ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」の主人公・空条承太郎。
圧倒的な存在感と、最強のスタンド使いとして、ジョジョシリーズの中でも人気のキャラクターです。
そんな空条承太郎の名言は、英語吹替版ではどのように訳されたのでしょうか。
今回は3部前半の聞き取りに挑戦してみました!
3部後半・エジプト編の空条承太郎の名言はこちら。
このアマ~
このアマ~いい加減に子離れしろ!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(134頁)
母・ホリィにいってらっしゃいのキスをされた承太郎の名言。昔はいい子だったのに…何があったのでしょうか…。アマなんて今どき聞かない表現ですが、英語版はこんな感じでした!
get out of my face=自分の前から消え失せろ
bitch=クソアマ
一目で、かなり毒づいていることが分かる表現です。直訳は「黙れ、消え失せろこのクソアマ!」。
なんかもう普通に酷い。ホリィさんかわいそ…
英語版では「子離れしろ」は「消え失せろ」と訳されたんですね~!そのせいでより酷くなった訳ですが…
bitchですが、英語では性的な意味ではなく、女の人に対する侮辱の言葉で使われます。
うっとおしいぞ
やかましいッ!うっとおしいぞ!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(66頁)
登校中の承太郎に声をかける女子生徒達への名言です。こんな一言でも女子を喜ばせるなんて、さすが承太郎!モテすぎる男も大変そうですが、英語訳はこちらです。
freaking=とても、すごく
訳的には直訳に近いです。
annoyingにはfreakingがつくことで「めちゃくちゃイラ立つぜ!」のように、より目障りに思っていることが伝わります。
ちなみに女子生徒達のセリフ「ブス」「ペチャパイ」は、「Ugly!」「No boobs!」。それぞれ「ブサイク!」「胸なし!」のような意味になります。
おれが裁く
だから おれが裁く!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(105頁)
花京院典明戦での承太郎の名言。無関係だった学校の女医さんを巻き込んだことに怒った承太郎の一言です。英語訳はこちら。
That's why=だから~する
直訳は「だから俺が自分でお前を裁くぜ!」。myselfが入って、より「自分自身で裁く」というニュアンスが伝わります。
原作でのこのページ、めちゃくちゃ面白いですよね。変な光飛んでるし、台詞は長いし…
アニメ版でも変な光がしっかりと再現されていました。ファンとしてはなかなか超感激のシーンです。
裁くのはおれの『スタンド』だッ
裁くのは おれの『スタンド』だッー!!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(109頁)
同じく花京院戦での承太郎の名言です。ハイエロファントグリーンに、オラオラを食らわせている時の承太郎の一言でした。英語訳はこちら。
「俺のスタンドで正義を教えてやる!!」のような意味です。
意味としては似ているんですけどね~…日本語版のインパクトには勝てないかな…だッー!!がちょっと面白いもんね。
やれやれだぜ
やれやれだぜ
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(78頁)
空条承太郎の代名詞ともいえる名言です。呆れた時、面倒くさい時、嬉しい時など、承太郎の喜怒哀楽が詰まったセリフでした。
シンプルな一言ですが、英語訳はこちら。
good grief=おやまあ、何てことだ、やれやれ
直訳すると「良い悲しみ」なのですが、「あ~あ」「やれやれ…」のようなニュアンスになります。
ネガティブな場面でよく使う言葉です。
ちなみにこのセリフ、スヌーピーの漫画でチャーリーブラウンもよく使う表現なのだとか…!
マヌケは見つかったようだな
ああ うそだぜ!だが…………マヌケは見つかったようだな
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(100頁)
暗青の月戦での承太郎の名言です。スタンド使いをあぶり出すために、カマをかけた承太郎。見事、マヌケなスタンド使いを見つけ出すことに成功しました。承太郎の機転が利いているシーンでしたが、英語訳はこちら。
that said=とは言え
「落ちつけ、嘘だぜ。とは言え、マヌケは見つかったようだな?」のような意味です。原文通りでした。
idiotはstupidと意味的にはほぼ同じですが、idiotは人にのみ、stupidは人以外にも使えます。
ジョジョでも、ポルナレフがイギーのことを「バカ犬」なんていうことがありますが、イギーは犬なので「stupid dog」と訳されていました。
ドゥー・ユー・アンダスタン?
