ジョジョの奇妙な冒険の5部の舞台となったイタリア。洒落た雰囲気や食べ物の描写も印象的でした。
そこで今回は5部で登場した名所、名物について原作を中心に解説してみました。旅のお供に、予習にぜひどうぞ!
聖地巡礼がよりはかどるかもしれない美術の元ネタの話。
3部のエジプトの聖地巡礼もあります。
- 【ナポリ】広瀬康一とジョルノが出会ったナポリ・カポディキーノ国際空港
- 【ナポリ】広瀬康一が歩いたナポリの街と卵城、ヌオーヴォ城
- 【ナポリ】ブチャラティ戦のフニコラーレと乗降車駅
- 【ナポリ】ポルポがいた刑務所
- 【ナポリ】アバッキオの回想とダンテ出張所、ジュゼッペ・ガルバルディ広場
- 【ナポリ】ジョルノが通っていた学校とサンタ・キアラ教会
- 【ナポリ】フーゴが通っていたフェデリコ2世・ナポリ大学
- 【ナポリ】サーレー戦でミスタが近づいた小屋とカプリ島の山道
- 【ナポリ】ポルポが財産を隠していたトイレ
- 【ポンペイ】イルーゾォ戦のポンペイ遺跡と犬のゆか絵
- 【ナポリ】プロシュート、ペッシ戦のネオポリス駅とナポリ中央駅
- 【ヴェネツィア】ギアッチョ戦のリベルタ橋
- 【ヴェネツィア】OA-DISCの隠し場所とヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅、ヴェネツィアの獅子
- 【ヴェネツィア】ジョルノがミスタを抱えるシーンとサン・シメオン・ピッコロ教会
- 【ヴェネツィア】ディアボロ戦のサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会
- 【ヴェネツィア】ティッツァーノ、スクアーロ戦のサン・ジェレミア教会と広場
- 【ヴェネツィア】ノトーリアス・B・I・Gが現れたヴェネツィア・マルコポーロ空港
- 【サルディニア島】ドッピオvsリゾット戦のコスタ・ズメラルダ、ステラ・マリア教会
- 【ローマ】チョコラータ戦のボルゲーゼ公園
- 【ローマ】セッコ戦のヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂
- 【ローマ】チョコラータの回想とサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会
- 【ローマ】セッコがゴミ収集されたトラムの駅と地下鉄コロッセオ駅
- 【ローマ】ポルナレフが待っていたコロッセオ
- 【ローマ】シルバー・チャリオッツ・レクイエムが近づいたコンスタンティヌス帝の凱旋門
- 【ローマ】ブチャラティが昇天したサンタンジェロ城付近
- 【ローマ(ヴァティカン市国)】ブチャラティ昇天直後のシーンとサン・ピエトロ大聖堂
- まとめ:ジョジョ5部ではイタリアの名所、名建築で聖地巡礼ができる!
【ナポリ】広瀬康一とジョルノが出会ったナポリ・カポディキーノ国際空港
まずは広瀬康一とジョルノが出会った空港についてです。モデルはナポリ・カポディキーノ国際空港。康一くんが使ったのは多分このあたりじゃないかな~タクシー乗り場もあるし、建物内に両替所もあるらしいし…
この近くにはアニメ版の涙目のルカ戦で登場した水玉模様の建物(Google Map)もあります。どうやら駐車場のようです。アニメ版は原作にはなかった描写も追加されているので、聖地巡礼がはかどるよね…!
【ナポリ】広瀬康一が歩いたナポリの街と卵城、ヌオーヴォ城
次は康一くんがジョルノを探していたシーンで登場した2コマについてです。まずはこちら。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(115頁)
こちらは卵城です。アニメ版ではジョルノママが結婚式を挙げていたシーンにも登場しましたね~!
