ジョジョの奇妙な冒険5部はイタリアが舞台と言うこともあり、様々な美術作品やオマージュが登場します。今回はその作品と元ネタを考察してみました。イタリア旅行のお供にも、ぜひどうぞ~!
youtube版はこちら。
他の部と「岸辺露伴ルーヴルへ行く」の元ネタは、こちらにまとめています~!
目次が長い…スイませェん…
- ジョルノに殴られるブチャラティとフランシスベーコン
- ポルポの牢獄内左の絵とゴッホの「オーヴェルの教会」
- ポルポの牢獄内右の絵とゴーギャンの「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
- ポルポのブラック・サバスとヴェネツィア・カーニバル
- ナランチャのエピソードとピエトロ・ロレンツェッティの「聖母子」
- ナランチャのエピソードとシエナ大聖堂
- 輪切りのソルベとダミアン・ハーストの「ナチュラル・ヒストリー」シリーズ
- 輪切りのソルベの直後のコマとドゥオモの黄金のマリア像
- 輪切りのソルベの直後のコマとシスティーナ礼拝堂天井画のヨナ
- 亀の中の肖像画とラファエロの「ヴェールを被る婦人の肖像」
- 亀の中の風景画はセザンヌの「サント・ヴィクトワール山」
- OA-DISCの隠し場所のライオン像とサンマルコ広場の「ヴェネツィアの獅子」
- ミスタとジョルノのポーズとミケランジェロの「ピエタ」
- スパイス・ガールが柔らかくした時計とダリの「記憶の固執」
- チョコラータのキャラクター紹介とミケランジェロの「ミネルヴァのキリスト」
- 62巻表紙のジョルノとミケランジェロの「最後の審判」
- セッコ戦の扉絵と「カピトリーノの雌狼」
- ナランチャ死亡シーンとピエタ
- ナランチャを助けようとするジョルノたちとベルニーニの「プロセルピナの略奪」
- ブチャラティの昇天シーンと昇天図
- スコリッピによるミケランジェロの説明と「ダビデ像」「ミケランジェロ像」
- スコリッピによるミケランジェロの説明と「目覚める奴隷」
- ブチャラティの運命とミケランジェロの「瀕死の奴隷」
- ローリングストーンズのブチャラティとミケランジェロの「しゃがむ少年」
- ジョルノの紋章とメディチ家の紋章
- まとめ:5部「黄金の風」は美術ネタがたくさん!チョイスも細かい!
ジョルノに殴られるブチャラティとフランシスベーコン
まずジョルノに殴られるブチャラティのシーン。うぐああああああ!!!
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』48巻 集英社(7頁)
髪型と服装でしかブチャラティと認識できないほど、顔がかなり変形しています。はっきりとした元ネタがある訳ではないのですが、変形した顔と言えばフランシス・ベーコン。
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顔の陥没具合なども何となく似ているので、ベーコンのオマージュっぽいかな~という気がします。
ポルポの牢獄内左の絵とゴッホの「オーヴェルの教会」
ポルポの牢獄には2枚の絵があります。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』48巻 集英社(63頁)
こちらの左の絵はフィンセント・ファン・ゴッホの「オーヴェルの教会」です。フランスのオルセー美術館が所蔵しています。
By Vincent van Gogh - 6wEjLceQPXkTtA at Google Cultural Institute maximum zoom level, Public Domain, Link
ゴッホは拳銃自殺で死去したと言われていますが、未だに少年による他殺説も残っています。そしてポルポも表向きには拳銃自殺として処理されましたが、実はジョルノの仕業。こんな逸話もオマージュだったのかもしれません。
ゴッホに関する記事はこちらもどうぞ~!
