「ジョジョの奇妙な冒険」3部に登場した花京院典明。承太郎に命を救われ、ホリィのいる空条家で一晩を過ごしていました。
エジプトへ旅立つ直前、花京院はホリィについて「人の心を和ませる」「守ってあげたい」などと発言していましたが、この言葉にはどのような意図や理由があるのでしょうか。考察してみました。
1. 花京院がホリィを語るシーンの意味
まずは花京院の発言のシーンが描かれた意味について考えてみます。こちらです。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(161-62頁)
うむ(様式美)
切羽詰まった状況下で、他人の母親を褒めてる場合かーッ!という気もしますが、荒木先生は花京院を三枚目のキャラクターとして描きたい訳でも、必要以上の存在感を出したい場面でもないはずです(多分ね)
それよりも身内ではない男でも命を救いたい、ジョセフたちと共に旅に出たいというモチベーションが生まれるほど、ホリィが心優しく、素敵な女性であると示したかったのではないでしょうか。アヴドゥルの「うむ」も、身内ではない人間が同意するからこそ、ホリィの素晴らしさがより伝わります。
このように花京院の発言からは、血縁関係のない男たちですら旅立つ理由のひとつとなるほど、ホリィの人柄が素晴らしいことが伺えるのではないでしょうか。親切なのはもちろん、年齢を感じさせないチャーミングさがあるもんね~!可愛いよな~!
ジョジョの母親の話は、こちらもどうぞ~!
2. 花京院がホリィを評価した理由
次に花京院がホリィをあのような言葉で評価した理由についてです。ここではホリィとの出会いや距離感の点から考察してみます。
ホリィと出会った花京院の衝撃
まずは花京院がホリィと出会ったことで受けた衝撃と、発言の理由についてです。例のシーンを見てみると、「ホリィさんという女性は人の心を和ませる」「恋をするとしたら…」「守ってあげたい」と、花京院はホリィを一人の女性として評価していることが伺えます。「いいな~うちの母さんとは違うな~」のように、母親として見ているのではないんですよね~!
恋心すら感じられる大胆な発言ですが、その理由について花京院の過去と絡めて考えてみます。注目したいシーンはこちら。
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(128頁)
「自分はちがう」からは、「スタンドが見える人間を求めている自分は、周囲の人のように人間関係を築くのは無理」のニュアンスが感じられます。そして「父には母、母には父、自分はちがう」からは、恋愛や結婚も難しいと考えていたようにも聞こえるのではないでしょうか。
でも本当は心が通い合える人間を欲していたはずです。そんな時に息子を殺害しようとした初対面の男を一晩泊め、「聖子さんって呼んでね~!」なんて人懐っこく皆の前で会話をしながら世話を焼いてくれる女性に出会ったのなら…身近な人とすら壁を作ってきた自分とはまるで違う距離感の人物に、衝撃を受けたのではないでしょうか。
さらに花京院の人生において、スタンドが見える女性に出会ったのは初めてだとすれば…そりゃもう、SSR級のレア人物なんよ。しかも優しいとくれば、男・花京院、是が非でも守ってあげなくては!と、大事にしたい気持ちが生まれるのもあり得る話の気がします。
このように花京院の発言は、ホリィのような人物と出会った驚きがあったからこその内容なのかもしれません。ジョセフに下着を履かせようとするくらいグイグイ来るからな、ホリィさんは…
花京院の恋愛の話は、こちらでも考察しています~!