Di Luca Aless - Opera propria, CC BY-SA 4.0, Collegamento
12世紀に建築された城で、古代ローマ時代にメガリデの小島と呼ばれていた場所に建っています。当時は軍人ルクッルスの別荘でしたが、10世紀には要塞として建て替えられ、13世紀にはアンジュ―家の王の住居など様々な用途で使用されました。名前の由来は古代ローマの詩人ヴェルギリウスが書き残した「城の基礎の中に置かれた卵が割れた時にナポリの街も終わる」という伝説が元なのだとか。
その次のコマにも城が描かれていました。こちらはヌォーヴォ城になります。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(115頁)
卵城が海に近く利便性が悪かったために、1279年にアンジュー家によって新たに建てられた城です。アンジュ―家はフランスのアンジュー地方を統治した貴族で、ヌオーヴォはイタリア語で「新しい」を意味します。
By Richard Nevell from London, United Kingdom - Castel Nuovo (29), CC BY-SA 2.0, Link
モデルはフランスのアンジェ城で、円形状の塔とそれを繋ぐ壁など外見に共通点があります。卵城と比べると、ヌオーヴォ城がいかつく見えるよね…現在、内部はナポリ市立美術館としても利用されています。
【ナポリ】ブチャラティ戦のフニコラーレと乗降車駅
ブチャラティ戦ではケーブルカーが登場しました。現地ではフニコラーレと呼ばれています。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』47巻 集英社(140頁)
気になるのはジョルノの乗車駅と降車駅ですが、これとそっくりな駅が見つからないんよ…でもヒントとなりそうなのがこちら。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』48巻 集英社(48頁)
後ろには卵城、ヤシの木、円形の広場が見えています。角度的に考えるとヴィットーリア広場のこのあたりじゃないかな~…地図上では左に卵城、反時計回りに振り返ると円形のロータリーとヤシの木があります。ロータリーでサッカーは難しそうですが、右を向いた場所に公園があるのでそこならできそう。
で、乗車直前には康一くんとのバトルで卵城やヌオーヴォ城が描かれていたので、城とヴィットーリア広場を結ぶ路線を使ったと考えるのが自然です。とすれば、ジョルノが乗車したのはCENTRALE線のAugusteo駅か、CHIAIA線のParco Margherita駅かな~…駅の雰囲気的にはAugusteo駅の方が近そうです。
ブチャラティが汗の味見をした駅は次のCorso V. Emanuele駅、あるいはC.so V. Emanuele駅。そこから再度乗り込んで次の駅に向かう途中で下車し、ヴィットーリア広場に向かったことになります。ちなみに広場までは最短で徒歩25分程度。結構走ったな…
もし康一くんとのバトルとは別日、あるいはまったく別の時間帯で乗車したとすれば、MERGELLINA線のMergellina駅、味見をされたのはS. Antonio駅でその後降車という可能性もあります。こちらはヴィットーリア広場と公園を挟んで反対側に位置する海沿いの路線ですが、ヴィットーリア駅まで50分近くかかります。ちょっと遠いけれどあり得なくはなさそう。
【ナポリ】ポルポがいた刑務所
ポルポがいた刑務所はこんな外観でした。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』48巻 集英社(51頁)
ナポリには何か所か刑務所があるようなのですが、外観はどれも似ていないんですよね~…もっと近代的なビルっぽかったり高さが低かったり。先述したヌオーヴォ城がちょっと似てるかな~ドンピシャではないけど…
そしてアニメ版でなんだか印象深かった三差路ロータリーはこの位置(Google Map)。ナポリのポッジョレアーレ刑務所の近くのロータリーで、正面に見えているのが刑務所、真後ろにぐるっと振り向くとローターリーがあります。
【ナポリ】アバッキオの回想とダンテ出張所、ジュゼッペ・ガルバルディ広場
アバッキオの回想では勤務地だった警察署が登場していました。こちらとそっくりなのが、Ufficio Sezionale Dante。日本語訳だとダンテ出張所のようなイメージですかね…青と白の看板もちゃ~~~んとあります!