ポルポの牢獄内右の絵とゴーギャンの「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
そしてポルポの牢獄内の右の絵ですが、こちらはポール・ゴーギャン晩年の作品「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」です。タイトル長いよ~~~~~!!!!アメリカのボストン美術館が所蔵している作品です。
ゴーギャンは先ほど登場したゴッホと、共同生活を送ったことがありました。しかし性格や芸術観の違いから、2か月ほどで破綻してしまいます。残念…
ゴッホと同じく、ゴーギャンもこの絵を描いた後に自殺未遂を起こしています。自殺に関連した画家の絵を2枚並べるポルポの牢獄。まるでポルポの運命をほのめかしているかのようです。この2枚の絵のチョイスには、意外と深い意味があったりして…
ポルポのブラック・サバスとヴェネツィア・カーニバル
ポルポのブラック・サバスの衣装も、ちょっと気になったので注目してみます。帽子とマントが特徴的ですね~!
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』48巻 集英社(63頁)
こちらは世界三大カーニバルのひとつ「ヴェネツィア・カーニバル」の衣装に似ています。
参加者の皆さんが個性豊かな衣装を着るのですが、仮面はカーニバルのフィナーレとして仮面コンテストが行われるほど、重要なアイテム。このブラック・サバスも仮面をつけているので、オマージュっぽいです。実はお洒落さんなスタンドなのね…!
ナランチャのエピソードとピエトロ・ロレンツェッティの「聖母子」
ナランチャのエピソードが明らかになるシーンには、こんな絵画が登場しました。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』50巻 集英社(170頁)
元ネタはピエトロ・ロレンツェッティの「聖母子」。イタリア・アッシジのフランチェスコ聖堂で見ることが出来ます。マリアの手だけ少し違いますが、ポーズは一緒です。
By Pietro Lorenzetti - The Yorck Project (2002) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., Public Domain, Link
母親についての記述のところで、この絵画を登場させていましたが、ナランチャの母親は聖母のように優しかったという暗示なのかもしれません。
ナランチャのエピソードとシエナ大聖堂
こちらもナランチャのエピソードでの1コマ。ブチャラティが「学校行け!」とブチ切れた後のシーンです。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』50巻 集英社(177頁)
こちらはイタリア・シエーナのシエナ大聖堂の1番上にある天使の像が元ネタ。
この教会や聖堂などに設置された像も、5部では時々出てきます。荒木先生細かいぜ~~~!!!
輪切りのソルベとダミアン・ハーストの「ナチュラル・ヒストリー」シリーズ
続きましてソルベがディアボロに始末された時のこちら。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(62-63頁)
元ネタはダミアン・ハーストの「ナチュラル・ヒストリー」シリーズ。牛や鮫など、死んだ生物をホルマリン漬けにした作品のシリーズです。この2枚目なんて、もろ輪切りのソルベですね~!
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こちらは映画の『ザ・セル』でも、この作品のオマージュが登場します。ちょっとショッキングな場面もありますが、芸術的なシーンも多いので、グロ耐性がある方はぜひ…!
輪切りのソルベの直後のコマとドゥオモの黄金のマリア像
輪切りのソルベの直後の1コマです。また塔のてっぺんのやつだ…
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(65頁)
こちらはイタリア・ミラノのドゥオモの尖塔の上にそびえる「黄金のマリア像(通称「マドンニーナ」)」です。1967年に落雷で損傷し、1974年に現在のスチール製の像となりました。
By © José Luiz Bernardes Ribeiro, CC BY-SA 3.0, Link
高いところにあればそりゃ~雷も落ちるよね…ってことで、イタリアの塔のてっぺんの像は、避雷針をつけてあるものも多いです。
輪切りのソルベの直後のコマとシスティーナ礼拝堂天井画のヨナ
こちらも輪切りのソルベの直後のコマです。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(65頁)
元ネタはヴァチカンにある、システィーナ礼拝堂天井画の「ヨナ」の部分になります。ミケランジェロによる作品です。
By Michelangelo - English Wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Sistine_jonah.jpg,Public Domain, Link
後で出てきますが、ヨナの絵の真下には、有名な「最後の審判」が描かれています。5部はミケランジェロのオマージュが、めちゃくちゃ多いんですよね~!
