ジョジョの奇妙な冒険5部に登場したミスタのスタンド、セックス・ピストルズ。寝食をしたり、性格が違ったりと、個性的なスタンドでした。
そんなセックス・ピストルズですが、サッカーのような動きで魅せる抜群のチームワークや、自我を持つのはなぜなのでしょうか。考察してみました。
1. ミスタの欲望とセックス・ピストルズ
まずセックス・ピストルズとミスタの精神性の関係について見ていきます。ミスタの人生観は「単純に生きる」であり、素直で欲望のままに動くタイプ。ナンパやらカツアゲやら、なかなかヤンチャな過去を持つミスタですが、これも欲望のままに動いた結果です。そんな一面は今でもあるようで、トリッシュに出会いたての時はこれ…
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(90頁)
なぜか巻き添えを食らうフーゴ。
トリッシュを女性として見ている上に、フーゴも同じ発想だと思ってるミスタ…なんでや…でも「オレも気になってしょーがねーんだよォ~~~~」なんてド直球な台詞は、欲望に正直だからこそです。
そして女好きな一面に加えて、ミスタは食についてのシーンも多い人物でした。菜食主義者や人間の肉の味について興味を持ったり、イチゴケーキが食べたいと騒いだり…アニメ版ではこのシーンでも…
ま~~~~~たイチゴケーキ食べてる!!!美味しいもんね、イチゴケーキ…
このようにミスタは人間の三大欲求のうちの2つ、食欲と性欲の描写が人一倍多いのです。これを踏まえた上で、セックス・ピストルズの欲求について考えていきます。
セックス・ピストルズが持つ欲望の意味
さてセックス・ピストルズの欲求と言えば、代表的なシーンはこちら。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』49巻 集英社(181頁)
お食事をする珍しいスタンドでした。きっと食にこだわりのあるミスタから生まれたからこそなんでしょうね~!わざわざ「トスカーナの」サラミをあげてるくらいだし…
この後のシーンでセックス・ピストルズはお昼寝をすることも判明し、食欲と睡眠欲を持っていることが伺えました。人間の最大欲求の2つを兼ね備えている訳ですが、極めつけはこれ。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』62巻 集英社(70頁)
ミスタそっくりやないか。
トリッシュの体に興味津々。ミスタの性欲的な部分がよく反映されていますね~!
このように考えると、セックス・ピストルズは人間三大欲求の食欲・睡眠欲・性欲を全て持っています。しかもお腹が減れば仕事はしないし、食後は昼寝…なんて様子は、本体のミスタと同じく本能に忠実。まさしくミスタの素直さと欲望が現れたスタンドだと言えそうです。
2. ミスタのからセックス・ピストルズが発現した理由
次にミスタからセックス・ピストルズが発現した理由について考えてみます。セックス・ピストルズは、食べたり会話をするタイプの群体型スタンドです。ちょっと珍しいタイプですが、なぜこんなスタンドが生まれたのでしょうか。ミスタの過去とチーム愛から考察してみました。
孤独感を埋めるためのセックス・ピストルズ
まずミスタの過去から考えられるのが「仲間が欲しかった」説です。暴行されていた女性を救うため、拳銃の引き金を引いた過去を持つミスタ。しかし誰も正当防衛を証言してくれなかったことで、禁固刑が宣告されます。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(178頁)
注目したいのは「耳を疑ったのはミスタひとりだけ」「楽観的なミスタがこの時ばかりは頭をかかえた」の2点。「ひとりだけ」という表現には、誰も味方をしてくれない様子とミスタの孤独が感じられます。そして判決に対して、あのミスタが「頭をかかえた」のだから、相当なショックを受けたはずです。自分は正しいことをしようとしただけなのに…
この事件により「誰かに味方して欲しかった」「ひとりは嫌」という気持ちを強く持っているであろうミスタ。だからこそ、たくさんの仲間がいる群体型のスタンドが発現したと考えられそうです。そしてご飯をあげるなど世話を焼くことで、セックス・ピストルズとの間に会話が生まれますが、これにより「自分を独りではない」と再確認できるからなのかもしれません。
ミスタのチーム愛とセックス・ピストルズ
次にミスタのチーム愛から、セックス・ピストルズを考察してみます。要所でチームへの愛を感じられる描写がされているミスタ。例えば「眠れる奴隷」のエピローグで、ブチャラティの石を体を張って破壊しました。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(213頁)
理に適ってるといえばそうですが…ローリング・ストーンズの予言は「死なない(ケガをしないとは言っていない)」なんだよな…
だからフーゴが受け止めてくれたからいいものの、地面に打ちつけられたら大怪我は確実なこの状況。それでも必死だったのは、ブチャラティへの恩返しはもちろん、チームを愛しているからこその行動ではないでしょうか。
