ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」に登場した、モハメド・アヴドゥル。マジシャンズレッドの破壊力と、真面目と茶目っ気の混ざった性格が印象的で、チームに欠かせない人物でした。
そんなアヴドゥルの名言は、英語吹替版ではどのように訳されたのでしょうか。リスニングに挑戦してみました!
3部ジョセフの名言の英語訳はこちら。
10年は早いんじゃあないかな
占い師のわたしに予言で闘おうなどとは 10年は早いんじゃあないかな
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(45頁)
銀の戦車戦でのアヴドゥルの名言。魔術師の赤の破壊力が印象的な名勝負でしたが、英語訳はこちら。
Give it another decade and you would've been a viable opponent.
fortune teller=占い師
prediction=予言
bold move=大胆
viable=可能な
opponent=相手
「占い師に予言で闘おうなどとは大胆だな。もう10年あれば相手になるんじゃあないかな」のような訳です。
bold move=「大胆だな」の辺りにアヴドゥルの占いへの自信を感じます。占ってもらいたいな~!
個人的にはですが、英語吹替版の主役5人の声優さんだとアヴドゥルが1番聞き取りにくいです。声が太すぎて聞き取りづらいというか…でも声は三宅健太さん系で、すごく良いです〜!
これだからいいんですよこれが!
ね いい国でしょう これだからいいんですよこれが!
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』15巻 集英社(149頁)
インドについたジョースター御一行を襲うカルチャーギャップ。そんな中、一人楽しそうなアヴドゥルの名言です。英語訳はこちら。
They're what makes India great, don't you think?!
don't you think?=そう思いませんか?
「ね、いい国でしょう?彼らがインドを素晴らしくしているんですよ!そう思いません!?」のような訳でした。
「これだからいいんですよこれが!」の部分がより詳しい訳です。
インドのバクシーシしている人やごちゃっとした車が、インドをいい国にしてるんですよ!というアヴドゥルの熱弁です。本当にインド大好きそうだな、この人。
花京院がスリにあっている横で「いい国でしょう」と言えるのも、なかなかすごいアヴドゥルさん。このくらいの大胆さがないと、インドは楽しめないのかもしれないな~と思ったワンシーンでした!
地獄を!きさまに!
地獄を!きさまに!HELL 2 U!
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』19巻 集英社(124頁)
カメオ戦でのアヴドゥルの名言です。カメオの「Hail 2 U!」にかけた一言でしたが、英語訳はこんな感じです。
prepare for=備える
「地獄は近い!だから地獄行きに備えよ!」のような直訳です。
英語版はちょっと説明っぽさがあるので、これは日本語のがシンプルでカッコイイですね~!せっかくなら「きさまに!」も訳して欲しかったところですが、英語では難しいかな…二人称の豊富さは日本語ならではです!
魔術師の赤は許さん
魔術師の赤(マジシャンズレッド)は許さん…だめだね!
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』19巻 集英社(138頁)
カメオ戦でのアブドゥルの名言です。許しを請うカメオに対しての一言でした。英語訳はこんな感じです。
forgive=許す
「私の魔術師の赤は誰も許さない。特にお前はな!」といった感じの直訳でしょうか。
「だめだね!」がインパクトもある名言です。でも英語版のespecially, not you!も「お前は絶対に許さん!」という感じが出ていて、これはこれで良いです!
ほれ!笑えポルナレフ!
ほれ!笑えポルナレフ!大声で笑いながらするのが作法だぞ ポルナレフ!笑え!笑え!ポルナレフ!
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』19巻 集英社(142頁)
カメオ戦後で立ちションしているアヴドゥルが、ポルナレフに放った名言です。ポルナレフもちょっと引き気味なくらい、愉快なアヴドゥルさんでしたが、英語訳はこちら。
I wanna hear the heartiest laugh that you can master!
heartiest=心からの
「さあポルナレフ!お前の笑いを聞かせてくれ!お前の心からの笑いを聞かせてくれ!」のようなニュアンスです。
原作では「笑え」を連呼をしたり、「作法だ」とか言い出すアヴドゥルさんでしたが、英語版では「笑いを聞かせてくれ!」「心からの笑いを聞かせてくれ!」と微妙に違います。
とはいえ、英語吹替版でもアヴドゥルさんはハイテンション。楽しい男の友情のワンシーンです!
