ジョジョの奇妙な冒険の2部ではイタリア、アメリカ、スイス、メキシコと様々な国が舞台となりました。
今回は2部で登場した名所について解説してみます。旅のお供に、予習にぜひどうぞ!
5部イタリアや3部エジプトの聖地巡礼もあります。
- 【メキシコ】スピードワゴンが発掘に行った遺跡とチチェン・イッツァのエルカスティージョ
- 【メキシコ】石仮面の名残りと太陽の石
- 【メキシコ】サンタナがいた遺跡とヤシュチラン遺跡
- 【アメリカ・ニューヨーク】自由の女神
- 【アメリカ・ニューヨーク】ストレイツォ戦のブルックリン・ブリッジ
- 【メキシコ】シュトロハイムの実験施設
- 【イタリア・ローマ】フォロ・ロマーノとコロッセオ
- 【イタリア・ローマ】ジョセフとシーザーが喧嘩したトリトーネの泉
- 【イタリア・ローマ】「柱の男」が眠る地下のへの入口と真実の口
- 【イタリア・ヴェネツィア】ジョセフたちが降り立ったリアルト橋付近
- 【イタリア・ヴェネツィア】リサリサが現れたゴンドラ乗り場とジョセフたちが歩いた橋
- 【イタリア・ヴェネツィア】エア・サプレーナ島とムラーノ島、ミラノのドゥオモ
- 【イタリア・ヴェネツィア】リサリサがスリにあったサンマルコ広場
- 【ヴァチカン市国】リサリサの館のらせん階段とヴァチカン美術館
- 【スイス・サンモリッツ】カーズが降り立ったサンモリッツの風景
- 【スイス・サンモリッツ】シーザーvsワムウ戦のホテル
- 【スイス】ジョセフvsワムウ戦の闘技場
- 【スイス】ピッツベルリナ山神殿遺跡とヴェルニーナ山
- 【イタリア・ヴルカーノ島】カーズを宇宙に飛ばしたヴォルガノ島火山とヴルカーノ島
- 【アメリカ・ニューヨーク】ジョセフが利用したケネディ空港とジョン・F・ケネディ国際空港
- まとめ:ジョジョ2部では聖地巡礼できる名所もあれば特定が難しい場所も…!
【メキシコ】スピードワゴンが発掘に行った遺跡とチチェン・イッツァのエルカスティージョ
まずはスピードワゴンたちが石仮面の名残りを発見した遺跡についてです。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』5巻 集英社(144頁)
メキシコにはピラミッドが数多く残っていますが、長い道が延びているといえばカラクムル遺跡かな~…ジャングルの中にたたずむマヤ文明最大級の遺跡になります。
By PashiX - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
原作よりも角度がある印象ですが、かなり長く階段が続きます。
でもピラミッドの形は古代都市チチェン・イッツァの遺跡にある神殿エルカスティージョっぽいんですよね~!9世紀に完成されたとされる、高さ約25mの神殿になります。
By Daniel Schwen - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
エルカスティージョで有名なのが北側の階段に見られる蛇神のククルカン。春分と秋分の日に蛇神の羽が影となって中央階段に現れる現象を見ることができます。古代の建築って凝ってる…!
