【6部】ストーンオーシャンのタイトルの意味を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険6部のサブタイトル「ストーンオーシャン」。「石作りの海」と書いてストーンオーシャンと読ませていたように、海に囲まれた刑務所をも指すタイトルでした。

でもストーンオーシャンには、他にはどのような意味があるのでしょうか。今回はその由来や意味について、考察してみました。

※7部以降のネタバレが少しだけあります!



1. ストーンオーシャンとジョースター家との関係性

まずはストーンオーシャンと、ジョースター家との関係性についてです。1部から続いたジョースター家の話がひと段落した6部ですが、両者にはどのような関係があるのでしょうか。

ストーンオーシャンの石とジョースター家

最初にジョースター家とストーンの意味との関係について見ていきます。

6部でストーンといえば、石作りの刑務所やスタンド名などが思い浮かびますが、6部以前で連想されるのが、ジョースター家の運命の元凶でもある石仮面です。そしてもう一つ思い浮かぶのが、ジョースター家の血を引く歴代主人公たちのスタンド名ではないでしょうか。「プラチナ」「ダイヤモンド」「ゴールド」など、石と関係の深い名前がつけられていました。

ところが7部以降のジョースター家では、スタンド名が石にちなんだものではなくなります。徐倫たちがいた世界の終幕を迎えた6部ですが、それは石仮面やスタンド名など様々な「石」の話の終わりでもあったのかもしれません。まさにストーンフリーだ…!

このようにストーンオーシャンのストーンは、ジョースター家に関わる石にちなんだ名前とも考えられそうです。そしてジョースター家の終焉とともに、石にまつわる話の終わりという意味も含んでいたのではないでしょうか。

ストーンオーシャンの海と徐倫たちの最期

次にオーシャンの意味と徐倫たちの最期についてです。さて海にはこのような象徴的な意味合いがあるそうな。

すべての生命は、広大な無辺の大海から現れて、いつかはその中に融解する。ミランダ・ブルース=ミットフォード(1997年)『サイン・シンボル事典』三省堂(34頁)

なんというか…6部の終盤を連想するような…特にこれを思い出しますよね~…


荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(183頁)

時の加速により承太郎たちの死体が腐敗していくシーンは、まさに海へ溶けていくよう。この最終決戦でジョースターの血を引く承太郎や徐倫は最期を迎える訳ですが、それは「死んだ=海に還った」と表現することもできます。だから象徴的な意味、比喩の面どちらから見ても、オーシャンという名前はジョースターの血を引く者の最期と関係が深いと言えるのかもしれません。

このように考えると、6部は石に関わる者たちが海に溶けるように還るという点で、ストーンオーシャンという名前を冠していたとも想像できそうです。超ぴったりなんだけど、ちょっと切ないネーミングでもあるよな~…

6部での象徴的な意味合いとの関係については、こちらもどうぞ~!

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2. ストーンオーシャンと、徐倫やストーン・フリーとの関係

次にストーンオーシャンと、徐倫やストーン・フリーとの関係について考えてみます。ここでは徐倫の成長や人物像という視点から、ストーンオーシャンの名前の由来を考察してみました。

ストーンオーシャンやストーンフリーの「ストーン」の意味と、徐倫の成長

最初にストーンオーシャンと、徐倫のスタンドであるストーン・フリーについて見ていきます。

さてジョースター家の石関係のスタンド名を見てみると、プラチナやゴールドといった名前が並ぶ中で、徐倫は「ストーン=石」とちょっと地味な気も…

でもそれは6部が徐倫の成長物語という一面があったからではないかな~と思います。徐倫に比べて承太郎たち歴代主人公は、初登場直後からスタンドの能力がパワフルで華やかでした。ほら…


荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険 』13巻 集英社(40頁)

意外とお喋りだよな、スタープラチナさん…無口な本体とのギャップがまた…

暴走気味だったスタープラチナですが、この後は花京院の命を救うまでの活躍を見せていたように、5部までの主人公は序盤からスタンド自体が強力で、その力を使いこなす描写が多い印象です。他にも仗助が承太郎を感心させる戦闘能力を披露したり、ジョルノは植物を生みだしたり…と序盤から宝石の名前に劣らないほど、華々しい印象ではないでしょうか。

一方で徐倫のスタンド名はただの石ですが、石は磨けば光り輝く可能性を持つものでもあります。実際にスタンド使いになりたての徐倫は、右も左も分からない状態から、自身のスタンドについて理解したり、力を生かそうとするシーンが数多く見受けられました。


荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』2巻 集英社(8頁)

だから6部がスタンド使いですらなかった徐倫が能力を手に入れ、その力とともに人生の輝きを持つまでの物語…と考えれば、スタンド名とサブタイトルに、宝石ではなく石を意味するストーンが使われたのはぴったりだったのかな~という気がします。

このようにストーンオーシャンのストーンの意味は、徐倫がスタンド使いとして成長することや、人間として煌めきを放つ可能性を持つ原石という意味合いも込められているのではないでしょうか。

徐倫の成長については、こちらでも触れています~!

