ジョジョ5部「黄金の風」の意味をキリスト教の視点から考察してみた

ジョジョコラム
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ジョジョの奇妙な冒険5部は「黄金の風」というタイトルでした。

今回は「黄金の風」の意味について、5部と関係の深いキリスト教の視点からを中心に考察してみました。


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1. ジョジョ5部「黄金の風」の「黄金」のキリスト教的な意味

まずは「黄金」の意味についてです。さてキリスト教と黄金といえば、キリストの誕生時に東方の三博士が贈った贈り物のひとつで、王権や光の象徴とされています。パッショーネのトップとなり、ブチャラティらの光になったジョルノを思い出すのでは…?

実際に中世の教会などの天国を表すモザイク画の背景には、天の光や神聖さの表現として金色がよく用いられます。こういうやつね。


By Jebulon - Own work, CC0, Link

現在でもキリスト教の儀式では、キリストや神を「王の中の王」としてたたえるために、金色を用いた道具や服飾が使用されるそうです。「王の中の王」はどの王よりも偉大な者を意味しており、5部ではジョルノがディアボロから矢を手にした話のタイトルでもあります。つまり「黄金の風」の「黄金」は、ジョルノがパッショーネの王として君臨するという伏線だったんですね~!よくできてる~!

またヨハネの黙示録には神が支配する天国(あるいは天の都)について、こんな記述があります。

都の城壁は碧玉で築かれ、都は透き通ったガラスのような純金であった。都の城壁の土台石は、あらゆる宝石で飾られていた。第一の土台石は碧玉、第二はサファイア、第三はめのう、第四はエメラルド、第五は赤縞めのう、第六は赤めのう、第七はかんらん石、第八は緑柱石、第九は黄玉、第十はひすい、第十一は青玉、第十二は紫水晶であった。また、十二の門は十二の真珠であって、どの門もそれぞれ一個の真珠でできていた。都の大通りは、透き通ったガラスのような純金であった。
新共同訳(1997年)『聖書』「ヨハネの黙示録」日本聖書協会

大通りなどが純金で造られている場所とのこと。5部タイトルは神を連想させるジョルノが支配するパッショーネやイタリアもきっと、純金で造られたような美しい場所となることが示唆されているのかもしれないよね。

そして金は錆びることなく輝きを放ち続けることから、変わることのない神の愛や純粋さ、不変性を表すこともあります。ジョルノがボスとして長~~~く君臨する未来も感じられるところでは…!?

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2. ジョジョ5部「黄金の風」の「風」のキリスト教的な意味

次は風の意味についてです。キリスト教において風は神の息吹、神が現れる前兆など様々な象徴とされています。聖書にはこんな一節もありまして…

風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。霊から生まれた者も皆そのとおりである。
新共同訳(1997年)『聖書』「ヨハネによる福音書」日本聖書協会

「霊」と聖霊のことでキリスト教の三位一体を構成するひとつです。三位一体とはざ~~~っくりいえば、神様は父なる神(世界の創造主である神)、息子のキリスト(人間を救済する神)、聖霊(目に見えない形で人の心に働きかける神)という3つの姿を持っているよ~という考え方。聖書やキリスト教美術において、聖霊は白鳩や炎のほか、の姿で表現されます。

この一説は「風が自由に吹くように、聖霊も人間の理屈や支配を超えていく」という意味。5部に当てはめるのであれば、ジョルノの人の心を動かす正義の力は、ディアボロの支配や損得勘定を越えて広まっていく様子をイメージできるのではないでしょうか。

そして聖書の別の箇所には、風に関するこんな記述も…!

主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。

新共同訳(1997年)『聖書』「創世記」日本聖書協会

神が土の人形に命を吹き込まれたという表現ですが、命を与える様子はゴールド・エクスペリエンスを連想させますよね~!​ジョルノが生物に、そしてブチャラティらのように死んだように生きていた人々にも命を吹き込みながら、腐敗した組織に新しい息吹をもたらしていく。「黄金の風」の「風」には、そんな意味が込められているのかもしれません。

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アニメ版ジョジョ5部「黄金の風」の「風」の表現

ところでアニメ版ではディアボロ戦の決着後にコロッセオに向かうジョルノの髪を風がなびかせるなど、様々な風の表現が見られました。中でも注目したいのがラストシーンのこちら。

津田尚克総監督.ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 Vol.10. ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント,2019(Blu-ray)

窓から入ってきた風がジョルノの後ろのドアまで流れていきましたが、これはパッショーネがボスの姿の見えない組織ではなく、風通しの良いギャングになったことが示唆されていそうです。黄色いキラキラとした粒子も吹き込んでくるのは「黄金の風」の表現ですよね~!

