ジョジョの奇妙な冒険の第5部「黄金の風」。イタリアを舞台にジョルノ達が躍動する、スタイリッシュな部でした。
そんな5部の名言は、英語吹替版アニメではどのように訳されたのでしょうか。リスニングに挑戦してみました!
ジョルノとブチャラティの名言の英語訳はこちら。
ケーキが「4つ」なんだ!
イチゴケーキだっつーのは見りゃあわかる!チョコケーキでもなきゃあチーズケーキでもないからな。そうじゃあねえ―ッ!ケーキが「4つ」なんだ!このオレに死ね!っつーのかッ!
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』49巻 集英社(34頁)
ブチャラティチーム御一行がレストランにいるシーンでの、ミスタの名言です。ケーキが4切れのことにお怒りのミスタでしたが、英語訳はこちら。
It's not like I confused the damn thing with a chocolate or cheese cake.
That's not the problem here! There's four slices!
They might as well just told us to die!
dumbass=馬鹿、あほ
as well=同じように
訳としてはこのような感じでしょうか。
「ケーキの種類はわかるんだよ、馬鹿!チョコレートケーキやチーズケーキと間違えたようなことじゃないんだ。それはここでの問題じゃねえーんだ!4切れなんだ!死ねって言われたのと同じじゃねーかッ!」英語でもほぼ同じような訳でした!
cakeは一切れと言いたい時には、peace of cake、slice of cakeのように使われます。a cakeは、ホールのケーキ1つのようなニュアンスになります。
イチゴケーキが食いてーんだよ
イチゴケーキが食いてーんだよッ オレはッ!
荒木飛呂彦(1996年)『ジョジョの奇妙な冒険』49巻 集英社(35頁)
ケーキに文句が止まらないミスタ。食べなきゃいいとフーゴに言われるも、駄々をこねる場面での名言です。英語訳はこんな感じでした。
no way=ありえない、絶対にダメ
demand to=要求する
torta di fragole=イチゴのケーキ
訳としては「絶対にダメだ!イチゴケーキを食べさせてくれ!」。絶対ダメなんだ…
torta di fragoleが聞き取れなくて、小一時間「???」となっていた場面でした…『黄金の風』では、ところどころイタリア語が登場します。
そしてこちらもイタリア語が混ざっていました!次の名言をどうぞ!
クサレ脳ミソがーッ!
クサレ脳ミソがーッ!
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 : ポルポの遺産を狙え! . TOKYO MX, 2018-11-03.(テレビ番組)
お勉強が出来なさすぎるナランチャに対する、フーゴのお仕置きの名言。原作では、「ド低能がァーッ(『ジョジョの奇妙な冒険』49巻37頁)」でしたが、テレビ放送時に台詞が変更されていました。もっと酷くなっているような気もしますが…英語訳はこちら。
dense=頭が悪い、頭が鈍い
カガカッツォって何…????
Cagacazzoはイタリア語で、馬鹿にするような意味合いがあるみたいです。どうやら英語ではshitやassholeのようなニュアンスのような言葉なのだとか。
2か国で馬鹿にされるナランチャって…かわいそ…
Cagacazzoはナランチャの台詞でも登場しますので、よろしければこちらもどうぞ~!
スパゲティを食わしてやりたいんですが
こいつにスパゲティを食わしてやりたいんですがかまいませんね!!
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』51巻 集英社(174頁)
放浪者のような暮らしをしていたナランチャを見かけたフーゴ。何か食べさせようと、レストランで叫んだ名言です。英語訳はこちら。
You can handle it, right?
handle it=対処する
ここでは「こいつにスパゲティの準備が必要なんです!出来ますよね!?」のような訳になります。
どうやらprontoがイタリア語らしく、準備のような意味があるようです。ちょっと調べたところ、電話で「もしもし」という時にも使われたりするのだとか。確かに「プロント!通話中」なんてタイトルの話もありましたね~!イタリア語は奥が深い…
ウイルスは許可しないィィィィーッ
だが!ウイルスは許可しないィィィィーッ 感染した部分は出る事は 許可しないィィィィィィィーッ!!