アバッキオがパトカーに石を投げられていたシーンで登場した特徴的な屋根の建物はジュゼッペ・ガルバルディ広場の商業施設。屋根の下はショッピングモールのように数多くのお店が並ぶ地下通路で、ナポリ中央駅など周辺の駅と繋がっているようです。
このあたりでよくパトロールしてたんですかね、繁華街っぽいもんね。亀を拾ったのはすぐ近くのナポリ中央駅だったので、プロシュート戦前には懐かしいな~!なんて警官時代に思いを馳せていたのかもしれません。
【ナポリ】ジョルノが通っていた学校とサンタ・キアラ教会
ジョルノの通っていた学校も印象的でした。これね。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』48巻 集英社(86頁)
縦長の建物は真正面のサンタ・キアラ教会の鐘楼が近いかな~…教会は右の建物ね。
By Vitold Muratov - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
サンタ・キアラ教会はアンジュ―家の王妃サンチャの依頼で、1310年に建設された教会です。1943年に第二次世界大戦の被害を受けて消失。現在の姿は再建後のものになります。
外見も近いのですが、柱の並びも比較的似ているようで…こちらは中庭のクラリッセの回廊と呼ばれている場所です。
By Jean-Christophe BENOIST - Own work, CC BY 4.0, Link
柱やベンチの色鮮やかなタイルはマヨルカ焼き、周囲を囲む回廊ではフレスコ画を見ることができます。
階段もちゃんとあるよ!
とはいえ階段が似ているのはサン・パオロ・マッジョーレ聖堂、回廊のある中庭という点ではサン・マルティーノ修道院などナポリ内でも似ている建物がチラホラ。サンタ・キアラ教会近くは教会が数多く立ち並ぶ地域なので、色々比較して似ている建物を見つけてみるのも楽しいかもしれません。
【ナポリ】フーゴが通っていたフェデリコ2世・ナポリ大学
アニメ版ではフーゴの過去が明かされており、大学の建物が描かれていました。このモデルはフェデリコ2世・ナポリ大学。サンタ・キアラ教会から徒歩10分ほどの場所にあります。
By Giuseppe Guida - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
見た目が一緒だ…!
1224年にローマ皇帝フリードリヒ2世によって設立され、イタリアでは2番目に歴史のある大学です。フーゴが所属していたであろう法学部もあるよ!
【ナポリ】サーレー戦でミスタが近づいた小屋とカプリ島の山道
ジョルノらがカプリ島で降り立ったのは、大きな港のマリーナ・グランデ。サーレー戦では小屋の近くでミスタがウロウロしていました。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』49巻 集英社(185頁)
丸屋根が特徴的な建物で、後ろには山が見えています。これと似ているのが、海沿いのフェリーターミナルにある小屋。
ちょっと小さ目ではありますが、丸い屋根がありますね~!ただし原作では裏口に駐車場があり、曲がりくねった坂道に面していたので、場所はここではないようです。表通りに入口、裏口が山道に面しているとすれば、ドン・ジオッベ・ルオッコ通りに続くこの建物(Google Map)かな~リンクの場所は裏口ね。
ミスタらが乗ったトラックは坂道を抜けて、戦闘後には再びマリーナ・グランデに到着していましたが、このルートも実在しているようで…ドン・ジオッベ・ルオッコ通りからマリーナ・グランデ通りに入る道を使うと、山道をぐるっ1周して港まで戻ることができます。
【ナポリ】ポルポが財産を隠していたトイレ
ポルポが財産を隠していたトイレは、海の見える高台にありました。
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』50巻 集英社(89頁)
モデルだと思われるのがカプリ島フニコラーレ(ケーブルカー)の山頂駅の建物。原作でトイレだった場所は、レストランとして利用されているようです。
カプリ島はローマ皇帝アウグストゥス帝が気に入り、イスキア島と交換してまで手に入れた土地。古代ローマ皇帝たちの時代からリゾート地として楽しまれていたとか。綺麗だもんね…!
