ジョジョの奇妙な冒険3部に登場した香港。承太郎たちが最初に降り立った地でした。
ポルナレフ加入の舞台ともなった場所ですが、今回は香港で聖地巡礼の旅をしてみました。
3部の聖地巡礼ポイントのまとめはこちら
聖地巡礼でエジプトにも行ってみました
【香港島】アヴドゥルvsポルナレフ戦が行われたタイガーバームガーデン
成田空港から約5時間。香港国際空港に降り立ち、最初に訪れたのは1936年に胡一族の別荘として建設されたタイガーバームガーデン。アヴドゥルがポルナレフと戦った場所で、超高級住宅街の一角にあります。
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(32-33頁)
これがさ~~~~とんでもなく急な坂の途中にあるんだよな~!ここを男5人で上っていたのかな…バスかタクシーかな…どっちも狭そうだな…タクシーだったら誰がポルナレフと乗るんだろうな…と想像しながら入口へ。もう珍妙な雰囲気を感じる。
タイガーバームガーデンはガイドツアーを予約した人のみ入場可能です。約1時間30分かけて敷地を回るのですが、説明は広東語。理解出来たら面白いだろうな~と思っていたら、なんと一緒に回ってくれたセキュリティの方が英語で説明してくれました。ありがたい…!「タイガーバーム知ってる?」と聞かれたので、知ってると答えると「Good!」と嬉しそうにしていたのもグーよ、グー。
園内はこんな感じ。
左上と下2枚は一家と家政婦が暮らした邸宅。家政婦さんが一家の住居部分に入ることは許されておらず、食事は食器用エレベーターで運ばれていたそうな。
3部の時代よりも敷地はかなり狭くなり、現在は4分の1ほどに。アヴドゥルとポルナレフが戦った場所には高級マンションが建っていました。ただ庭にはあの頃の面影が…
独特すぎる。
ベルギーの小便小僧に着想を得たらしいです。鯉抱えてるのに…?東西のごった煮感がすごいですが、原作の雰囲気を少しでも味わえるのが嬉しいところ。本当、行ってよかった…!帰り際にはガイドさんが「説明がわからなかったと思うけど…でも来てくれてありがとう!」とわざわざ声をかけてくださいました。みんな優しすぎて泣きそう。
この後エビワンタン麺や蛇スープ、亀ゼリーを食べて初日は終了。蛇スープ、めちゃくちゃ美味しかった…!
菊の花、きくらげ、しいたけなどに蛇肉がどっさり。まさにヘヴィすぎるぞ!なスープで最高。店員のおじいちゃんも気さくで優しかったです。香港に行ったらまた絶対に食べたい。
【香港島】花京院が食べたがっていた豚肉とピータンのお粥
2日目は香港島市内へ。朝ご飯はアニメ版で花京院が注文していた豚肉と皮蛋のお粥を食べました。
豚肉の旨味が溶け込んでいてゥンまああ~い!お粥もトロトロすぎず、粘りが強すぎずで美味しい。
ピータンを食べるのは人生初。ゆで卵の黄身を凝縮した味、弾力の強いゼリーのような食感でお粥のアクセントになっていました。花京院、クセのある食べ物もイケる口なんだな…と思いながら完食。お粥なのにものすごくお腹が膨れる。
ところで花京院は「香港ではお粥が主食」と話していましたが、周りのお客さんが頼んでいるのはパンや丼もの、麺が多かったです。多分ね~~~お粥、熱いんだと思う。忙しい朝には向かない気が…ちなみに麺は出前一丁をアレンジしたもの。香港では出前一丁が人気らしく、日本にはない味もたくさん売られていました。
しかしピータンなんて余程の機会がないと食べないだろうと思っていたけれど、こんな経験ができるのは聖地巡礼のいいところ。サンキュー花京院。
【香港】ジョセフが使っていた公衆電話
ところで花京院がお粥を頼もうと呑気しているさなか、ジョセフは公衆電話で連絡を取っていました。日本ではレアな存在だけど、香港では今も健在です。
使っている人は見かけませんでしたが、あの時代の旅行者にはかなり重宝するはず。原作もアニメ版も香港のリアルな描写だな~!
