ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したカルネ。空港に突如現れ、死後もジョルノたちを襲い続けるスタンドで攻撃していました。
独特な雰囲気のキャラクターだったカルネですが本当に怖いのか、彼の過去や覚悟、音楽的な元ネタを含めて考察してみました。
1. カルネの過去とスタンドは本当に怖いのか
まずはカルネの怖さについてスタンド能力から考えてみます。んま~~~~怖いよね!だって未だに海にいるんでしょ~!?ガオンでもしない限り消滅しなさそうな能力ですが、原作曰くあのスタンドは「本体の死の怨念のエネルギーで発現した」とのこと。怨念については、飛行機内の落書きでも説明されていました。
あの男はカワイソーにゾウキンのように捨てられた 恨んで死んで行った。恨みこそがヤツのエネルギー。殺されることによって始めて作動するエネルギー。死ぬ前あの男さえもみたことのなかったエネルギー。死体だからもう殺すことはできない。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』57巻 集英社(161頁)
恨んで死んだ後に、初めてあの能力が発動したようです。つまりカルネはこの世を去る前に怒りや悲しみを感じていたことが伺えるのではないでしょうか。
で、恨みの対象は何だったのか。自分の人生、ギャングとしての能力、ディアボロ…など色々考えられますが、ヒントとなりそうなのは「ゾウキンのように捨てられた」の部分。ボス親衛隊という立派な名前の組織に所属させながら、鉄砲玉のような扱いだったからな~…ディアボロのことは恨んでいそうですよね~…
しかもノトーリアス・B・I・Gは消滅させることがかなり難しい上に、エネルギーを取り込みながらどんどん成長していきます。その様子からは「この世にへばりつきたい」「死にたくない」「成長したい」といったカルネの気持ちも想像できるのではないでしょうか。なにこの切ないスタンド…
ノトーリアス・B・I・Gはジョルノたちを危機に陥れた恐ろしいスタンド能力でした。でも発現の経緯を考えてみると、カルネのネガティブな感情が想像できそうです。怖いと評されがちなカルネですが、その人生は単純なものではなさそうですよね~…
怖いというより悲しい!?カルネの過去
カルネの過去をもう少し考えてみます。パッショーネ入団の経緯は不明ですが5部あるあるだとすれば、他のキャラクター同様のっぴきならない事情だったのかもしれません。
で、入団したはいいものの、失敗ばかりで死んで役に立つしかなかったとかね。スタンドもミスタの弾丸を受けて出現していましたが、あの時点ではそこまで厄介な力はなかったはず。なんせジョルノたちを襲ったのは「死ぬ前あの男さえもみたことのなかったエネルギー」なんだもんね…生前はあまり使い物にならないパワーだったりして。
スピードが速い物体から襲う能力も恨みの末に発現したとすれば、速いものに対する羨望からエネルギーを奪っているのかもしれません。なんせあの体型だからね~俊敏なキャラクターには見えないですよね~…「もっとテキパキしていれば役に立てたのに」「聡明な人はいいな」という過去に抱いた憧れや嫉妬が昇華された能力だった、なんて想像もできそうです。
なんだか人間的に苦労している過去ばかり見えてくるカルネ。もはや怖いというよりも悲しい人物じゃんね…
2. 死に際のカルネに覚悟はあったのか
お次はカルネの死に際の行動と覚悟についてです。ジョルノたちが乗る飛行機に一直線に向かった様子は、確かに覚悟ができているようにも見えます。ミスタの「滑走路から消えろ」という忠告にも耳を貸さないどころか薄ら笑いを浮かべていたし、足を撃ち抜かれても向かって来たし…あとアニメ版だと歩くスピードが速い。初見だとヒィッ!ってなる…
もしカルネに覚悟があったとすれば、ノトーリアス・B・I・Gが負傷するほど強力になる能力だったために近づいてきたとかね。ミスタの忠告を無視したのも、できる限り撃たれに行くためだったのかもしれません。文字通り、決死の覚悟だ…
ただティッツァーノのように任務遂行のために!と自ら考えて決めた覚悟だったのか、と問われると難しいんですよね~…そもそも知的なキャラクターとしてデザインされていないように見えるよね、ほら…