これはわたしのイメージじゃあない
あああーっ これはわたしのイメージじゃあない…… トイレでの災難はポルナレフの役だ!
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』21巻 集英社(202頁)
バステト神の使い手・マライアとの一戦での、アヴドゥルの名言です。女子トイレで、変質者扱いされた時の一言でした。英語訳はこちら。
Polnareff's the one who should be getting called a dirty pervert!
deserve=値する
Peeping Tom=のぞき見をする人
pervert=変態、痴漢
「私は覗き魔のように扱われるのに値しない!ポルナレフこそ汚い変態呼ばわりされるべきじゃあないか!?」のような訳です。
えぇっ…?
ポルナレフ=トイレ
ポルナレフ=汚い変態←New!!!
ポルナレフの扱いが可哀そう過ぎて面白いな…「ポルナレフこそ汚い変態」と、英語版のアヴドゥルさんが辛辣過ぎる訳でした!
これこそモハメド・アヴドゥルのイメージ!
これですよ これ! これこそモハメド・アヴドゥルのイメージ!こういう役こそわたしのキャラクターです!
荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』22巻 集英社(25頁)
バステト女神のマライア戦でのアヴドゥルの名言です。線路のまくら木を焼いて土の中に潜り込むのに成功し、ドヤるアヴドゥルでしたが、英語訳はこちら。
Doing things this way is a little more my style!
indeed=実に、確かに
decent=きちんとした
modicum=適度な
class=気品
これ…自信ないんですよね…アヴドゥルの声、なんか聞き取れない…なぜなのだ…
訳としては「ほらねジョースターさん!さっきの事件と違って、モハメド・アヴドルはきちんとした品格をちゃんと持っているんですよ!こういうやり方は、ちょっと私向きなんです!」のようなニュアンスです。
英語版ではさらにドヤるアヴドゥルさん。もはやちょっと可愛いな…
「earlier incident」とは、1つ前の訳に出てきたトイレでの覗き事件のこと。
つまり「Peeping Tom(覗き魔)」でも「dirty pervert(汚い変態)」でもないんですよ!私は「きちんとした品格」を持っていますよ!という訳でした。
ポルナレフッ!!イギーッ!危ないッ!
ポルナレフッ!!イギーッ!危ないッ!
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』26巻 集英社(42頁)
ヴァニラ・アイスの攻撃に気づき、ポルナレフとイギーを突き飛ばすシーンでの名言です。最後まで最高におせっかいだったアヴドゥルさん…英語訳はこちら。
get out of~=~から抜け出す
「ポルナレフッ!!イギー!すぐにここから離れろ!」のようなニュアンスです。
「危ないッ!」のところが「すぐにここから離れろ!」と訳されました。こちらの方がより具体的で分かりやすくなっています。
この後、ヴァニラ・アイスの「アヴドゥルは……粉微塵になって死んだ」という恐ろしい台詞がありますが、超怖いんですよ…この訳…よろしければどうぞ…!
まとめ:アヴドゥルの英語訳は、真面目と思わせて超お茶目!
ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」に登場した、モハメド・アヴドゥルの名言の英語訳をご紹介しました。
真面目な名言ばかりかと思っていましたが、意外と茶目っ気が感じられるものも多いアヴドゥルさん。特にポルナレフへの変態扱いなど、原作以上にインパクトのある訳もありました。
アヴドゥルの名言は意外と楽しい訳が多いので、英語吹替版もぜひ見てみてくださいね~!
参考教材:
津田尚克, 2020, 『Jojo’s Bizarre Adventure Set 2: Stardust Crusaders』, Warner Bros.
津田尚克, 2020, 『Jojo’s Bizarre Adventure Set 3: Stardust Crusaders Battle In Egypt』, Warner Bros.
https://bijutsujojo.com/polnareff-english-2/