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(58頁)
ウイルス感染したジョルノが鏡の中に入ってきてしまい、感染してしまったイルーゾォ。自分の腕を切り離す時の名言です。めちゃめちゃ痛そうだ…英語訳はこちら。
No part of my body contaminated with the virus shall leave!
contain=封じ込める、抑える
contaminate=汚染する
こんな訳になりそうです。「だがそのウイルスを封じ込めろォォォー!ウイルスに感染した体の部分は出ることはないィィィー!」意味は大体一緒ですね~!
2回出てくる「許可しない」ですが、どちらもnot allowedを使うと思いきや、別の単語で表現していました。これは結構意外です。
1文目で使われたcontainは「含む」の意味で使うことが多いですが、「ウイルスなどを封じ込める、抑える」の意味も持っています。コロナ渦でも結構使われた単語です!
命がけの行動!敬意を表する!
おまえの命がけの行動ッ!ぼくは敬意を表するッ!
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』52巻 集英社(82頁)
イルーゾォ戦でのフーゴの名言。パープルヘイズのウイルスに感染するリスクを承知で、策を編み出したジョルノへの一言でした。英語訳はこのようなな感じです。
go above and beyond=予想を大きく上回る
eternal=永久の
「俺たちを守るために、予想以上の働きを見せた!お前は永遠に尊敬する!」のような意味です。命がけの行動は、went above and beyond=「予想以上」と訳されています。
さらにeternalという言葉が入り、「永遠に尊敬する」という意味見合いになりました。ジョルノの行動と度胸に、フーゴがとっても驚いていたことがよく分かる訳でした!
正しい馬鹿にはなれない
ぼくはこんな馬鹿げた裏切りに乗れない。正しい馬鹿にはなれない。
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 : キング・クリムゾンの謎 . TOKYO MX, 2019-03-02.(テレビ番組)
アニメオリジナルのフーゴのセリフです。フーゴが思い悩んだ末での離脱だったことが、よく表現された名言でした。英語訳はこちら。
I won't be a murder. I refuse.
ridiculous=馬鹿げた
betrayal=裏切り
直訳は以下のようなイメージです。「この馬鹿げた裏切りゲームには参加できない。人殺しにはならない。ぼくは拒否する。」
「正しい馬鹿」が、英語ではシンプルに「人殺し」と訳されています。「正しい馬鹿」は、ここでは「ボスを殺すことは正しいけど、リスキーで馬鹿のやること」の意味。この辺りのニュアンスが、英語版では薄いです。
その時スデに行動は終わっているんだッ!
「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』53巻 集英社(23頁)
マンモーニなペッシに、ギャングの心構えを説教するプロシュート兄貴の名言です。英語訳はこちら。
They cannot escape the inevitable!
sealed=密封される
inevitable=不可避、必然
「言葉」でなく「心」で理解できた!
わかったよ、プロシュート兄ィ!!兄貴の覚悟が!「言葉」でなく「心」で理解できた!
荒木飛呂彦(1997年)『ジョジョの奇妙な冒険』53巻 集英社(102頁)
プロシュート兄貴の命の危険にさらされても、スタンドを解除しない行動を見たペッシの名言です。ペッシがマンモーニからギャングになるシーンですが、英語訳はこちら。
I don't just hear your words now. I feel 'em in the depths of my heart!
depths of my heart=心の奥底
英語訳はこんな感じでした。「わかったよ!理解したよ、プロシュート兄貴!兄貴は本当の勇気を教えてくれたんだね!今、兄貴の言葉をただ聞くだけじゃなくて、 心の奥底で感じるんだ!」
「兄貴の覚悟」はtrue bravery(本当の勇気)と訳されました。命がけでトリッシュ奪取のミッションを遂行することは、ギャングとして勇気あることだったんですね~!車体とレールに挟まれながらスタンド出してましたもんね、兄貴。そりゃ勇気あるわ…!
