ジョジョの奇妙な冒険7部に登場したジャイロとウェカピポ。タイプの異なる鉄球を使う人物でした。
今回は2人の描かれ方を振り返りながら、対比や共通点を探ってみました。
【比較1】ジャイロとウェカピポは対照的なのか
まずは両者の性格についてです。ジャイロは優しい世話焼きで、歌やギャグを披露する陽気な一面もありましたね~!半ば無理矢理ついて来ようとしたジョニィを仲間にしたり、嵐が来ると忠告したサンドマンを「信用できる」と判断したり…と人を見る目もありそうです。恩赦を得るためにレースで優勝して帰国することを目的にしており、使用する鉄球は死刑囚の苦しみを軽減しようと「穏やかさ」のために開発された技術でした。
一方ウェカピポの性格はお堅く真面目。マジェント・マジェントをイマイチ相手にしてくれないわ、重症のまま放置するわで最後はコンビ内で対立するハメに。妹の夫選びに始まり、ディエゴと組んで犠牲になったり…と人を見る目もイマイチというか運がないというか…国外追放されたゆえにアメリカ移住を目指していた人物で、鉄球のレッキング・ボールは王族護衛用の戦闘向きの性能でした。
どうやら比べるほどに相反する設定が多そうなこの2人。ここまで対照的なんて、荒木先生がかなり意図的にデザインしていたのでは…!?

【比較2】ジャイロとウェカピポに共通点はあるのか
次に両者の共通点を探ってみます。それぞれ死刑執行人、王族警護官とネアポリス王国で国家的な職に就いていましたね~!国家命令で処刑する執行人でありながら、国の判決に不満を表し恩赦を得ようとしたジャイロ、王族警護官が国家の重要人物の息子を決闘で殺害したウェカピポと、国に関わる反抗をしたという点も似ています。
性格面で挙がりそうなのは黄金の精神ではないでしょうか。マルコのためにレースに参加し、ジョニィにも手を差し伸べた優しいジャイロは、随所に黄金の精神を感じさせるキャラクターとして描かれていました。(参考:「『漆黒の意思』の意味とは?『黄金の精神』と比較して考察してみた」)
ウェカピポもまた黄金の精神の片鱗を感じさせたひとり。妹の幸せを願って決闘にまで臨んだことはもちろん、ルーシーの護衛を任され、ヴァレンタイン大統領を敵に回すことになった時には、こんな思いを抱いていました。
荒木飛呂彦(2009年)『STEEL BALL RUN』18巻 集英社
アメリカを裏切ることになるも、清らかな気持ちを感じていたウェカピポ。それは殺人を犯してまで遺体集めをするヴァレンタイン大統領より、無垢な女の子を護衛することの方が正しい!と思えたからこそですよね~…
とはいえ一度はジャイロたちの抹殺命令を受け入れ、殺しにかかったのもまた事実。やむを得ない事情があるとはいえ、黄金の精神らしい行動ではないかな~…また後述しますが、マジェント・マジェントにはやたら上から目線だったのも気になるところ。マジェントくん、「小バカにしやがって!」って怒ってたもんね~!
ジャイロとウェカピポは経歴はもちろん、精神面でも似ているところはありそうです。ただジャイロだったらこうはしないよね…という点も多いのではないでしょうか。やっぱりジョジョの主人公クラスは気高いよね~!ジャイロの方が「上」を行ってるんだぜ、ウェカピポ!

【比較3】ジャイロとジョニィ、ウェカピポとマジェント・マジェントのコンビの比較
最後にジャイロ、ウェカピポをコンビ単位で比較してみます。相方はジャイロー!ジャイロー!と時に感情的になりつつも、勝負の世界の厳しさを知っており結果にこだわるジョニィ、飛行機に大興奮するなど明るくどこか無邪気でヌケているマジェント・マジェントと、性格的にはあまり似ていなさそう…
ただ足が動かず爪弾で戦うジョニィに対し、マジェント・マジェントは銃で攻撃を行い、時折咳き込んでおり体が弱そう、と近い設定もありそうです。この2人が相方になるとどうなるのか…コンビとして比べてみます。

