支倉未起隆はスタンド使いなのか、正体を考察してみた

ジョジョコラム

ジョジョの奇妙な冒険4部に登場した、支倉未起隆。自称「宇宙人」であり、独特の世界観を持つキャラクターでした。

そんな未起隆ですが、本当に宇宙人だったのでしょうか。今回は未起隆の正体について、考察してみました。


1. 未起隆は本当に宇宙人なのか

最初に未起隆の正体について考察してみます。自らを宇宙人と称した未起隆でしたが、真相は謎に包まれており、荒木先生も正体を曖昧に描いたとのこと。

どのような存在ととるかは読者次第になりそうな未起隆ですが、宇宙人か否かについて考えてみます。

「宇宙人」を後付けした未起隆の自己紹介

まず気になったのが未起隆の自己紹介シーンです。仗助たちに自己紹介した際には、「地球に住むためにマゼラン星雲から来た」と発言していました。そして仗助が「宇宙人ということか?」と確認すると…


荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』40巻 集英社(192頁)

これ、もし未起隆が人間であるのなら、かなり高度な返しだと思うんですよね~…なんせ宇宙人という単語を知らないという演技をしていることになるからな~!普通はいきなり「私、宇宙人なんですよね~」と言ってしまいそうなところではないでしょうか。

ただし未起隆が宇宙人キャラを極めすぎているとも考えられます。「宇宙人」という単語を知らない設定が1番信憑性があるな~と考えた上での発言の可能性も…それはそれですごい。

このように仗助とのやりとりだけ見てみると、未起隆は本当に宇宙人であると捉えたほうが自然には見えます。とはいえ究極の宇宙人キャラを演じていたかもしれないんですよね~!なんせ未起隆だもんな~!

体の反応が地球人とは明らかに違う未起隆

次に未起隆の身体的な反応について見ていきます。矢の怪我により気を失っていた未起隆ですが、仗助たちに声をかけられて起き上がりました。その時の動き見て…

荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』40巻 集英社(175頁)

マイケル・ジャクソンもびっくりの起き上がり方やんけ。

人間には難しいだろ~!という動きをやってのける未起隆。これは宇宙人っぽいよな~!

さらに気になるのが、嫌いなサイレンの音を聞いた時の反応です。


荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』40巻 集英社(198頁)

肌に影響が出ているんですよね~…苦手な音を聞いた時に、吐き気ならともかく、肌に影響が出るという症例は調べても出てこないんだよな…

このように身体的な面から見ると、未起隆は地球人と言い難い部分が多いようです。やっぱり宇宙人の可能性が高そうだな~!

未起隆の母親の発言をどのように考えるか

そして未起隆と母の会話についても見てみます。

荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』41巻 集英社(87-88頁)

2ページで19個も「?」がついちゃう仗助。わかる、ヒジョーにわかるよその気持ち…

読者も仗助ばりに混乱したこのシーンですが、この会話から未起隆の正体について、2つの仮説が立てられそうです。

ひとつ目は未起隆は宇宙人で、母親の言動は地球に馴染むためという説です。未起隆は「家族はいない」と発言していることから、この母親も実は赤の他人で、本当に洗脳していた可能性があります。で、未起隆を息子と思っているのであれば、地球に馴染ませないといけないと考えるはずです。そして地球人ではない未起隆は、どこかで宇宙人とバレる言動をする危険も…そこで「まさか宇宙人なんて言っているんじゃないでしょうね!?」と発言することで、たとえボロが出ても、息子はからかっていただけだよ~とアピールすることができます。

だから洗脳した結果、母親が未起隆をかばう言動をしていたのかもしれません。あるいはあらかじめ未起隆が、母親に「まさか宇宙人なんて~」と発言するように仕向けていたりとかね…未起隆の目的は移住なので、一応筋が通る説かな~という気がします。

もうひとつは未起隆は地球人で、前の学校で本当に宇宙人と発言していたという説です。もしそうであるなら、仗助の前で「またからかって!」なんて母に怒られたら恥ずかしいはず。それを誤魔化すために、とっさに「母親を洗脳している」なんて発言をしたのではないでしょうか。でも恥ずかしかったとしても、堂々と振舞って手続きに行くのがすごいんだよな…未起隆はクールに去るぜ…

このように未起隆と母の会話からは、未起隆が宇宙人、地球人どちらの可能性も考えられそうです。しかし人間だったとして、洗脳発言はすごいよな~未起隆のキャラの濃さが際立つよな~!

