ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したボス親衛隊。ブチャラティたちの追っ手として差し向けられた敵でした。
かなり重要な局面で登場した親衛隊ですが、チョコラータとセッコを含めると構成員は5人だけ。今回はなぜこんなにも数が少ないのか考察してみました。
1. ディアボロの性格から考えるボス親衛隊の数の少なさ
まずはディアボロの性格から考えてみます。自分の正体は明かさず、他人を信頼することも苦手だったディアボロ。自分の実力にも自信を持っていたので、そもそも大量にボス親衛隊を置きたいと思わない気がするんですよね~…
しかもディアボロの目的は絶頂でいることなので、自分と互角に戦える実力者や反抗的な部下は、特に手元に置いておきたくないはずです。ディアボロからの命令を伝えに来たペリーコロさんなんて、スタンド使いではない上に超忠実な部下だった訳だし…こういう人こそ近くに配置したいと思うのではないでしょうか。
じゃあボス親衛隊なんていらなくない…?と言いたくなりますが、ここで親衛隊の皆様を見てみましょう。
エントリーNo.3番!スタンドが使いにくい!何を考えているかさっぱりのカルネ!!!
エントリーNo.4&5番!ゲスすぎるモンスター!チョコラータとセッコ!!!
全然親衛できなさそう。
ボスを守る人材としてはイマイチすぎるんですよね~…忠誠心が高いけどスタンドが使いにくいか、野に放っておくと危険か…そんな人たちを集めて構成していたイメージ。
そもそもディアボロは親衛隊に守ってもらうということ自体、あまり期待していなかったのではないでしょうか。ティッツァーノたちも忠誠心があり、任務に便利なスタンド能力だけどディアボロを倒せる力はないからこそ親衛隊に入っていただけでね。本当に親衛されたいなら、あの2人は入れないんじゃないかな…
つまりディアボロの性格から考えると、ボス親衛隊の数が多ければいいというものではなかったはず。そして親衛隊は護衛してもらうというより、ボスに忠実で任務に便利だったり、放置できない人物を取り込むための組織だったために、人数が少なかったのではないでしょうか。
なぜディアボロはリゾットをボス親衛隊に入れなかったのか
ここでちょっと寄り道して…パッショーネ屈指の実力者リゾットがボス親衛隊に入らなかった理由を考えてみます。スタンド能力は強いわ、チームリーダーとしての統率力もあるわと実力者だったリゾット。そんな人に反抗されたら怖いので、ディアボロとしては離れたところに置いておきたいですよね~!実際リゾット戦の勝利もドッピオの独断があったからこそで、ディアボロは撤退命令を出したくらいだからな~…本気でやり合っても勝てるか微妙だよね…
あとね、ディアボロはもう肌感覚で「こいつは価値観が合わない」と思っていたんじゃないかな~…ディアボロは麻薬を若者にも広めており、自分の絶頂のために他人の命を犠牲にしていました。一方でリゾットはいとこの子供の死に心を痛めて人を殺めています。どちらも人の命を奪ってはいますが、その動機と倫理観が明らかに違うんですよね~…
リゾットは無暗に人を利用できる性格ではないのだと思います。むしろ自分の道徳や美学を大切にしており、反していれば社会や組織のルールや命令にも背を向けられるタイプで、そこをディアボロに見抜かれていたからこそボスから遠いポジションにいたのではないでしょうか。
さらにリゾットのプロフィールにはこんなことが書いてありました。
◦しかし「暗殺」という汚い仕事をする者は必要な時は利用されるだけされるが、決して誰からも信頼されたりはしない。
◦ボスは重要な縄張りを彼らに与える事は絶対しなかったし、リゾットはその事に反感をいだいた。2年前ボスの予想どおりチームのうち2名がボスの正体を調べ始めたので処刑。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』58巻 集英社(150頁)
ディアボロ先生、キンクリで未来見たんか???相変わらず先見の明があるというか…
それはさておき注目したいのは縄張りを「彼ら」に与えなかったという部分。「彼」個人ではなく、「彼ら」=暗殺チームとして信頼されず、恩恵も受けられなかったために反感を抱いていたことが伺えます。アニメ版でも仲間思いの描写が追加されていましたが、そんな性格なら人への信頼が薄く、ソロ行動が得意なディアボロとはどこかで対立しそうだもんね…
ということで、リゾットはリーダーシップのある仲間思いの実力者だからこそ、ディアボロは親衛隊に入れなかったのではないでしょうか。「暗殺チームはボスに首輪がつけられた状態だった」とのことでしたが、それはできたリーダーがいるからこそでもあるんだよな…
2. ディアボロがボス親衛隊を登場させた順番と数の少なさとの関係
次にボス親衛隊の登場順について考えてみます。順番はティッツァーノとスクアーロ、カルネ、チョコラータとセッコですが、後ろにいくほど危ない人物なんですよね~…特に1番最後に登場した2人なんて、ボスも言いたい放題だったし…
