ジョジョの奇妙な冒険9部にあたる「ザ・ジョジョランズ」。主人公・ジョディオが大富豪を目指す物語として描かれています。
まだ物語全体が情報の少ないザ・ジョジョランズですが、今後はどのような展開になるのでしょうか。考察してみました。
その他の巻の考察はこちら。
※7部以降のネタバレがあります!
1. ジョディオの家族関係を予想、考察してみる
まずはジョディオの家族関係についてです。親族関係が複雑な人物が多いジョジョですが、ジョディオの場合について考えてみました。
ジョディオのスタンドから両親について予想してみる
最初に、ジョディオのスタンドと両親との関係を考察してみます。ジョジョの歴代主人公といえば、一人親家庭あるいは片親のみ描写されることが多いという特徴がありました。そして1巻では、ジョディオの母のバーバラ・アン・ジョースターについてのみ言及され、父親は謎に包まれています。
で、ここで注目したいのが、ジョディオのスタンドのノーヴェンバー・レインです。
荒木飛呂彦(2023年)『The JOJOLands』1巻 集英社
蜘蛛のような姿で、ファン・ファン・ファンにも似ています。ここから連想できそうなのがルイーズ・ブルジョワによる「ママン」。六本木ヒルズなどで見られる作品です。
By John Talbot - originally posted to Flickr as Giant spider strikes again!, CC BY 2.0, Link
頭部(?)の造形や足の本数など違いはありますが、なんとな~く似ている気が…
このママンには興味深い制作背景があります。ブルジョワの父親には愛人がおり、母親は2人の関係を黙認していたのだとか…ママンの造形は、家庭を何度も取り繕う母親を、蜘蛛に重ねているのではないか、とも考察されているそうです。
もしジョディオの両親も似た背景を持っており、スタンドの形にも影響しているとすれば…ジョディオの父親は愛人の元におり、母親だけが家庭に残っているのかもしれません。それを察しているからこそ、ジョディオは一人残された母親のために、一生懸命動いていたりとかね…切ない…
ジョジョと美術の元ネタについては、こちらもどうぞ~!
またノーヴェンバー・レインが降らせる雨粒や雨が地面に落ちた際の形は、丸で表現されていました。そしてバーバラの衣装を見てみると…
荒木飛呂彦(2023年)『The JOJOLands』1巻 集英社
似てるんだよな~…ただの丸模様やんけ!と言われればそれまでなんだけどね…
雨といえば6部で、ぺルラの死の直前に「心の中にはもう雨が降る事さえない」という発言がありました。心の悲しみの表現でしたが、この雨のスタンドは、ジョディオやバーバラの心模様の具現化だったりとかね~!ちょっと無理矢理繋げてみましたが、もしかしたら関係があるのかも…ということで…
ちなみにジョディオは母の姓を名乗っていますが、アメリカは夫婦別姓の選択が可能でも、実際は妻が夫の姓を名乗ることが大半なのだとか。つまりジョディオの姓がジョースターなのは、「両親ともに母親の姓を名乗っているから」「両親が離婚し、母親の姓を名乗っているから」「両親は事実婚で、ジョディオは母親の姓を名乗ったから」などの理由ではないでしょうか。どう考えても両親関係が複雑な予感しかしないんだよな~!
このようにジョディオの家族関係はスタンド、姓の点から、込み入った家庭環境が想像できそうです。なんせジョジョだもんね~!
ぺルラの雨の話は、こちらでも触れています~!
ジョディオとドラゴナの兄弟関係
もうひとつ気になるのが、ドラゴナとジョディオの兄弟関係です。兄を「かわいい」と評したりと仲が良さそうですが、2人は本当に兄弟なのでしょうか。
まず肌の色に注目してみます。ジョディオとは明らかに肌の色が違う描写のドラゴナ。日焼けなのか、プッチとウェザー・リポートのように兄弟でも肌の色が違うのか、そもそも親が違うのかなど、色々なパターンが考えられそうです。
父親は同じである可能性もある反面、もし先ほどのママンの話と関係しているのであれば…片方は両親の子、片方は父親の浮気相手の子で子供だけ家庭に置いて行った、なんて展開も考えられそうです。これだと両親の子がドラゴナ、浮気相手の子がジョディオというパターンになりそう。
しかもドラゴナは、肩付近に星のアザらしき模様が見えているんですよね~!