【ポンペイ】イルーゾォ戦のポンペイ遺跡と犬のゆか絵
イルーゾォ戦の舞台となったのはポンペイ遺跡。紀元79年のヴェスヴィオ山の噴火で、街全体が約6メートルの灰で埋もれてしまった古代ローマ時代の商業都市です。18世紀に発掘が始まると、当時の姿を残したままの街並みや美術品、人々の姿などが発見されました。後ろに描かれているのがヴェスヴィオ山ね。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(120-121頁)
こちらはジュピター神殿(右側)と公設市場(左側)の間の道です。
地図だとこの辺り(Google Map)。ジュピター神殿はジュピター、ユノ、ミネルヴァが祀られた神殿、公設市場では主に肉と魚が売られていました。
ジョルノたちが車を停めたのは、遺跡の入口近くにあるマリーナ門になります。町にあった7つの門のひとつで、名前の由来は当時は海岸線が今よりも内陸に寄っており、海の近くにあったからだそう。高さは約10m、トンネル内の長さは約20mあります。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(120頁)
「ここからは車では入れない」とのことですが、そもそもこの位置まで車で入ることはできず、歩行者が通行可能なのも右のアーチだけ。左のアーチは歩行者用、右は荷車用として使われており、ポンペイの町全体も車道と歩道がわかれていたようです。
By Falk2 - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
鍵の隠し場所から約100m地点では、フーゴが柱近くで男を見た!と話していました。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(123頁)
ちょっと特徴的な柱ですが、地図を見る限りこの地点にはないんじゃないかな~…これ多分マリーナ門近くにあるアポロ神殿の日時計なんですよね~…アポロ神殿は紀元前2世紀に建てられ、アポロ神が祀られました。
By Dave & Margie Hill / Kleerup from Centennial, CO, USA - Temple of ApolloUploaded by Marcus Cyron, CC BY-SA 2.0, Link
上部の半円が日時計で、円内には放射状に線が引いてあります。最上部には金属製の針がついており、この影の位置と線を照らし合わせて時刻を見たのだとか。
そしてジョジョといえばやっぱりこれ!
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(119頁)
こちらは悲劇詩人の家と呼ばれる邸宅の床のモザイク画になります。「CAVE CANEM」は猛犬注意の意味だそう。生活感あるな~!
牙がすごいね…見た目だけでならイギーより迫力あるな。
他にも約5000人を収容した大劇場や、赤地に「ディオニュソス秘儀」への入信の様子が描かれた秘儀荘など、見どころの多いポンペイ遺跡。近年は遺跡保護のために入場者数制限などの対策も施行されたので、最新情報をチェックしてからお出かけを…!
【ナポリ】プロシュート、ペッシ戦のネオポリス駅とナポリ中央駅
プロシュート、ペッシ戦では、ネオポリス駅のホームからフィレンツェ行きの列車に乗車しました。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(92頁)
モデルはナポリ中央駅になります。アバッキオはパトロールしてた近くね。構内の電光掲示板はこんな感じ。そっくり!