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チンチロリン事件から考える未起隆の正体

そしてチンチロリン事件からも未起隆の正体を考察してみます。さてサイコロに変身するように求められた未起隆ですが、サイコロの存在、使い方などを分かっていないようでした。もう宇宙人っぽいな~!

さらにチンチロリンが始まると、ゾロ目を連発するなど露伴が疑いの目を向けるような行動に…後述しますが、未起隆は「お役に立てますか」と聞くなど、心から仗助の役に立ちたいと思っていそうな言動が目立っていました。そうであればわざわざトラブルになるようなことをしないはずではないでしょうか。

しかも露伴の家から逃げ出した後にも、「お役に立てましたか」「他にも役に立てることがありますか」と聞いていました。これは自分のしたことで、仗助が窮地に陥ったと理解していないからこその発言のはず。全く反省していないどころか、未起隆としては、仗助を全力でお助けしたぞ!と感じていたのかもしれません。

このようにチンチロリン事件から見てみると、未起隆は宇宙人とみなす方が妥当ではないでしょうか。地球人の演技であるなら、どこかでアラが出そうだし…サイコロもチンチロリンも中途半端に知ってしまったからこそ、大事件に発展したと考えるのがより自然な気がします。

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2. 未起隆はスタンド使いなのか

そして未起隆がスタンド使いである可能性についても考えてみます。

荒木先生が未起隆が宇宙人であるか否かを曖昧に描いたという以上、理に適った説明ができない可能性も高いところ…でもここでは未起隆がスタンド使いである可能性について、いくつか想像を働かせてみました。

未起隆に矢が刺さらなかった理由

まずは未起隆に矢が刺さらなかった理由についてです。スタンド使いではないとすれば、宇宙人ならではの力など何らかの理由で矢が刺さり切らなかったものの、体調不良にだけは陥ったという説が順当ではないでしょうか。ただスタンド使いであると、ちょっと説明が難しくなるんですよね~!

仮にスタンド使いであるとすれば、矢に対してスタンド能力が発動し、未起隆のことを守ったなんてことが考えられそうです。この場合は恋人戦の承太郎が、敵に耳から侵入されかけたところをスタンドで守った事例と似ています。ただ承太郎は「こんなことたくらんでいると思った」と発言しており、ダンの攻撃を警戒した上での能力の発動だったようですが、未起隆は無意識で能力が発動しているように見えるんですよね~…この辺りはスタンド能力の差なのか、宇宙人だからなのか…

そして気絶したのは、矢は刺さらずとも傷による体調不良の結果…ということなのではないでしょうか。また吉良吉影のように、矢により追加能力が得られなかったのは、必死な状況ではなかったからとかね…

筋の通った説明が難しいところですが、未起隆に矢が刺さらなかったのは、宇宙人の能力だけではなく、スタンド能力による可能性もありそうです。ただスタンドに刺さっていたとしたら、レクイエム化は?という話になるんですよね~…でもレクイエム化は5部以降の話だから(急にメタ発言)

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未起隆が矢のウイルスの影響を受けていた可能性

ところで5部では「矢は地球外のウイルスが入った岩石からできている」という話がありました。宇宙の話というあたり未起隆との共通点が伺えますが、ここではもしこの設定が4部にもあったら…と仮定して、未起隆の正体を考えてみます。