ボスが姿をさらすオープンな組織で、後ろめたいこともしない。そんな堂々と正義を掲げる、ジョルノの理想としたギャング像が風を用いて表現されたシーンではないでしょうか。

5部ラストシーンの考察はこちらで…

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3. なぜジョジョ5部のタイトルは「黄金」の「風」なのか?

「黄金」の「風」という組み合わせについても考えてみます。「黄金」が王権、光、神やキリストを連想させるジョルノを、「風」が人の心に働きかける力や神の息吹を表しているのであれば、光り輝く存在のジョルノが王として、人の心を動かし、命を与えていく物語というイメージになりそうですよね~!命はゴールド・エクスペリエンスで与える生命はもちろん、パッショーネや町に新たな命を吹き込む意味も考えられそうです。

また黄金で思い出すのは、4部ラストシーンでジョセフが語った​「黄金の精神」。その高潔さがジョルノからブチャラティチーム、そしてイタリア全体へと風に乗って広まるような姿も象徴しているのかもしれません。

そしてジョルノの名前はイタリア語で「日」や「朝」の意味。風が雲を動かし黄金色の太陽に顔を出させるように、組織に反旗を翻す風を巻き起こした輝かしいジョルノが、光を求めて運命を切り開く、なんて比喩だったりとかね。ディアボロ戦が明け方に決着がついたのも、ジョルノが起こした風により太陽の光が差し込んできたという表現だったりして…!

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4. イタリアに吹く風とジョジョ5部「黄金の風」との関係

最後に地理的な観点からも少しだけ…さて5部の舞台イタリアは海に囲まれた地形ゆえに、季節ごとに様々な風が吹きます。海風はもちろん、冬から春にかけて吹く乾燥した北風のトラモンターナなども有名です。

中でも注目したいのはシロッコ3~5月頃にかけてアフリカのサハラ砂漠から吹く熱く湿った南風で、5部の舞台であるナポリやローマにも到来し、蒸し暑くなったり、時には砂漠の砂が飛んでくることも…!場所や時期的に5部との共通点がある上に、アフリカ大陸からやってくるという点は、エジプトに住んだDIOを父親に持つジョルノの到来にも見えてきそうです。

またエジプトといえばディアボロが矢を発掘した地であり、ポルナレフが活躍した3部や、矢の調査を始めたきっかけの場所でもあります。なんだか5部の重要人物を、シロッコが運んできたかのようにも感じられるところでは…?

そしてポルナレフといえばフランスですが、冬から春にかけてフランス南東部からイタリア西海岸やサルディーニャ島にかけて吹く風がミストラル。冷たく乾燥した風でその風速はなんと10m/s以上(傘がさせない程度)にもなるのだとか!春にかけてディアボロの出身地サルディーニャ島にまで到達するというのが、なんともいえない因縁…「黄金の風」は風と縁が深いイタリアらしいタイトルではないでしょうか。

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まとめ:ジョジョ5部「黄金の風」は王権やスタンド能力などキリスト教的な意味が伺えそう

ジョジョ5部の「黄金の風」の意味について考察してみました。王権やジョルノの正義が広まる様子、スタンド能力などと深い関係が伺えるのではないでしょうか。

またディアボロ戦からジョルノが王になるまでの、伏線回収の仕方も見事ですよね~!連載当初の「黄金なる遺産」というタイトルからの変更は、ラストシーンと関連させたいなんて意図もあったのかもしれないよね。ジョルノのクールな姿とも重なる素敵なタイトルだよな~!

山折 哲雄 (監修), いとう みつる (イラスト)
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参考文献
ウェザーニュース「赤・緑・金・白のクリスマスカラー そこに込められた意味とは?」https://weathernews.jp/s/topics/202312/190215/(2026年5月4日確認)
新共同訳(1997年)『聖書』「ヨハネによる福音書」日本聖書協会
ハンス・ビーダーマン(2015年)『図説世界シンボル事典』八坂書房
ミランダ ブルース=ミットフォード(2010年)『サイン・シンボル大図鑑』三省堂
ミシェル・フイエ 長本和子(2006年)『キリスト教シンボル事典』白水社

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