ポルナレフが旅の最後まで同行したのはなぜか

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険3部に登場したポルナレフ。妹の敵討ちのために承太郎たちに加わり、旅をしていました。

しかし敵討ちが終わっても離脱することなく、最後まで戦い抜きました。そこでなぜ目的を果たしたはずのポルナレフが旅の最後まで同行したか、考察してみます。


1. ポルナレフの旅の目的が変わったのはなぜか

まずはポルナレフの旅の目的の変化について見ていきます。

承太郎たちの仲間入りをした時のポルナレフの目的は、妹の仇を討つことでした。しかしJ.ガイル戦終了後には、こんなことを言っています。

荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』16巻 集英社(85頁)

大変説得力のある一言でござる。やれやれだぜ…

宿敵を倒したポルナレフが、その後も旅に同行することを明らかにしたシーンです。ポルナレフの旅の目的が打倒DIOとなった瞬間ですが、こんな台詞が出たのは、旅路やJ.ガイル戦を通して、仲間の絆を感じたからではないでしょうか。

一緒に戦ってくれた仲間のための恩返し

まずは仲間のための恩返しという理由について見ていきます。J.ガイルを目撃し、パーティーを抜けて単独で挑もうとしたポルナレフ。確かに旅の目的を敵討ちと明言していたので、抜けても責められません。

それでも止めに入ったのがアヴドゥルでした。

荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』15巻 集英社(169頁)

「1人じゃ相手の思うつぼ」だの「勝てないぞ」だの、必死で止めようとしていました。

でも聞く耳持たずなポルナレフが振り切ってしまった結果、アヴドゥルを危機一髪な目に合わせた訳で…だから懺悔の気持ちはあったんじゃないかな~…そしてアヴドゥルや承太郎に関しては敵だったにも関わらず、命を救ってくれた感謝もあったのかもしれません。命がなければ妹の敵討ちも出来なかったもんね…

また花京院は身勝手なポルナレフに肘鉄を食らわせながらも見捨てることなく、最後まで共に戦った仲間です。しかも言葉遊びとはいえ、シェリーの魂の安息まで祈ってくれてるし。

荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』16巻 集英社(61頁)

本当いいやつだよな…何だかんだでポルナレフに付き添ってくれた訳で、こんなのサンキュー花京院!!と言いたくもなります。

無茶をしようとした自分を見捨てることなく、体を張って支援してくれた仲間たち。寝食を共にし、時に辛くも楽しいひと時を過ごした友人に恩返しをするために、今度は打倒DIOのために自分が力になるという気持ちがポルナレフに生まれたのではないでしょうか。

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仲間がいることの大切さに気づいたポルナレフ

次に仲間がいる大切さに気づいたことについてです。J.ガイルに1人で挑もうとするも、結局仲間の力を借りたポルナレフ。アヴドゥルが倒れた後には、こんなことを言っていました。

荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』16巻 集英社(25頁)

アヴドゥルの「1人じゃダメだぞ~~」という忠告の意味を今一度理解したシーンですが、ポルナレフはこの妹の敵討ちを通して、1人では戦えないという思いが芽生えたのではないでしょうか。

そしてDIO戦前には、今すぐDIOを倒すべきとジョセフたちを振り切っていました。見損なった!だのプンスカしていましたが、承太郎がついてきたことに気づくとこの表情。

荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(79頁)

めちゃくちゃ嬉しそう。メルシ~~~ボ~ク~~~~!!!

この喜び方を見るに、やっぱり1人じゃ心細いぜ~~~!って思っていたんだろうな~!だってDIO強いし…

他にも階段でDIOの恐ろしいものの片鱗を味わった直後、ジョセフたちが助けに来るとちょっと嬉しそうだったり…なんて仲間の助けの大切さと共にいる心強さを体験してきたポルナレフ。だからこそ自分を救ってくれた承太郎たちの目的を果たすために、仲間がもっといてもいいよね!という気持ちがあったのかもしれません。

自分のスタンドに自信がないと出来ない発想ですが、J.ガイルを探すために旅に同行してくる積極性もあることだし…ポルナレフの性格的にこんな気持ちがあっても不思議じゃないかな~…なんて思います。

2. 家族を失う悲しみを知っているポルナレフ

次にポルナレフの同行は、家族を失った悲しみを知っているからこそという理由についてです。ポルナレフは妹を失い、孤独を経験している人物でした。復讐の鬼と化した辺りからも、家族を失う辛さと苦しみを誰よりも分かっていることが伺えます。

そして3部の旅は、承太郎とジョセフにとってはホリィを救う道のりです。失敗すれば家族を失う旅ですが、仲間にそんな気持ちは味わわせたくないぜ~!と思うのが人情なはず。オレンジ早食いとか前世が女だとか盛り上がってた友人の悲しむ顔なんて…辛すぎるよねぇ…

