ジョジョの奇妙な冒険3部前期のエンディングでは、タロットカードとキャラクターたちを中心とした描写が見られました。
今回はエンディングに見られる小ネタをまとめながら考察してみます。
前期OP、エジプト編の小ネタはこちら



懐中時計と矢の小ネタ
エンディングは懐中時計のシーンから始まります。茨が巻きつき、反時計回りに回っているのは、ジョースター家の血統、承太郎以前からのジョースター家の歴史やDIOの因縁といった過去を表しているのではないでしょうか。
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
時計の長針が矢の影に変わると、縦横に動いていきます。途中で星の一筆書きのような動きを交えるところが、ジョースター家との関わりを感じさせますよね~!
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
その矢にさらに3本の矢が交わり、4本の矢で作り出すのは、イギリス国旗のような模様。ジョースター家がイギリスの貴族だったことを思い出します。
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
4本というのは、エンヤ婆とDIOが使った矢(承太郎のスタンド発現に関与)、形兆が使った矢(アンジェロ戦で判明)、吉良吉廣の矢、徐倫に渡した矢と承太郎と関わりの深い矢の本数を表しているのかもしれないよね。

キャラクターたちのポーズの小ネタ
次のシーンでは各キャラクターが自分のタロットカードを持って登場します。まずは承太郎。
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
23巻表紙にもなった絵のオマージュのようで、ピンクや水色を基調とした色使いがそっくり!両掌を下に向けるポーズは13巻表紙らしくもあります。
花京院は左手でタロットを持ち、右手は左ひじにつけて少し広げていました。
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
「ズアッ」や14巻表紙に似ていますが、花京院はこの系統のポーズが多いですよね~!足は糸状に触脚を伸ばしたハイエロファントグリーンに繋がり、周囲にはエメラルドスプラッシュの弾丸が。こちらは灰の塔戦や恋人戦を思い出すところです。
マジシャンズレッドがカードをくわえると、今度はアヴドゥルが現れます。
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
マジシャンズレッドは初登場時に近そう。アヴドゥルは承太郎戦、ジャッジメント戦など、両手を広げるポーズが何度かあるのでそれが元ネタかな~…
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(27、25頁)
首飾りでおなじみのアンクが映し出された後には、ハーミットパープルをまとったジョセフが登場。
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
ジョセフは12巻表紙、DIO戦前の「安心するんじゃ」など帽子に手を置くポーズを時々見かけます。2部の「またまたやらせていただきましたァン」も帽子はありませんが、頭に手をかけるポーズでした。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』11巻 集英社(102頁)
ポルナレフはシルバーチャリオッツと向かい合わせに立っていました。このコンビ、よく同じポーズや動きをしていますよね~!
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
右手を上げるのは、アヴドゥル戦のこれが元ネタかな~…
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(33頁)
なんだかイマイチ同じポーズが見つかりませんが、もしかしたら全員ドンピシャのポーズはないのかもしれないよね。明確な元ネタがあるというより、各キャラクターを象徴するような姿勢をとらせているシーンだったりして…!

エジプトの街を歩くシーンの小ネタ
最後は全員が後ろ姿で歩く場面へ。5人の並び順は違うものの、前期オープニングの各国を歩くシーンと非常に似ています。ここではモスクらしき建物が見えるので、旅の終着地点であるエジプトのカイロを目指して歩くイメージなのかもしれません。曲の「Walk Like an Egyptian」ともよく合いますよね~!
津田尚克監督.ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Vol2. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2014(Blu-ray)
背景の模様や色使いはペット・ショップ戦の見開きページ、電子書籍の表紙で使われた1枚とよく似ていました。
瞳が閉じられ、5人がエジプトの街並みに吸い込まれるような演出でエンディングは終了します。エジプト編への流れを感じさせる終わり方ではないでしょうか。

3部エンディングの選曲が「Walk Like an Egyptian」の理由
ここでThe Banglesの「Walk Like an Egyptian」が選曲された理由を考えてみます。エジプトに関する曲名ですが、前期はエジプト到着までの話で、エジプトの旅がメインではありません。一体なぜ…?
まずは歌詞に注目してみます。
All the Japanese with their Yen(日本円を持っている日本人も)
The party boys call the Kremlin(クレムリンに電話をかけるパーティボーイも)
And the Chinese know(中国人も知っている)
(Oh whey oh)
They walk the line like Egyptian(エジプト人のようにバランスを取って歩くことを)※カッコ内は筆者注 ※クレムリンはロシア政府のある場所
The Bangles(1986年)『Walk Like an Egyptian』 Columbia
各国の人々について言及されてますね~!他にも「ナイル川のバザールの商人」「水たばこを吹かす外国人」など、歌詞の中では様々な人が登場しており、多国籍軍だったジョースター御一行と共通点が伺えるのではないでしょうか。
また歌詞の中では何度も「Walk Like an Egyptian(=「エジプト人のように歩こうよ)」と繰り返されます。「エジプト人のように」というのは恐らくエジプト人の精神のこと。エジプト人っておおらかなんですよね~!日本人のように規則や約束は絶対に守るきっちり感とは違い、「行けたら行く」的なマインドというか…
各国を旅する以上、カルチャーショックは避けられない3部の道のり。そんな旅路だからこそ、文化の違いも楽しもうぜ!広い心で旅しようぜ!という意味も込められているのかもしれません。まさにエジプト出身のアヴドゥルの「これだからいいんですよこれが!」の心意気ね。
あとはエジプト編は、「Last Train Home」のようなしっとりした曲調の方が合いますよね~!なんせあの結末だからな~…軽やかなこの曲より、思わず旅路を振り返ってしまうような感傷的な曲がふさわしいからこそ、エジプト編ではなく前期のエンディングに選ばれたのかもしれません。

まとめ:ジョジョ3部前期のエンディングはタロットカード、エジプトまでのバトルの小ネタが多そう
ジョジョ3部前期のエンディングの小ネタを考察してみました。シンプルながらも、ジョジョ好きは思わず元ネタを探したくなってしまうようなシーンが数多くあった印象です。
「Walk Like an Egyptian」の選曲も3部らしくていいですよね~!激しいバトルが繰り広げられながらも、明るさと遊び心を忘れなかった3部前期の旅路によく合う曲ではないでしょうか。
3部前期の話いろいろ



















