ジョジョの奇妙な冒険の3部「スターダストクルセイダース」。DIOを目指して承太郎御一行が、日本からエジプトへ50日の横断する旅でした。
旅の中で様々な名言が生まれた3部でしたが、英語吹替版では何と訳されたのか 聞き取りに挑戦です!
この妖刀が慟哭しているぜ
この妖刀が 早えーとこ三百四十人めの血をすすりてえって慟哭しているぜ
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(94頁)
家出少女・アンちゃんの可愛らしい脅しの名言です。 中二病っぽさ全開過ぎて花京院に笑われていましたが、英語訳はこちら。
prime cut=最上級の肉
「悪魔の刃が340人目の犠牲者を欲しがってるぜ。しかもお前ら、みんな最上級の肉に見えるぜ!」のような訳です。
ジョースター御一行、最上級のお肉説。月までブッ飛ぶこの衝撃…
アンちゃん、英語でそんなこと言ってたんですね~!可愛い~!!!
一生懸命な強がりが可愛らしいですね~!アンちゃんの好感度が上がってしまった英語訳でした。
シブイねェ…
シブイねェ…まったくおたくシブイぜ
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(103頁)
暗青の月の使い手、偽のキャプテン・テニール船長の名言です。承太郎にカマをかけられてしまい、スタンド使いとバレてしまったテニール。英語訳はこんな感じでした。
fall for it=嘘に引っかかる
日本語訳的にはこんな感じです。
「そして、俺はそれに引っ掛かっちまった。まさかこんなことになるとはな。さすがだ」
全然シブくないな…
意味的にはシブイねェなんですけど、言い方にひねりがないです。 でも訳するのは難しいですよね…ドンピシャな英語を探すのは大変そうな一言でした!
この田ゴ作がァー
弱点はねーといっとるだろーが 人の話きいてんのかァこの田ゴ作がァー
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』15巻 集英社(108頁)
黄の節制の使い手・ラバーソールの名言です。というかラバーソールは口汚すぎて、ある意味全部名言のような気も…英語訳はこちら。
Are you even listening to me? You dumbass redneck!
dumbass=大馬鹿、ドアホ redneck=田舎者
redneckは田舎者という意味です。アメリカ南部の人たちが由来となっている言葉で、外で仕事をしている人達の首は、真っ赤に日焼けしてしまうためです。
あんまりポジティブな言葉ではないので、使わないのがおススメです。
田ゴ作も田舎者の意味なので、意味はほぼ同じ訳でした!
銃は剣よりも強し
「銃は剣よりも強し」ンッン~名言だなこれは
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』15巻 集英社(186頁)
ホルホースが、ポルナレフに発した一言です。「ペンは剣よりも強し」が元になっている名言ですが、英語訳はこんな感じです。
simply=絶対に、どうしても
「俺は狙撃のスタンド使いで、剣では断じて勝てないということだ」のような訳です。
日本語版の方がお茶目な感じがしますね~。
「ペンは剣よりも強し」は英語で"The pen is mightier than the sword"。
mightierは強大なのような意味です。
この名言の元ネタですが、今回は特にこちらをもじった訳でもないようですね~。ちょっと残念…
第3部完!
勝ったッ! 第3部完!
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』17巻 集英社(22頁)
運命の車輪戦でズィー・ズィーが、承太郎御一行に勝利宣言をしたときの名言です。英語訳はこんな感じでした。
bite the dust=敗北する
bit the dustはbite the dustの過去形です。
bite the dustといえば、キラークイーンでお馴染みのバイツァダストの語源です。「敗北する」の意味になります。
このセリフの面白さはメタ発言ですが、この訳だとメタ要素がないんですよね…
ちなみに字幕版では「I win! Part Three is over!」と訳されています。overは「終わる」の意味。こちらはちゃんとメタ発言になっていました!
悪には悪の救世主が必要なんだよ
悪には 悪の救世主が必要なんだよ
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』20巻 集英社(138頁)
ゲブ神の使い手である、ン・ドゥールが死に際に承太郎に放った一言です。一応自分を悪だとは思ってるんですね…英語訳はこちら。
after all=結局
scoundrel=悪者
put faith in~=~を信頼する
「そして結局、悪であろうがなかろうが、悪者には信じる者が必要なのだ」のような訳ですかね…
微妙に日本語とは違う訳みたいです。
put faith inですが、putとfaithの間に色々挟んで使えます。
例えばI don't put much faith inのように、間にmuchを挟んで「あんまり信用できない」のように言うことも出来ます!
人生とはそういうものだから
でもくじけちゃダメだよボインゴ!人生とはそういうものだから
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』21巻 集英社(25頁)
トト神の使い手・ボインゴの名言です。顔が気に食わないという理由でボコしてしまった男に復讐された時の一言でした。英語訳はこちら。
lose heart=がっかりする
ups and downs=上り坂と下り坂、浮き沈み
「でもがっかりしないでボインゴ! 人生には、素晴らしい上り坂も酷い下り坂もあるんだよ」のような訳です。
Mondattaは英語吹替版のボインゴの名前です。
モンダッタって何?と思って調べてみたところ、The Policeに「Zenyatta Mondatta」というアルバムがあるそうです。7部にも同じ名前のキャラクターが出てきましたね~!
そしてポリスといえば、スティングがボーカルのバンド。スティングと言えば、花京院の好きなミュージシャン。ジョジョでつながります…!
ということで、恐らくアルバム名からとったのではないかな、と思います。
触れてはいけない物というのは…
触れてはいけない物というのは 触れてしまいたくなるものね
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』21巻 集英社(156頁)
ジョセフが仕掛けられたコンセントに触れたのを見た、マライアの名言です。マライア可愛いですよね〜!英語訳はこちら。
saying=ことわざ
注目したいのはCuriosity killed the cat。こちらはことわざで「好奇心は身を滅ぼす」の意味になります。ここが「触れてはいけないものは触れてしまいたくなる」の訳の部分になりました!