また女の子にナンパをしたり、食への持論を披露したり…と、ミスタは人といることを楽しめるタイプです。だからこそチームでの集団行動も楽しめるし、チームを大切にする気持ちも強くなるのかもしれません。ましてや孤独はもうこりごり…なミスタだもんね…
このように考えると、群体型のセックス・ピストルズが発現したのは、ミスタの「チームが好き」という姿勢の具現化と言えそうです。そしてセックス・ピストルズがいつも明るく、寝食を共にし、時に喧嘩をしつつも絶妙なチームワークを発揮するのは、ミスタの理想とするチーム像だからだったりして…
3. サッカーとセックス・ピストルズの関係
最後にサッカーとセックス・ピストルズの関係を見ていきます。
セックス・ピストルズはサッカーをモチーフにしたと考えられるスタンドです。息の合ったチームワークはもちろんですが、弾丸を足で蹴るわ、パスを要求するわとその動きはサッカー選手そのもの。そして一仕事するとこれ。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』50巻 集英社(14頁)
めちゃくちゃゴールパフォーマンスっぽい。
で、なぜサッカーモチーフなのか。これはミスタがサッカー好きだからでしょうね…!「キャプテン翼やってるぜ」とか言っちゃうミスタだもの…そしてミスタのプロフィールのヒーローの欄には、「ロベルト・バッジオ」の文字が。本当にサッカー小僧なんだな…
で、このロベルト・バッジョ(バッジョと表記されることが多いので今回はこちらで統一)って誰?ということで、どんな選手だったのか少し見ていきます。
ミスタが好きなロベルト・バッジョとは
ロベルト・バッジョはイタリア代表経験を持つサッカー選手です。ボールタッチの上手さに定評があり「至高のファンタジスタ」の異名を持ちます。ファンタジスタとは、考えが及ばないようなプレーが魅力的な選手のことを指すサッカー用語ですが、バッジョのプレーの美しさから広まったという説もあるのだとか…
ところでファンタジスタという点から考えると、セックス・ピストルズも弾丸を割るなど意外性のあるプレーをします。このトリッキーさもバッジョの一面が、反映されているのかもしれません。
ということで、サッカー好きでバッジョを敬愛するミスタの一面が反映されたため、セックス・ピストルズはちょっと奇抜なサッカーのスタイルをとっていると考えられそうです。
セックス・ピストルズの防御力とサッカーの関係
次にセックス・ピストルズの攻撃性について考えてみます。セックス・ピストルズは弾丸を受け止められるとは言え、防御が得意なスタンドではありません。攻撃にこそ向いている訳ですが、この特性をサッカーと関連づけて考えてみます。
ミスタはロベルト・バッジョが好きなことから、恐らくサッカーイタリア代表も応援しているはず。そんなイタリア代表は代々守備に長けた強さを持つチームです。得点は多くなくても、失点せずに勝つ。その様は「ウノゼロ(1-0の意味)の美学」なんて言われています。
このような中で、ミスタの好きなロベルト・バッジョは得点力のある選手でした。守備に強いサッカーチームの中でも、攻撃型の選手を好んだミスタ。だからこそ、スタンドも攻撃に主眼が置かれているのかもしれません。
しかしイタリア代表もワールドカップからはしばらく遠ざかっているんだよな…ミスタも泣いちゃう…
セックス・ピストルズとミスタの関係をサッカーで考える
最後にセックス・ピストルズとミスタの関係について、サッカー視点で考えてみます。ミスタの指示で動き、弾丸を蹴りながら別軍のチームワークで攻撃するセックス・ピストルズ。その様子はまるで、サッカーの監督と選手たちのようです。
思えばミスタがセックス・ピストルズの世話を焼いている姿も、弟たちの面倒を見る長男や母親のようにも見えます。ミスタの兄弟構成は不明ですが、もしかしたらミスタは上に立つのが嫌いではないのかもしれません。出世に興味がない訳でもなさそうだし…
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』56巻 集英社(117頁)
もしかしたらサッカーチームのようなセックス・ピストルズを従えているのは、ミスタの上に立ちたい願望の現れだったりして…
まとめ:セックス・ピストルズはミスタの欲望とサッカー好きが反映された、人間らしいスタンド
ミスタのセックス・ピストルズについて考察してみました。
ミスタのスタンドらしく、人間の欲望に忠実に動き、明るく騒がしいセックス・ピストルズ。サッカーをするのも、ミスタのサッカー好きはもちろん、ロベルト・バッジョというイタリア屈指の名選手のプレースタイルが反映されているのかもしれません。本体の精神性が上手く反映されたスタンドだな~!
そういえばセックス・ピストルズの初登場の時、ミスタが「こいつらがイタリアの昼飯食わなきゃ働かない習慣を覚えちまって」なんて言っていました。…ということは元々食べなくても働くスタンドだったはず。どうしてこうなったんだろうな…やっぱりミスタが教えたのかな…
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