深い絆のジャイロたちと仲間割れしたウェカピポたちの比較
まずジャイロコンビは本音でぶつかり、感情的になりながらも認め合うことができる対等な仲。ドン引きされるほどの秘密を言い合ったり、ジョニィはジャイロの遺体を母国に送り届けようとするほど深い絆で結ばれています。ギャグや歌もちゃ~んと拾ってくれて、「大爆笑」「大ヒット間違いない」とお墨付きまで与えてくれるし(なお無表情)
ウェカピポコンビは上下関係がありましたよね~!マジェント・マジェントはウェカピポを「先輩ちゃん」と呼んでいたり、ウェカピポもやたら上から目線だったしな~…ダイナマイト巻いてきた時なんてこれよ…
荒木飛呂彦(2008年)『STEEL BALL RUN』16巻 集英社
対ポルナレフの花京院ばりの辛辣さ。おめ~~~~な~~~~!!!!
他にも「下っ端のクズ」などなんだか口の悪いウェカピポパイセン。ギャグにも全~~~然笑ってくれないしさ~!そんなこんなで最後は対立してしまったこの2人。互いの間にリスペクトの気持ちが生まれなかったゆえの結末ですよね~…だいぶウェカピポが言いすぎたせいの気がするけど…

生長と自立を求めたジャイロコンビと他人頼りのウェカピポコンビ
そしてもうひとつの違いが生長です。レースを「肉体ではなく青春から大人という意味で、僕が歩き出す物語」と振り返ったように、ジョニィは足を動かしたいと望む過程で、ジャイロからレッスンを授かり、黄金の精神を見習いながら精神的な生長と自立を遂げていました。
ジャイロもまた生長しましたね~!ジョニィに「受け継いだ人間」と指摘され、感情をあらわにしたジャイロ。自分を顧みることは時に苦痛を伴う行為だもんね…それでも恩赦という目的のために、漆黒の意思を持つジョニィのハングリー精神を学んで高みを目指そうとしています。つまり2人は互いを尊重しつつ、手本とし合いながら自己研鑽に励んだ名コンビだったのではないでしょうか。
一方でウェカピポたちは反省と生長が描かれない、他人頼りの似た者同士のコンビなんですよね~…マジェント・マジェントはウェカピポには「好きだったこともあるのに」、ディエゴには「俺を好きになってくれるはず、会いたいな」とどこか人に依存的。ウェカピポと共闘時にも咳き込んだりソリを引いてもらっていたので、一人で生きていくのが難しく、本人の自立や生長の意志も低いのかもしれません。
ウェカピポパイセンも他人のために生きたがる人でしたね~!ヴァレンタイン大統領戦なんて、ジャイロたちのことを見切ってこれだし…
荒木飛呂彦(2009年)『STEEL BALL RUN』17巻 集英社
思考回路がぶりぶりざえもん。「私は常に強い者の味方だ」ってやつね!
帰る場所がない辛さを知っている人なので、仕方がないところではあります。でも自立して生長したい!というより、誰かの犬として安心したい性なんだろうな~…DIOに勧誘されたら一発で落ちそう。安心しろよ、ウェカピポ…
しかもさ、ウェカピポって全~~~~然自分を顧みていないんですよね~!「敬意を払え」「謙虚に振舞え」と散々言ってたのに、マジェントくんには横暴だったもんな~!妹を守ると約束しないジャイロパパには「呪われろ犬どもが」という言葉を使っていましたが、「何か大きな意味のある者を護衛できればそれでいい」と語ったウェカピポこそ、誰かの犬でありたいタイプだったというね…ブーメランすぎる…
ということで互いを見習い、時に反省して生長を求めていたジャイロたちと、他人に依存的で似た者同士のウェカピポたちはかなり対照的なコンビだったようです。でもウェカピポたちももっと寄り添えれば、いいコンビになれたかもしれないよね~…ウェカピポがもっと「大爆笑」してあげればよかったのに。マジェントくん、調子乗ってもっと持ちネタ見せてくれそう。

まとめ:ジャイロとウェカピポを比較したら対照的な部分が多かった
ジャイロとウェカピポを比較してみました。
性格や鉄球の性能などかなり相反するところの多い両者。とはいえネアポリス王国の職、人を守ろうとする精神などは似ており、一時主人公サイドについたことも不思議ではない人物だったのではないでしょうか。
でもマジェント・マジェントにはもう少し優しくてもいいのに…という気もしますよね~!超~~~塩対応でしたが、もし愛想よくしてたらどうなっていたのか気になるところ。面白いコンビになっていそうなんだけどな~!