やっぱり兄貴はカッコいいや!!!
一味違うのね…
そう…一味………違うのね……
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』58巻 集英社(69頁)
トリッシュが自分のスタンドであるスパイス・ガールに、名前を教えてもらった時の名言。上手いこと言いますね~~~~トリッシュ!英語訳はこちら。
in a good way=いい意味で
直訳的には「変わってるのね…いい意味で…」のような意味です。
原作でも英語版でも、「変わった能力だけど、トリッシュは肯定的に受け入れている」というニュアンスが感じられます。ただ原作は、スパイス・ガールなので「一味」という言葉を使っており、表現的にはこちらの方が面白いです。
あたしすごく ワキガ臭いわあーッ!!
くっくさいッ! あたしすごく ワキガ臭いわあーッ!!
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』62巻 集英社(28頁)
ミスタの体が入れ替わった、トリッシュの名言です。シリアスな場面で唐突な一言でしたが、よっぽど気になったんでしょうね…どんまいミスタ…英語訳はこんな感じです。
armpits=脇の下
kill meって!!kill meって!!!
直訳は「腋が臭いわあーッ!神様、殺してーッ!」です。原作より臭さが伝わってくるな…
トリッシュが辛辣過ぎて、笑ってしまう英語訳でした!
よしよしよしよしよし!
良ぉお~~~~~~~しッ!よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
よしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
荒木飛呂彦(1998年)『ジョジョの奇妙な冒険』60巻 集英社(21頁)
チョコラータがセッコを褒める時の名言。何とも言えないサイコパス感が怖いですが、英語訳はこちら。
good boy=いい子
意味的には「いい子いい子…」。ただgood boyは、小学生くらいまでの小さい男の子や犬に使うイメージで、大人相手にはあんまり使わないんですよね…。
ただセッコはチョコラータにペットのような扱いを受けていたので、訳としてはgood boyがぴったりでした!
タンカスどもが!
この便器に吐き出されたタンカスどもが!!
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(43頁)
矢を手に入れようとしたディアボロの名言です。なんというか…おじさんっぽさが否めない罵倒のセリフですが、英語訳はこちら。
rot in hell=地獄で朽ち果てる
philistine=教養のない人、俗物
mound=大盛り、山
excrement=排泄物
英語版では「便器」とか「タンカス」ではなく、mounds of excrement=「排泄物の山」とざっくりとした訳です。それでも汚い表現であることには変わりないんですけどね…
われわれはみんな「運命の奴隷」
われわれはみんな「運命の奴隷」なんだよ
荒木飛呂彦(1999年)『ジョジョの奇妙な冒険』63巻 集英社(178頁)
ローリング・ストーンズの本体であるスコリッピの名言。自分のスタンド能力を説明している時の一言でした。英語訳はこちら。
訳はこのような感じです。「君も私も、『運命の奴隷』に過ぎないんだよ」原作とほぼ同じ訳でした。
nothing more thanは英語でもよく使われます。
nothing more then a friendで「友達に過ぎない」と、「~に過ぎない」の意味で使うほか、またnothing more than youで「あなたしかいない」のように、「~以上はいない」のようなニュアンスでも使われます。
どちらもよく出てくるので、覚えておくと便利です!
まとめ:5部の名言は英語でも印象的!
イタリア語が混ざっていたり、ミスタのワキガが臭そうだったり…個性豊かな英語訳でした!
聞き取りにくい部分もありますが、インパクトのある英語訳も多い5部。ぜひチャレンジしてみてくださいね~!
ジョルノとブチャラティの名言の英語訳はこちら。
参考教材:
津田尚克, 2021, 『Jojo's Bizarre Adventure: Golden Wind Part 1』, Warner Bros.
津田尚克, 2021, 『Jojo's Bizarre Adventure: Golden Wind Part 2』, Warner Bros.