そしてもうひとつ、ピラミッドに仕掛けられたカレンダーがすごいんよ~!4方向にある階段は各91段で合計364段、これに頂点の1段を加えることで365日を表していたのだとか。各面の階段は大きくわけると9段、さらに階段を挟んで2分割されており、9と2を掛け合わせた18でマヤ文明の農耕歴の18か月の意味があるそうです。表面のへこみは各面52か所ずつあり、農耕歴と祭事用歴が重なる暦の52が表現されています。細ぇ~~~~!!!そして説明長ぇ~~~!ごめん。
【メキシコ】石仮面の名残りと太陽の石
次のページでは円形の物体に石仮面の名残りが描かれていました。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』5巻 集英社(146頁)
モデルは太陽の石じゃないかな~…メキシコ・シティの中央広場から発見された直径3.6mの円盤で、メキシコ国立人類学博物館で見ることができます。
Juan Carlos Fonseca Mata - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
中央には太陽神が彫られており、周囲の四角形は宇宙が今まで経てきた4つの歴史を表現しています。現在は5つ目の「太陽トナティウ」の時代であることを示しているのだそう。
細かく彫られたモチーフはアステカ文明のカレンダーのような機能も持っていたとされ、暦をもとに農耕や生贄を捧げる祭事を行っていたと考えられています。石仮面の生贄シーンを思い出しますが、太陽神の位置に彫られた石仮面をかぶると太陽に弱い吸血鬼になるというのがなんとも皮肉…
【メキシコ】サンタナがいた遺跡とヤシュチラン遺跡
スピードワゴンたちがサンタナを発見した遺跡の入口は木々に囲まれ、三角形のような形が特徴的でした。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』5巻 集英社(162頁)
これに近いのがヤシュチラン遺跡かな~…こちらはラビリンスと呼ばれている場所ね。
De Mauriciosalinasmoreno - Trabajo propio, CC BY-SA 4.0, Enlace
森の中にあるのはもちろん、入口の形も似ています。この三角形は古代メキシコの遺跡に見られる形で、粒の多さから多産の象徴とされたトウモロコシを模していたのだとか。
【アメリカ・ニューヨーク】自由の女神
ジョセフがコーラを買おうとしていたシーンの前には自由の女神が描かれていました。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』5巻 集英社(147頁)
自由の女神はアメリカ独立100周年記念にフランスから寄贈され、1886年に建造された銅製の像です。高さは像だけで46m、台座も合わせると93m、重さは225トンと超巨大!完成当時は銅色でしたが、現在は酸化して緑色に変わっています。
トーチは移民の自由と希望、冠の7つの突起は7大陸と7つの海に自由が広がる願い、冠の25の窓は世界の25個の宝石の象徴だとか。左手に持つのは独立宣言の銘板で、独立記念日の1776年7月4日がローマ文字で書かれています。女神が踏みつけている鎖と足かせは、弾圧からの解放と人類平等の表現です。
自由の女神があるのはニューヨーク湾のリバティ島。当時アメリカの移民管理局があったエリス島に近く、自由の国のシンボルとして移民のとって夢のある存在だったそうです。ニューヨーク出身のイギーが自由を求めたのも、出身地ゆえの気質なのかも…
ニューヨークが舞台のイギーのスピンオフの話もあります
【アメリカ・ニューヨーク】ストレイツォ戦のブルックリン・ブリッジ
ストレイツォ戦が行われたのは橋の上でした。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』6巻 集英社(74頁)
ニューヨークにはね~これと似たような橋が何本があるんですよね~~~~!でも主塔のトンネル状の穴が2つあるので、ブルックリン・ブリッジじゃないかな~多分…
By Suiseiseki - Own work, CC BY-SA 3.0, Link
1883年にマンハッタン~ブルックリン間に初めてかけられた世界初の鋼鉄ワイヤー製のつり橋で、長さは1843m。上層は歩道と自転車道、下層は車道です。7部SBRではゴール地点でも登場していましたね~!