【九龍島】翠園のお茶のおかわりと人差し指のトントン
その後は文武廟やピークトラムを楽しんで、お昼ご飯には翠園へ。高級店ばかり入ってるビルだな~と思いながら入店し、メニューを見て驚愕。高っっっ!手の届かない値段ではないんだけど、今回の旅行で圧倒的に高かった。
で、承太郎たちが食べた料理を探すも…あれ…?カエルいない…?お粥もない…?貝どこ…?そんなものウチにはないよ…と言わんばかりにジョセフの頼んだメニューが見当たらない。ジョセフが頼もうとしていたエビとかはあるんだけどね。じゃあ好きなものでも食べるか、と注文したのが甘辛の豚肉が入った腸粉となんかの麺。
腸粉はツルツルしすぎず、中の豚肉も食べ応えがあって美味。タレが絶妙でいっぱいかけたくなる…!麺は英語でchow meinって書いてあったので、恐らく麺は焼きそばのような中華麺。ちょっと袋麺的な食感でした。具材はエビ、ほたて、青菜など。赤いのは巻貝らしくかまぼこのような味です。もうこれがエビと貝の料理ってことでいい???
飾り切りの人参も入っていますが、星ではなく蝶。手まひまかけてこさえてあるけど、ポルナレフの知り合いが徐倫になっちゃうな…
そして翠園といえば、花京院のお茶のおかわり。アニメ版ではすかさず店員さんがおかわりを持ってきてくれましたね~!あのイメージでポットのフタをずらして待機するも、店員さん来ないんよ…不安になりつつ待つこと10分。ついに店員さん気づく!が、店員さんポットごと回収!アニメとぜんぜんチャウよ!
それもそのはず、ポットの蓋をずらすのは「お湯を足してください」のサイン。現地でもお湯がたっぷり入ったポットが戻ってきました。アニメ版では花京院の茶碗にお茶を注いでいましたが、本来はポットにお湯が注がれるんだと思う…多分…ポットが到着したところで、すかさず人差し指でトントン!でも全然見てくれなかった。
あのね~~~ランチタイムでみんな忙しそうだったんよ。アニメ版みたいにお姉さんがニコニコしてくれるなんてことはなく、ポットを置いたら次のテーブルを回っていましたね~!普通にサンキューって言った方がお礼としては伝わる。
お会計は2人で6000円。ジョセフは「わしのおごりだ」と言っていましたが、そりゃそうだろ。高校生のお財布には厳しすぎる。高いけれど、香港のいいお店を体験できたのは本当に良かったです。お茶のおかわりも来たしね。
【香港】香港の住宅事情
ところでアニメ版では翠園(アニメでは水宝酒家)について、ジョセフは「ワシの知り合いの店」と話していました。不動産王らしく顔も広いようでしたが、香港の住宅についても少し…こんな感じの家が印象的でした。
日本では見られないであろう大迫力。かなり細長いタワーマンションが多く、50階越えも!建物は年季が入ったものから新しいものまで様々で、ベランダがある家は珍しいのか窓際にエアコンの室外機を置き、物干し竿をかけて洗濯物を干していました。中には植木鉢を置いている家も…!
