ウェザー・リポートは徐倫にとってどのような存在だったのか関係性を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険6部に登場したウェザー・リポート。承太郎を助け出そうとする徐倫のために、力を貸したキャラクターです。

そんなウェザー・リポートですが、徐倫にとってどのような存在だったのでしょうか。考察してみました。


※6部のネタバレが一部あります!

1. ウェザー・リポートと徐倫の仲

まずウェザー・リポートと徐倫の仲について、考察してみます。まず2人の仲の良さを象徴するシーンとして、印象的だったのがこちら。


荒木飛呂彦(2002年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』11巻 集英社(35頁)

アナスイ、この後大パニック。ウェザーは徐倫のトイレの処理もしたことあるんだよ、アナスイ…

このウェザー・リポートは偽物だった訳ですが、徐倫が驚いたり拒否していない辺りから、抱き合うのが普通、あるいは不自然ではない仲であることが伺えます。つまり徐倫は、ウェザー・リポートにかなり心を許していたのでは…!?

実際、父ちゃんは危篤だわ敵は強大だわ…と、とんでもないストレスを抱えていたはずの徐倫。そんな状況下であれば、年上の異性に抱きしめられることに、安心感や愛情表現を感じても不思議ではありません。

このように考えると、ウェザー・リポートは徐倫にとって、安心感があり、心許せる大事な相手だった、と言えそうです。

2. ウェザー・リポートと徐倫の父・承太郎の比較

次にウェザー・リポートと徐倫の父である承太郎を比較してみます。ジョジョファンの間では、似てない…?とまことしやかに囁かれていた2人ですが、まずウェザー・リポートはこのように紹介されていました。


荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』5巻 集英社(81頁)

鼻息情報まで入れてくれるエンポリオ少年。丁寧すぎる自己紹介。

でもエンポリオの言うとおり、ウェザー・リポートは物語中でも無表情で口数も少なめ39歳のアラフォー男性であり、アナスイとは一味違う大人の男性として描かれていた印象です。

で、このウェザー・リポートのプロフィールって、承太郎にそっくりなんですよね~!3部以来、爆笑していない無口の無表情タイプだし、6部時点での年齢は40~41歳…と、なんだか似てる~~~~!!!

このように見てみると、徐倫にとってウェザー・リポートは、父・承太郎とどこか似てる人だったのではないでしょうか。きっと親近感を感じていたんじゃないかな…!

ウェザー・リポートと承太郎の、徐倫への接し方の比較

ウェザー・リポートと承太郎について、今度は徐倫への接し方を比較しながら、徐倫とウェザー・リポートの関係を考えてみます。注目したいのは、ラング・ラングラー戦です。この戦いの途中、ウェザー・リポートは雲のスーツを破壊された徐倫に対し、命の危機を顧みずに自分のスーツを渡しています


荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』6巻 集英社(50頁)

徐倫を優先的に守ってくれる訳ですが、それは承太郎が徐倫にしていたことでもあります。ジョンガリ・A戦では弾丸から、プッチ戦ではナイフから徐倫を守ろうとしたりとかね…

でもジョンガリ・A戦での承太郎の行動が、親子関係改善のきっかけのひとつだったということは、徐倫が心から欲していたのは、自分を全力で守ってくれる人だったんですよね~!本来守ってもらえるはずの弁護士にすら、裏切られちゃったんだもんね…!

で、ウェザー・リポートは、初対面からそれをドンピシャでやってのけた訳です。そりゃ~~~心も許したくなるよな~!

このように見ていくと、ウェザー・リポートと承太郎の徐倫への接し方は、危険を顧みずに徐倫のことを点でも似ていました。だから徐倫には、ウェザー・リポートのことを信頼したのはもちろん、とても嬉しかったのではないでしょうか。

承太郎の離脱とウェザー・リポートの登場

今度は承太郎とウェザー・リポートが活躍した時期に注目してみます。ジョンガリ・A戦後、引き裂かれてしまった徐倫と承太郎。そこに承太郎と入れ替わるように登場したのが、ウェザー・リポートでした。これ、かなりミソでは…?

というのも、徐倫が父からの愛情を確信できたところで、承太郎は離脱しています。親子関係に改善の兆しが見えたばかりだったのに…!しかも脱獄を試みる中で徐倫は、百戦錬磨の父の実力を見せつけられていました。そんな人を失う危機なんて、そりゃ~徐倫としては辛いわ、寂しいわ、心細いわ…のはず。

そこに手を貸そうとやって来たのが、ウェザー・リポートでした。それもお父さんそっくりスペックだった訳で。だから徐倫が、ウェザー・リポートと承太郎を重ねてしまったとしても、仕方がないんじゃないかな~…抱きしめられるのも躊躇ないくらい心を許せたのは、そんな共通点や徐倫の心の不安があったからなのかもしれません。

そして物語終盤では、再びウェザー・リポートと入れ替わるように、承太郎が徐倫のもとに戻ってきます。この辺りも上手く出来ているというか…荒木先生の計算づくしの交代という感じですね~!つまり徐倫の横にはいつも、無口だけど頼れる大人がついていてくれたともとれるところ。