さて宇宙のどこかの産物であるウイルス入りの隕石ですが、原産地が未起隆の出身地と同じなのもあり得る話です。そしてもしそうであるとすれば、未起隆はスタンド能力者ではないのではないでしょうか。

というのもスタンドは、ウイルスに打ち勝った人間がご褒美のようにもらえる進化の能力でした。もし未起隆がウイルスと同じ出身地であるなら、両者は共存してきたはずです。つまり人間のように「打ち勝つ」という概念がないために進化は起きず、スタンド能力自体が開花しないということになります。そのため未起隆が持っている力は、「スタンド能力っぽいなにか」と言えるのではないでしょうか。

そしてウイルスの抗体も持っているであろうことから、高熱を出すでもなく、気絶しただけで済んだのかもしれません。この辺は地球人でも必ず体調不良になる訳でもなさそうなので、なんとも言えませんが…

このように未起隆と隕石の出身地が同じであるとすれば、アース・ウインド・アンド・ファイヤーはスタンドではないのではないでしょうか。しかし未起隆は宇宙で何をしてたんだろうな…もしかしたらカーズと会ったこともあったりして…!

地球人と未起隆はスタンド使いとしての性質が違う可能性

次にスタンド使いではあるものの、地球人のスタンド使いとは性質が違う可能性についてです。ここでは未起隆が宇宙人という前提で考えてみます。

もし宇宙人の未起隆が、矢によりスタンド使いになったとしても、宇宙人であれば、必ずしも地球人同様に刺さる訳ではなかったのではないでしょうか。ただし矢により気絶はしていたので、体調悪化の効果は表れたのかもしれません。

そしてスタンド使いは他人のスタンドが見えるはずですが、仗助のクレイジー・ダイヤモンドが見えていない描写がありました。


荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』41巻 集英社(10頁)

スタンド使いとなったのであれば、康一くんのようにすぐにスタンドが見えるはずですが、そうならないのはスタンド使いではないから、あるいはスタンド使いではあるけれど、地球人と同じように見える訳ではないから、ということなのかもしれません。

このように未起隆がスタンド使いの宇宙人であるなら、地球人のスタンド使いとは異なる性質を持っていたということも想像できそうです。矢で負傷しても地球人とは違う様子が見受けられたのは、そんなことが関係していたのかも…

未起隆のスタンド能力と精神性の関係

そして未起隆のスタンド能力と精神性の関係についても考えてみます。

スタンドは本体の精神性を反映した能力が現れていました。で、未起隆は自由自在に変身できる能力を持っており、その能力で人の役に立とうとしています。時に仗助のリクエストに応えてサイコロになったり、双眼鏡になって鉄塔を見やすくしたりなどなど…

で、この「人の役に立つ」というのが重要なのでは?と思うんですよね~…未起隆は仗助たちの役に立ちたいと心から思っているのか、「お役に立てましたか?」「何かできることは?」といった発言を何度もしています。やたらと奉仕精神が強いようなのですが、特にその思いが見えるのが鋼田一豊大戦でのこの台詞です。


荒木飛呂彦(1995年)『ジョジョの奇妙な冒険』43巻 集英社(62頁)

億泰に「お前に役に立てることはない」と言われてしまった未起隆が、自分が鉄塔に残るつもりで仗助たちを助けていました。まさに覚悟はいいか?オレはできてる状態。

なんだか異常なまでの自己犠牲精神にも見えますが、ここまで人の役に立ちたいと思う裏には、人に喜ばれることで仲間として認められたい、受け入れてもらいたいという気持ちがあるのかな~という気がします。まず未起隆が宇宙人だった場合、移住先でも上手くやっていきたいという思いが、スタンドに表れていたのではないでしょうか。