不動産屋をのぞいてみると、築年数が古い上に50平米未満の部屋でも1億円越え連発。すげ~~~~~!!!!香港では土地は国の所有物で、国と賃貸借契約を結ぶ形になるのだとか。不動産王ジョセフにも興味深い住宅事情ではないでしょうか。
【香港】スターフェリーから望む香港島の風景
昼食後はフェリーに乗って再び香港島へ。承太郎たちが香港到着時にはこんなコマがありました。
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(11頁)
上のコマは高層ビル街と山が描かれているので、ビクトリアハーバーから香港島を臨んだ景色だと思われます。実際はこんな感じね。
海上ではクルーズ船やコンテナ船など多数の船が行きかっています。こちらは九龍島と香港島間を結ぶスターフェリー。煙突や座席には星のマークがあしらわれていました。
香港では星やスターが入った名前やシンボルを数多く見ることができます。域旗やフェリーはもちろん翠園のビルはスターハウス、通りには星街(Star Street)なんて名前も。ジョースター家が星のアザを持つという設定は3部で登場しましたが、その着想の原点は香港だったりして…
【香港島】荘士敦道の交差点の風景
次はこの2コマの景色を目指します。まずは左の荘士敦道、湾仔道、菲林明道の交差点付近へ。数駅先は高級店や流行最先端のショップが立ち並ぶエリアですが、この辺りは庶民的なお店が多い印象でした。
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(11頁)
本物の景色はこちら。原作そのまんまじゃん!
交差点はね~~~本当にザワザワガヤガヤパパーゴバーッって感じ。ひっきりなしにトラムが行きかい、人も車も多くてクラクションが鳴り響いていました。きっと荒木先生も現地を訪れたんだと思う。
【香港島】浅水湾の鎮海楼公園の天后廟
お次は右のコマの浅水湾の鎮海楼公園にある天后廟の天后へ向かいます。交差点付近から少し歩いて2階建てバスに乗車すること約20分。なんと白い砂浜が!
砂はヨーロッパから輸入したものなのだとか。リゾート感あふれる雰囲気で、「すごく好きなんだココナッツ」でお馴染みの丸ごとココナッツジュースも売っていました。
で、天后廟はこんな感じ。こちらも原作そのまんまでした。
色合いが華やかですね~~~~!見ているだけでおめでたい気持ちになる…!天后廟は色んな神様が大集合している場所で、いたるところに色々な神様の像が置かれています。
赤い長寿橋は渡ると3年寿命が延びるらしいです。不死身を目指すDIO様は渡りまくった方がいい。
見学後は再びバスとフェリーに乗って九龍島に戻ります。夜市を歩きくるみのゴマ団子入りスープを食べて、8時にはシンフォニー・オブ・ライツを見学。香港島の高層ビルを使った光のショーです。
昼とはまた違った雰囲気のビクトリアハーバー。都会だなァ…としみじみ思う。
夜も遅くなってきたので、ショーの後はホテルへ。近くのスーパーでアヒルの煮込みを買って食べてみました。あっさりした味なのに、柔らかくて旨味たっぷり…!おじいちゃん、ちゃんと注文してあげてよ!ってくらい美味しい。お店でも食べてみたかったな~!
【香港】香港を走るトラムとコンビニの風景
ところで翠園に入る直前のコマにも、香港らしい風景が描かれていました。
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(12頁)
トラムが走っているので、香港島の繁華街のよう。手前には見慣れたコンビニの看板が見えていますが、香港のコンビニはセブンイレブンとサークルKが多かったです。日本でも売られているプライベートブランドの商品も、店頭にたくさん並んでいました。というか香港のスーパーやコンビニの4分の1くらいは日本の商品だった印象。
このコマみたいに折り重なって続く看板は場所は見かけなかったかな…規制により現在は看板の数が減っているそうです。でも単体であれば、街中のいたるところで楽しむことができます。
【九龍島】ポルナレフの合流地点は存在するのか
最終日はポルナレフの合流地点らしき場所へ。これね。
荒木飛呂彦(1990年)『ジョジョの奇妙な冒険』14巻 集英社(67頁)
海岸公園碼頭の桟橋にある天蓋(Google Map)かな?と当たりをつけていたのですが、実際に行ってみると…
なんか違うな。後ろに高層ビル群は見えているんだけどね…
かなり綺麗で今時なデザインの天蓋ですが、原作は1980年代の話。三角屋根はもちろんポルナレフの合流地点自体、今も存在するのか不明なんだよな…ただ天蓋のすぐ横はクレーンとコンテナが見える場所で、こんな感じでした。
奥の方にクレーンがたくさん見えています。私有地なので入れませんが、アニメ版では背景が山積みのコンテナとクレーンだったので、場所的にはこの辺りのどこかだったのかもしれません。
昼食まで時間があったので、有名人の手形が見られるアベニュー・オブ・スターズへ。ブルース・リーの像でも有名な場所です。
朝日が似合うね…
せっかくなので香港の美術館を見てみよう!ということで香港芸術館にも足を延ばします。入場料は無料というありがた~~~い施設で、中国美術をはじめとする展示も超豪華!