理解したか?(ドゥー・ユー・アンダスタン?)てめーずいぶんすきほうだいコケにしてくれたじゃねーか……エエッ!おれはコケにされるとけっこうネにもつタイプでな
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』15巻 集英社(122頁)
黄の節制戦での承太郎の名言です。イエローテンパランスの本体を水中に引き込み、逆転を図った承太郎の一言でした。英語訳はこんな感じ。
Listen, I've had it up to here with that cocky-ass mouth of yours, alright?
I just happen to be the type of guy who takes these things to heart.
have had it up to here=我慢できない
cocky=うぬぼれた、生意気な
just happen to be~=たまたま~する
the type of guy =~するタイプの人
take something to heart=苦痛にする、気にする
「ドゥー・ユー・アンダスタン?あのな、てめーのその生意気な口の利き方にが我慢出来ねえ、いいか?おれはたまたま、こういうことを気にするタイプの男でな」くらいの訳になりそうです。
英語版は「たまたまそういう男でね」のように「たまたま」と入っているのが、面白いですね~!
「今まで戦ったやつはコケにしても大丈夫だったろうが、おれはたまたま違うんでね」=「てめーはぶっ飛ばす」のようなニュアンスが感じられます。やっぱり承太郎怖いな。
アワれすぎて何も言えねえ
もうてめーにはなにもいうことはねえ… ……… とてもアワれすぎて 何も言えねえ
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』15巻 集英社(139頁)
こちらも黄の節制戦での承太郎の名言です。往生際の悪いイエローテンパランスに呆れた承太郎の一言でした。英語訳はこちら。
You're way too pathetic... I'm done wasting my breath.
nothing more to say=これ以上言うことはない
pathetic=哀れな
wasting my breath=言っても無駄だ
訳としてはこんな感じです。
「黙れ。もう何も言うことはない。てめーは哀れすぎて…何を言っても無駄だ」
原文に忠実ですね~!
wasting my breathの直訳は「呼吸を浪費する」。話す時は呼吸をしますが、それが浪費だということで、「話すのが無駄」「言っても無駄」のような意味になります。
『道』というものは自分で切り開くもの
『道』というものは自分で切り開くものだ
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』17巻 集英社(25頁)
運命の車輪戦での承太郎の名言です。このセリフの後、道を切り開くお手本を見せてくれる承太郎。とても親切丁寧です。英語訳はこちら。
No one can do it for you, so I'll offer you some guidance.
forge=作り出す
path=道
「人生は自分で道を切り開くしかない。誰もそんなことお前のために出来ないから、俺が手本を見せてやろう」のような訳です。2文目で、原文にはない"No one can do it for you"=「誰もお前のために出来ない」というセリフが追加されています。
誰もやってくれないから、承太郎がお手本を披露してくれていたんですね~!親切~!
ホリィさんにも見抜かれていた通り、やっぱり承太郎は優しい子でした!
おれはやると言ったらやる男だぜ
あまりなめた態度とるんじゃあねーぜ おれはやると言ったらやる男だぜ
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』18巻 集英社(187頁)
恋人戦での承太郎の名言です。ジョセフ爺ちゃんを苦しめるスティーリー・ダンに怒った、承太郎の一言でした。本当は心のやさしい子だもんね…!英語訳はこちら。
When I say I'm gonna do something, I do it.
