ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」に登場した、ジョセフ・ジョースター。2部の頃のお茶目さもありつつ、承太郎チームのリーダー的存在として活躍しました。
そんな老ジョセフの名言は、英語吹替版ではどのように訳されたのでしょうか。聞き取りに挑戦してみました!
ポルナレフの3部前半の名言の英語訳はこちら。
行くぞ!(バーン)
行くぞ!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』13巻 集英社(162頁)
DIOを倒しに行くジョースター御一行の名言です。決めポーズとバーンと花京院の身長補正が有名なシーンですが、英語訳はこちら。
hit the road=出発する
意味的にはLet's goと同じです。が、普通にLet's goと言うよりカッコいいですよね~!
ちなみに英語の漫画版はLET' S GO!で訳されているみたいです。
にくめないヤツになったわけじゃな
…と!これで肉の芽がなくなって にくめないヤツになったわけじゃな ジャンジャン ヒヒ
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(65頁)
ポルナレフから肉の芽を抜いた時のジョセフの名言です。承太郎に呆れられたダジャレでしたが、英語訳はこちら。
You get it?! hehehehehehe
pull out=引き抜く
bud=芽
buddy=仲間、相棒、親友
「ほれ!承太郎がその肉の芽を抜いたから、俺たちはみんな友達だ!わかったか!?へっへっへ!」
なんか日本語訳をつけると間抜けだな…
肉の芽の英語訳はFlesh Bud。「肉の芽」と「にくめない」をかけた言葉遊びでしたが、英語版では「Bud」と「buddies」のbudの部分をかけています。
大変な旅でも茶目っ気を忘れないおじいちゃんでした!
老いてますます健在というところかな
これがジョセフ・ジョースターのやり方 老いてますます健在というところかな
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』16巻 集英社(144頁)
エンプレスのスタンドに憑りつかれたジョセフおじいちゃん。反撃した時の名言でしたが、英語訳はこんな感じです。
Like a fine wine, I guess I just get better with age.
shrew=口やかましい女
fine wine=上等なワイン
That is a lineの部分は、直前のジョセフの台詞「相手が勝ち誇ったとき そいつはすでに敗北している」のことです。
2文目がカッコイイですね~!訳は「上等なワインのように、わしは年を重ねるごとに良くなっていくじゃろうな」
自分の年の取り方を、ワインの熟成に例えるなんて…さすが不動産王。いいワイン飲んでるんだろうな~!
ベンキ をなめたから
わかったわかった悪かったよポルナレフ 手当してやるよ 手当しないとバイキンが入るぞ オホン オホ オホン ベンキ をなめたから
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』17巻 集英社(147頁)
正義の使い手・エンヤ婆との戦い後のジョセフの名言です。便器をなめたポルナレフをおちょくっていますが、英語訳はこちら。
If you don't take care of that it'll get infected.
Ahem! toilet Ahem! You licked it real good.
fix up=治療する
take care of=世話をする
infect=感染する
lick=舐める
「わかったわかった、悪かったよ。 ここに来れば治療してやるぞポルナレフ。治療をしないと感染するぞ。オホン!トイレ オホン!…をお前は本当によく舐めた」のような意味合いです。
が、最後のYou licked it real goodがreal goodが入っているせいで、「本当によく舐めた」みたいなニュアンスに感じるんですよね~…
そんなに舐めてないやん!!!とちょっと笑ってしまった訳でした。
エスカレーターの点検は異常なーし!
い 異常なあーし!このエスカレーターの点検は異常なーし!
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』21巻 集英社(192頁)
バステト女神の使い手・マライアの磁力でエスカレーターに引き込まれたジョセフ。非常停止ボタンが押されてもパニック状態だったことに恥ずかしくなり、点検作業をしているようにごまかした時の名言です。英語訳はこちら。
A-okay=全然オッケー
in working order=正常に機能した状態
訳は「すべてOK! このエスカレーターを点検しましたが、正常に動作していまーす!」のような意味です。
A-okayは、ここではokayを強調した言葉ですが、「まあまあ良かった」くらいの意味で使われることもあります。
発音はエィオゥケィ!ぜひ使ってみてください~!
このまま……ガンガン闘うッ!
このジョセフ・ジョースター 若いころから作戦上逃げる事はあっても 戦いそのものを途中で放棄したことは決してない このまま……ガンガン闘うッ!
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(34頁)
こちらもマライア戦でのジョセフの名言です。やられっぱなしのジョセフとアヴドゥルが、反撃を開始する場面ですが、英語訳はこんな感じです。
No matter how hopeless things look, Joseph Joestar never throws in the towel.