花京院と母親、承太郎とホリィとの関係性の比較
次に花京院と両親、承太郎とホリィとの関係性を比較してみます。さて花京院は、両親にこのような思いを抱いていました。
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(151頁)
両親と不仲という訳ではなさそうです。ただアニメ版では、花京院の母が「親である私にも何が原因なのか…」と学校の先生に打ち明けているところを廊下で聞いていたらしい、というシーンが追加されていました。ここから両親にはスタンドを理解してもらえなかったことが推測されます。
「両親のことを深く思ってはいた」という記述もあるように、花京院は両親を愛していたはずです。それでも「スタンドが見えない人間とは心が通い合わない」のであれば、両親との間に埋まらない距離感があったのもまた確か。さらに最期に頭にあったのは両親のことよりもDIOのスタンドの解明だったことから、承太郎たちの方がより心の距離感が近いとすら感じていたのかもしれません。
一方の承太郎は、ホリィから信頼されている描写が数多くありました。承太郎が花京院を運んできた時も余計な手出しをせず、ジョセフたちと肉の芽について話し合う最中も部屋に入らず…血だらけの赤の他人を家にあげている中でも、息子たちのやることだからきっと訳がある、と信じていたからこそできた行動ではないでしょうか。本当は優しい子って思っているんだもんね~!
身内の母親にさえ心配されていた花京院にしてみれば、ホリィに信頼される承太郎はどこか羨ましくもあったはず。そしてホリィを見るうちに、たとえ母親ではなくとも、自分の言動を信じて見守ってくれるような人がいたらな~…という思いを強くしたのかもしれません。
このように母親との関係性を見てみると、花京院がホリィに心惹かれたのは、息子を信頼する姿勢が自分の母親とはまるで違ったからという一面もあるのではないでしょうか。そしてその思いを口に出してしまったのは、そんな人物に出会えた衝撃に自分の感情が追いつかなかったからだったりて…
承太郎とホリィの関係は、こちらでも触れています~!
3. ホリィを褒めて信頼を得る花京院の作戦説
最後に花京院がホリィを絶賛したことと、ジョセフからの信頼の関係性についてです。さて花京院の台詞のタイミングは、高熱で再度気を失うホリィを見たジョセフがこんな発言をした直後でした。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(161頁)
やりきれない思いが伝わってきますが、一人娘が死の淵に立たされているジョセフとしては、ぜひ花京院の力を借りたいと思っているはず。DIOのことも多少知っているかも…という期待もあるかもしれません。
既に花京院がエジプト行きを表明しているシーンですが、とはいえ元は敵だった男です。ジョセフたちに信頼してもらう手段があるに越したことはありません。アニメ版のアヴドゥルなんか、厳しく警戒していそうだったしな~…特にリーダー格であるジョセフの心を掴みたいところではないでしょうか。
そんなジョセフが心を痛めている時に、娘の人柄の良さを語る言葉をかけられたとしたら…「そうじゃろう、娘は優しい子なんじゃよ~(cv. 運昇さん)」なんて思いを抱いても不思議ではありません。
なんせあれだけひとり娘を溺愛しているジョセフだもんね~!「本当に素敵な女性」「守ってあげたい」という言葉は、ジョセフが娘を大事に思う気持ちへの同情と、ホリィの回復を願う気持ちの表明となりそうです。そして「僕も全力で力を貸します!」という意志表示にもなるため、ジョセフも花京院の同行に対し、前向きな気持ちを持てるのではないでしょうか。まあ「恋をするとしたら」は言い過ぎだけど。
このように花京院の発言のタイミングには、ジョセフへの同情と信頼の獲得、そして花京院の同行への強い決意の意図が込められていたのかもしれません。でもこれが本当に作戦だとしたら…大胆な発言でホリィをべた褒めして、ちゃ~んと同行しているんだもんな…この男、策士である。さすが頭脳派。
花京院の話は、こちらもどうぞ~!
まとめ:花京院がホリィを絶賛したのは人柄の良さ、出会いの衝撃、作戦などの理由ではないか
花京院がホリィを絶賛した理由を考察してみました。
明るく、心優しく、芯は強く…そんなホリィの人柄に触れたことで、花京院にはホリィの命を救いたいという思いが生まれたのではないでしょうか。しかもスタンドが見え、理解がある女性なので、花京院が求めていた人物像にドンピシャだったのも、理由のひとつなのかもしれません。
そして同行するための発言という説も、可能性としてはなきにしもあらず。なんせ頭脳派かつ大胆なところがあるからな~!花京院ならやりかねないというか…でもおめえのそういうとこが好きよ(億泰ボイスで)
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