亀の中の肖像画とラファエロの「ヴェールを被る婦人の肖像」
亀の中に飾られていた1枚についてです。見にくいですが肖像画っぽい。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(146-147頁)
ヴェールや首飾りの形などから推測するに、ラファエロの「ヴェールを被る婦人の肖像」だと思われます。フィレンツェにあるピッティ宮殿のパラティーナ美術館で見られる作品です。
モデルとなったのは、ラファエロと恋人関係にあったものの結ばれなかった女性。ラファエロはその思いから彼女を描き、ヴェールを被せて既婚者のように仕立て上げたのだそうです。
ちなみにラファエロは同じ女性をモデルにして、胸元をさらけ出した「ラ・フォルナリーナ」という作品も描いています。こちらは生涯手放さなかったのだとか…
亀の中の風景画はセザンヌの「サント・ヴィクトワール山」
こちらも亀の中の作品です。先ほどの肖像画の隣に飾られています。風景画っぽいな~…
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(112頁)
雰囲気的にはセザンヌの「サント・ヴィクトワール山」に近いです。
セザンヌはこの山をモデルとした絵を何枚も描いており、色や構図が少しずつ違います。ただ亀の絵とドンピシャのものが見つからないんですよね~…個人的には日本にあるこれが1番近い気がします。
By Paul Cézanne - NQFKKhH_CEA4Aw at Google Cultural Institute maximum zoom level, Public Domain, Link
亀の中の絵って、きっとディアボロのチョイスですよね。冷蔵庫に飲み物も用意していたくらいだし。でもラファエロとセザンヌを一緒に飾るかね?という気もするんですよね~やっぱり印象派ではなくて、イタリア絵画かな…
OA-DISCの隠し場所のライオン像とサンマルコ広場の「ヴェネツィアの獅子」
そしてOA-DISCの隠し場所となっていた獅子像。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(166頁)
元ネタはヴェネツィアのサンマルコ広場にある「ヴェネツィアの獅子」。作中ではヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅前の広場に獅子像が描かれていますが、ドゥカーレ宮殿の前で見られる作品です。
Didier Descouens- 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
外にむき出しになって設置してありますが、こちらはレプリカ。本物はドゥカーレ宮殿内で保存されています。
ミスタとジョルノのポーズとミケランジェロの「ピエタ」
ギアッチョ戦で、ジョルノがミスタを抱きかかえるこのポーズ。ミスタ、穴ぼこだらけなのによく生きてるな…
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』55巻 集英社(140頁)
元ネタはミケランジェロのピエタ。ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂が所蔵しています。
ジョジョファンの間でも有名なオマージュですね~!アニメ版のティッツァーノの死亡シーンや、ジョジョリオンでも使われた構図です。
ピエタとは、磔刑に処されたキリストの亡骸を抱くマリアを描いた作品のこと。つまりミケランジェロ以外も「ピエタ」を制作しているのですが、やっぱり有名なのはこれ。
このシーンではジョルノがマリア、ミスタがキリストの位置で描かれています。ジョルノのマリア説については、ここで触れたのでよろしければどうぞ~!
スパイス・ガールが柔らかくした時計とダリの「記憶の固執」
スパイス・ガールが柔らかくした時計もオマージュです。これ、どこかで見たことがある人も多いはず…
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』58巻 集英社(64頁)
元ネタはサルバドール・ダリの「記憶の固執」。ニューヨーク近代美術館の所蔵作品です。ダリは何度かこの柔らかい時計を絵の中に描いていますが、1番よく見かけるのがこの絵です。
Por Fonte, Conteúdo restrito, Hiperligação
時計がとろ~んと柔らかくなる様子は、ダリの奥さんが食べていたチーズが溶けるのを見てインスピレーションを得たのだとか。この時計は仗助が家具を破壊したシーンでも登場していましたね~!
スパイス・ガールや仗助とダリについては、こちらでより詳しく触れています~!
チョコラータのキャラクター紹介とミケランジェロの「ミネルヴァのキリスト」
チョコラータの紹介シーンでは、十字架を持った像が出てきました。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』59巻 集英社(174頁)
元ネタはミケランジェロ作の「ミネルヴァのキリスト」。ローマのサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会で見ることが出来ます。本物はキリストと十字架だけですが、漫画のコマではキリストの後ろに骸骨が描かれていました。
そういえばチョコラータも十字架の入った服を着ています。十字架は死と結びつけられるモチーフ…と考えると、チョコラータらしい衣装です。やっぱりアイツ怖いわ!!!
