ジョジョの奇妙な冒険に登場するグリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所(以下、G.D.st刑務所)。海上の島にある刑務所でした。
今回は同じく孤島にあったアルカトラズ島刑務所はG.D.st刑務所の元ネタなのか、比較、考察してみました。
G.D.st刑務所とアルカトラズ島刑務所の基本情報の比較
まずは両者の基本情報を比較してみます。アルカトラズ刑務所はかつて最高警備レベルの連邦刑務所として使われた施設。現在は博物館で、本島からフェリーでサンフランシスコ湾を渡って上陸可能です。面積は0.076平方キロメートルで、異名は「ザ・ロック(岩の意味)」。島はカモメやゴイサギといった鳥類の生息地でもあります。
ここで歴史についても少しだけ…アルカトラズ刑務所が建設されたのは、19世紀半ば頃。当初は南北戦争で南部を支持した人間などが投獄されましたが、1930年代になるとギャングや凶悪犯の収監を開始。収容人数は常時270人前後、囚人は全員男性でしたが、あまりに苛酷な環境のため受刑者の一部は命を落としたそう。あのアルカポネも服役していましたが、収容後3か月で心身を蝕まれ始めたのだとか…!
G.D.st刑務所は車などで橋を渡った先にある州刑務所で、別名は「水族館」。なんだか似ていますよね~!ただし面積は120平方キロメートルとアルカトラズ刑務所に比べてかなり巨大!島にはワニ、亀、魚、とびやシラサギなどの鳥類などもいました。囚人には女性や18歳以下の未成年も含まれており、約1700人が収監されています。セキュリティは「警備LEVEL4最高厳重警備」と、かなり厳しい環境だったようです。
規模や囚人の性別などに違いはあるものの、共通点も多い両刑務所。特に海に囲まれた環境というのは、アルカトラズ刑務所が元ネタではないでしょうか。しかしアルカトラズ刑務所、かなりキツそうですよね~…入りたくないよな~…

意外と似てない?G.D.st刑務所とアルカトラズ島刑務所の見た目の比較
見た目についても比較してみます。G.D.st刑務所はこんな感じでした。
荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』1巻 集英社(32-33頁)
アルカトラズ刑務所はこちら。G.D.st刑務所が平地だったのに対し、こちらは高低差があります。
By Chris6d - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
パッと見た感じ、あんまり似ていない気がするよね~…むしろロシアのクレスティ監獄の方がイメージに近そう。
Авторство: Alex 'Florstein' Fedorov, CC BY-SA 4.0, Ссылка
ちなみにクレスティ監獄の近くには、かつて孤島の上にあり、監獄としても利用されたペトロパヴロフスク要塞があります。もしやこれも元ネタ?

G.D.st刑務所とアルカトラズ島刑務所の規則の比較
次に刑務所内の規則を比較してみます。アルカトラズ刑務所で保障されていた権利は、食料、衣服、住居、医療の4つのみ。労働や面会、家族との連絡や図書館の利用は、一部の模範的な囚人にのみ許された特権だったそうです。やっぱり厳しい…!
脱獄もバレようものなら看守に止められるか、従わなければ即射殺。脱獄未遂も何度か起きていますが、島外にたどり着けたのは3人のみのようです。ただ彼らについても死亡とされてはいるものの、詳細は不明。現在も消息はつかめていないのだとか…
一方でG.D.st刑務所は自由と平等、人権を重んじていました。規則はあるものの、電話や運動などの行動や移動の制限はなく、大学入学や職を手にすることもできるゆる~~~い施設です。もちろん面会や図書館の利用、映画鑑賞だってオッケーおけつだもんね~!あれ、けっこう楽しそうだったもんな~!
とはいえ徐倫が収監されたのは「警備LEVEL4最高厳重警備」。看守には射殺の権利があり、グェス戦では大ピンチでしたよね…この厳しさはアルカトラズ刑務所由来なのかもしれません。

