ジョジョの奇妙な冒険の第1部「ファントムブラッド」。ジョースター一族の運命の始まりとなる部です。
数々の名言を生み出した1部ですが、英語ではどのような訳だったのでしょうか。英語吹替版アニメでの聞き取りに挑戦です!
ジョナサンとディオの名言の英語訳はこちら。
ジョジョったらいけないひと!
まあ!ジョジョったらいけないひとッ!
荒木飛呂彦(1987年)『ジョジョの奇妙な冒険』1巻 集英社(78頁)
ジョナサンが、ハートの中に2人の名前を木に刻んだ時のエリナの名言。照れっぷりが可愛いシーンです。英語訳はこちら。
what possessed you~=どうしちゃったの、なぜ~する気になったの
「ジョジョ!何てことしてるの!なんてこと!」くらいの意味になりそうです。「いけないひとッ!」はWhat possessed you~で訳されています。
What possessed youは、「何があなたをそうさせたの?」「何に憑りつかれちゃったの?」のようなニュアンスです。「どうしちゃったんだよ!」みたいな意味合いで使われます。エリナにとっては意外な行動だったんでしょうね~!可愛らしい2人です。
おせっかい焼きのスピードワゴン!
「誰だ?」って聞きたそうな表情してんで自己紹介させてもらうがよ おれぁおせっかい焼きのスピードワゴン!
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』2巻 集英社(55頁)
ジョナサンに追い詰められ、観念する振りをするディオ。そこに颯爽と現れたスピードワゴンの名言です。英語訳はこちら。
The name is Robert E.O. Speedwagon!
wondering=気になる、不思議に思う
elucidate=明らかにする、説明する
「今、お前らは俺が誰だと不思議に思っているだろう。説明させてくれ。名前はロバート E.O. スピードワゴン!」のような訳です。
あらぁ…?
「おせっかい焼き」がないだと…!?
この一言があるからこそ、名言なのに…なぜ訳さなかったのだ………スピードワゴンはおせっかいだからカッコいいのに…!
ちなみに「おせっかいな」は英語でinterferingなんて訳されます。このセリフも漫画の英語版では「interfering」という表現がちゃ~んと入っているようです。
そこにシビれる!あこがれるゥ!
さすがディオ!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる!あこがれるゥ!
荒木飛呂彦(1987年)『ジョジョの奇妙な冒険』1巻 集英社(83頁)
ジョナサンを苦しめたいがため、彼の恋人・エリナに、ズキュウウウン!!とキスをしてしまうディオ。それを見ていたディオのお仲間の名言ですが、英語訳はこちらです。
He just does what he wants, devil may care!
did it=やったぞ
give someone what for=罰する、叱る
devil may care=無鉄砲な、向こう見ずな
「ディオがやったぞ!罰を与えてやったぞ!俺がディオみたいに勇敢だったら、トラブルになっただろうな!ディオはやりたいことをやっているだけだ!向こう見ずめ!」のような意味になりそうです。やかましいお友達だな!!!
日本語版より、細かく説明がされていますね~!「俺たちにできない事」=「ディオみたいに勇敢でも、エリナとはトラブルになる」ということらしいです。エリナとキス出来たとしても、ディオのようにエリナを圧倒できない、というニュアンスでしょうか。
devil may careは、ちょっと面白い言葉です。直訳は「悪魔なら気にするかも」。
つまり「悪魔なら気にするかも」=「まともな人間は気にしない」=「無鉄砲、向こう見ず」のような意味になります。
こいつはくせぇッー!
こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーッ!!
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』2巻 集英社(57頁)
ディオの本性について、ジョナサンに忠告した時のスピードワゴンの名言。セリフの勢いが凄いし例えもなかなか酷いですが、英語訳はこちらです。
fellow=男、奴
reek=悪臭
brimstone=硫黄、地獄の業火
lay eyes on=見る
直訳は「こいつは硫黄と血の悪臭がする、今まで見てきた中で最悪の男だ!」のような感じです。
brimstoneは硫黄の意味になります。
スピードワゴンとしては「ゲロ以下のにおい」=「硫黄と血のにおい」なのでしょうか…いい匂いではなさそうですが硫黄嫌いなのかな…
どうでもいいけど、スピードワゴンは大涌谷の温泉卵とかダメそう。
スピードワゴンはクールに去るぜ
スピードワゴンはクールに去るぜ
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』2巻 集英社(180頁)
ジョナサンを看病するエリナを見かけ、2人を邪魔しないように病院から立ち去る時のスピードワゴンの名言です。英語訳をどうぞ!
time for=~する時間
make one's exit=退場する
直訳は「スピードワゴンの退場の時間だぜ」でした。「クールに」がないシンプルな訳ですが、やっぱりここは欲しかったですよね~!
スピードワゴンの英語訳は、全体的にあっさりしている印象です。ガヤガヤうるさいキャラクターなだけに、ちょっと物足りないかも…?
人間賛歌は勇気の賛歌
人間賛歌は「勇気」の賛歌ッ!!
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』3巻 集英社(97頁)
ジャック・ザ・リパー戦でのツェペリ師匠の名言。波紋法を習得中のジョナサンに向けた一言でしたが、英語訳はこちら。
birthright=生まれながらの権利
lads=若者
「勇気は生まれながらの権利だ、若者よ!」のような直訳です。勇気は人間が最初から持つ権利=誰でも人間賛歌が体現出来る、というようにも聞こえます。励まされるな…!
最後にladsとつけているのが、英語訳オリジナルです。ladsをつけることで年を重ねたツェペリ師匠が、まだ若くて甘ちゃんなジョナサンに教えたかったというのが、より伝わってきます。
あしたっていまさ!
ねーちゃん!あしたっていまさッ!
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』4巻 集英社(121頁)
タルカス戦でのポコの名言です。ジョナサンの助けるために勇気を振り絞る場面でした。英語訳はこちら。
stand up=立ち向かう
Tomorrow is now!のような訳かと思ったら、全然違う…。「今立ち向かっているぞ!」のような意味になります。
ポコの行動的には立ち向かっているというのは正しいのですが、原作とはちょっとニュアンスが違う訳ですね~!日本語版の方が印象的、英語版よりポコの勇気が感じられる訳でした。
ストレイツォ、容赦せん
このストレイツォ、容赦せん!
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』5巻 集英社(30頁)
ポコ達を襲おうとするゾンビの前に立ちはだかった、ストレイツォの名言です。波紋シャンデリアが記憶に残るシーンですが、英語訳はこんな感じでした。
mercy=慈悲、容赦
「ストレイツォが私の名だ。容赦せん!」のような訳です。「このストレイツォ」はmy nameが使われており、微妙に訳が違うのですが「容赦せん!」はそのままです!良かった~!
短いながらもインパクトのある名言ですが、英語版でも"No mercy!"が印象的です。
まとめ:1部の名言は、英語訳でもユニークだった!
ジョジョの奇妙な冒険の第1部「ファントムブラッド」における、名言の英語訳をご紹介しました。
シンプルなものもあれば、英語訳ならではのニュアンスが感じられるものもありました。日本語訳と比べてみるととっても面白いので、ぜひ違いを楽しんでみてくださいね~!
1部の英語訳の名言はこちらもどうぞ~!
参考教材:
津田尚克, 2020, 『Jojo’s Bizarre Adventure Set 1: Phantom Blood And Battle Tendency』, Warner Bros.