アヴドゥルのスタンドや復活、性格とエジプトとの関係を考察してみた

ジョジョコラム
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ジョジョの奇妙な冒険3部に登場したモハメド・アヴドゥル。エジプト出身という経歴を持っていました。

今回はアヴドゥルの性格やスタンド、アンクなどの持ち物とエジプトとの関係を考察してみました。


1. アヴドゥルのマジシャンズレッドとエジプトとの関係

まずはアヴドゥルのスタンドであるマジシャンズレッドとエジプトの関係についてです。一般的に炎と鳥の組み合わせで思い出すのが、火の鳥やフェニックスといった伝説の生物。特にフェニックスの寿命を迎えると炎の中に飛び込んで再び蘇るという話は、審判戦で復活を見せたアヴドゥルに近いものを感じます。

そんなフェニックスの原型ともいわれているのが、古代エジプト神話に登場する鳥ベヌウ。日の出とともに誕生し、日の入りで死に、翌日の日の出で再び生き返るとされる鳥です。アヴドゥルはエジプト出身なので、復活劇の元ネタの可能性もあるっちゃありそう。


By Cobremet, Public Domain, Link

またマジシャンズレッドの外見にも注目!元ネタはエンキ・ビラルの作品のキャラクター(表紙のこれね)だそうですが、頭が鳥、体は人間というのはエジプトの神々の描き方にも似ているんですよね~!こちらは鳥の頭を持つ2柱で、向かって左がトト神、右はホルス神です。


By Paul Hudson from United Kingdom - British Museum - Room 62, CC BY 2.0, Link

鳥人だねぇ(笑い飯のアレ)

炎でもつけたらマジシャンズレッドっぽくなりそうですね~!他にも古代エジプトには頭が動物、体は人間の神様が数多くいるので、マジシャンズレッドはエジプト出身のアヴドゥルらしいスタンドのデザインと言えるのではないでしょうか。

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アヴドゥルのマジシャンズレッドは何の鳥なのか?

ここでマジシャンズレッドの鳥の種類について考えてみます。頭部には大きなくちばしと冠羽が2本ついていました。


荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』19巻 集英社(118頁)

2本の冠毛を持っている鳥といえば、先程登場したベヌウ。アオサギの姿で表される鳥で、ほとんどの絵画やヒエログリフで2本の冠毛が描かれているのだとか。

あとはエジプトハゲワシね。現在もエジプトに生息している鳥で、古代エジプトでは神の化身と考えられ、上エジプト(カイロからアスワン周辺の地域)の守護神ネクベトのモデルとされていました。


Kousik Nandy - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

激似!とまではいきませんが、くちばしのカーブなどが近いっちゃ近い気が…

このエジプトハゲワシで注目したいのはヒエログリフとの関係です。エジプトハゲワシはヒエログリフではアヴドゥル(Avdol)の頭文字Aの音を表す文字なんですよね~!Aはアルファベットの始まりの文字ですが、タロットカードで魔術師のカード番号は13部で最初に登場したスタンドはマジシャンズレッドで、ポルナレフも「この世の始まりは炎につつまれていた」と語るなど初物尽くし。もしアヴドゥルが始まりを象徴するキャラクター設定だったとすれば、エジプトハゲワシもあり得そうなところです。

顔的には動かない鳥として有名なハシビロコウっぽいかな~…


By Olaf Oliviero Riemer, CC BY-SA 3.0, Link

そっくりやん。動くハシビロコウ=マジシャンズレッドじゃん…

本体が短気でボーボー燃えてるスタンドのイメージからはちょっと遠いですが、ハシビロコウの生息地はナイル川上流や、パピルスの原料であるカミガヤツリが生い茂る地域。古代エジプト時代の壁画にもハシビロコウらしき鳥の姿が確認されているなど、エジプトとも関連する鳥ではあります。

他にもエンキ・ビラルの鳥のキャラクターの名前は「ホルス」で、頭は鳥、体は人間とハヤブサのホルス神のような姿なので、ハヤブサも元ネタと言えそうなところ。色々な鳥の種類が挙げられそうですが、もしかしたら数種類の鳥のミックスされた姿なのかもしれませんよね~!

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2. アヴドゥルの装飾品と古代エジプトの神々との関係

次にアヴドゥルの首元の装飾品とエジプトとの関係についてです。まずは中央のパーツに注目してみます。クロスファイヤーハリケーンで飛ばす十字の形のやつね。


荒木飛呂彦(1991年)『ジョジョの奇妙な冒険』23巻 集英社(126頁)

こちらはアンクで古代エジプトでは生命の象徴であり、ヒエログリフや護符に使われました。ヒエログリフ上の意味は「生きる」「命」ですが、文脈によっては「生きよ!」というニュアンスで使われることもあるとか。ポルナレフやイギーをかばって命を繋いだアヴドゥルらしさが感じられるのではないでしょうか。

さらに他のピアスの模様も見てみると…コマによってかなり違いがありますが、ここでは両耳から2番目と3番目には月と太陽らしき形が描かれています。古代エジプトで月と太陽はホルス神の目と考えられ、やがて左目は「ホルス神の目」で月の象徴、右目は「太陽神ラーの目」で太陽の象徴とされたそうです。また出たなホルス…

でね、古代エジプト神話によると、ホルス神は父の仇セト神との戦いで左目をくりぬかれるも、後に復活できたのだとか。そこからホルス神の左目は「完全なもの」「修復、復元」の象徴になります。敵討ちの話でやられて復活ってアヴドゥルっぽいじゃんね!Yes I am!!!

