ジョセフとシーザーはなぜ仲良くなれたのか、2人の関係を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険2部に登場したジョセフとシーザー。ジョジョ屈指の名コンビとしても名高い2人です。

初対面では険悪なムードが漂っていた両者ですが、なぜ固い絆で結ばれる仲となったのでしょうか。2人の関係性を考察してみました。


1. なぜジョセフとシーザーは仲が悪かったのか

最初に、なぜジョセフとシーザーは仲が悪かったのかを考えてみます。

2人の初対面の場所はレストラン。女の子にロマンチックな言葉を紡ぐシーザーに対し、ジョセフは「歯が浮く」「あーゆーやつ大っ嫌い」と散々な言いよう…一方のシーザーは、イカスミのパスタにクレームをつけ、豪快にすするジョセフを「田舎者」と評しています。都会っ子のプライドが垣間見えるシーザーと、キザとは無縁のジョセフ…んま~~~~タイプ的にも全く違うんですよね~!

さらにレストランを出ると、シーザーはジョセフに「波紋が弱い」と文句をつけるだけではなく、こんなことまで…


荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』7巻 集英社(114頁)

自分の血統への誇りが感じられますが、だからこそ他人の家柄にケチをつければいかに相手が怒るかも理解しているはず。それでもこんな発言をするのは、よっぽどジョセフに落胆したからなんだろうな…強力な波紋使いが来ると思っていたのに…という期待はずれが、ジョセフへの軽視に繋がったのではないでしょうか。

また戦闘に関してジョセフは「必殺技を楽して身につける方法はないか」なんて発言もしていました。シーザーは「こういういい加減なやつ嫌い」と評していますが、なんせ打倒柱の男のために血の滲むような努力をしてきただろうからな~評価したくはずだよな~~~~!

このように性格面の違いに加えて、シーザーのジョセフへの期待値の高さが険悪なムードに繋がってしまったのではないでしょうか。読者的にはこの対比が面白いんだけどね…!

ジョセフの性格の話は、こちらでも考察しています~!

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2. ジョセフとシーザーが仲良くなれたきっかけはどこにあったのか

次に、ジョセフとシーザーの関係が改善に向かったきっかけを考えてみます。ここでは戦闘スタイル、性格、育ちなどから両者の関係性を考察してみました。

戦闘スタイルの違うジョセフとシーザー

まずは2人の戦闘スタイルについてです。シーザーは初登場時から技術の高さを見せ、必殺技のシャボンランチャーも駆使していました。波紋の修行、そして貧民街で戦闘経験も生かしているであろう強さで、変化球を投じるタイプというよりは、正統派の強さを持つキャラクターではないでしょうか。波紋が弱いジョセフもシャボンランチャーを見せられると、「必殺技を身につけないと」と焦りを見せましたが、自分の力不足力を認め、修業を積んできたシーザーに追いつきたいと思っているからこその台詞ですね~!

一方でジョセフのスタイルは、意外性と先読みによる攻撃で、戦闘経験の低さをカバーするものでした。ふざけていると思われたクラッカーヴォレイはワムウの顔に傷をつけ、「見損なった」と言われた死んだフリは、シーザーたちを逃がすための作戦だったり…シーザーには発想力的にもプライド的にもできないであろう攻撃ですが、自分にはない才能を持つジョセフを見直すきっかけともなったのではないでしょうか。

でもそんなシーザーも、結局はジョセフ寄りの発想力になってるというね…


荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』8巻 集英社(70頁)

ドイツ軍人もびっくりのコンビプレー。なんだかんだでジョセフのペースに巻き込まれてるシーザー。

このようにジョセフとシーザーは、戦闘スタイルの違いが歩み寄りのきっかけとなったのかもしれません。しかしシャボンランチャーに対抗しようと編み出したのがクラッカーボレーだもんな…威力はさておき、発想がめちゃくちゃジョセフっぽいよね~!

ジョセフとシーザーに共通する身内への愛

次に2人の身内への態度についてです。まず血統を大事にするシーザーは、家族への誤解、別れなど重い過去を背負っていました。それも自分の行動がきっかけで父を失っているしな~…後悔や自責の念はもちろん、家族を大事にしたい気持ちを人一倍持っているはずです。だからこそスピードワゴンたちを逃すために自己犠牲を働くなど、身内を大事にするジョセフの行動には、感心するだけではなく共感もできるのではないでしょうか。

またスピードワゴンを守ろうとしたこと然り、血の繋がりのない相手への敬意も伺えました。シーザーはリサリサへの無礼を許さず、ジョセフは侮辱を受けたスモーキーに代わって男に制裁を加えていますが、互いに家族が少ないからこそ、近くにいる人間を大事にする気持ちも理解しあえたのかもしれません。

性格は違うシーザーとジョセフですが、根底にある他人への気持ちはきっと似ているはず。だからこそ強い絆を持つことが出来たのではないでしょうか。

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シーザーの波紋修行者としてのプライドと面倒見の良さ

今度は兄弟子としてのシーザーについて見ていきます。まずシーザーは、同じ波紋の修行に励む者としてのプライドが伺えるシーンがチラホラ…エシディシ戦後には生きた姿を見せるジョセフにはこう述べています。


荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』9巻 集英社(88頁)

生きててよかった~~~~!なんて絶対に言わないところがシーザーだよな~!ライバルである以上、やっぱり簡単に馴れ馴れしくはしたくないんだろうな…兄弟子としての威厳もあるだろうし…

その一方で、ジョセフが自分の成長や柱の男たちを倒す仲間として不可欠であることも、また気づいていたはずです。自身の向上心やモチベーションのためにも、大事な存在だもんね~!だから表面上は仲良しに見せずとも、本当はジョセフのことを見捨てられないんだよな…それがよくわかるのがこちら。


荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』8巻 集英社(70頁)

めっちゃ教えてあげてるやん。懇切丁寧でありがたすぎる教え。

エシディシ戦での見事な心意気を見て、思わず手のひらクルーしてしまったシーザー。ものすごい勢いで「すわってろ!」とか言ってくる辺り、本気の指導だよな…なんせシーザーは「寂しそうな女の子を放っておけない」ほどの面倒見の良さな上に、友人に「惚れたら女以上」だもんね~!