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ストーンオーシャンの「オーシャン」と、徐倫の女性的な成長

次にオーシャンと6部の物語について考察してみます。荒木先生曰く、オーシャンは「女性の象徴」とのことだそうですが、もしストーンが徐倫の成長可能性を示唆しているのであれば、ストーンオーシャンは「光り輝く可能性のある原石を持つ女性」の意味を持つサブタイトルだったと考えられそうです。

たしかにメソメソしていたと言われた徐倫は、父を救うという強い意志を持ちながら、プッチに立ち向かうという大きな成長を見せました。しかもただ能力や精神力が強いだけではなく、優しさも見せていたのが徐倫の輝かしい成長だったんですよね~!特に年下のエンポリオに対しては、姉や母のような振る舞いを見せています。

荒木飛呂彦(2002年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』14巻 集英社(11頁)

アナスイやウェザー・リポートではこうはならんやろ…というような、包容力のあるザ・女性的な優しさの描写ですね~!数か月前までは保身を優先したロメオの言いなりとなり、マ…を見られたと大騒ぎし、飛びてーと連呼していた女の子が、家族や仲間に愛情表現をできる女性となるなんて…おねえちゃんぜんぜんチャウ人だよ…

このように考えると、徐倫の成長物語の一面を持つ6部におけるオーシャンの意味は、徐倫の女性的な成長を表していたのではないでしょうか。でも徐倫の性格って結構男前ですよね~!ただ隣にいるエルメェスが兄貴すぎるせいで、女性っぽく見えるだけで…

エルメェスが兄貴と呼ばれる理由については、こちらで考察しています~!

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ストーンオーシャンと、聖母マリアや徐倫との関係

そしてストーンオーシャンと、聖母マリアや徐倫との関係性についても見ていきます。さて荒木先生は単行本1巻で、以下のようなコメントを残していました。

JOJO第6部の主人公は女性です。なぜ『女性』なのか?そこの所なのだ問題は。JOJOの主人公なのだから、顔面にパンチをくらってもヘコたれないタフさが必要だ。(中略)でもそのギャップが逆に考えてみるとおもしろいかもと思った。しかも聖母マリア様のような大きな人間愛を持つ人。主人公は女性しかないと思った。

荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』1巻 集英社

徐倫が聖母マリアのようなイメージで描かれていることが伺えますが、先ほどのエンポリオへの優しさといい、たしかに女性的な愛情や温もりがある人物でした。

で、その聖母マリアですが、かつて「海の星の聖母」と呼ばれていたそうです。海に星に聖母って…もろ徐倫やないかい!キリスト教関連のネタが散見される6部なので、ストーンオーシャンの名前もこちらと関係がありそうだよな~…

だから6部と聖母マリアという観点から見てみると、徐倫の人物像のイメージとなったことはもちろん、ストーンオーシャンという名前の由来にもなっていたのかもしれません。星のアザがあり、母性のような愛情を持つ女性が、海に囲まれた刑務所に居るなんて、ドンピシャのサブタイトルすぎる…!

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3. ストーンオーシャンと親子愛の関係

最後にストーンオーシャンの名前と、親子愛との関係を考えてみます。

さて6部では、徐倫親子の関係性が重要なテーマのひとつでした。その徐倫が入っていたのは石作りの刑務所で、承太郎は海の学者…と考えると、ストーンオーシャンは2人に関係したフィールドが合体しているような名前であり、6部の重要なテーマでもある親子愛を象徴するサブタイトルにも見えてきます。

そして親子愛といえば、ストーン・フリーというスタンド名との関連も伺えそうなところです。6部の承太郎はDISCを抜かれたことにより、仮死状態となっていました。時々目を覚ましてはいるものの、その様子は「石のように動かない」という表現を想起させるのではないでしょうか。


荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』9巻 集英社(51頁)

なんかもう仏像みたいな静けさがある姿勢だよな…ドクターをぶん殴ろうとしてたけど。仮死状態でもオラァッ!

で、そんな承太郎を助けようとしているのが徐倫…と考えると、ストーン・フリーという名前は、石(=ストーン)のようになってしまった父を救う(=フリー)という意味合いが込められているとも言えるのではないでしょうか。父ちゃんへの愛がすごい名前だ…!

このようにストーンオーシャンという名前は、承太郎と徐倫を連想させるようにも見えそうです。そしてスタンド名のストーン・フリーも、石作りの刑務所から自由になることだけではなく、石のようになってしまった父を救うと意味も込められていたのかもしれません。

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まとめ:ストーンオーシャンは徐倫やジョースター家、6部のテーマと関連が深いサブタイトル

ストーンオーシャンの名前の意味について考察してみました。

ジョースター家との関係から徐倫の成長、親子愛と、様々な連想ができそうなこのサブタイトルですが、それは6部のストーリー、キャラクターを上手く絡めた名前なのかもしれません。

序盤は海に囲まれた石の刑務所と意味しているように見えるも、読み進めるうちに色々な意味合いが感じられるストーンオーシャン。「黄金の風」「ダイヤモンドは砕けない」といったタイトルに比べて、ちょっとひねりが効いていますが、読み終わると味わい深いタイトルにも見えるのではないでしょうか。

あと切なく悲しい話なのに、どこか爽やかなのもストーンオーシャンという名前と合っていますよね…みんな死ぬのに全く救いがない話でもないっていうね…

参考文献
ミランダ・ブルース=ミットフォード(1997年)『サイン・シンボル事典』三省堂

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