G.D.st刑務所とアルカトラズ島刑務所の施設内の比較
施設内についても比較してみます。まずはこちらはアルカトラズ刑務所の見取り図ね。中央に房が並んでいます。「CELL BLOCK D」には懲罰房がありました。他にも図書館や病院、外には運動場もあります。
By U.S. National Park Service, restoration/cleanup by National Park Maps (https://npmaps.com) - http://www.notfrisco2.com/alcatraz/maps/celhaus.jpg / U.S. National Park Service (http://npmaps.com/wp-content/uploads/alcatraz-cellhouse-map.jpg), Public Domain, Link
そしてこちらがG.D.st刑務所ですが、ちょっと違うよね。房は主に2階、1階は食堂などの施設が揃っており、厳正懲罰隔離房は女子監より520m離れた別棟でした。ただ図書館や病院、運動場といった付属施設には共通点があります。
荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』2巻 集英社(57頁)
アルカトラズ刑務所の懲罰房はG.D.st刑務所同様、真っ暗闇の独房で、3食の食事は保障されず、シャワーは冷たい水がかけられることもあったとか…徐倫が虫だらけの食事を口にしたり、シャワーとしてポンプで水をかけられていたシーンに近そうです。
監房の風景はこんな感じ。徐倫は2人部屋でしたが、アルカトラズ刑務所は全て独房になります。徐倫が最初に収監された留置所にも近いイメージでは…?
またアルカトラズ島内には倉庫もありまして…
倉庫といえばF・Fと出会った農場のシーンを思い出しますが、形もどこか似ていそう。
荒木飛呂彦(2002年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』10巻 集英社(70頁)
建物背後の煙突のように伸びる円柱、三角形の屋根などなんとな~く近い気がします。
ミラション戦ではシャワー室も登場しましたよね~!
荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』5巻 集英社(20頁)
仕切りのない部屋でしたが、アルカトラズ刑務所のシャワー室も似たような構造です。
ところでミラション戦では徐倫たちがキャッチボールをしていましたが、アルカトラズ刑務所で人気のスポーツは野球。大会も行われていたそうです。すべてが似ているわけではありませんが、内部はかなり近いところが多いのでは…!?

G.D.st刑務所とアルカトラズ島刑務所の脱獄計画の比較
脱獄についても触れてみます。まず徐倫たちは囚人4人とエンポリオの5人で脱獄を成功させていましたが、前述したとおりアルカトラズ刑務所でもフランク・モリスとアングリン兄弟の3人が脱獄しています。モリスらはベッドに自分たちに似せたマスクを置いて看守が気づくのを遅らせ、壁に開けたトンネルをつたい、レインコート製の浮袋で海に出たのだとか。
実はこの計画、本来4人で行うはずが1人は不参加に。その囚人の自白によると、脱獄後は3キロ先のエンジェル島まで泳いだ後、さらに本島を目指し、到着後には服と車を盗む予定だったそうです。徐倫たちの脱獄の詳細は不明ですが、車を強奪したあたりは近いものを感じるところではないでしょうか。
ちなみにアルカトラズ刑務所からの脱獄計画を実行に移したのは36人。うち即逮捕が23人、射殺されたのが6人、溺死が2人、行方不明が2人とされています。やっぱり脱獄って難しいのね…

G.D.st刑務所とアルカトラズ島刑務所の人物の比較
最後に両刑務所の人物について比較してみます。殺人犯ロバート・ストラウドは「鳥人間」といわれた人物。アルカトラズ刑務所に移送される前に服役していた刑務所では、独房内で300羽以上の鳥を育てたとされ、鳥に関する著書を2冊も残した人物です。鳥と囚人といえばグェスを思い出しますよね~!
また刑務所内では過酷な環境ゆえに、自殺を企てる者もいました。そのひとりがルーフ・パースフルで、片手の指を自分で切り落とし、斧を別の囚人に差し出してもう一方の指も落としてくれと頼んだとか…なんだかサンダー・マックイイーンの顔が浮かぶような…
アルカトラズ刑務所は1963年に閉鎖されますが、その後は幽霊目撃証言が多数!今も霊らしき気配を感じる体験が数多く聞かれるそうですが、霊といえばエンポリオのバーニング・ダウン・ザ・ハウス。スタンドの元ネタはこんなところが由来なのかもしれません。

まとめ:G.D.st刑務所とアルカトラズ島刑務所では元ネタにされたであろう共通点が多い
G.D.st刑務所とアルカトラズ刑務所を比較していました。全部そっくり!というわけではありませんが、特に建物の構造や規則などは元ネタとして参照された部分も多いのではないでしょうか。
そして意外と共通点が多かったのが囚人について。「鳥人間」から幽霊まで関係性が伺えることがチラホラ…これは偶然なのか、荒木先生がキャラ作りの参考にしていたのか、気になるところです。
6部の話あれこれ



参考文献
「Federal Brue of Prisons」https://www.bop.gov/about/history/alcatraz.jsp(2025年9月27日アクセス)
『Alcatraz』「National Park Service」https://www.nps.gov/alca/index.htm(2025年9月27日アクセス)