このように承太郎の離脱、再登場と、ウェザー・リポートの登場のタイミングから、ウェザー・リポートはある意味、徐倫にとって承太郎のポジションを埋める役回りだったとも言えそうです。

徐倫、承太郎、ウェザー・リポートが現れた16巻表紙

承太郎と共通点があり、離脱した後から徐倫を支え続けてきたウェザー・リポート。そんな3人の関係を踏まえた上で、ウェザー・リポートの死亡、承太郎の復活が確定した16巻の表紙を見てみます。

荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』16巻 集英社

徐倫、承太郎、虹だなんて……エモい、エモすぎる。

徐倫と承太郎を、ウェザー・リポートを象徴する虹が結んでいるようにも見えません…?しかも虹を通じて、海洋学者の承太郎のフィールドである海と、徐倫のシンボル的な蝶と繋がっているようでもあるのが、またなんとも…

肩車する承太郎と徐倫の親子関係を繋いだのは、2人の再会の力になり、承太郎のいない間に徐倫の心を支えていたウェザー・リポート…そんな3人の関係性を物語っているようにすら見えてくるこの表紙。なんにせよエモいな~!

3. 徐倫のウェザー・リポートと「そよ風の中で話がしたい」の意味

最後に徐倫による、ウェザー・リポートへのお別れの台詞について考察してみます。このシーンです。


荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』16巻 集英社(45頁)

切ないけれど、う…美しすぎます!なこの表現の意味を、まずは考えてみます。

この記事でも触れましたが、6部における天候表現は心情や状態を表す比喩として使われていました。

ウェザー・リポートのスタンドの意味や元ネタを考察してみた
ウェザー・リポートはなぜ虹やカタツムリが発現した?アナスイに殺しを頼んだ理由は?スタンドの元ネタはあの言葉!?など、ウェザー・リポートのスタンドについて考察してみました。

で、「そよ風」という言葉は、ぺルラの話でも登場していまして…


荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』15巻 集英社(44頁)

「そよ風」は春にそよそよと吹く風なので、穏やか、温か、爽やかといった言葉が連想できそうです。そして「春の日ざし」は穏やかでポカポカしているため、このコマから2人の恋が優しく温かなものだったことが伺えます。

さらにウェザー・リポートの死について、エルメェスはこんな表現を使っていました。


荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』16巻 集英社(41頁)

この表現では風自体がウェザー・リポートを表していると言えそうです。それを踏まえて徐倫の「そよ風の中で話がしたい」の意味を考えると…

①「そよ風=春の温かで穏やかな風=プッチとの戦いが終わって心も生活も穏やか」な中で話がしたい

②「そよ風のように温かなウェザー・リポートの人柄に包まれて」話がしたい

のようなニュアンスが思い浮かびます。

これらをまとめると「そよ風の中で話がしたい」の意味は、無口なウェザー・リポートでしたが、徐倫に対して包容力を見せていたであろうことから、温かなウェザー・リポートと平穏な中で話がしたい…といったところではないでしょうか。

なぜ徐倫はウェザー・リポートと話がしたかったのか

最後に、徐倫がウェザー・リポートと話をしたかった理由を考えてみます。

実はこの2人が共闘したのは、ラング・ラングラー戦のみ。この戦いで大怪我を負ったウェザー・リポートと徐倫が、生きたまま再会する場面は描かれていないんですよね~…切ない…

ということは、徐倫はウェザー・リポートの過去も、本来の人間性も知らずにお別れしてしまった訳です。だからこそウェザー・リポートの本来の姿を知りたかった、それがどんな過去だったとしても、もっと仲間でいたかった…そんな気持ちがあっても不思議ではないはず。

またアナスイは徐倫に「ウェザーは救われていた」と告げており、その理由を自分と重ね合わせてこう述べています。


荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』16巻 集英社(43頁)

「オレもウェザーは徐倫に救われていたんだよ~」と暗に示していました。優しいな、アナスイ。

でもね、徐倫だってウェザー・リポートのおかげで救われていたはずで…ラング・ラングラー戦に限らず、どこかで心の支えになっていたはず。それが承太郎に似ているならなおさら…という部分もあったのかもしれません。そんな感謝も伝えられないままなんて…そりゃ~会いたくもなるよな~!

徐倫がウェザー・リポートと話したかったのは、本来のウェザー・リポートを知りたいのはもちろん、ウェザー・リポートへの感謝など、伝えたい気持ちがあったからこそではないでしょうか。本当、早すぎるお別れだよな…

まとめ:ウェザー・リポートと徐倫の強い絆があり、承太郎にも関わるものだった

ウェザー・リポートと徐倫の関係を考察してみました。

作中では共に過ごすシーンはあまり描かれなかった2人ですが、抱きしめられても不自然ではないほどの絆の強さを持っていました。また承太郎と別れた徐倫のもとに現れたのが、どこか承太郎と似ているウェザー・リポート。きっと徐倫には心強い味方だったはずです。

ウェザー・リポートが本来の自分を取り戻し、これからより絆を深めて…という時の別れとなった2人。せめて次の世界では、また仲良くなれるといいですよね~!みんなで…大雨の車の中で話がしたい…!

6部についてはこちらの記事もどうぞ~!

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