underestimate=過小評価する
「俺を過小評価するんじゃねーぜ。俺はやると言ったらやるんだぜ」のような意味合いです。
英語版では、「なめた」態度をとることを「過小評価する」と訳されています。
ちなみにこの後、ダンに「なめたヤローだ」「おれをなめるな」という台詞がありますが、英語訳は「Don't you toy with me(オモチャにするなよ)」「you dumb good-for-nothing punk(バカな役立たず目)」。「なめる」でも言い方に色々なバリエーションがあります。
つけの領収書だぜ
つけの領収書だぜ
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』18巻 集英社(65頁)
こちらも恋人戦での承太郎の名言です。スティーリー・ダンに散々いびり倒された承太郎が、仕返しにオラオラするシーンでした。オラオラ後にカッコよく決めた一言でしたが、英語訳はこんな感じです。
keep the change=お釣りはいらない
直訳的には「お前の領収書だ、釣りはいらねえぜ」のように英語版では、お釣りについて言及されていました。
原作のセリフもシンプルでカッコいいですが、"keep the freaking change"が入るのも、なかなか洒落ています。
アイアイサー
アイアイサー
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』19巻 集英社(176頁)
女教皇戦での承太郎の名言です。ハイプリエステスを捕まえ、ポルナレフに首を引きちぎるように言われた時の返答でした。英語訳はこちら。
works for me=都合がいい、それでいい
アイアイサーじゃないんかいッ!!!
アイアイサーの承太郎、ちょっと可愛いのに~…
works for meは直訳すると「自分のために機能する」となることから、「自分はそれでいいよ」というような意味で使います。ここではざっくり「オッケー」のようなニュアンスです。
ちなみにアイアイサーは英語で「Aye, aye, sir」。AyeはYesの意味なのだとか。
空条承太郎がじきじきにブチのめす
てめーはこの空条承太郎がじきじきにブチのめす
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』19巻 集英社(180頁)
こちらも女教皇戦での承太郎の名言です。承太郎の怒りを買ってしまったハイプリエステス。「じきじきに」が怖い…英語訳はこちら。
I'll kick your ass soon enough.
kick your ass=ぶっ飛ばす
soon enough=じきに、間もなく、すぐに
「あまり調子に乗るんじゃねーぜ。この戦いは終わってないんだからな。すぐにぶっ飛ばしてやる」
のような訳になりそうです。
Don't get too cocky~が日本語版にはない部分ですが、これが怖いですね~…
日本語版もシンプルでいいですが、この付け足しは承太郎らしさが出ていて良いです!
恋におちる か も
一度あんたの素顔を見てみたいもんだな おれの好みのタイプかもしれねーしよ 恋におちる か も
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』20巻 集英社(11頁)
女教皇戦で、承太郎がタイプだというミドラーを誘惑しようとした時の名言です。ところで承太郎ってどんな顔がタイプなんでしょうね…英語訳はこちら。
I would've liked to have seen your face if only this once.
You might've been my type too. And if you were, well... I just might fallen for you.
turned out this way=こんな風になる
only once=一度だけ
fall for~=~に惚れる
訳はこんな感じです。
「こんな風になってしまって残念だぜ。一度でいいからあんたの顔を見てみたかった。おれのタイプだったかもしれねーしよ。もしそうなら、あんたに惚れていた か も」
承太郎め…
マジで落としにかかってるな。思っていた以上に本気だ…
そりゃ~顔がタイプの男にこんなこと言われたら、ミドラーみたいに「……………♡」ってなるだろうよ。
しかもこれ、ポルナレフが考えた台詞だし。さすが愛の国の男だ…。
まとめ:空条承太郎の名言は英語版でもおしゃれ!
ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」の前半部の空条承太郎の名言をご紹介しました。
英語版では、日本語版にはない表現もありました。
凝った表現も多いので、ぜひ参考にしてみてくださいね~!
後半・エジプト編の空条承太郎の名言はこちら。
参考教材:
津田尚克, 2020, 『Jojo’s Bizarre Adventure Set 2: Stardust Crusaders2020』, Warner Bros.