By Nasreddine Nas'h - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
6番線ホームの水飲み場で亀を拾っていましたが、ホーム数は20以上あるのだとか。でかい。
ただしブチャラティたちはフィレンツェにたどり着かず、ローマ手前で降りてトラックで移動しています。停車した列車にはメローネが乗り込み、ベイビィ・フェイスで息子を誕生させようとしていました。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(68頁)
路線図的には現在イタロが走る線路に近いかな…ただしイタロは2012年に運航開始しているので、当時は違う電車だったはず。
そしてジョルノたちが車を盗んだ駐車場は、恐らくカッシーナ通り沿い。メローネが死亡したテルミニ駅はローマの主要駅でした。ローマに死すじゃんね…テルミニ駅は1870年に初代駅舎が建造され、1938年に現在の姿に変わっています。
【ヴェネツィア】ギアッチョ戦のリベルタ橋
ギアッチョ戦ではヴェネツィアのリベルタ橋が登場しました。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(182-83頁)
説明の通り1846年に開通した橋で、イタリア本土からヴェネツィア島に延びています。歩行者は立ち入り禁止で、現在は車、列車以外にトラムでも渡ることができます。
【ヴェネツィア】OA-DISCの隠し場所とヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅、ヴェネツィアの獅子
OA-DISCの隠し場所には獅子像の彫刻が建っていました。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』54巻 集英社(166頁)
写真後ろの建物はヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅、獅子像はサンマルコ広場にある「ヴェネツィアの獅子」です。これが駅ね。
獅子ないやん!OA-DISC手に入れられないやん!と言いたくなりますが、獅子像がいるのはドゥカーレ宮殿の前。駅前にはないのです…!
Didier Descouens- 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
ちなみにこちらの像はレプリカで、本物はドゥカーレ宮殿内で保存されています。
この翼を持った獅子はヴェネツィアの守護聖人サン・マルコの象徴と考えられており、島内の様々な場所で見ることが可能です。かつてヴェネツィア共和国だった時代の国旗にも、この翼のある獅子が描かれていたそうな。
【ヴェネツィア】ジョルノがミスタを抱えるシーンとサン・シメオン・ピッコロ教会
ミスタを抱きかかえるジョルノの後ろにも建物が描かれていました。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』55巻 集英社(140頁)
こちらはサン・シメオン・ピッコロ教会です。ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅の真正面にあります。
By Didier Descouens - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
後ろを流れるのはカナル・グランデ。島内を分割するようにS字状に流れる、約4kmの運河になります。
【ヴェネツィア】ディアボロ戦のサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会
ブチャラティがトリッシュを連れて行き、ディアボロと交戦したのはサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会です。
By Didier Descouens - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
以前の建物は地震で倒壊しており、現在の建物は16世紀に建築家のアンドレア・パッラーディオによって建てられたもの。鐘楼の高さは約75mで、エレベーターで昇ることができます。晴れた日には8部に登場したドロミテでお馴染み、イタリア北部の山ドロミテが見えるとか…!
ブチャラティたちは1階と2階を使って戦っていましたが、実際のフロアは1階のみ。ジョルノが駆けつけたこの場所も1階です。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』56巻 集英社(95頁)
教会内ではティントレットの「最後の晩餐」「マナの収拾」、ヤコポ・バッサーノの「羊飼いたちの礼拝」などの絵画も鑑賞できます。
【ヴェネツィア】ティッツァーノ、スクアーロ戦のサン・ジェレミア教会と広場
ティッツァーノ、スクアーロ戦ではこんな建物が登場しました。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』57巻 集英社(75頁)
手前の丸っこい屋根はサン・ジェレミア教会、隣の高い塔がついた建物はラビア宮殿です。ラビア宮殿はスペインの豪商ラビア一族の居住地だったそうな。
ただし橋は教会の目の前ではなく、少し離れたところにあります。運河も原作よりもう少し大きいイメージかな~…
ナランチャはティッツァーノたちを広場で追い詰めていましたが、モデルと思われるのが教会の裏手にあるサンジェレミア広場です。原作ではサッカー少年の横に円形が特徴的な物体が描かれていましたが、これは昔使われていた井戸。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』57巻 集英社(78頁)
似た形状のものは実際の広場にもあります!左のやつね。
またジョルノが倒れた横にも違う形の井戸があり、蛇口から水が流れていました。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』57巻 集英社(103頁)
こちらも実際に同じ広場内の奥(Google Map)にあります!蛇口から水が出るらしく現役のようです。
ただしスクアーロたちが様子をうかがっていた階段はなさそうです。というか広場にも教会の正面横からは抜けられないようで…レストランや運河の位置関係も現実とはちょっと違うので、このあたりは物語をスムーズに展開するために荒木先生が変更したのではないかな~と思います。
【ヴェネツィア】ノトーリアス・B・I・Gが現れたヴェネツィア・マルコポーロ空港
ノトーリアス・B・I・Gが現れたのは、ヴェネツィア・マルコポーロ空港でした。原作通り、ヴェネツィア本島の北に位置する空港になります。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』57巻 集英社(136頁)
ただし滑走路の方向がちょっと違うようで…このコマの滑走路はリベルタ橋と平行に描かれていますが、上空写真を見る限り、本物は橋に対して90度の角度で滑走路が走っているようです。でも絵的には並行の方がかっこいいよね…!