そもそもポルナレフは家族ネタになるとめちゃくちゃ優しいんですよね~!エンヤ婆とかね…

荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』17巻 集英社(96頁)

顔まで最高に煽ってる件。無自覚でやってる奇跡よ…

この直前にも「家族っていいよな~~~~」なんて言っていましたが、1人ぼっちだからこそ家族の素晴らしさが分かるんだろうな、切ない…

家族の良さ、そして失う悲しさを知っているポルナレフ。だからこそ仲間の承太郎たちには、同じ思いをして欲しくなかったのかもしれません。そんな気持ちがポルナレフが旅に同行するモチベーションになっていたのではないでしょうか。

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3. ポルナレフはなぜDIOを倒したかったのか

最後に、ポルナレフがDIOを倒したいと思った理由について考えてみます。肉の芽を抜かれ、DIOに客観的に向き合うことが出来たポルナレフですが、どんな気持ちを持っていたのでしょうか。

DIOに賛同できなかったポルナレフ

まずはDIOとポルナレフの考え方の違いを見てみます。

DIOは承太郎たちを返り討ちにするために戦っていました。しかしもっと大きな野望として「勝利して支配する」だの自分のことを「世界の頂点に立つ者」だのと発言していたことから、世界征服でも企んでいたことが伺えます。肉の芽などを上手いこと使いながら、自分の欲を満たそうとしていたようです。

一方で承太郎たちは欲望だけで戦っていたのではありません。家族や正義、自分の成長などそれぞれ目的は微妙に違うものの、ホリィを救いたい気持ちはみんな同じだったはず。容体が悪化したと聞けば、焦っていたし…

荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』20巻 集英社(48頁)

ここにポルナレフもいる訳ですが、他人のために必死になるみんなに共感したからこそついてきたり、一緒にホリィのことを思っていたんじゃないかな~!

というのもポルナレフだって自分の欲望のためだけに戦っていた訳ではなさそうなんですよね~…

荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(73頁)

シェリーの魂のために兄貴が戦うぜ~!ということです。見方によってはポルナレフの自己満足やん!とも言えそうですが…

でも妹を亡くした事件では、友達の証言を誰も信じませんでした。だから事件が迷宮入りじゃシェリーが浮かばれないよ~という気持ちがあっても不思議ではないはず。本当は刑務所入りになる相手なのに、一般人には裁けないから自分が鉄槌を下すということなんでしょうね…ポルナレフにしてみれば妹が安らかに眠れるように…と、家族を思って戦っていたのです。

このように自分の欲求のためだけに、人を支配したり傷つけようとするDIOには賛同できなかったのだと思います。その一方で承太郎たちの姿勢には共感したことも、旅の一つの動機となっていたのではないでしょうか。

ポルナレフのプライドを取り戻す旅

そしてポルナレフのプライドという側面からも考えてみます。騎士道精神という気高き心を持ち、自身のスタンドにも誇りを持っていたポルナレフ。

でも肉の芽に支配されていた時は、その自信満々なスタンド能力で人を傷つけようとした訳で。それJ.ガイルと変わらないやんけ!ってなっちゃうんだよな~!そりゃ~プライドは傷つくわ、妹に顔向け出来ないわ…のはず。だからこそ元凶のDIOを倒すことは、旅のモチベーションとなっていたのではないでしょうか。

そしてアニメ版ではDIOの館に入る直前に、打倒DIOの目的がこのように述べられていました。

ポルナレフは思った。「肉の芽で自分を操り、正義にも悖る行いをさせたDIOに、必ず報いを受けさせる」と。

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース: 地獄の門番ペット・ショップ その2 . TOKYO MX, 2015-04-18.(テレビ番組)

この「正義にも悖る行い」が、まさにスタンドで人を傷つけようとしたことなのだと思います。シルバーチャリオッツに自信とプライドがあり、崇高な精神性のポルナレフだからこそ、卑劣なスタンドの使い方をしてしまったことが許せなかった。それがDIOを倒そうと、旅に同行した理由だったのかもしれません。

まとめ:ポルナレフは仲間、そして自分のために旅の最後まで同行した

ポルナレフが旅の最後まで同行した理由を考察してみました。

仲間の絆はもちろん、自分のプライドのためにDIOに立ち向かったであろうポルナレフ。そして家族を失う悲しみを知っていたからこそ、承太郎たちに同じ思いをさせぬよう、ホリィを救うことも大きなモチベーションになっていそうです。

何かと熱くなりがちで自分勝手に見られがちなポルナレフ。でもそれは彼なりの優しさと誇りによって突き動かされたものだったのかもしれません。ブラボー!おお…ブラボー!

 

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