ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」に登場する、花京院典明。エジプトに到着後の活躍の場は少ないものの、インパクトの残る戦いぶりを見せてくれました。
そんな花京院典明の名言は、英語吹替版ではどのように訳されたのでしょうか。今回はエジプト編のリスニングに挑戦です!
3部前半の花京院典明の名言はこちら。
最低のサイコ野郎だ
紳士ぶっているが最低のサイコ野郎だ…ヘドが出る
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』25巻 集英社(21頁)
テレンス・T・ダービー戦での花京院の名言。人形コレクションを見せられての一言でした。さすが花京院、超辛辣だな………英語訳はこちら。
He makes me sick.
out of patience=我慢出来ない
makes me sick=気持ち悪い、吐き気を催す
直訳は「このソシオ野郎の人形劇には、我慢が出来ない。吐き気を催す」のような意味になります。
原作の「最低のサイコ野郎だ…」ですが、日本アニメ版では「最低の野郎だ…」に変更されていました。放送コードに配慮したものか…と思っていたのですが、なんと英語吹替版ではソシオ野郎と表現されています!
英語圏ではサイコパスでは駄目だけど、ソシオパスならOK!ということっぽいですね。基準が難しすぎる…
答える必要はない
答える必要はない
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』25巻 集英社(47頁)
同じくテレンス・T・ダービー戦での花京院の名言です。このゲームやりこんでるなッ!と聞かれて、この返答でした。英語訳はこちら。
I'd rather not=私は~したくないです
reveal=明らかにする
直訳は「私はそれを明らかにしたくないです」になります。「それは明かさない方がいいと思います」のようなニュアンスでも良さそうです。
I'd rather notは、I don't want toよりも丁寧な言い方になります。意味的には同じですが、原作に比べて言い方がとても丁寧。その丁寧さが逆に怖いんですけどね…
精神的動揺による操作ミスは決してない!
だからこのゲームで この花京院典明に 精神的動揺による操作ミスは決してない!と思っていただこうッ!
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』25巻 集英社(56頁)
こちらもテレンス・T・ダービー戦での花京院の名言です。恐怖を乗り越えた花京院の自信あふれる一言でした。英語訳はこちら。
My word is my bond!
on this day=あの日、その日
vow=誓う
my word is my bond=約束する
直訳すると
「あの日の僕、花京院典明が恐怖に支配されることは2度とないと誓ったのは、そのためだ!男に二言はないッ!」
といったニュアンスに近いでしょうか。
my word is my bondは、意味としては「約束する」になります。ですが、日本語訳で「男は自分の言ったことは曲げない」のような訳がつけられたことがあるようです。ということで、「男に二言はない」を当ててみたのですが…
急に日本男児感が出てしまった。ごめんね花京院。
でもカッコよくないですか…?誇り高いキャラだし…
この訳だと硬派なのは承太郎だけじゃないということになります。硬派な花京院もこれまた良し。
これから起こる事柄に後悔はない
後悔はない……今までの旅に……これから起こる事柄に……ぼくは後悔はない……
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(57頁)
DIOとの最終決戦直前の花京院の心情です。シンプルながら強い覚悟が感じられる名言でしたが、英語訳はこんな感じです。
So I can live with whatever happens from here on out.
free will=自由意志
live with=耐え忍ぶ、受け入れる
here on out=これからずっと
直訳は「僕に後悔はない。これは自分の意志で来た旅だ。だから何が起きようと、これからずっと受け入れる。」のような感じです。
英語版ならではの部分はmy own free will。「自分の意志」という部分が表現されているところです。日本語版のシンプルな言葉で語るのも印象に残りますが、英語版の意志が表現されたセリフも、花京院らしさが出ています!
君の意見を聞こう
承太郎ッ!君の意見を聞こうッ!
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(73頁)
DIOにポルナレフが単身で乗り込もうとする場面での花京院の名言です。一言も発さなかった承太郎に対して、意見を求めた場面でしたが、英語訳はこちら。
直訳としては「承太郎、僕たちはどうしたらいいと思う!?」のような意味合いです。言い方に少し違いはあるものの、承太郎に意見を聞いているという点では同じでした。
半径20m エメラルドスプラッシュをーッ!
くらえッ!DIOッ!半径20m エメラルドスプラッシュをーッ!
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(136頁)
DIO戦で法皇の結界を張り、エメラルドスプラッシュを一斉に発射しようとした花京院の名言です。英語訳はこちら。
radius=半径
die!って!!ストレート過ぎるわ!!!!
花京院そんなこと言わないでしょ!とツッコミたくなる訳…もっとこう…あるだろう!?
ちなみに「くらえ!」はtake this!やEat this!と訳されることが多いです。なんでdie!にしちゃったんでしょうねぇ…。クールな花京院が激熱になってしまった訳でした。
伝わってください…
最後の……エメラルド・スプラッシュ…メ…ッセージ……で…す…これが…せい…いっぱい…です ジョースター…さん 受け取って…ください…伝わって……… ください……
荒木飛呂彦(1992年)『ジョジョの奇妙な冒険』27巻 集英社(156頁)
DIOの能力を見抜き、ジョセフに知らせようとする花京院の名言。ウッ……辛い……英語訳…伝わって………ください………
It's a message I don't have the strength to give you another.
Mr. Joaster... you have to do decipher it...you have to let...the others know...
make it count=大切にする
decipher=解読する
「これが…せい…いっぱい…です」は「もう一発撃つ力はない」、「受け取って…ください…伝わって……… ください……」は「読み解いてください みんなに知らせてください」にマイナーチェンジしています。
make it countは「大切にする」。タイタニックでジャックがローズに渡した手紙に書いてあったことで有名な言葉です。
その手紙ですが、続きには「meet me at the clock!(時計の前で待つ!)」との文字。時計が使われている辺り、このシーンとの共通点を感じます。もしかしてそれを知ってた上での訳だったりして…!?
しかし何度見てもこのシーンしんどいんですよね…リスニング………辛かった……です……はぁ……
まとめ:英語吹替版の花京院典明は、硬派な日本男子で超カッコよかった!
ジョジョの奇妙な冒険の第3部「スターダストクルセイダース」エジプト編における花京院典明の名言の英語訳をご紹介しました。
原作でも素敵なキャラクターでしたが、英語版では独自の表現も盛りだくさん!ますます魅力あふれるキャラクターとなっているのが印象的でした。
というか、物凄くカッコいいじゃないですか…
この英語吹替版でのセリフを知った後で原作を見ると、また花京院に対する見方が少し変わるかも!?英語版と日本語版どちらも比べて見るのもおススメです!
前半部の花京院の名言はこちら。
参考教材:
津田尚克, 2020, 『Jojo's Bizarre Adventure Set 3: Stardust Crusaders Battle In Egypt』, Warner Bros.