ジョジョの奇妙な冒険3部は様々な国籍や家出少女など多様なキャラクターが登場する話でした。
今回はアンちゃんのその後について、ジョースター御一行の元ネタを探しながら考察してみました。
1. ジョジョ3部キャラの元ネタは『吸血鬼ドラキュラ』!?
まずは3部の元ネタについてです。これね~~~多分ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』だと思うんですよね~…題名からもお察しのように、非常にジョジョと関連が深いようで…なにしろジョナサンら御一行が吸血鬼退治をするというのが、超ざっくりとした話のあらすじだからね!もろジョナサンvs吸血鬼ディオやん!
ここで注目したいのがジョナサン御一行のグループ編成。イギリス、オランダ、アメリカなどの国籍を持つ6人組と、3部に似ています。ドラキュラ退治作戦のリーダー格で若者5人を引っ張るのは、エイブラハム・ヴァン・ヘルシング教授というおじいちゃんと、なんだかジョセフっぽいですね~…主人公のジョナサン・ハーカーはイギリス人と、イギリスの血を引く承太郎を、ジョナサンの婚約者であるミナは紅一点で、家出少女アンを想起させます。まあアンOUT犬INになっちゃうんだけど…
精神科医のジャック・セワードは教授に次ぐブレーン的な存在で、花京院に近そうです。ドラキュラ退治の日々では「脳に影響が出始めたのかも」「自分でもよくわからなくなってきた」と死神13戦ばりに困惑し、ミナを襲うドラキュラを目撃した際には「首の後ろの毛が逆立ち、心臓が止まった気がした」とDIOに出会って「体中の毛が逆立ち、全身が凍りついた」という言葉そっくりの反応を見せていました。
アーサー・ホルムウッドは作中で父親と、吸血鬼化した婚約者ルーシーが死亡。ルーシーの死に何度も涙を流すも、アンデッドとなった彼女のとどめをさすために、自らの手で心臓に杭を打ち込みます。こちらはポルナレフの大切な人の喪失、涙もろさ、アニメ版では土人形のシェリーの胸に剣を突き刺すシーンと共通点が感じられるのではないでしょうか。
そして最後のひとりはテキサス州出身でルーシーに恋したクインシー・モリスです。消去法的にアヴドゥルっぽいはずなのですが、共通点はね~…死ぬところくらいかな。いや正義感が強くてアーサーを元気づけたりといいやつなんだけど、モリス自体の影が薄くてキャラが見えてこないんですよね…アヴドゥルごめん。
とはいえ、どことなくジョースター御一行っぽさがあるジョナサン御一行。『吸血鬼ドラキュラ』は映画化もされているので、映画好きの荒木先生がキャラ作りの参考にされたのかも…!?

『吸血鬼ドラキュラ』にも表現された3部キャラの強さ
『吸血鬼ドラキュラ』の影響は、ジョースター御一行の強さにも見られるようです。ジョセフにあたるヘルシング教授がドラキュラ退治の際、仲間を鼓舞するための発言を見てみると…
我々の側には、団結の力がある。これは、吸血鬼族にはない力なのだ。我々は科学を用いることができる。自由に考え、行動することができる。昼の時間も、夜の時間も、同様に用いることができる。事実、我々の力は、それが及ぶかぎりもおいてはなんの制約もないのだ。我々は自由にその力を用いることができる。我々は自己犠牲を厭わず、ほかの人々のために、ある目的を達成することができるのだ。こうしたことが、実に大きなことなのだ。ブラム・ストーカー(2000年)『ドラキュラ 完訳詳注版』水声社(256頁)
もろクルセイダースですね~~~~!!!自己犠牲のくだりなんてヴァニラ・アイス戦以降の流れはもちろん、DIOのこの台詞にもそっくりでは…?
ジョースターたちは……自分の娘あるいは…母親の命を救うために自分らの命を捨ててもいいと心の奥底から思っており 花京院や他の2人………ええとなんだっけ…………そう…アヴドゥルやポルナレフにおいてさえこのDIOを倒すために自らの命をひきかえにしてもいいと思っている
このDIOから逃げるということは自分の人生から逃げることだと思い込んでいるのだな……………………………バカげたことだが………しかし そのバカげたことがけっこう重要なのだな ダービーのヤツは忠誠を誓うといっておきながら このDIOのために死んでもいいという覚悟ができてなかったということだ…だからあとほんのチョットという所で勝利がつかめない… ダービーには 負けた理由が永久にわからんのだ……荒木飛呂彦(1992)『ジョジョの奇妙な冒険』26巻 集英社(15頁)
元部下の名前は出すのに犬の話はしないDIO様。昔から犬嫌いだからな…
ジョースター御一行の強さを自己犠牲と団結力と評し、言い回しもヘルシング教授と激似ですよね~…やっぱり3部は『吸血鬼ドラキュラ』の影響を受けているんじゃないかな~…