荒木飛呂彦(2023年)『The JOJOLands』1巻 集英社
一方のジョルノは首回りが隠れる服を着ているため、星模様を確認できません。怪しい、怪しすぎる…!やっぱりドラゴナだけバーバラの子という可能性もありそう。
そして星のアザの有無からは、ドラゴナが主人公に代わってジョディオがラスボス、あるいはドラゴナの精神性をジョディオが受け継ぐなど、色々な今後が予想できそうなところです。あとは「漆黒の意思のジョディオvs黄金の精神のドラゴナ」とか…「漆黒の意思」のジョニィにも星のアザがあるのか、イマイチよく分からなかったもんね~!
このようにジョディオとドラゴナは、同じ両親の子ではないのかもしれません。でもジョジョは血の繋がりよりも大事なものがあるよ~って散々描写してきたからな~!仲良く活躍して欲しいな~!
ジョジョの兄弟の話は、こちらもどうぞ~!
2. ザ・ジョジョランズと4部との関係
次にザ・ジョジョランズと4部との関係についてです。4部関連で早速登場したのが、岸辺露伴。盗難のターゲットにされてしまう訳ですが、iPadで「ピンクダークの少年」のデータをのぞくジョディオの興奮っぷり見て…
荒木飛呂彦(2023年)『The JOJOLands』1巻 集英社
空き巣の最中に指紋つけまくっちゃう。ま~~~ったくジョディオったらお茶目なんだから…
それにしても別世界線での岸辺露伴っぽい人かと思いきや、もろ岸辺露伴なんですよね…ピアスや髪バンド、職業、スタンドと同一人物っぽさ満載。なんせ6部で時が加速しても、原稿の締め切りに間に合っていた露伴先生だもんね~時の加速を超えて、うっかり新世界線にやってきた設定だったら面白いんだけどな~!
あとは犬を飼っているところを見るに、岸辺露伴シリーズの露伴先生と同一人物でもありそうですよね~!いずれにせよ、既に登場している岸辺露伴と深い関係のありそうなこの人物。荒木先生のお気に入りでもあることから、今後も物語の核心にも深く関わってきそうです。
しかしジョディオが原作本を持っているあたり、なんだかアメリカでも人気がありそうな露伴先生。4部では「センスがダサいせいか英訳はされていない」なんてチクチク言っていましたが、この世界では英訳版が出版されたのかもしれません。めでたいね~!
露伴シリーズの話については、こちらもどうぞ~!
仗助とバーバラ・アン・ジョースターとの関係
次にジョディオの母親であるバーバラ・アン・ジョースターと、東方仗助との関係についてです。まず新世界線でのジョースター家の家系図における、バーバラの立ち位置を確認してみます。1巻の家系図を見てみると…
荒木飛呂彦(2023年)『The JOJOLands』1巻 集英社
吉良ホリーとバーバラは姉妹のようです。でも8部で「ジョセフの一人娘の名前はホリー」なんて書かれていたはず。ということは、え~~~~~~っと…
【悲報】ジョセフ、こっちの世界でもやらかす。ジョセフはやっぱりジョセフなんよ…
で、バーバラがジョセフの子供で、承太郎の母・ホリィと名が酷似したホリーの姉妹であるなら、旧世界線のポジション的には仗助に相当します。そして露伴が登場し、所持していたのはダイヤモンド…つまり、このダイヤモンド、砕けないのでは?(安易)あるいはダイヤモンド関連のスタンドを、バーバラが使っているとかね~!クレイジーDの再来か?
とにかく仗助、露伴、ダイヤモンドと来ているので、4部との関連があっても不思議ではなさそうなところ。こちらは今後の展開が気になるところです。でもジョディオはジョースター姓のジョセフの孫…ということは、承太郎ポジションでもあるんだよな~!もしかしてオラオラですかーッ!?
仗助の話は、こちらもどうぞ~!