波紋修行者の兄弟子としてのプライドを持ち、簡単には仲良しこよしな関係にもならない。それでもジョセフへのリスペクトや共に成長したいという意志があったからこそ、シーザーは歩み寄ることができたのではないでしょうか。

とはいえやっぱり仲いいよな、ほら…


荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』9巻 集英社(112頁)

お客様!!困ります!!あーっ!!

んま~~~~作戦上の行動だったのかもしれませんが、ノリが一緒なんだよな~!年の近さもあり、どこか似ているんでしょうね…だからこそジョジョ史上屈指の名コンビが生まれたのかもしれません。

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ジョセフとシーザーの性格のギャップと育ち

そして2人の性格上のギャップと育ちの良さについても見ていきます。まず軽いノリに見えがちなジョセフは、冷静で紳士的な一面がありました。例えばエシディシ戦後のこちら。


荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』9巻 集英社(104頁)

スージーQに憑りついたことにご立腹なシーザーに対し、ジョセフはいち戦士としての視点でエシディシを評価していました。シーザーの発言はもっともで、女性に優しい彼ならなおさらそんな気持ちになるはずです。しかしジョセフは敵に対しても戦士としての素晴らしさを見つけ、素直に敬意を示す懐の深さがありました。それは相手を広い視点で捉えることはもちろん、心の余裕がないとできないことではないでしょうか。

他にもワムウ戦後には敬礼をしたりと、敵をも評価できる柔軟さを持つジョセフ。そんな心意気に気づいていたからこそ、シーザーは仲を深められたんじゃないかな…なんせ「ヤツの良さは心の底の方にある」と評していたもんね~!

一方のシーザーは、ワムウ戦で自身を「冷酷!残忍!」と称しています。貧民街時代はその通りだったようですが、それでもシーザーは根っからの悪人ではありません。優しさが垣間見えるのはもちろん、将来は明るい家庭を持ちたいなんて夢があるくらいだからな〜!家庭内での事情ゆえに、一時的に道を外れてしまっただけというか…ジョセフもシーザーが冷徹でもキザなだけでもないと気づいていたからこそ、2人には強い結束が生まれたはず…

そしてここで比較したいのがディオとジョナサンの関係です。2人は純粋に良好といえる関係には至らず、「奇妙な友情」に留まりました。原因は2人の育ちや価値観があまりにも違ったことですが、それに比べてジョセフとシーザーの場合は、基本的な良心や道徳観が似ていたのではないかな~と思います。

例えばシーザーQが体を乗っ取られた時にはジョセフは殺せず、シーザーはリサリサに代わって自分が手を下すなんて言うくらいだし…2人とも優しいんですよね~!ディオだったらサクッと殺しかねないところですが、なんせジョセフはスピードワゴンやエリナの姿を見て育ってきているし、シーザー父も実は家族思いだった訳で。この辺りは黄金の精神を目の当たりにしてきた育ちゆえではないでしょうか。

このようにジョセフとシーザーは、根底の価値観が近いからこそ、仲良くなれたのかもしれません。しかも2人とも苦労人だしね…こんなところも含めて、なんとなく親近感が湧いていたのかな~という気がします。

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3. 別れのシーンから見えるジョセフとシーザーの固い絆

最後にジョセフとシーザーの別れのシーンから、2人の信頼について考えてみます。喧嘩したままの別れとなった2人ですが、シーザーはこんな発言をしていました。


荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』10巻 集英社(39頁)

注目したいのは「きさまだけには」の部分です。尊敬するリサリサでもなく他の誰でもない、ジョセフとの間にだけ特別な絆があることが伺えます。

もし2人が深い関係ではなかったのなら「お前に何がわかる、イナカへ帰んな」程度で済んでいたのかもしれません。それでもジョセフが思わずハッとするほどの怒りを見せたのは、祖先への口出しだけではなく、ジョセフにはわかってもらえると思っていた、いやわかってほしかった…という気持ちがあるからじゃないかな…

しかも友人作りが下手と言われていたシーザーなので、同世代の友人ができたことは本当に嬉しかったはず。だからこそ理解者だと思っていたはずのジョセフに反論されたことは、腹立たしさはもちろん、どこか悲しさもあったりして…切ない…

まさに「ジョセフのバカ!もう知らない!」状態でホテルに行ってしまったシーザーですが、その台詞からはジョセフへの確かな絆が伺えるのではないでしょうか。そして喧嘩別れとなっても、最期までジョセフのことを思って戦ったシーザー。もうあっぱれあげてください。うけとってくれーッうけとってくれーッ

まとめ:ジョセフとシーザーが仲良くなれたのは類似点と相違点があったからこそ

シーザーとジョセフの関係性について考察してみました。

一見真逆に見えるも、実は根が似ている部分も多そうなこの2人。ライバルでありながらも互いを認め合えたことや性格上のギャップなどが、ジョジョ屈指のコンビを生んだのではないでしょうか。

しかしツェペリ家とジョースター家は不思議な相性がありますよね…ジョースター家を成長させ、技だけではなく心意気まで残していく…本当、黄金の精神なんだよな~!ツェペリ魂、おそるべし。

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