ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したチョコラータとセッコ。ジョジョ史上屈指の突き抜けた悪役コンビでした。
一見仲が良さそうな2人でしたが、セッコはチョコラータの敗北を知ると「カス」「好きじゃない」と発言。この言葉の真意と両者の関係性について考察してみました。
1. セッコがチョコラータとコンビを組んでいた理由
最初にチョコラータとセッコがコンビを組んでいた理由を、2人の性格面を中心に考察してみます。まずチョコラ―タはボスの座を狙うほど野心のある人物で、上に立ちたがる理由についてこう述べていました。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』61巻 集英社(12頁)
強者は弱者を支配する資格や運命があるからとのこと。人の死の観察に幸福や自分の優位性を感じ、人生の心理を理解できたとすら感じるチョコラータなので、元々他人より上の立場であることを好む性格かつ、能力のある自分は上に立つべきという思考なんでしょうね~!
一方セッコは安心感を求める人物として描かれていました。チョコラータの敗北を知った際の台詞を見てみると…
あんたは頭もすごく良くて…角砂糖投げて遊んでくれるし預金もいっぱいある そんでとても強い…
って………思っていた………だから あんたの言う事聞いていれば安心と…思っていた…
でも 弱いじゃあねえーかよォォォ負けちまったんじゃあよオオオオオオオオオ
そんなカスもう好きじゃなくなったよッ!ぜーんぜんねェェェェッ!荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』61巻 集英社(19頁)
チョコラータの預金事情を知ってるの、生々しくていいよね。ちなみに数年前の調査によるとイタリア人の75%は貯蓄額が5000ユーロ以下だそう。少なっ!
強くて頼りになり安心できるから好きだったチョコラータ。でも敗北を知った今、弱い人間の下につくのは不安なのか、カス呼ばわりまでしていました。かわいそ…ブチャラティに追い詰められた際にも「やっぱり組織に仕えた方が気楽でいい」と話しており、誰かの庇護のもとで過ごしたい性格のようです。
つまりチョコラータとセッコは互いに支配したい者、されたい者という、両者の思惑が一致していたからこそのコンビだったのではないでしょうか。主導権を握りたがるチョコラータにしてみれば、上の立場を狙うことがなく、ボスの座を奪うために役立ちそうな高い戦闘力を誇るセッコはちょうどいい相方で、セッコも強いチョコラータの下では安心できたんでしょうね~!しかも互いに常人離れしているからな~まさに相思相愛なんだよな…
2. セッコはチョコラータのことを本当に嫌いだったのか
次にセッコのチョコラータに対する感情について考えてみます。さてブチャラティ戦の前に留守電をチェックしていたセッコ。声の主がチョコラータとわかると…
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』61巻 集英社(8頁)
飼い主が帰ってきた時の犬やん。本当ペットみたいなんだよな~!
録音を聞いてミスタを倒したと知ればガッツポーズをし、帰ったら背中をかいてやると言われれば喜び、角砂糖を5個投げてもらえると聞けば「うへーっ♡」と大興奮。チョコラータ本人の前での態度ではないので、演技ではなく正直な感情のようです。大好きじゃんね…
でもセッコが好きなのはあくまでも「強くて自分を安心させてくれるチョコラータ」であってね。敗北した以上は「弱くて安心できないチョコラータ」であり、好きではないんでしょうね~…
しかもセッコにはチョコラータのために敵討ちをしよう!なんて描写は一切ありませんでした。あれだけ楽しそうに角砂糖で遊んでいたのに…?と言いたくなりますが、このあっさりとした関係性こそ2人の特殊さなのかもしれません。プロシュートの覚悟を見て本気になったペッシや、スクアーロとティツィアーノのような固い絆は一切なく、あくまで利害が一致していたからこそ組めたコンビなんだろうな~…
ただしセッコの「そんなカスもう好きじゃなくなった」発言が本音ではなく、強がりの可能性もあります。とはいえチョコラータの野望だった打倒ディアボロをあっさりと諦めて、組織に戻ろうとしていたからね~!チョコラータ敗北のショックによる言葉とも考えられますが、相方を失った悲しみや、ジョルノたちへの怒りや復讐心の描写がないので、深い情のある関係とは言い難いようです。
なかなか情に厚そうな暗殺チームの話もあります
チョコラータはセッコのことが好きだったのか
ところでチョコラータはセッコのことをどのように思っていたのでしょうか。注目したいのは角砂糖を投げるこのシーンです。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』60巻 集英社(23頁)
殺人には罪悪感がないのに暴投は謝るチョコラータ大先生。ヒィッ…
この直前にもカメラで撮影できたご褒美に角砂糖を欲しがるセッコに対し、「そうだすまない忘れてた」と謝っていました。罪悪感が欠如しているチョコラータが素直に謝罪するあたり、セッコへの丁寧な態度が感じられますよね~!
