DIO(ディオ)はなぜ人間をやめる決意をしたのか理由を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険に登場したDIO(ディオ)。ジョースター家に立ちはだかる敵として2部に渡って登場しました。

人間をやめて吸血鬼になった過去を持つDIOですが、なぜ人間をやめる決意をしたのでしょうか。考察してみました。


1. 人間をやめることができるほど人生に執着のないDIO(ディオ)

まずはDIOの人間生活への執着についてです。石仮面の力で吸血鬼となったDIOですが、人間をやめるということは、今までの人生から全く別の道を選ぶこと。つまり人間としての人生に執着があるほど、やめる決断は難しくなるはずです。

でね、石仮面を使用した時のディオって何不自由ない生活をしていたはずなんですよね~…父親の薬代すらままならなかった生活から、衣食住が完璧に保障される貴族の家で過ごしていたんだもんな~!しかもジョースター卿もジョナサンも優しいし…

でもディオはダリオの遺言でもある「誰にも負けない一番の金持ちになれ」を目標にし、財産の乗っ取りを目論み続けていました。恵まれた環境に満足できず金に執着し続けた訳ですが、それは家族団らん、人の温もりといった形のない幸福を享受できなかったからじゃないかな~…だって母ちゃんはダリオのせいで他界して、その父ちゃんは酒浸りでしょ~!?家族があるゆえの幸せを知る機会がなかったんだろうな…

一方で金のような物理的な幸福は理解できるのではないでしょうか。お金があれば薬を買って健康になれる、酒を買って欲望を満たせると、ディオは金が幸福に直結することを知っていたはずです。しかもお金は目に見えて金額がわかるので、自分の成功の度合いが一目でわかるからな~!努力家で行動力のあるディオには最も幸福を感じやすいものだったりして。

でも人間らしい幸福ってやっぱりお金だけではない訳でね…ダニーやエリナを取り上げて、ジョナサンを孤独でカラッポにしようとしていたディオなので、他人の存在が人を幸福にすることには気づいていたはずです。でも同じ屋根の下で暮らしたからこそ、自分がジョナサンのように何気ない幸福を享受できないこと、そんな幸福には満足できないことをあらためて自覚したのかもしれません。

だからディオは物理的な幸福の尺度しか持っていなかったために、人間としての人生に未練が少ないのではないでしょうか。あとは今までの人生に対する嫌悪感もあったりとかね。ジョースター家のような幸せな家族像があることに気づき、自分の過去にどこか空しい気持ちを抱えていたりして…切ないな…

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「人間をやめるぞ」のシーンから見えるDIO(ディオ)の上昇志向

次にディオの上昇志向と人間をやめる決意との関係を見てみます。さて人間やめる宣言をしたシーンをあらためて見てみると…


荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』2巻 集英社(61頁)

すごい嬉しそうだな、ディオ。全然未練ない顔じゃん…

策がなかなか上手くいかんから人間越えなきゃとのこと。なんせジョナサンをカラッポに!と意気込んでいたのに、思いのほか精神力が強いわ、ジョースター卿に毒薬飲ませようとしたらバレるわだもんね~…法的に相続が認められる立場になるまで、長年仲良いフリまでしたのに…

どんな策を講じてもディオを阻んでくるジョナサン。しかも家族を守る!というディオには理解しがたいであろうモチベーションで。「一番の金持ちになる」と頂点に立ちたがったディオにしてみれば、同じ人間であるジョナサンはあまりにも強敵で分かり合えなくて邪魔なんですよね~…そりゃ~人間を超越した存在を目指したくもなるのかもしれません。

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DIOが人間のジョナサンに尊敬の念を抱いた理由

ここでちょっと寄り道して…1部終盤でディオがジョナサンを尊敬すると話した理由を考えてみます。吸血鬼の道を選んだディオですが、人間をやめてもやっぱりジョナサンは立ちはだかってくる訳で…邪魔な存在のはずですが、ディオはジョナサンを敬っているようでした。


荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』5巻 集英社(97頁)

魂、力、勇気を尊敬していると気づいたとのこと。力はさておき、ジョナサンの魂と勇気の気高さにディオが共感できるもんかね…?となんだか怪しいですよね~…しかも殺害してボディを奪うことについては、こう述べています。


荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』5巻 集英社(98頁)

1コマごとにズームインしてくるディオ。なんかジワジワくる。

「2人で1つの存在なので俺がボディを手に入れて永遠を生きる」「尊敬しているから楽に殺してやる」とのこと。上から目線やんけ…

とはいえ吸血鬼に立ちはだかるジョナサンの実力もまた確か。強い自分を窮地に立たせたジョジョはすごい!と自尊心と素直さが合わさったような気持ちがあるんでしょうね~…あとはボディの価値を高めるために強さを認めているとかね。ここでジョナサンを尊敬すればするほど、ボディを入手した時に素晴らしいものを手に入れられたという満足感が高まるはず。そんな効果も見据えた言葉だったりして…

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2. 人間をやめたDIO(ディオ)は「太陽が苦手」に見える比喩的な意味

次に太陽とDIOとの関係についてです。吸血鬼の性質上、太陽が苦手だったDIO。でもこの太陽には比喩的な意味もありそうで…

太陽は世界を明るく照らし、草木を芽吹かせるといったポジティブな比喩として使われます。「太陽のような人」と表現すれば、快活でムードメーカーのようなイメージですよね~!で、ジョナサンは貴族の家で育ち、アマちゃんと言われるほど人に優しく、波紋の才能がありすぎてはなさかじいさんばりに枯れ木に花を咲かせるなど、輝かしいバックグラウンドと性格の人物です。まさに太陽やんけ。