こちらの訳は「さて古いことわざはどうだったかしら。好奇心は身を滅ぼすよね」のようなニュアンスになります。ちょっと洒落た言い方をする英語訳でした!
えらいねェ~
えらいねェ~
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(97頁)
セト神のスタンド使い・アレッシーの名言というか、口癖です。幼くされたポルナレフに連呼していましたが、英語訳はこちら。
Atta=えらい
直訳で「えらい男の子だね~」という意味でした。
少年の姿のポルナレフに対して発するので、boyが使われています。もし対象が女の子なら"Atta girl!"になります。
他にも子供への誉め言葉として、"That's the boy!"、"That's my boy!"のような言い方も使えます!「それでこそ俺の男の子だ!」みたいなニュアンスです。
イカサマは見抜けない人間の敗北なのです
イカサマ?いいですか?イカサマを見抜けなかったのは 見抜けない人間の敗北なのです 私はね賭けとは人間関係と同じ…騙し合いの関係と考えています 泣いた人間の敗北なのですよ
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』23巻 集英社(31頁)
オシリス神の使い手、ダニエル・J・ダービーの名言です。キレてダービーに詰め寄るアヴドゥルへの一言でしたが、英語訳はこちら。
A dance of deception where the loser cries first.
nothing more than~=~に過ぎない
brethren=兄弟
deception=欺瞞
出た!dance of deception!
これ承太郎の訳の時も出てきたのですが、なんて訳せば良いのか分からなかったんですよね…
直訳は「欺瞞のダンス」なのですが、何それ?って感じなので…今回もやっぱりグッド!な訳が思い浮かばず。毎度ごめんなさい…
「イカサマを見抜けなかったのは 見抜けない人間の敗北なのです」の部分が、英語では具体的でした。
Have you consider~の部分ですが、「ポルナレフが負けたのは、あらゆる可能性を考慮する内面が欠けていたからと考えたことはないですか?」のような訳です。ポルナレフ、酷い言われようだな…
みな殺しのチャンス到来だーッ
ラッキー ホル・ホース!みな殺しのチャンス到来だーッ
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』23巻 集英社(156頁)
ホル・ホースとコンビを組んだボインゴですが、漫画にはこんな予言が出ました。英語訳はこちら。
finish off=やっつける、殺す
for good=永遠に、永遠に
「ラッキー、ホル・ホース! これは永久に彼らを仕留めるチャンスだ!」のような意味です。原文とほとんど同じでした。
finish offは平らげる、終わるなどいくつか意味があります。ここでは「みな殺し」の部分に当たるので、「殺す」「やっつける」のようなニュアンスで訳すのが良さそうです!
犬好きの子供は見殺しには…
やれやれ…犬好きの子供は見殺しには……できねーぜ!
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』24巻 集英社(87頁)
ペットショップ戦前のイギーの名言。俺には関係ねーやの態度だったイギーが、ついにDIO一派相手に参戦する名シーンでした。英語訳はこちら。
have a soft spot for~=~に弱い
Lucky for~=~はついてる
直訳的には「やれやれ…犬好きの子供には弱ぇんだよな…あいつツイてるぜ!」英語訳でもカッコいいですね~!!!!
dogloversは犬好きはの意味です。他に、a dog personで「犬派」「犬好き」と表すことも出来ます。「猫派」ならa cat personになります。
ちなみにGood griefは承太郎や徐倫の「やれやれだぜ」「やれやれだわ」でも使われています。
もしかしてオラオラですかーッ!
もしかしてオラオラですかーッ!
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』25巻 集英社(186頁)
アトゥム神の使い手、テレンス・T・ダービーの名言です。Exactly、オラオラでございました場面ですが、英語訳はこんな感じ。
be gonna = be going to=~するつもり
「オラオラするつもりですかーッ!」という訳でした。
オラオラはOra Ora thingなんですね~!そのままの訳ではありますが、ちょっと面白いです。英語版でも承太郎はOra Ora言いながらラッシュしているので、Ora Ora thingでも通じるのだと思います。
こなみじんになって死んだ
アヴドゥルは…………こなみじんになって死んだ
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』26巻 集英社(52頁)
ヴァニラ・アイスがアヴドゥルを飲み込んだ時の名言です。初見でエッ………となるヴァニラ・アイスのスタンドでしたが、英語訳はこちら。
reduce to=変える、まとめる
nothingness=存在しないこと、無
「アヴドゥルは無となった」のようなニュアンスです。
怖っ…nothingnessが怖すぎる…
こなみじんと訳するのなら「in fragments」「to be broken to pieces」の方が近いと思うのですが、ここではあえて「nothningness」。ヴァニラ・アイスのスタンドの不気味さが感じられます!カッコいい訳でした!
まとめ:ジョジョ3部の名言は、英語訳でも個性的!
ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」の名言の英語訳をご紹介しました。
3部の訳は原作通りのものから、英語ならではの表現もあり、個性豊かでした。個人的にはボインゴがMondattaと、名前が違うのが驚きでした…!
3部は敵も多く、見ごたえのあるバトルも多いので、英語訳もぜひ楽しんでみてくださいね~!
ポルナレフ、DIOの名言の英語訳はこちら。
参考教材:
津田尚克, 2020, 『Jojo's Bizarre Adventure Set 2: Stardust Crusaders』, Warner Bros.
津田尚克, 2020, 『Jojo's Bizarre Adventure Set 3: Stardust Crusaders Battle In Egypt』, Warner Bros.