62巻表紙のジョルノとミケランジェロの「最後の審判」
次は62巻表紙のジョルノです。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』62巻 集英社
こちらはヴァチカンのシスティーナ礼拝堂に描かれた、ミケランジェロの「最後の審判」のキリストのオマージュ。中央に鎮座しているのがキリストです。
ミケランジェロ・ブオナローティ- See below., パブリック・ドメイン, リンクによる
こちらは先ほどの輪切りのソルベのシーンで描かれていた天井画と、同じ場所になります。
ジョルノのキリスト説についても、こちらで考察しています~!
セッコ戦の扉絵と「カピトリーノの雌狼」
ブチャラティとセッコ戦での扉絵に像が描かれていました。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』61巻 集英社(29頁)
こちらは「カピトリーノの雌狼」などと呼ばれるブロンズ像です。ローマのカピトリーノ美術館の所蔵になります。
雌の狼に育てられた双子の話がモチーフで、このうちの一人であるロムルスがローマを建国し、名前の由来にもなったという伝説があります。ローマのサッカーチーム、ASローマのエンブレムにも使われていますね~!
ちなみに味の素スタジアムの近くにはレプリカがあります。ローマと調布市の友好都市提携5周年として、贈られたものなのだとか。
ナランチャ死亡シーンとピエタ
ナランチャ死亡シーンもちょっと気になる構図ですよね~…
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』62巻 集英社(102-103頁)
ポージングがめちゃくちゃピエタっぽい。ミケランジェロのピエタにも似てるし、アンニーバレ・カラッチのピエタにも似てるような…
By Annibale Carracci - Web Gallery of Art: ImageInfo about artwork, Public Domain, Link
何か元ネタがありそうだし、多分誰かのピエタじゃないかな~~~~…どうですかね皆さん…
ナランチャを助けようとするジョルノたちとベルニーニの「プロセルピナの略奪」
そしてナランチャを助けようとするジョルノたちも、ちょっと気になるポーズです。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』62巻 集英社(104-105頁)
騎馬戦とか組体操みたいな人の重なり具合ですが、これで思い出したのが、ジャンボローニャ作の「サビニの女たちの略奪」。フィレンツェのシニョリーア広場で見ることが出来ます。
By No machine-readable author provided. Thermos assumed (based on copyright claims). - No machine-readable source provided. Own work assumed (based on copyright claims)., CC BY-SA 2.5, Link
人の絡まり方とかがちょっと似てない?
シニョリーア広場には他にも「ポリュクセネーの陵辱」など、人がごちゃっと絡まっているような彫刻が置いてあります。でもこれがポーズ的に1番近いです。
ブチャラティの昇天シーンと昇天図
そしてファンの間でも再三議論されてきた、ブチャラティの昇天シーン。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(47頁)
ぱっと見た感じ、テーマ的にはキリスト昇天か聖母被昇天、構図は天井画っぽいです。似ている感じなのはニコラ・プッサンの聖母被昇天とか…
左右反転しているけど、足だけはなんか似ているコレッジョの天井画とか…
アントニオ・コレッジョ- 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
あとはサンティニャーツィオ教会の天井画とか。
Par Andrea Pozzo — https://www.flickr.com/photos/antmoose/62278449/ Anthony Majanlahti, November 11, 2005, CC BY 2.0, Lien
ブチャラティのポーズとも比較的近く、輪のようなものを持つ天使もいます。これが1番近いかな…
ブチャラティの周囲には、輪を持っている以外の天使も描かれていますが、2人並んだ天使や上から降りてくるような天使も、この天井画には見えます。ドンピシャのポーズではありませんが、この辺りが元ネタかな~という気がします。
スコリッピによるミケランジェロの説明と「ダビデ像」「ミケランジェロ像」
スコリッピがミケランジェロのお言葉について、ミスタに説明するシーンです。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(177頁)
フィレンツェのアカデミア美術館所蔵のミケランジェロの「ダビデ像」ですね~!