2. 家出少女アンは仲間になり得たのか?
ここからはミナのポジションに当たる家出少女アンちゃんについてです。そもそもスタンド使いでないアンが仲間になる予定だったのか自体疑問ですが、これね~多分仲間になったと思うんですよね~…注目したいのが荒木先生の女性の描き方で、こちらはアン登場直前に出てきた客室乗務員さん。
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(9頁)
ごく普通の成人女性の見た目です。そしてこちらがアンちゃん。
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(86頁)
これはクルセーダース仕様の肩パッドですわ。なおアニメ版はもっとゴツい模様。
承太郎たちに負けず劣らずですよね~!この描き方を見るに、承太郎らの仲間になる予定で、ジョースター御一行と並んでも見劣りしない肩幅がデザインされていたんじゃないかな~という気がします。文字通り、肩を並べるというやつね!

3. 家出少女アンのその後の予想
今度はアンのその後について、ミナの展開を基に予想してみました。ミナは作中でジョナサンと結婚し、共に吸血鬼討伐に出発するものの途中でドラキュラに襲われることに…女性らしい母性が描かれ、時にチームの心の癒しとなっていたミナへの被害に男たちは怒り悲しみ、あらためて打倒吸血鬼を誓い合います。
優しくも勇敢さを持ち合わせるミナもまた、催眠術をかけて!とヘルシング教授に懇願し、最後まで帯同。ミナはドラキュラ土地を交わすことになるのですが、その影響で催眠術下ではドラキュラの見聞きしたことを探ることが可能になり、居場所を突き止める活躍を見せました。めっちゃキーパーソンやん…
で、この流れがアンにも採用されたとすれば、DIOや部下に襲われる可能性が高そうですよね~…それを見て「ましてや女をーっ!」と承太郎はブチギレ、ジョースター御一行の団結力も高めながら打倒DIOに挑む展開だったのではないでしょうか。ミナが催眠術でドラキュラと通信したように、アンの体にジョセフのハーミットパープルを潜り込ませてDIOの動向を探るなんて流れもあり得たのでは…?
また作中でミナはジョナサンと結婚しています。バトル漫画なので承太郎とアンちゃんにロマンスがあるかはわかりませんが、深い絆や友情を結ぶ予定だったのかもしれないですよね~!アニメ版の別れ際なんて、アンちゃんは飛行機から旅の成功を願い、承太郎も滑走路にまで降りてきてたしね。クルセーダース、すぐ危ないことする。
ちなみにアンの名付け親は荒木先生だそうですが、同名に吸血鬼などを描いた小説家アン・ライスがいます。アンの元ネタはこんなところにもあったりして…!?
3部のロマンスになりかけた話もあります

4. 家出少女アンのその後はアシスト役止まり!?ミナはホリィさん説
でもね、やっぱりアンは帯同予定だったとも言い切れないんですよね~…ということで最後にミナはホリィさん説について考えてみます。優しく勇気があり、男共の団結力を高め、ドラキュラと共鳴できたミナですが、この役回りはホリィさんに描かれていたととることもできそうです。なんせ母性にあふれ、自分の体調不良は口にしない強さがある人だもんね~!DIO復活で床に伏し、消滅で回復と、血の繋がりを見せたところも似ています。
そしてホリィさんの体調不良を受けて、男たちの団結力が表れていたのがこちら。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(162頁)
この3コマのスピード感よ…同意から出発まで早すぎる。
承太郎とジョセフが怒り悲しむのはもちろん、身内ではない花京院とアヴドゥルもホリィさんを慕い、戦う意志がはっきりと描かれたこのシーン。4人の並びにも並々ならぬ団結力が見える気さえしますよね~!直前のコマでは花京院が「人の心をなごませる」「そばにいるとホッとする」とホリィの母性について触れていたのも、ミナとの共通点を感じさせるところではないでしょうか。
もしミナがホリィさんに当たる人物だったとすれば、アンは全く別の役回りのはず。色々考えられますが、例えば途中退場まではしなくとも、全行程には帯同せず、フットワークの軽さを生かしたアシスト的な役として時々登場させる予定だったとかね。それはそれでちょっと見たかったな~…

まとめ:家出少女アンのその後は仲間になり、重要な役回りを果たしたのかも
家出少女アンについて、3部の構成と元ネタから考察してみました。
途中離脱となってしまったアンちゃんでしたが、『吸血鬼ドラキュラ』のミナのように帯同し続ければ団結力を高めたりと重要な役割を担っていたのかもしれません。承太郎との絆も気になるところでしたよね…!
また『吸血鬼ドラキュラ』が3部のメンバー構成や精神と共通点があるのも面白いところ。美術や音楽、映画、小説などからの影響が見られる作品なので、元ネタを発見するのが楽しいですよね~!これだからジョジョの考察はやめられないんだわ。荒木先生、ありがとうございます…!



参考文献
ブラム・ストーカー(2000年)『ドラキュラ 完訳詳注版』水声社