一方のDIOの過去は、貧乏な家庭で育ち、酒浸りの父やダニーを殺害し、養父のジョースター卿にまでも手をかけようとしていました。努力家でもありますが、それは一番の金持ちになりたい!という野望のためであり、目的のためには手段を選ばず、どこまでもストイックになれるキャラクターです。

かなりダークな人物像でしたが、だからこそディオにとって太陽のようなジョナサンはあまりにも明るすぎたはず。しかもこの手の精神性は後に黄金の精神」と表現されていたし…そんなの太陽の光が届かぬ闇の中で暮らすDIOには眩しすぎるよね…

だからDIOが太陽が苦手だったのは、吸血鬼の性質であることはもちろん、輝かしい精神性と相容れないという比喩も考えられるのではないでしょうか。ンドゥールが「悪には悪のカリスマが必要」と言っていたように、いくらジョナサンの精神性が高くとも誰にでも共感できることではないんだろうな~…

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DIOの息子としてジョルノが生まれた皮肉

ここで息子のジョルノと比較をしてみます。太陽が苦手なDIOですが、その息子はなんと、「日」「明けた白日(=太陽、昼間)」の意味を持つジョルノではありませんか!皮肉だね~~~~~!!!!

名もなきギャングとの出会いで人生が好転したジョルノですが、母親は夜の街に繰り出し、義父には暴力を奮われ…とその生い立ちはDIO同様に恵まれたものではありませんでした。じゃあ心優しいジョナサンやジョースター卿が身近にいたディオにだって、変わるチャンスはあったはずでは…?

それでも変化がなかった理由は、共感の差ではないかな~と思います。ジョルノが出会ったのはギャングというアウトローな存在で、家族でもはみ出し者のような扱いだった自分と共感できる部分があったはず。でもディオとジョナサンには、あまりにも共通点がなかったんでしょうね~…「生まれついての悪」とボンボンの大アマちゃんだからな~!共感できないどころか、ジョナサンの発言なんて綺麗事にしか聞こえず、腹立たしさすら感じることだってあったりして…

DIOも自分と近い境遇の人間に出会っていたら、全く違う人生を歩んでいたのかもしれません。でもジョルノのような高潔さのあるアウトローにはなれなかっただろうな~…なんせ正義感よりも金が大事だからな…

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3. 3部のDIOの敵は承太郎たちだったのか

最後に3部のDIOの敵についてです。エジプトにやってくるジョースター御一行を迎え撃つDIOですが、本当に敵は承太郎たちなのでしょうか。まずDIOの人生観を見てみると…


荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(133頁)

姿勢がいいですよね(率直な感想)姿勢の良さはオーラに通じるとはこのことよ…

3部になっても1番でありたいという目標を持ち続けていたDIO様。そのために恐怖を克服したいようですが、恐怖の対象について、こう述べていました。


荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(134頁)

いちいちポーズが面白いな。しかも寝癖(?)がすごい。

「ジョースターではなくジョースターの血統はあなどれん」とのこと。つまり承太郎とジョセフというより、ジョナサンのように他人のために強烈な爆発力で戦い、いつもDIOの計画を邪魔するジョースターの血統が恐怖ということなんでしょうね~…そりゃ~太陽のような精神性の一族が毎度邪魔してきたら気になるよな…

しかもそのジョースター家と一緒にやってくるのは、DIOがスカウトしたほどの実力者のアヴドゥル、花京院、ポルナレフ。ジョースターの血統が引き連れてきたというだけでもイヤな予感がしますが、DIOと出会った際に畏怖の念や不安を抱いた3人が恐怖を乗り越えてやってくるなんて…自分の信念である「生きることは恐怖を克服すること」を地で行く男たちが来るってことだもんな~!しかもなんか犬までいるし。

そんな3人を警戒していたことがわかるシーンがこちら。


荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』26巻 集英社(15頁)

一人だけ印象に残っている花京院。絶対ゲロのせいだよ…

打倒DIOに命を賭ける覚悟があるために花京院たちが気になるご様子。そんな男たちが仲間だなんて、やっぱりジョースターの血統はうっおとしいはずだよね…

DIOの言うとおり、ジョースターの血統とDIOは切っても切れない関係なのだと思います。それでも排除したかったのは、目標達成の邪魔かつ、自分とは絶対に相容れない精神性ゆえなのかもしれません。だからDIOが戦っていたのは承太郎たちそのものというより、ジョースターの血統、精神性、DIOと絡み合う運命なんでしょうね~…

でも結局は承太郎をブチギレさせ、敗北してしまったDIO。ジョースターの血筋はあなどれないと思っていたことは、間違っていなかったんだよな~!いつもカンはいいんですよ、DIO様は…

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まとめ:DIO(ディオ)が人間をやめる決意をしたのは上昇志向と未練の少なさゆえでは

DIO(ディオ)が人間をやめた理由を中心に考察してみました。

石仮面をかぶるという決断をしたディオですが、それは人間としての人生への未練の少なさ、上昇志向など様々な理由が重なった結果だったのかもしれません。そして太陽に隠れて生きるようになったのは、ジョースター家のような輝かしい精神性とは相容れないという比喩とも想像できそうです。

しかしDIOは吸血鬼になってもジョースターの血統に恐怖していましたが、あの家との因縁は確かにすごいですよね…元部下や息子に接触してきた上に、友達にまで立ち向かってくるし。DIOが言うように、確かに運命なんだよな~…

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