3. ザ・ジョジョランズにおけるスタンドが見える人の定義を考察してみる
最後にザ・ジョジョランズにおけるスタンドについてです。1巻では、目次の次のページにこんなお言葉が…
荒木飛呂彦(2023年)『The JOJOLands』1巻 集英社
いきなりスタンドの定義がドーン!
これを見るに9部のスタンドは、見ようとする意志さえあれば誰でも見ることができる力のようです。物語上でもスタンド本体はスタンド使いではない人間には見えているようなので、見ようとする意思があればスタンド使いになれるのかもしれません。とにかくスタンドは、選ばれし人間だけが使える力ではないよ~ということのよう。
で、見ようとする意思とは何なのか。ヒントとなりそうなのがこちら。
荒木飛呂彦(2023年)『The JOJOLands』1巻 集英社
見えないヤツは「見えない」ではなく、「見ない」というのがミソっぽいですね~!「見ない」というのは、「自らの意志で目を背ける」とも解釈できます。そしてその見ない人たちが、嘘をついて騙したDEAのお姉さんや、ドラゴナを襲おうとした警官たちとのこと。
ここで注目したいのが、麻薬の取り締まりでジョディオたちがピンチに陥る場面です。DEAのお姉さんに対して、パコはこのように怒っていました。
荒木飛呂彦(2023年)『The JOJOLands』1巻 集英社
お前どの口が…と言いたくなりますがそれはさておき、パコの台詞からは「警察なのに、法と正義に背を向けるようなことをするなんて」というニュアンスが感じられます。
言い換えればパコたち主人公サイドは、「その道の人間として正しくあるべき」というスタンスなのかもしれません。警察なら警察らしく、ギャングならギャングらしく、盗難をするなら盗人らしく…のように、それが正しいかどうかは問題ではなく、選んだ道のプロとして生きることが大事という主張なのかな~という気がしました。
とすれば、その道では何をするべきか見えており、行動に移せる人が「見えている人」なのではないでしょうか。一方で警察にもかかわらず嘘をつき、市民を襲ったように、その道の流儀に反した行動を自らの意思でとるのは「(正しき道を)見ない人」で、9部ではスタンドが見えない人間に該当するのかもしれません。
もしこの説通りであるなら、ジョディオたちがスタンドを見ることができるのは、犯罪に手を染めて生きる人間としてとるべき行動を理解しているためということになります。そしてジョディオは何度か「大富豪になる」と発言していましたが、自信ありげなあの態度は、夢のために何をするべきか心得ていたから…と一応説明もつきそうです。
このように考えると、9部のスタンドの見える、見えないの違いは、選んだ道のプロとして生きていく意思に関係しているように見えます。そういえば「仕組み(メカニズム)」について、「今は見えないが姿・形が現れてくる」と説明され、スタンドの定義と共通点があるのも気になるところ。いずれにしろ、ジョディオはクリーンな大富豪にはならなさそうだよな…
ジョジョのスタンドの話は、こちらもどうぞ~!
まとめ:ザ・ジョジョランズは家庭環境や登場人物などに過去の部との共通点が関係がありそう!?
ザ・ジョジョランズ1巻と今後について予想、考察してみました。
岸辺露伴が登場したりと、いきなり濃ゆ~いスタートとなった9部。登場人物のキャラクターの濃さはもちろん、ジョディオの大富豪になる夢の具体的な内容も気になるところです。
そしてジョディオの家族関係も複雑な予感がしますよね~!一筋縄ではいかない家庭が多いジョジョシリーズなので、生い立ちも見応えのある話になりそうです。多分幸せな家庭じゃないよな、ジョジョだもの…
参考文献
ARToVILLA "「六本木ヒルズの蜘蛛は知ると見方がどんどん変わる」 / 連載「街中アート探訪記」Vol.4"より
https://artovilla.jp/articles/artinthecity_04.html
(2023年8月25日確認)
The Atlantic "Why Don’t More Men Take Their Wives’ Last Names?"より
https://www.theatlantic.com/family/archive/2018/07/why-dont-more-men-take-their-wives-last-names/565898/
(2023年8月25日確認)
こちらの記事もどうぞ~!