そして太陽は沈んでは昇るを繰り返すことから、古代エジプトでは人間は死後、再生復活できるという思想を生んだのだそう。ホルス神と同一視されたり、太陽神ラーはホルス神と合体してラー・ホルアクティとして崇められたりと、マジシャンズレッドかもしれないホルス神とも深い関係があるのも興味深いところでは…!?

耳とアンクに最も近いパーツでは、丸から斜めに伸びる線が描かれています。これね~~~光線を発する太陽を表すヒエログリフ「𓇶」っぽいんですよね~…特殊文字なんだけど、ちゃんと表示されますかね…?似た形として、ツタンカーメンの父ちゃんであるアクエンアテンの時代では、多神教から太陽神アテンを崇める一神教に変える宗教改革が行われたことにより、太陽から光線が降り注ぐ図像も数多く見られます。


By Neoclassicism Enthusiast - Own work, CC BY-SA 4.0, Link

イメージ的には近いかな…

多少無理矢理の部分もありますが、なんだかエジプトらしい模様ともとれそうなアヴドゥルの装飾品。こんなところまでエジプトネタが組み込まれていたとしたら、面白い設定ですよね…!

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3. アヴドゥルの豪快さと真面目さはエジプト人らしいのか

最後にエジプトに行った経験から、アヴドゥルについて少しだけ…炎で焼き尽くす能力を持ち、復活した途端に立ちションを決めるなど何かと豪快なアヴドゥルさん。でも確かにエジプト人って豪快なんですよね~!正確に言えばあまり細かいことは気にしないというか…出入国審査は雑だし、飛行機は全然定時に発着しないし、有料トイレでも便座は壊れっぱなしだし(トイレでの災難)。詳しい話はここで…「ジョジョ3部が好きすぎて聖地巡礼のエジプト旅行に行ってみた」

ガイドさん曰く「エジプト人はのんびりしている」とのことで、確かに皆さんマイペースな印象です。もちろん人によるとは思いますが、アヴドゥルのような短気っぽい人は見かけなかったかな~…エジプト国内でもかなりしっかり者の人なのかもしれませんよね、アヴドゥルさん。

あとねエジプト人男性は喫煙者の割合が約5割らしいのですが、現地の体感的に8割くらい皆吸ってて。飲酒が禁止されているイスラム教徒が9割を占める国なので、アルコールに代わるリフレッシュの方法なんじゃないかな~…という気がしました。そんな国で育ちながらも喫煙描写がなかったところからは、アヴドゥルの自制心の強さや真面目さが伺える気がします。まあイスラム教徒じゃない可能性もあるけども…

女教皇戦では潜水艦を操縦していたのも印象的でしたね~!なんで出来るの…?と言いたくなりますが、アヴドゥルの職場であるハン・ハリーリ市場の店舗家賃は高いそうで…かなり儲かっていること間違いなしな上に、命を狙われて日本に行ったと噂になるほど顔も広そうなので、どこかで高度な技術を身につけていても不思議ではない気もします。超~~~~大金持ちのジョセフとベストパートナーという設定なのは、性格はもちろん金銭感覚、人脈的にも納得では…!?

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まとめ:アヴドゥルの性格やスタンドはエジプトの小ネタがいっぱい!?

アヴドゥルとエジプトの小ネタとの関係を考察してみました。

鳥、人間の体、ピアスのデザインなど掘れば掘るほど古代エジプトと関連付けられそうなアヴドゥルとマジシャンズレッド。どこまで荒木先生が意図的に設定されていたのか、気になるところですよね…!

荒木先生がエジプトに取材に行かれているせいか、どこか現地人のリアルな雰囲気が漂うアヴドゥル。復活後にはポルナレフに「性格が変わった」と評されていましたが、あの豪快で懐が広い様こそ、エジプト出身者らしい本来のアヴドゥルなのかもしれません。

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参考文献
クリスチアヌ・デローシュ・ノブルクール(2001年)『エジプト神話の図像学』河出書房新社
マリア・カルメラ ベトロ(2001年)『図説ヒエログリフ事典』創元社

マンフレート・ルルカー(1996年)『エジプト神話シンボル事典』大修館書店
リチャード H.ウィルキンソン(2000年)『図解古代エジプトシンボル事典』原書房
Houlihan, Patrick F. (1988年)『 The Birds of Ancient Egypt. Cairo, Egypt』American University in Cairo Press.
World Health Organization 『WHO global report on trends in prevalence of tobacco use 2000–2030』https://www.who.int/publications/i/item/9789240088283(2025年4月14日確認)

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