上空で飛行機に穴を開けようとするブチャラティの話もあります
【サルディニア島】ドッピオvsリゾット戦のコスタ・ズメラルダ、ステラ・マリア教会
ヴェネツィアを出たブチャラティたちはサルディニア島へ。ディアボロの故郷で、ドッピオvsリゾット戦が行われた地でもあります。場所はサルディニア島の北部~北東部と示されており、特徴的な造形の建物が何度も登場しました。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』58巻 集英社(111頁)
これはコスタ・ズメラルダにあるステラ・マリア教会が近そうです。ステラ・マリアは海の星の聖母とも呼ばれています。ジョースターだ…
コスタ・ズメラルダはその名の通りエメラルドに輝く海が美しい、リゾート地としても有名な場所です。海沿いには高級リゾートホテルが並んでおり、カーラ・ディ・ヴォルペと「恥知らずのパープルヘイズ」のマッシモ・ヴォルペを思い出す名前の場所も…!
ただアバッキオがデスマスクを作っていた「COSTA SMERALDA」の文字が入った石のオブジェがないんですよね~「COSTA SMERALDA」の横長の看板はあるんだけどね…荒木先生のオリジナルなのかな…
【ローマ】チョコラータ戦のボルゲーゼ公園
チョコラータ戦からはローマに入ります。ジョルノがヘリコプターをひっかけたのはボルゲーゼ公園でした。
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』60巻 集英社(106頁)
原作の地図で示されていた位置から特定するに、ピンチョの丘近くの城壁であることは間違いなさそうです。ピンチョの丘はかつてピンチ家が所有していた場所になります。
地図的にはこの辺(Google Map)かと思われますが、ヘリコプターをひっかけた建物がないんですよね~…ただもう少し道を進んだ先にある場所が近いっちゃ近いかな…
あとはピンチャーナ門も見た目が近そう。戦闘中にはジョルノがコロッセオを望んでいましたが、こちらは公園内でコロッセオに最も近い地点のひとつです。
ボルゲーゼ公園は17世紀にボルゲーゼ枢機卿が家族のために造った庭園で、現在は美術館や動物園もある巨大な施設。地図上でドンピシャな地点を見つけるのは難易度が高いですが、場所はこの辺りのようなので散歩がてらに特定してみては…!?
【ローマ】セッコ戦のヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂
次はセッコ戦に登場したこの建物についてです。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』61巻 集英社(14-15頁)
こちらはヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世によるイタリア統一を記念して、1911年に建築されました。中央で馬に乗るのがヴィットリオ・エマヌエーレ2世になります。
Alvesgaspar - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
ちなみにもうひとつヴィットリオ・エマヌエーレ2世の名を冠する建物として登場したのが、ブチャラティの過去エピソードで登場したここ。
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』55巻 集英社(172頁)
こちらはミラノのヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア。アーケード内の十字路付近には雄牛の青いモザイク画があり、その上で1回転すると幸せが訪れるとか。ブチャラティママもきっとクルクルしたはず。
Di Paolobon140 - Opera propria, CC BY-SA 4.0, Collegamento
【ローマ】チョコラータの回想とサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会
チョコラータ関連ではこんなものもローマで見られます。回想シーンでは十字架を持った像が出てきた像が登場しましたが…
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』59巻 集英社(174頁)
元ネタはサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会のミケランジェロによる作品「ミネルヴァのキリスト」です。
原作ではキリストの後ろに骸骨が描かれていたのが印象的ですが、本物はキリストと十字架のみ。場所的にはヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂から北西方向に10分ほど歩いた場所なので、寄り道してみては…!?