30分しか見る時間がなかったけれど、半日はいられる見ごたえとボリューム感。他にも香港では故宮文化博物館やストリートアートなど、美術品を楽しむことができる場所がたくさん。手軽にアートに触れられるのがいいよね~~~!また行きたい…!
その後は点心やエッグタルトを食べて空港へ。人の温かさ、レトロ感と新しさが融合した雰囲気に触れられたのが本当に良かった。やっぱり聖地巡礼は楽しいです。まだまだ食べたいものも行きたいところもあるけれど、さらば香港、また会う日まで…!
【検証】承太郎たちの香港での移動ルートを考える
最後に承太郎たちの移動ルートを考えてみます。まず成田空港を出発したのが20:30。5時間ほどのフライトで香港との時差は1時間なので、墜落時刻は現地時間で翌日の1時前後。救出後は翠園のシーンに繋がっていましたが、体力的なことを考慮すると香港上陸後に1泊してから翠園に向かった可能性が高そうです。
宿泊場所は不明ですが、不動産王マネーがあるので高級ホテルじゃないかな~!マンダリンオリエンタルかザ・ペニンシュラかシェラトンか…ザ・ペニンシュラやシェラトンなら翠園までも近いのですが、荒木先生が香港島側の景色を数コマ描いているところを見るに、マンダリンオリエンタルに泊まった体なのかも…
ちなみにザ・ペニンシュラはこんな感じ。かっこいいね~~~~!!!優雅なアフタヌーンティーでも有名なホテルで、リムジンがひっきりなしにやってきていました。館内ではバンドの生演奏も聞けます。
上陸後のルートは、もし原作に出てきた風景通りのルートで移動していたとすると、浅水湾(Tin Hau Temple)から上陸→荘士敦道(Johnston Road)の交差点→翠園(Jade Garden)→タイガーバームガーデン(Haw Par Mansion)→九龍島の港?(TOWNPLACE PROMENADE)でポルナレフ合流のイメージではないでしょうか。ざっくりこんな感じ。
距離にして30キロ弱。意外と上下にウロウロしているな…
まとめ:香港の聖地巡礼では3部で登場した場所や食べ物が楽しめる!
香港でジョジョの聖地巡礼してみました。
1980年代の作品なので原作通りとはいかないものの、今も見られる場所がたくさんありました。特に熱気や移動ルートの距離感など現地に行ってこそわかることも多いので、3部好きな人は訪れてみると楽しいと思います。距離的にも行きやすいしね。
また聖地巡礼はいずれやりたいところ。次はインドかな~~~…ジョセフとポルナレフがカルチャーショックを受けていましたが、アヴドゥルさんが激推ししていたからな。承太郎も気に入っていたし、きっと面白いんだろうな。お金貯めよ…
参考文献
関根裕規「香港の不動産事情について」ぶぎん地域経済研究所
https://www.bugin-eri.co.jp/report/report07/file/6109aae942db9ad15c4c5047058f35839cb6cf39.pdf(2024年11月18日確認)
3部の話はこちらもどうぞ~!