あとはセッコの凡人じゃないところを気に入っていたとかね。もしセッコがチョコラータに懐くようなタイプではなく、スタンド使いの才能もなさそうなごく普通の患者だったら、きっと殺害されていたんじゃないかな~…留守電には「お前は強い、だからお前のことが好き」と入れていたように、セッコの性格と能力の非凡さを見抜いていたからこそ、良くしていたのかもしれません。
ビデオ撮影など頼んだ仕事をしっかりとこなし、ディアボロを倒してのし上がるための戦力としても十分だったセッコのことを、チョコラータは好いていたようにも見えます。ただセッコが敗北した時にチョコラータは悲しむのか、と言われると難しいですよね~…あくまでも「気に入っていた」だけで深い愛情とは違う気もするし…なんせあの性格だからな~……
3. アニメ版のセッコがチョコラータの名前を叫ぶ謎
最後にアニメ版でのセッコの死に際の台詞についてです。ブチャラティのジッパー攻撃を食らい、パニックになるセッコ。うっかりチョコラータが放り込まれたのと同じゴミ収集車にボッシュートしてしまい、チョコラータの名前を叫びながら最期を迎えました。でもなぜカスとまで評したチョコラータの名前を叫んでいたのでしょうか。
死を前にして思わず口をついて出たのがコンビを組んでいたチョコラータの名前だったのか、ブチャラティを前に「組織と戻りたい」と発言するも、それが叶わぬ夢と気づいて再度チョコラータの下につこうと思ったのか…色々な理由が考えられそうですが、このシーンの台詞を聞いてみると…
あっチョコラータ、チョコラーターッ!ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風: グリーン・ディとオアシス その3 . TOKYO MX, 2019-06-01.(テレビ番組)
「あっ」って何????
自分の最期を悟ってパニックになる中で、チョコラータの名前をふと思い出したという「あっ」なのかもしれません。でもこのゴミ収集車、チョコラータが入ってるやつでしょ…?ということはゴミにまみれたチョコラータを発見した「あっ」の可能性もあるんですよね~…ホラーすぎる…
想像力をかき立てられるセッコの「あっ」ですが、いずれにせよ散々こき下ろしたチョコラータと最後まで縁が切れることがなかったのは確かなようです。ミスタが「小指が赤い糸で結ばれてるコンビ」と評しただけのことはあるよな~!
まとめ:セッコはチョコラータに絶大な安心感を持っていたが本当に嫌いになった可能性もありそう
セッコとチョコラータの関係性について考察してみました。
飼い主とペットのようでもあり、仲が良さそうで深い絆が感じられなかったり…唯一無二の不思議な関係だったこの2人。そもそも名前の意味が甘いチョコレートと辛いを意味するセッコだもんね~!いいコンビだけどやっぱり相容れないという設定だったりして…
しかしあれだけ懐いていたのにあっさりと手のひらを返せるところが、セッコの際立ったキャラクターですよね~!ぶっ飛んでいるというか、素直すぎるというか…
参考文献
MONEY PLUS「日本より貯蓄率が低いイタリア、平気で生活を送れる理由」https://media.moneyforward.com/articles/3144(2024年8月16日確認)
5部の話はこちらもどうぞ~!