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』57巻 集英社(123頁)
なんかペッシ系男子なんだよな。
頭脳派のジョルノと比べると外見からもう締まりがないんですよね~…だから滑走路でのあの行動も考え抜いた末に覚悟を決めたというより、感情や思考力の欠落に近いのかな~という気がします。
で、もしゾウキンのような扱いが決まっていたとすれば、その恐怖から精神崩壊したり、思考放棄した可能性もあるのでは…?「死にたくないと思っても死ぬしかないので、そのうちカルネは考えるのをやめた」ってやつね。ああ悲惨…
あるいはディアボロ先生が麻薬で知力や恐怖を強制的に消去して任務に向かわせたとかね。麻薬は思考力の低下、幸福感などの短期的な効果はもちろん、長期間使えば脳の破壊も起きるもんね~…
だから覚悟を持っていたとしても、ボス親衛隊としてどうあるべきか自らの意志で決めたとは言いづらいのではないでしょうか。しかしカルネって昔はもっと明るい性格だったかもしれないですよね、やっぱり闇が深そう…
3. カルネとスタンドの音楽の元ネタとの関係
最後に元ネタとの関係を少しだけ…スタンドのノトーリアス・B・I・Gの元ネタであろう人物は、ほぼ同名のラッパーであるノトーリアス・B.I.G.。カルネ同様にガタイがよく、体重は130キロ以上とかなり迫力のある人物です。24歳の若さで銃撃により早世していますが、死因もミスタの弾丸を受けたカルネと同じです。
そんな彼が残したアルバムといえば「Ready to Die」と死後直後に発売となった「Life After Death」。訳するなら「死ぬ準備ができている」「死後の人生」というイメージですが、もろスタンドの能力じゃんね…
さらにノトーリアス・B.I.G.との関係が深い人物として有名なのが、同じくラッパーの2Pacです。後に激しい敵対関係となった2人ですが、2Pacといえばナランチャが好きな音楽。ラッパー同士、ブチャラティチームとボス親衛隊という対立関係にも共通点があります。
ちなみにカルネはイタリア語で肉を意味しますが、ヒップホップの世界では楽曲を通じた罵り合いにより、ラッパー同士が対立関係にあることを「ビーフ」と表現します。語源は牛肉ですが、こんな肉繋がりなところも元ネタだったりして…
5部はけっこう音楽ネタに凝ってるし、リゾットもそうっぽい話。
まとめ:カルネは過去や覚悟を想像してみるとただ怖いだけのキャラクターではないのかも
カルネの怖さや過去、覚悟について考察してみました。
不気味にも見えるカルネですが、スタンドから過去を想像すると切ない一面が浮かんできそうです。5部のキャラクターらしく、彼にも悲しい過去があったのかもしれません。どんな話かちょっと見たかったな…
ゾウキンのように捨てられたと恨んでいたらしいカルネですが、もっと優しい上司に出会っていれば人生が変わっていたのかもしれません。例えば面倒見の良いプロシュートとかね。カルネカルネカルネカルネよォ~~~!
5部の話はこんなのもあります
参考文献
Garin Flowers「Tupac Shakur murder trial: The key players inside the explosive East Coast-West Coast rap beef」Yahoo!entertainment https://www.yahoo.com/entertainment/tupac-shakur-notorious-big-east-coast-west-coast-rap-rivalry-180502682.html?guccounter=1&guce_referrer=aHR0cHM6Ly9lbi53aWtpcGVkaWEub3JnLw&guce_referrer_sig=AQAAADLHa_winjoOomCZUaXUMTVHNpT2Jd2v-2nVjaU02atmLBey5nFiz54eq-Uwj5C3pGuGvEMATgwsOWrg-eZ-esDzPAPQCGw8Hy6ucvwWC4V4dJJIYCejgnfUTWh2uo2tWhjeuua2I03eTL2LZIMoY8b2nBXi4UQYYp3LtK2dUkLF(2025年1月7日確認)