【ローマ】セッコがゴミ収集されたトラムの駅と地下鉄コロッセオ駅
セッコがゴミ収集された付近には、数字の3とルートが描かれている立て看板がありました。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』61巻 集英社(14-15頁)
戦闘中にコンスタンティヌス帝の凱旋門(後述)が描かれていたことや、コロッセオのカーブ具合からこの位置を特定すると…ちょうど地下鉄のコロッセオ駅の場所に!
この位置から右に進むと、ドッピオとブチャラティが渡った横断歩道にたどり着きます。ちなみに看板のモデルと考えられるのはトラムの3系統の看板。停車場はここではなく、コロッセオの反対側に回った場所にありました。
【ローマ】ポルナレフが待っていたコロッセオ
ポルナレフが待っていたのはコロッセオ。80年にヴェスパシアヌス帝の命で建設された、周囲約527mの円形競技場です。各々のポジションはこちら。ポルナレフらの×印は2階、ブチャラティは1階の位置になります。ジョルノたちはかなり離れた位置から入場していましたね~!けっこう歩いてるな…
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』62巻 集英社(46頁)
実際のコロッセオにもポルナレフたちがいた近く、ジョルノたちが入ってきた近くそれぞれに入場口があります。またナランチャが鉄格子に刺さって死亡しましたが、現地では立ち入り禁止の場所に鉄格子が入れられています。
コロッセオの観客席は5万人以上収容可能で、身分や性別によって座る場所が分けられていました。中では剣闘士、猛獣による戦いが繰り広げられており、剣闘士同士は片方が死ぬまで戦っていたとか…現在は剣闘士や猛獣が待機場所であった地下部分、舞台に上がるために使われた木製エレベーターなども見学可能です。
【ローマ】シルバー・チャリオッツ・レクイエムが近づいたコンスタンティヌス帝の凱旋門
シルバー・チャリオッツ・レクイエムがコロッセオを出たシーンではこんな建物が描かれていました。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』62巻 集英社(10-11頁)
こちらはコンスタンティヌス帝の凱旋門。コンスタンティヌス帝のミルヴィオ橋の戦いでの勝利を記念して、315年に建造された高さ20m以上の門です。
By NikonZ7II - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
レリーフは最上段にはマルクス・アウレリウス帝の生涯、中央の円形にはハドリアヌス帝の生涯、最下段にはコンスタンティヌス帝の戦いの様子が彫られています。
アニメ版ではレクイエムが歩いたルートに水道が見えていましたが、こちらはコロッセオを南下した場所にあるクラウディア水道(Google Map)。皇帝クラディウスが52年に完成させた水道で、住民に水を供給するために使われており、当時の全長は70㎞弱にも及んだとか!古代ローマの技術、すげ~~~~!
【ローマ】ブチャラティが昇天したサンタンジェロ城付近
ブチャラティの昇天シーンでも建物が描かれていました。原作のジョルノの母親の結婚式の背景の建物と同じものになります。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(47頁)
こちらは135年に建造されたサンタンジェロ城です。
Andreas Tille - 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
ハドリアヌス帝が自分の廟として建設した城で、その後はローマ歴代皇帝の墓のほか、要塞や牢獄として使用された歴史があります。サンタンジェロ(Saint' Angelo)は日本語で聖天使の意味で、6世紀にペストが流行した際に、城の上に教皇グレゴリウス1世が城の頂上で剣を奮う大天使ミカエルを見たという伝説が由来です。
手前の橋はサンタンジェロ橋。ハドリアヌス帝の時代に架けられた橋でしたが、17世紀に法王クレメンス9世の命でベルニーニが改築しています。両サイドに並ぶ天使像はベルニーニによる作品ですが、こちらはコピー。オリジナルはローマのサンタンドレア・ デッレ・フラッテ教会で見ることができます。ボルゲーゼ公園からコロッセオに向かう途中にある教会です。
天使像だったのは、橋をサンタンジェロ城の西にあるサン・ピエトロ大聖堂への参道と考え、神の世界へ導く演出をするためだそう。キリスト教との関連が強い5部の最終決戦として、ぴったりの舞台では…!?