また仮に地球人であるなら、過去に嫌な思いをしたのかな~なんてことが想像できそうです。例えば耳の形など外見的な特徴により仲間外れにされたり、傷ついたりと辛い経験をしたりとかね…それこそ「宇宙人みたい」なんて言われたのかもしれません。切ない…なんにせよ何かきっかけがあり、仲間に入りたい気持ちが人一倍強いのかな~という気がします。

あくまでも想像の範囲ではありますが、未起隆がスタンド使いであるとすれば、その能力は「自分が多少犠牲になっても喜んでもらい、仲間として認めて欲しい」という未起隆の願望ゆえなのではないでしょうか。明るそうに見えるけれど、意外と影があるキャラクターだったりして…

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3. 未起隆が4部に登場した意味

最後に4部で未起隆が登場した意味について考えてみます。4部は様々な人物が交錯する物語で、スタンド使いから幽霊まで登場しました。そして違いを受け入れ暮らしているところからは、杜王町の懐の深さが伺えます。

そんな杜王町の良さを引き出すのに、未起隆は一役買っていたのではないでしょうか。クセの強いキャラクターですが、正体が宇宙人であろうがなかろうが、杜王町の人ならちょっと変わってるいいヤツとしてきっと受け入れるはずです。実際に仗助たちも宇宙人と聞いて逃げ出すどころか興味津々で、一緒に戦う仲にまでなるしな~!

だから未起隆は、杜王町の大らかさをより強調できる存在だったのではないでしょうか。しかし幽霊に殺人鬼に肉の芽の被害者に宇宙人って…スタンド使いどころかクセの強い人ばっかりいるんだよな~!本当、奇跡の町だよ…

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アニメ版エンディングでの未起隆の台詞の意味

そしてアニメ版のエンディングでの未起隆の台詞の意味も考えてみます。町を眺めている未起隆が、鋼田一豊大に面白いのかと聞かれ、このように答えていました。

鋼田一豊大「そんなにしょっちゅう町眺めて面白いです?変わり映えしないのに」
未起隆「面白いですよ。とても面白いです、この町は」ジョジョの奇妙な冒険:さよなら杜王町-黄金の心 . TOKYO MX, 2016-12-24.(テレビ番組)

色々な意味が考えられそうなこの「面白い」の台詞。それはきっと町で出会う住民や出来事はもちろん、いざという時には愛する町のために助け合ったり団結することも含まれているのではないでしょうか。もしかしたらみんなが町に誇りを持って暮らす姿は、自分の星の姿にも似ていたりとかね…だから文字通り面白いというより、「素敵な町」という意味が近いように思います。

そして未起隆は杜王町に移り住んできたと発言していましたが、そんな個性的な人々が集う町の中に、自分も溶け込めそうだという希望や喜びが入っているのかもしれません。ましてや外見で悩んだ過去があるとすれば、億泰の父ちゃんが暮らしていることにホッとしたりとかね…そんな町の寛容さが嬉しかったりして…!

みんな違ってみんな良いを体現したような杜王町ですが、未起隆の最後の台詞は、魅力的な町に受け入れてもらえそうな喜びが表れているのではないでしょうか。そして仗助たちのように、杜王町を誇りに思い始めているからこその台詞だったのかもしれません。いい締めだよな~!

ジョジョ4部のアニメ版ならではの話は、こちらでも触れています~!

https://bijutsujojo.com/otoishi-music/ ‎

まとめ:未起隆は宇宙人ともスタンド使いともとれる設定であり、杜王町の良さを引き出すキャラクター

支倉未起隆の正体について考察してみました。

荒木先生の思惑通り、宇宙人とも地球人ともとれる設定であり、スタンド使いかどうかも不明な未起隆。謎多き人物ですが、杜王町に馴染んでいたキャラクターであり、町の寛容さを描くために一役買っていたのではないでしょうか。

不思議な人物像でありながら人の良さが垣間見え、ユニークだった未起隆。唯一無二の魅力を放っていますよね~!なんせ叶美香さんの好きなキャラベスト10に入るからな。分かる。未起隆はファビュラス…!

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