『あの「2人」は……』『そう…わたしはめったに嫌悪というものを感じたりはしないが…』『とくにチョコラータは最低のゲスだ…たぶんローマ中をメチャクチャにして回るだろう…』(中略)2人は怪物だ 本来は生かしておきたくはなかったのだが……今回のような時のために わたしがチョコラータをおさえていたのだ 2人の「スタンド能力」は結局のところ何者よりもたよりになるからな
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』59巻 集英社(172、175頁)
「嫌悪を感じる」「最低のゲス」「生かしておきたくはなかった」という悪口の役満。いいとこないじゃん…
人の心が欠けた最終兵器すぎる2人の登場順が最後なのは、スタンドが強くても使いたくなかったからなんでしょうね…わかる、ヒジョーにわかるよその気持ち…
そのひとつ前に登場したのはカルネです。この人のスタンドも発動させたくないよね~~~~!なんせ消滅させるのが難しいからな~!カルネについての性格面は不明ですが能力的にクセ者だよね、粘着質っぽそうというか…
あとカルネってけっこう怖いんですよね~…ミスタに「滑走路から消えろ」と忠告された後なんてこの顔だもん。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』57巻 集英社(123頁)
口角上がってるじゃんよ…これから死ぬのに…
躊躇なく殺されに行く様は、忠誠心の高さなのかもしれません。でも何らかの理由で思考力や恐怖が欠如しているがゆえに、真っ直ぐミスタたちに向かって行ったようにも見えるのではないでしょうか。顔のデザイン的にも知的なキャラクターではなさそうだしね…いずれにせよどこかぶっ飛んでいるタイプの気がします。使う難易度高そう。
そして1番最初に登場したのがティッツァーノとスクアーロ。まあなんとまともな2人なのでしょうか。ボスへの忠誠心があり、人間的にどこか欠落している訳でもないコンビでした。この2人が真っ先に登場したのは、残りの3人があまりに解き放ちたくない連中だからなんだろうな…2人に期待していたというより、ティッツァーノたちで解決できればラッキー!くらいに思っていたのではないでしょうか。
3. ポルナレフがボス親衛隊を返り討ちにした説は本当なのか
最後にボス親衛隊の数が5人しかいないのは、ポルナレフが大半を返り討ちにしたからという説についてです。再三言われてきた説ですが、こちらの真偽を検証してみます。
まず残されていた親衛隊のメンバーはスタンドや人格に問題があるカルネやチョコラータたちと、忠誠心があり戦闘力がグンバツに強くはないティッツァーノたち。ディアボロの性格から考えて、もしポルナレフに対してより忠誠心が低く、ボスの座を脅かす可能性がある人物から送り出していたとすれば、あの5人が残っていたのも理に適っています。
また実力面から考えてみると…ティッツァーノとスクアーロでポルナレフを倒すのは難しそうですよね~…対チーム戦で真価を発揮するタイプのスタンドなので、送り込んでも無駄無駄無駄な気がします。ディアボロや承太郎にも一目置かれた実力者だしね、ポルポルくん。
チョコラータとセッコ、カルネでは被害が甚大になるんですよね~!ローマ中をメチャクチャにして回るだの、消せないだの…ジョルノたちはチームなのでまだしも、ポルナレフ1人に使うのはちょっとねぇ…だったら自分で確実に仕留めて安心しよ!と考えるのではないでしょうか。まあ仕留められてなかったんだけど。んも~~~うっかりさんなんだから…
でね、用意周到なディアボロ先生はポルナレフ戦を見据えていたのか、ちゃ~~~んと準備をしていたんですよね~!
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』61巻 集英社(144頁)
ソロでいてくれれば自分が出て行った時にも戦いやすいもんね!最強スタンド使いの承太郎が来ちゃうと厄介だし、最悪チョコラータたちを使うことになりかねないし…
だからポルナレフがボス親衛隊を返り討ちにした説は、5人のメンバーから見てもあり得る話と言えそうです。そしてあのタイミングでディアボロが自ら出向いたのも、実力的に倒せない、使うリスクが大きすぎるメンバーが残ったからという理由だったのかもしれません。
まとめ:ボス親衛隊の数が少ないのはディアボロと親衛隊の性格、ポルナレフの実力説が考えられそう
ボス親衛隊の数の少なさについて考察してみました。
ディアボロの慎重で人を信頼しない性格を見るに、数が多い必要自体なさそうだったボス親衛隊。あるいはポルナレフが返り討ちにしたという可能性もありそうでしたね~~~ポルポルくん強し。
ディアボロを守る目的はイマイチ果たしていなかったようなボス親衛隊でしたが、そんな名ばかりの組織からはディアボロが孤独で孤高なボスだったことがあらためてよくわかる気がします。やっぱりジョジョのボスっぽい人だよね。
ディアボロ大先生の話はこんなのもあります。