ちなみにブルックリン・ブリッジのお隣に架かるマンハッタン・ブリッジも2部で登場しています。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』5巻 集英社(186頁)
ね、似てるでしょ…?1909年に開通し、上層は車道、下層は車道、歩道、地下鉄が通る橋になります。
By Kidfly182 - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
【メキシコ】シュトロハイムの実験施設
シュトロハイムの実験施設は、メキシコ風の外観でカムフラージュされているとのこと。コマによってけっこう外観が違うのですが、大体こんな感じ。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』6巻 集英社(166頁)
色々な形が集まった外観から、チョルーラにあるレメディオス聖母教会(Google Map)かな~って思ったんですよね~…ただ施設はメキシコシティーから北西の位置にあるらしいので、場所的にモレーリアにあるクラビヘロ宮殿(Google Map)かな~…門などはありませんが、正面の形や回廊のある中庭がちょっと似てる。
De VeoKenxiz - Fotografía propia, CC BY-SA 3.0, Enlace
モレーリアは16世紀にスペインの植民地下に置かれた歴史がある世界文化遺産の都市。18世紀にイエズス会が建造した神学校だったクラビヘロ宮殿も、その面影が残るコロニアル様式(植民地への移民がもたらした文化とその土地の文化が融合した様式)の建物です。でもあくまでもメキシコ風なので、荒木先生が見た建物をいくつか組み合わせたのかもしれないですよね~…
エジプトでDIO様の館も見つからなかった話。
【イタリア・ローマ】フォロ・ロマーノとコロッセオ
ローマ到着時にはこんな風景が描かれていました。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』7巻 集英社(94頁)
上のコマのローマのフォロ・ロマーノ。ローマ人の広場を意味し、ローマ帝国の政治経済などの中心地だった場所です。左の3本柱はカストルとポルックス神殿、右の小さな柱はウェスタ神殿、奥のクーポラのある建物はフォロ・ロマーノの外のサンティ・ルカ・エ・マルティナ聖堂かな~…現地ではこんな感じ。
パブリック・ドメイン, リンク
現地では両神殿の間から望むと、サンティ・ルカ・エ・マルティナ聖堂(写真中央奥)は左奥に見える配置になるようです。
カストルとポルックス神殿は、紀元前495年にレギッルス湖畔の戦いの勝利の記念に建造されました。カストルとポルックスはゼウスとレダの双子の息子で、勝利を導いたとされています。ウェスタ神殿は火の神を祀っており、神殿に絶えず灯され続けた火はローマの生命を象徴する不断の聖火とされたそうです。
右下のコマは5部でもお馴染みのコロッセオ。剣闘士や猛獣らの戦いが繰り広げられた古代ローマの闘技場で、観客は5万人以上収容可能だったとか。最上階には日よけの天幕も張られていたそうです。本当、今のスタジアムと変わらないね…
【イタリア・ローマ】ジョセフとシーザーが喧嘩したトリトーネの泉
ジョセフとシーザーが喧嘩していたのはトリトーネの泉の近くでした。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』7巻 集英社(106頁)
本物はこんな感じ。そっくり!
By Architas - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
ベルニーニの作品で、中央でほら貝を吹くのがトリトーネ、舌で支えるのは4頭のイルカです。
トリトーネの泉が設置されているのはバルベリーニ広場。ボルゲーゼ公園とコロッセオの間にあるので、位置的にはブチャラティがセッコと戦っていた近くになります。
【イタリア・ローマ】「柱の男」が眠る地下のへの入口と真実の口
柱の男たちがいたのはコロッセオの地下とのことで、ジョセフとシーザーたちは真実の口から入場していました。
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』7巻 集英社(154頁)
なんか真実の口が喋ってるみたいだな。台詞と顔があっているところがなんとも…
本物はこちら。真実の口広場にあるサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の入口の柱廊にあります。
「嘘をついた人が口に手を入れると食べられてしまう」という言い伝えがある真実の口は、下水道のマンホールとして使われていたという説が有力のようです。元祖マンホールアート的な感じなのかな…?
真実の口からコロッセオまでは徒歩約15分の距離で、その地上部にあるのはパラティーノの丘。古代ローマ時代に高級住宅街や宮殿の建設地として利用された場所です。両地点間の直線状にはアウグストゥス帝夫妻が暮らしたリヴィアの家(Google Map)、アウグストゥス帝の家(Google Map)が位置しており、内部見学も可能となっています。ジョセフたちが通ったであろう道に近いはずなので、こちらもぜひ…!
【イタリア・ヴェネツィア】ジョセフたちが降り立ったリアルト橋付近
ヴェネツィアに到着したジョセフたちが降り立ったのは大きな橋の前でした。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』8巻 集英社(74頁)
こちらはリアルト橋です。後ろの建物まで一緒ですね~!