そしてその股間を隠しているのが、ミケランジェロ像です。フィレンツェのウフィツィ美術館の中庭で見ることが出来ます。
Di Wikibusters -Opera propria, CC BY-SA 4.0, Collegamento
作者の顔をモザイク代わりにする発想、すごい。
スコリッピによるミケランジェロの説明と「目覚める奴隷」
先ほどの1つ下のコマです。ミスタに怒鳴られながらも説明を続けるスコリッピ。ギャング相手に芸術論を説く度胸、半端なさすぎる。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(177頁)
こちらはミケランジェロによる「目覚める奴隷」と呼ばれる未完の作品です。ダヴィデ像と同じく、フィレンツェのアカデミア美術館が所蔵しています。
Di Michelangelo - Umberto Baldini, Michelangelo scultore, Rizzoli, Milano 1973, Pubblico dominio, Collegamento
アカデミア美術館ではミケランジェロが制作した「若い奴隷」「髭の奴隷」など、奴隷と名のつく作品をいくつか見ることが出来ます。ただ未完のものが多いんですよね~。
「眠れる奴隷」についての考察はこちらもどうぞ~!
ブチャラティの運命とミケランジェロの「瀕死の奴隷」
ブチャラティの運命について、スコリッピが説明するシーンです。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(178頁)
この元ネタは、ミケランジェロが制作した「瀕死の奴隷」。フランスのルーヴル美術館の所蔵です。
By Jörg Bittner Unna - Own work, CC BY-SA 3.0, Link
「瀕死の奴隷」は『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で、露伴先生のポーズのオマージュとしても使われています。
荒木飛呂彦(2011年)『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』 集英社
「岸辺露伴ルーヴルへ行く」の美術ネタは、こちらをどうぞ~!
ローリングストーンズのブチャラティとミケランジェロの「しゃがむ少年」
ローリングストーンズで丸っこくされてしまったブチャラティ。ちょっと可愛いんだよな…
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(206頁)
脚をかかえて丸まったポーズに見えます。これの元ネタっぽかったのが、ミケランジェロの「しゃがむ少年」。ロシアのエルミタージュ美術館にあります。
ブチャラティほど丸くはないですが、ポーズは近いような…
By Yair Haklai-Own work, CC BY-SA 3.0, Link
「眠れる奴隷」の話では、ミケランジェロ作品が大量に登場するし、もしかしたらオマージュかも…!?
「眠れる奴隷」の記事についてはこちらもどうぞ~!
ジョルノの紋章とメディチ家の紋章
最後にジョルノの紋章についてです。物語の序盤やアニメ版OPでも登場しました。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(227頁)
メディチ家の紋章のオマージュっぽいんですよね~。そもそもなぜジョルノの紋章があるのか、と考えた時に、イタリアにはメディチ家があるから、それにちなんだのかな~という気がしました。
ルネサンス期に銀行業で成功し、ダ・ヴィンチやミケランジェロのパトロンでもあったメディチ家ですが、紋章には色々なデザインがあります。例えばこちら。
そしてこれもメディチ家。ちょっとデザインが違う。
By Vergil123- Own work, CC BY-SA 4.0, Link
他にも水玉だけなど、もっとシンプルなデザインもあります。
水玉の模様の意味については、色々な説があるそうです。銀行業を営んでいたことから分銅だとか、銀行業の前は薬屋だったことから丸薬だとか…
そして段々とこの点がテントウムシに見えてくる不思議。もしかしたら、こんなところもオマージュだったりして。
まとめ:5部「黄金の風」は美術ネタがたくさん!チョイスも細かい!
5部「黄金の風」に登場する美術ネタをまとめてみました。長かった…
やっぱりミケランジェロが多いですね~!荒木先生が美術館だけではなく、教会まで歩き回っていることがよく分かります。チョイスが細かいんだ…
ジョジョファンはぜひ訪れたいイタリア。特に5部は美術ネタが多いですが、行く前に少し頭に入れておくと、より楽しめるかもしれません。
みんな!海外旅行行けるようになったら、イタリア行こうね!!!
ジョジョの美術の記事はこちらもどうぞ~!