ネタ

最初にポルナレフのトイレの災難をまとめてみます。

・インドで便器の中にブタがあらわれる。なおトイレはホテルまでガマン
・トイレの手洗い場でハングドマンに遭遇
・インド・西アジア方面のフィンガー・ウォシュレットになじめない
・エンヤ婆戦でトイレに追い詰められ、きたねー便器を舐める
・アヴドゥルに「トイレでの災難はポルナレフの役」といわれる
トイレのない亀に住む

死んでもなおトイレに困るポルポルくん。ブレない男ですね~ブラボー!おお…ブラボー!!

直球ではなくともなんとなくトイレ系のネタが多かったのも印象的。アヴドゥルと男の友情と称してツレションするわ、イギーに屁の襲撃を食らうわ、アレッシー戦でもらすわ……と小学生のような下ネタ担当でした。「命を運んでくると書いて運命」が吉良吉影なら、「ウ○コが命と書いてウン命」がポルナレフね。

でもなぜこんなにもトイレネタの宝庫となってしまったのでしょうか。ここからはフランスのトイレ事情や歴史的背景などから考えてみます。

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2. ポルナレフの故郷フランスのトイレの歴史

まずポルナレフの衛生概念とフランスのトイレの関連についてです。「ナイスガイなのでトイレが汚いのだけは我慢ならない」と語っていたポルナレフ。清潔感へのこだわりは本人の育ちや性格によるところが大きいとは思いますが、ここではフランスのトイレの歴史から考察してみます。

さてオシャレなイメージのあるヨーロッパですが、トイレ事情には色々あったようで…中世の頃は排泄物が道路に流れあふれだし、町中にはニオイが充満したなんてこともあったのだとか。フランスもまた窓から道路に排泄物を捨てていましたが、衛生的上の問題から下水処理が整備されはじめ、20世紀からトイレットペーパーが広まり…といった歴史を歩んできました。

ポルナレフの生まれた1960年代は、家の中はまだしも公衆トイレの問題が未解決だった時代。公衆トイレは18世紀頃より設置の議論や施策が繰り返されていたものの、設置場所や清掃管理については不満の声が多かったようです。

そんなフランスでトイレの大革命が起きたのが1980年。パリに3基、こんなものが設置されました。


By Agateller at English Wikipedia, CC BY 3.0, Link

なんだかアートな形ですが、これは「サニゼット」と呼ばれるフランスの有料公衆トイレ。使用後にはトイレの室内が全面的に清掃、殺菌される仕組みです。明るく暖房完備の室内では音楽が流れ、いい香りがしたのだとか…!トレビア~~~ン!

サニゼットは試験的に設置された後、パリ以外の街でも次々と数を増やしていったそう。もしかしたらポルナレフの故郷でもサニゼットが使われていたかもしれませんよね~!サニゼットが設置された当時のポルナレフは、ティーン真っ盛り。あの衛生概念は、多感な時期の少年には衝撃的であろうサニゼットの登場も影響していたりして…!

現在のフランスのトイレ事情は、トイレはカフェや空港、美術館などは無料がほとんどである一方、公衆トイレ、デパートなどでは有料のことが多いそう。サニゼットは比較的綺麗ではあるものの、有料=綺麗とは限らず、全体的には日本の方が綺麗だとか。他にも便座がないことが多かったり、床に穴が開いた「トルコ式トイレ」が現役だったり、外でしている人がチラホラ…なんて違いもあるようです。

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フランス人はポルナレフのような綺麗好きなのか

トイレにこだわるポルナレフですが、そもそもフランス人は綺麗好きなのでしょうか。こんなの人によるでしょ!と言うしかないのですが、一般的な見解について少し触れてみます。

さて清潔感はイマイチらしいフランスのトイレ事情。その理由には「掃除は清掃員の仕事と考えられていること」「そのため自主的に清潔さを維持する意識が低いこと」「清掃員の数が足りないこと」などが挙げられるそうです。意識は個人の問題だとしても、清掃員が足りなければ綺麗にならないループから抜け出せないよね…

他にも家の中での土足生活、ポイ捨ての多さなど、どうやら長年の生活から日本人よりも大らかな衛生概念が培われてきたらしいフランス人。でもそんな彼らが大切にしているのが「アール・ドゥ・ヴィーヴル」という考え方です。「人生の美」という直訳どおり自分の美的センスや美学を大事に!という生き方で、インテリアや食器にこだわったり、気に入った服を着たり、美味しいものを食べたり…というのもそのひとつなのだとか。

社会全般においての殺菌、清潔さよりも、自身の人生の美しさが重視されているらしいフランス事情。その中でもトイレにこだわるポルナレフは綺麗好きであることは間違いなさそうです。ただ彼にしてみれば、汚れたトイレを見てきたからこそ綺麗なトイレを愛して(?)いたり、「トイレは綺麗に!」というのがナイスガイとして生きるための美学なのかもしれないよね。家のトイレ掃除、こだわっているんだろうか…?

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3. ポルナレフがトイレの災難ネタに登場するメタ的な理由

最後にメタ的な理由について少し考えてみます。ポルナレフがトイレで襲撃されがちなのは、なんといってもギャグシーンを作れるリアクション芸人だからですよね~!ブタのトイレも冷静な承太郎や花京院なら、あんなに面白くはならないよね。アヴドゥルなんて「これだからいいんですよ!」で済ませそうだし。

さらにポルナレフがあそこまでリアクションをとれるのは、トイレが逃げ場のない空間だからこそ。ひとりぼっちになる個室でとりあえず一息つこうと思ったら、便器からブタがボンジュール!なんてそりゃ~~~大パニック間違いなしだもんね~!しかも芸術の国フランス出身で、自称「ナイスガイ」の男がトイレという不潔な空間で襲撃されるのも、ギャップがあって面白いよね。

またトイレは各国の個性がよく表れる場所でもあるので、異国情緒あふれる旅にはもってこいの描写。3部の物語の構成とポルナレフのキャラクターの相性が良かったからこそ、トイレキャラに選ばれているのかもしれません。でもなによりそれがウン命なんだろうな。

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まとめ:ポルナレフにトイレでの災難ネタが多い理由はトイレと好相性だから!?

ポルナレフのトイレネタについて考察してみました。どうやらフランス人の中でもトイレへのこだわりが強そうなポルナレフ。そのわりにはトイレ運がなく、ネタにされてしまうのがギャグとして面白いですよね~!

まさにトイレの神様ならぬトイレのキングボンビーだったポルポルくん。かつてブチャラティがジッパートイレでトリッシュをドン引きさせ、今やトイレなしという亀に住むのもなんかいいよね。その身尽きてもそのトイレ魂は死なず。

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荒木飛呂彦 関島眞頼 山口宏




参考文献
ロジェ=アンリ・ゲラン(1987年)『トイレの文化史』筑摩書房
大内聖子 『なぜパリ五輪会場のトイレには「便座」がなかったのか。日本と異なる、フランスの「衝撃トイレ事情」』All About ニュース https://news.allabout.co.jp/articles/o/84440/(2025年12月27日確認)
畑中景子『アール・ドゥ・ヴィーヴルを探して。#1あなただけのアール・ドゥ・ヴィーヴルの見つけ方。』フィガロジャポンhttps://madamefigaro.jp/culture/240606-art-de-vivre-01.html(2025年12月27日確認)

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