Chene Beck - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
長さ約48m、幅約22mで、ヴェネツィアをS字に横切る運河カナル・グランデにかかる4本の橋のうち最大のものになります。1264年に木造の橋として誕生するも、1444年に群衆の重みで落橋。1592年に大理石の橋として生まれ変わりました。
【イタリア・ヴェネツィア】リサリサが現れたゴンドラ乗り場とジョセフたちが歩いた橋
ヴェネツィアではゴンドラ乗り場が数か所あるようですが、どうせならリサリサが現れたところに行ってみたいよね~!ということで場所を特定してみます。ヒントになりそうなのは左に描かれた対岸の建物です。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』8巻 集英社(84頁)
こちらはサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂と先頭やクーポラの形が似ています。この建物の角度と乗り場の道の広さ的に、ゴンドラ乗り場はGondola Dogana Vallaressoが近いかな~…
乗り場に行く途中、ジョセフたちはこんな景色が見える橋の上を渡っていました。この橋の場所も調べてみます。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』8巻 集英社(75頁)
リアルト橋からゴンドラ乗り場間で小運河に2本平行に橋が架かる場所を探してみたところ、Ponte dei Baretteriという橋が近そうなんですよね~…
下のマップの左に見えているのがその橋で、ぐるっと右を向いてもらうとジョセフの後ろに描かれたのと似た橋があります。さらにジョセフの背中側には丸縁、奥には四角い縁が特徴的な柱が描かれていますが、地図上ではこの前後左右を入れ替えた配置で存在しています。ややこし…
ちょうどいいストリートビューの角度がないね…ごめん。
ヴェネツィアには何本も橋がありますが、1番近いのがここだと思うんだよな~…位置関係がドンピシャではないですが、参考までにどうぞ。っていうか2部、橋多くない???
【イタリア・ヴェネツィア】エア・サプレーナ島とムラーノ島、ミラノのドゥオモ
ジョセフたちが修行したエア・サプレーナ島の元ネタを探してみます。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』8巻 集英社(94-95頁)
ヴェネツィア本島から船で30分の距離だそうですが、この通りに進んだ位置にあるのがムラーノ島。ヴェネツィアングラス作りが盛んな島で、ガラス博物館という施設もあります。13世紀のヴェネツィア共和国時代には、製造技術を広めないためにガラス職人はこの島に幽閉されたという話も…ぼくはヴェネツィアングラスでワインが飲みたいなという人はぜひ。
でもね、原作と似た建物はムラーノ島にはなさそう…というかこれ、いくつかの建物が融合しているように見えるんですよね~…正面から見た姿はミラノのドゥオモとかね。
By Jiuguang Wang - Own work, CC BY-SA 3.0, Link
細長い尖塔は135本に及び、頂点には聖人が立っています。最も高い位置に立つ黄金のマリア像は輪切りのソルベのエピソードでも登場していました。
地獄昇柱の塔もグルグルが特徴的な形ですよね~!最上部はサン・マルコ広場の鐘楼(Google Map)、らせん部はヴェネツィアのコンタリーニ・デル・ボーヴォロ階段(Google Map)っぽいかな~…
【イタリア・ヴェネツィア】リサリサがスリにあったサンマルコ広場
リサリサ先生がサンマルコ広場に向かうシーンも見てみます。先生、オシャレだ…!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』8巻 集英社(154頁)
後ろの建物はサン・マルコ寺院。ヴェネツィアの商人が9世紀にエジプトから運んだ聖マルコの遺体を安置するために建設され、何度も改修が重ねられました。
Andreas Volkmer - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
1番の見どころはパラ・ドーロと呼ばれる金色の衝立。エメラルドやサファイヤなどの宝石がふんだんにちりばめられた作品になります。他にも黄金に輝く天井やモザイク画、第4回十字軍が持ち帰った入口上部の4頭の馬といった戦利品なども見られる場所です。十字軍といえばクルセイダース…
サン・マルコ広場を抜けて海沿いに向かうと、5部でOA-DISCの隠し場所だった獅子像も見ることができます。
【ヴァチカン市国】リサリサの館のらせん階段とヴァチカン美術館
リサリサの館にはこんならせん階段が登場しました。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』9巻 集英社(74頁)
これ、ローマ近くのヴァチカン市国にあるヴァチカン美術館のらせん階段に似ているんですよね~!モデルじゃないかな~!
