【スタンド論】花京院典明のハイエロファントグリーンを深読み!

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険3部「スターダストクルセイダース」に登場した、花京院典明。生まれながらのスタンド使いであり、ハイエロファントグリーンを操りました。

ではハイエロファントグリーンは、どのようにして生まれたスタンドなのでしょうか。なぜ花京院からハイエロファントグリーンが生まれたのか、体を巡る「破壊のエネルギー」とは何のことなのか、考察してみました。

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1. ハイエロファントグリーンと花京院本体の関係

最初になぜ花京院からハイエロファントグリーンが生まれたのか、本体とスタンド能力について考えてみます。

まずハイエロファントグリーンが、見かけが戦隊モノっぽいです。で、戦隊モノって一人ではなく、チームで戦っているんですよね。何とかレッド、何とかグリーンとかたくさんいたりして。この辺りが花京院の「チームの和を大切にする」という性格が表れた姿に見えます。

その一方で、能力は戦隊モノのように肉弾戦を得意とするのではなく、遠距離から攻撃します。これは花京院の過去と関係がありそうです。スタンドが見えない他人をシャットアウトしていた花京院。人を不必要に近寄せたくないという気持ちが、遠隔操作型に繋がったのではないでしょうか。

またちょっと気になったのがこのシーン。


荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(128頁)

DIO戦で花京院の過去が判明する場面での一言です。この「昔のように」ですが「ハイエロファントグリーンを昔のように気づかせなくする」とも「ハイエロファントグリーンを昔の自分のように気づかせなくする」とも取れます。

前者であれば「スタンドの得意な潜む能力で~」という単純な意味になりますが、後者の場合は「自分が気配を消していたように気づかせなくする」との意味です。つまり過去の花京院は、友達を作ろうとしなかっただけではなく、「気配を消して過ごしていた」様子が伺えます。「どうせ自分のことなんか分かってもらえないのだから、誰にも気づかれないように過ごそう」という感じでしょうか。辛すぎる…

花京院の「チームの和を大事にする」「人と距離をとる」性質は、ハイエロファントグリーンの「潜む」「遠隔操作型」能力に繋がっていると言えそうです。

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2. ハイエロファントグリーンの中身は何か

次にハイエロファントグリーンの中身について考察してみます。まずハイエロファントグリーンは、口元が破壊された時に、中に人間の口らしきものが確認できます。

荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(188頁)

戦隊モノのように、人が入っているっぽいですね~!


 ではこの中身は誰なのか。

これは恐らく花京院自身なんじゃないかな…と。花京院の性格、過去の経験を反映したような能力や外見を持っていることから、戦隊モノのようなスーツに包まれているのは、花京院そのものではないかと考えています。

ところでハイエロファントグリーンの腹部に丸い飾りがついているところって、花京院がDIOの腹パン食らった場所ですよね~…偶然なのかもしれませんが、花京院の未来を暗示しているようにも見えます…

3. ハイエロファントグリーンの「破壊のエネルギー」とは何か

そして体中を巡る緑色の体液についてですが、花京院はこれを「破壊のエネルギー」と表現していました。その「破壊のエネルギー」は花京院自身の意思で、エメラルドスプラッシュとして作り出して打つことが出来ます。

ハイエロファントグリーンの中身が花京院だったとして、その体中を巡る「破壊のエネルギー」の正体を考察してみます。今回は2つの説を考えてみました。

「花京院を守る防御壁」説

まず破壊のエネルギーは、花京院を守る防御壁だったという説です。

子供の頃の花京院は、自分と分かりあえる人はいないと考えていました。

荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(128頁)

自分を理解してくれる人がいないということは、自分を心から包み込んでくれたり、守ってくれる人はいないと感じていたとも捉えられます。花京院の両親は愛してくれていたと思いますが、花京院が安心して両親に心を寄せていられたか、と言われれば疑問が残るところです。「深く思ってはいた」らしいですが…

そして「自分を守ってくれる人がいない=自分は自分で守らないといけない」という気持ちが具現化したのが、破壊のエネルギーでした。中身の花京院が破壊のエネルギーで覆われている様子は、防御壁の役割を果たしているようにも見えます。また破壊のエネルギーを固めて飛ばすと、エメラルドスプラッシュとして自分を守るための攻撃が出来るのだと考えました。

「花京院の鬱屈した気持ち」説

もうひとつは花京院の鬱屈した気持ちが、破壊のエネルギーだったという説です。

まず花京院は「破壊のエネルギー」という言葉を使っていましたが、これをそのままの意味で受け取っていいのか。
ちょっと引っかかるんですよね~…

そもそも花京院から「破壊」という強い言葉が出てくることに、少し違和感を感じました。あの冷静沈着で人当たりの良い花京院のスタンドには、「破壊のエネルギー」がめぐっている…?なんか性格と一致しないな…と。しかもこの発言をした時の花京院は、肉の芽が刺さっていたし。

もしかしたら文字通り、攻撃的な意味で「破壊」とは言い切れないんじゃないかな…と。


エジプトへの旅に出る前の花京院は、自分の気持ちを周囲に明かさず、ふさぎ込んでいます。そしてその周囲に出すことが出来なかった鬱屈した気持ちが、スタンドに破壊のエネルギーとして巡っていると考察してみました。

「破壊のエネルギー」とはいうものの、花京院の性格上、破壊衝動のある気持ちばかりではなかったと思います。寂しいとか本当は友達が欲しいとか、純粋な気持ちがたくさん含まれていたはず。だから固めると美しい宝石にもなる。しかもずっとため込んでいた気持ちだから、一度外に出せばあふれるほどの強い勢いがあって、攻撃にも応用できた。実際エメラルドスプラッシュを放つときも、手からドバドバあふれちゃってるんですよね…!

と考えると、「破壊」という言葉は、攻撃に使えるようになったから「破壊」とつけただけなのかもしれないな…

破壊のエネルギーは、花京院がため込んでいた気持ちがスタンドに巡っており、それがいつしか本当に「破壊」に使えるになったのではないでしょうか。

まとめ:ハイエロファントグリーンは花京院自身の性格と気持ちが具現化されたスタンドだった

花京院のスタンド、ハイエロファントグリーンについて考察してみました。
花京院の性格、過去をそのまま表したようなスタンドで、チーム愛や相手との距離の取り方が色濃く反映されていることが分かります。また「破壊のエネルギー」は花京院の気持ちから生まれたもので、それを攻撃としても使っていることも考えられました。

花京院の暗い過去やピュアな気持ち、優しい性格、全てが合わさったのがハイエロファントグリーンであり、宝石を発射できるスタンドになったのかもしれません。ハイエロファントグリーン、めっちゃ綺麗なスタンドじゃあないか…!

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