The real showdown begins now!
no matter how~=どんなに~でも
throw in the towel=敗北を認める
showdown=対決
長いですが、こんな訳です。
「わしはこれまでに戦いから逃げたことはあるが、それは逃げることが全体的な戦略の一部だったときだけだ。どんなに絶望的な状況でも、ジョセフ・ジョースターは決して敗北を認めない。本当の勝負はこれからじゃ!」
throw in the towelはボクシングでセコンドが負けを認める時にタオルを投げる、あの状況ですね!そこから「タオルを投げる」=「敗北する」の意味になっています。
甲子園優勝チームに茶道部が挑戦するようなもの
だめだ……実力の差がはっきりしすぎている……これじゃあ…甲子園優勝チームにバットももったことがない茶道部かなにかが 挑戦するようなもの…みじめ…すぎる……
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』25巻 集英社(116頁)
アトゥム神の使い手、テレンス・T・ダービー戦でのジョセフの名言。野球ゲームで対戦するも、ド素人過ぎて勝負になっていない承太郎を見た時の一言でした。だめだ……ジョセフじいちゃん例えが上手すぎる……英語訳はこちら…。
This massacre is like being forced to watch a group of high school baseball champs go head-to-head with kids from the knitting club!
massacre=虐殺
forced to~=無理やり~させられる
go head-to-head=直接対決をする
knitting club=編み物クラブ
茶道部じゃない!編み物部だ!!!!
「だめだ。承太郎はダービーのような奴には勝てない。この虐殺は、高校野球のチャンピオンチームと編み物部の子の対決を無理やり見せつけられるようなものだ」のような訳でした。
甲子園優勝チーム云々はやっぱり英語圏の人には通じないですよね~。英語訳ではmassacreという言葉で、承太郎とダービー弟の実力の開きを表していました。massacreといえば、灰の塔戦で「Massacre(皆殺し!)」と書かれた、あの単語です。
でもやっぱり編み物部が面白いですね~!アメリカっぽくてええがな~~~~!
ケツの穴にツララを…
ケツの穴にツララを突っ込まれた気分だ…
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(69頁)
DIOの館から間一髪脱出したジョースター御一行。状況のヤバさを表したジョセフおじいちゃんの名言でしたが、英語訳はこちら。
shove=突き出す
icicle=つらら
文法的にshovingではなくて、shovedのが良いかもしれない…でも音はshovingに近かったんですよね…
shove it up your assという表現がありまして、意味は「くそくらえ」。最後の部分は恐らくこの表現を意識した訳なのかな~どうなんでしょう…
訳としては「ケツにつららを突き立てられたような気分だった」のような意味になります!
コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実
確実!そうコーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実じゃッ!
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(72頁)
DIO戦直前のジョセフの名言です。DIOの能力が不明のまま攻めるのが、いかに危険か力説するジョセフおじいちゃん。英語訳はこちら。
inevitable=不可避、必然的
burp=げっぷ
knock back=がぶ飲みする
a couple of=いくつかの
直訳的には「何本かコーラを飲んだ後にゲップが出るくらい避けられない事実じゃッ!」日本語訳と大体一緒です。
コーラと言えばジョセフ!おそらく、この経験を散々してきたんだろうな…英語版では「何本か」という表現が入っていますが、何本か飲んだら、そりゃそうなりますよね~!
しかしジョセフは例えがお上手ですよね~~~~~!!!なかなか聞きごたえがあります。
また会おうッ!わしのことが嫌いじゃあなけりゃあな!
また会おうッ!わしのことが嫌いじゃあなけりゃあな!…マヌケ面ァ!
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』28巻 集英社(184頁)
旅の終わりの空港でのジョセフの名言。ポルナレフに向かっての一言でした。マヌケ面ァ!に愛情を感じますね~~~~!英語訳はこちら。
That is of course if you don't hate my guts by then, stubborn jackass!
we'll meet again=また会おう
hate someone's guts=大嫌い
by then=その時までに
stubborn=頑固
jackass=くそ野郎、まぬけ
「また会おうッ!もちろん、その時までにわしのことが嫌いじゃあなけりゃな!頑固なくそ野郎!」と意味は日本語とほぼ一緒です。
英語吹替版では「…マヌケ面ァ!」のところでsttubornが入り、「頑固なくそ野郎」のような意味になりました。
…ポルナレフ頑固だったもんね!
男の友情が伝わる名シーン。何度見ても泣けます…この場面はポルナレフと承太郎の台詞も最高なので、併せてどうぞ…!
まとめ:DIOの名言は英語でも迫力あり!?
ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」における、ジョセフ・ジョースターの名言の英語訳をご紹介しました。
例えが上手な老ジョセフですが、「にくめないヤツ」「茶道部」なども英語圏で伝わるように訳されていました!
訳す人は大変だっただろうな…!
ぜひ英語吹替版の表現を聞きつつ、ジョセフおじいちゃんの言葉遊びを楽しんでみてくださいね~!
空条承太郎の前半の名言の英語訳はこちら。
参考教材:
津田尚克, 2020, 『Jojo's Bizarre Adventure Set 2: Stardust Crusaders』, Warner Bros.
津田尚克, 2020, 『Jojo's Bizarre Adventure Set 3: Stardust Crusaders Battle In Egypt』, Warner Bros.