By © User:Colin / Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0, Link
階段は上り、下り専用のルートがぶつかることなく組み合わされた二重らせんになっています。面白~~~!
ちなみにヴァチカン美術館に入場すると、システィーナ礼拝堂の見学も可能です。見どころであるミケランジェロ作の「最後の審判」と天井画はそれぞれ輪切りのソルベのエピソード、62巻ジョルノの表紙のオマージュとして登場する作品なので、ジョジョファンは見逃せないのでは…!?
【スイス・サンモリッツ】カーズが降り立ったサンモリッツの風景
カーズが降り立ったのはスイスのサンモリッツでした。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』9巻 集英社(118頁)
まず左の時計塔はReformierte Kirche St. Moritzという場所。直訳するとサンモリッツ改革派教会になります。
Von User:Enslin - Eigenes Werk, Gemeinfrei, Link
問題は右のコマ。多分ね~こういうイメージだと思うんですよね~…
Von Zacharie Grossen - Eigenes Werk, CC BY-SA 4.0, Link
左の塔は先程の時計塔。中央にある手前に傾いた斜塔は13世紀に建てられた旧モーリティウス教会の一部で、山からの土の圧力や地震で傾いたのだとか。このあたりの景色なら、2つの塔が目立つ配置になります。ただしよく見ると建物も斜塔の造形と違うんですよね…むしろベルン大聖堂(Google Map)のが似てるかな~…
さらに原作で2塔の正面に描かれたのは川でしたが、実際にあるのはサンモリッツ湖。サンモリッツの川といえばドナウ川かイン川ですが、川沿いには似ている風景がないし…これ一体どこなんだろうか…?
【スイス・サンモリッツ】シーザーvsワムウ戦のホテル
ワムウとの対決は廃墟となったホテルで行われました。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』10巻 集英社(32-33頁)
外観的に、グランド ホテル デ バン ケンピンスキーの中央部分だけ切り取った形が似ているかな~…
こちらは廃ホテルではなく、現在も営業中。1840年創業の5つ星ホテルになります。
ところでこのホテル、原作ではなかなか歴史のある建物だったようで…ゲスラーが建てた要塞を20世紀に改築、1930年に閉鎖された後カーズが使用していたとのことでした。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』10巻 集英社(147頁)
この人物像がウィリアム・テルで、同じポーズの像がスイス中部のアルトドルフにあります。
By Wilhelm_Tell_Denkmal_Altdorf_um_1900.jpeg: (not named)derivative work: Derivateur (talk) - This image is available from the United States Library of Congress's Prints and Photographs divisionunder the digital ID ppmsc.07228.This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing., Public Domain, Link
ゲスラーはハプスブルク家に仕えたオーストリア人の代官で、ウィリアム・テルによって倒された人物です。
【スイス】ジョセフvsワムウ戦の闘技場
ジョセフとワムウの対決は円形の闘技場で行われました。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』11巻 集英社(48-49頁)
ローマ帝国時代の面影を感じますが、スイスならアヴァンシュやマルティニの円形闘技場が近そうです。ただスイス南西部と西部にあるので、サンモリッツからはちょっと遠いかな…
円形闘技場はローマのコロッセオ、ポンペイなどイタリアの都市はもちろん、スイスやスペインなどでもその跡を見ることができるので、特定の元ネタがあるのかすら微妙なところ。なんならヴァチカンのサン・ピエトロ広場のような円形広場がモデルかもしれないし…きっと戦いの舞台として、古代の闘技場からデザインの着想を得たのではないかな~と思います。
あの戦車は3部小説版でも登場します
【スイス】ピッツベルリナ山神殿遺跡とヴェルニーナ山
カーズとジョセフが戦ったのはピッツベルリナ神殿遺跡です。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』12巻 集英社(14-15頁)
モデルと思われるのは、スイスとイタリアの国境付近にあるヴェルニーナ山(Piz Bernina)。でもこの辺りは超~~~山岳地帯で遺跡らしきものはさっぱり見当たらないんですよね…形が特徴的なので、何か元ネタがありそうなんだけどな~!