【ローマ(ヴァティカン市国)】ブチャラティ昇天直後のシーンとサン・ピエトロ大聖堂
ブチャラティ昇天直後には周辺の風景が数コマ描かれていました。その中でも目を引くのが丸屋根のクーポラ。
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(48頁)
こちらはヴァティカン市国のサン・ピエトロ大聖堂。4世紀に聖ペテロの墓の上に建築された後、ミケランジェロ、ラファエロなどが再建を繰り返し、1626年に完成しています。
By Alvesgaspar - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
建物自体の美しさはもちろんですが、ジョジョファン的には内部の美術作品も必見。ギアッチョ戦でジョルノがミスタを抱きかかえるポーズなど、何度もオマージュされているミケランジェロの「ピエタ」、7部で登場したベルニーニによるブロンズの天蓋など、ジョジョ関連の美術作品が見られる場所なんですよね~!
ヴァチカン市国ではシスティーナ礼拝堂もぜひ!輪切りのソルベのシーンで登場した天井画の「ヨナ」、62巻表紙のジョルノの元ネタである「最後の審判」のキリストを見ることができます。どちらもミケランジェロの作品です。
まとめ:ジョジョ5部ではイタリアの名所、名建築で聖地巡礼ができる!
ジョジョ5部で聖地巡礼ができる名所をまとめてみました。
さすがイタリア、登場する場所が名所だらけでしたね~…ジョジョの聖地巡礼としてはもちろん、歴史や美術まで堪能できるのがいいですよね~!
しかもアニメ版では木村泰大監督曰く、路地などかなり細かな場所まで現地の地形や雰囲気が参照されているそう。現地の雰囲気を味わえるのはもちろん、何度見ても新しい発見がある作品となっているのではないでしょうか。アニメ版ならではの楽しみっていいよね…!
聖地巡礼、元ネタの話はこんなのもあります。
参考文献
atac「Rome's public transport maps」https://www.atac.roma.it/en/utility/maps(2024年12月23日確認)
地球の歩き方編集室「地球の歩き方 イタリア 2024~2025」Gakken(2024年)
地球の歩き方編集室「地球の歩き方 南イタリアとシチリア 2020~2021」地球の歩き方(2020年)
地球の歩き方編集室「地球の歩き方 ミラノ ヴェネツィアと湖水地方 2019~2020」地球の歩き方(2019年)
ピッパ、地球の歩き方「初心者必見! イタリア・ナポリで中世の古城巡りVol.1 卵城編」https://www.arukikata.co.jp/webmagazine/235293/(2024年12月23日確認)
藤沢桜子、藤澤明寛(2012)「『米欧回覧実記』と古代ローマ文明 ― 水道に関する記述への注釈と考察 ―」「群馬県立女子大学紀要」巻 33, p. (63)-(82)
安田薫子、Precious.jp「ヴェネツィアのラビア宮殿でディオールが開いた「仮面舞踏会」に潜入!その豪華絢爛さに驚き」https://precious.jp/articles/-/11692(2024年12月23日確認)
Università degli Studi di Napoli Federico II 「Dipartimento di Giurisprudenza」http://www.tirocini.unina.it/ricerca/ricerca-dipartimentale/giurisprudenza(2024年12月23日確認)