ヴェルニーナ山は東部アルプスで唯一4000m級で、この一帯であるグラウビュンデン州では最高峰の山になります。山頂北側に見える氷の尾根ビアンコグラートの美しさでも有名なこの山。荒木先生、登ったのだろうか…?
【イタリア・ヴルカーノ島】カーズを宇宙に飛ばしたヴォルガノ島火山とヴルカーノ島
ジョセフがカーズを宇宙に飛ばしたのはヴォルガノ島火山でした。島のモデルはイタリア最南端付近のヴルカーノ島(Google Map)。スイスからめちゃくちゃ離れてるじゃん…うそだろジョセフ。
ヴルカーノ島は火山と温泉が有名で、海水浴や泥温泉を楽しめる島です。火山も物語通り活火山ですが、最後の噴火は1890年なのでジョセフが戦った1939年は休止期間だったようです。火山は4つの山で構成されており、直径500mある噴火口まで登山で近づくことができます。
ちなみにヴルカーノ島が属するのは、シチリア州メッシーナ県だそう。師範代…!
【アメリカ・ニューヨーク】ジョセフが利用したケネディ空港とジョン・F・ケネディ国際空港
ラストシーンでジョセフが利用したのはケネディ空港でした。名前的にモデルはジョン・F・ケネディ国際空港ですよね~!ニューヨークにある空港で、ゴルフコースの沼地だった場所を埋め立てて建設されたとか。
でね、ジョセフが使った航空会社見て…
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』12巻 集英社(186-187頁)
JALでもANAでもアメリカンでもなく、イタリアの航空会社であるアリタリア航空でした。各地を旅したニューヨークのジョジョがニューヨークに戻り、シーザーの故郷イタリアの飛行機に乗って次の舞台である日本に飛び立っていく。何とも粋な演出ではないでしょうか。泣ける…!
まとめ:ジョジョ2部では聖地巡礼できる名所もあれば特定が難しい場所も…!
ジョジョ2部の聖地巡礼できる名所をまとめてみました。実在する名所がある一方、特定が難しい場所もあるようで…同じイタリアを舞台にした5部よりも、難易度が高かった印象です。
ただ原作とドンピシャで同じ場所ではなくとも、ジョセフたちが旅した雰囲気は現地で味わえるはず。特にスイスは2部以降登場していないので、足を運んでみるのも楽しいかもしれません。
参考文献
地球の歩き方「コロッセオ/アンフィテアトロ・フラヴィオ」https://www.arukikata.co.jp/spot/233914/
地球の歩き方編集室(2024) 『地球の歩き方 イタリア 2024~2025』Gakken
地球の歩き方編集室(2023) 『地球の歩き方 スイス 2024~2025』Gakken
地球の歩き方編集室(2024) 『地球の歩き方 ニューヨーク マンハッタン&ブルックリン 2024~2025』Gakken
地球の歩き方編集室(2021) 『地球の歩き方 南イタリアとシチリア 2020~2021』Gakken
地球の歩き方編集室(2021) 『地球の歩き方 メキシコ 2019~2020』Gakken
JTB「グランド ホテル デ バン ケンピンスキー」https://www.jtb.co.jp/ovs_htl/detail/search_detail/789/
JTB「ピッツ・ベルニナ(Piz Bernina)の観光情報」https://www.jtb.co.jp/kaigai_guide/western_europe/swiss_confederation/SMV/123129/index.html
航空環境研究センター「ニューヨーク ジョン・エフ・ケネディ空港(KJFK / JFK)」特別号「海外空港の環境対策」(2020)https://aerc.jp/pdf/usa/15.NewYorkJohnF.Kennedy.pdf
スイス政府観光局「アヴァンシュ」https://www.myswitzerland.com/ja/destinations/avenches/
Venice in Gondola「GONDOLA Dogana」https://www.veniceingondola.com/en/gondolas/8/gondola-dogana