ジョジョの奇妙な冒険6部に登場する徐倫とアナスイ。終盤では徐倫がアナスイに、結婚の申し込みの許可を出していました。
ところでなぜ徐倫は、アナスイに許可を出したのでしょうか。今回はその理由を、いくつかの仮説を立てながら考察してみました。
徐倫の台詞から読み解くアナスイへの結婚の申し込みの許可の理由
まずは原作に描かれている台詞から、徐倫が結婚の申し込みを許可した理由を考えてみます。そのことについて、徐倫はこのように説明していました。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(139頁)
結婚を申し込んで良いのは、アナスイの作戦に希望があるからとのこと。
この時のアナスイは、死を覚悟してプッチの攻撃を受けようとしています。さらに承太郎から結婚の許可が下りず、エンポリオに「結婚の申し込みでもしようかな…な~~んてね…」と、当たり散らすように掴みかかっていました。
死の恐怖、徐倫という光が断ち切られた悲しみなど、色々な感情が渦巻いていたであろうアナスイ。そんな時にかけた徐倫の言葉の真意は、プロポーズOKだよ!ではなく、「大丈夫、きっと上手くいくよ」といった後押しのニュアンスが近いのではないでしょうか。そしてそれはアナスイが震えて感極まっているところを見るに、1番欲しかった言葉だったんでしょうね~!
でもいくら緊急事態とは言え、深い関わりのない人間に「結婚の申し込みでも…」なんて言われたところで、いいよ~!とは言えないよねぇ…そこには徐倫のアナスイに対する、様々な気持ちがあったはずです。
ということで、ここからは徐倫が結婚の申し込みを許可した理由について、仮説を立てながら考察してみます。
仮説1:徐倫と苦楽を共にしたアナスイ
1つ目は徐倫がアナスイと苦楽を共にしていたから、という説です。さて結婚の申し込みの許可を得たアナスイですが、プロポーズ出来るのは、プッチに勝利して2人とも生き延びたら、ということになります。それはハードすぎる戦いを経た後の話になる訳です。
でも徐倫がその後の人生で、ここまで壮絶な経験を共にし、協力し合えた人たちと出会えるのか…と聞かれるとかなり微妙なところです。というか、多分現れないだろうな…
だから気持ちを共感しあえる相手という点で、アナスイほどの相手はいないと思ったのかもしれません。そんなところが、アナスイの結婚の申し込みの許可に繋がっていたのではないでしょうか。
徐倫はなぜアナスイに結婚の「申し込み」を許可したのか
ところで徐倫はアナスイとの結婚を許可した訳ではありません。アナスイへの発言を改めて見てみると…
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(138頁)
あくまでも結婚の申し込みを許可しただけなんだよな~!だから徐倫は必ずしも結婚を受け入れる訳ではないのです。つまりこの後のアナスイの行動次第で、プロポーズの成否が変わってくる可能性も…
そういう意味では「結婚するしないは、ここからのお前の行動で決めるからな!気合い入れて頑張れよ!」という、徐倫からアナスイへの力強いメッセージにも聞こえるような気もします。
体を張ってプッチの攻撃を全員分受け止めるというアナスイ。命を懸けた行動ですが、徐倫はそんな仲間の覚悟を「プロポーズの申し込みを許可」という形で応援していたのかもしれません。男前すぎるな~!
仮説2:アナスイの結婚の申し込みを直接聞きたかった徐倫
次は徐倫が結婚の申し込みを、アナスイの口から直接聞きたかったのでは?という説についてです。
散々徐倫にアピールしていたアナスイ。でも結婚の許可に関しては、徐倫よりも先に承太郎から得ようとしていました。さらにその後は、エンポリオに結婚の話をしています。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(138頁)
これ、6部で一番怖いアナスイの顔だよな…目と口がもうね…
でもね徐倫からすれば、まずは面と向かって私に言わんかい!という気持ちもあるんじゃないかな…親子関係が改善した徐倫なので、承太郎の意向だって大事にするとは思います。が、結婚相手は私やぞ!?と考えても不思議ではないはず。
だから徐倫はアナスイから直接気持ちを伝えて欲しかったために、結婚の申し込みを許可したのではないでしょうか。受け入れるかは分かりませんが、本当に愛しているなら堂々とプロポーズしてよね~!なんて思っていたのかもしれません。
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非常事態だからこその徐倫からアナスイへの意志表明
ところで徐倫は、アナスイと承太郎の会話の内容を知っていたのでしょうか。ここでは徐倫が2人の会話を知ったタイミングから、結婚の申し込みを許可した理由を考えてみます。
まず気になるのは、アナスイと結婚の話をした後の承太郎が、徐倫を引き寄せるシーンです。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』17巻 集英社(97頁)
アナスイの切ない顔が辛い。でもお父ちゃんの気持ちも分かる…両方共感しちゃうのが読者の辛いところだな…
この表情を見るに、なぜ承太郎が自分を強く引き寄せたのか、理解していないようでした。だからこの時点では、2人が結婚の話をしていたことは知らないはず。
また徐倫は、アナスイの「結婚でも申し込もうかな~」というエンポリオへの発言を受けて許可を与えているので、ここの会話は聞いています。つまり徐倫は恐らく、承太郎がアナスイから徐倫を引き寄せたことと、ヤケクソ気味のアナスイの態度を見て、アナスイが承太郎と結婚の話をして、いい返事がもらえなかったことに感づいたのではないでしょうか。
そして徐倫は、生死をかけた非常事態だからこそ、自分の意志を表明しておきたかったのかもしれません。勝手に結婚の話をされたまま死ぬかもなんて…ねぇ…だからアナスイには、結婚の申し込みは後でちゃんとしてよね!と伝えたのではないでしょうか。
しかしあれだけグイグイ来てたのに、アナスイは肝心なところで慎重なんだよな…
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仮説3:アナスイの真実の愛を感じた徐倫
最後は徐倫が、アナスイの真実の愛を感じたという説についてです。さて6部では父親の愛が不足した娘について、こう言及されていました。
荒木飛呂彦(2001年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』9巻 集英社(62頁)
実際に徐倫は、内面よりも見た目や過去を気にするロメオと付き合うことに…さらに濡れ衣まで着せられてしまいます。
娘・徐倫と父・承太郎の愛については、こちらもどうぞ~!
一方でアナスイは徐倫の心に寄り添おうとしていました。承太郎の助けを心のどこかで求めていることを見抜き、「お父さんはいつ来るか分からない」と冷静に諭したり、ウェザー・リポートの死亡時には、自責の念に駆られる徐倫をなぐさめていたり…
さらにC-MOON戦でプッチを追おうとする徐倫には、「やるんだな」なんて質問をしています。その徐倫の回答がこちら。
荒木飛呂彦(2003年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』16巻 集英社(95頁)
命の危険があるほど過酷で、打倒プッチの意志も揺らぎそうな状況の中、「もちろん」と答える徐倫。でもこの直前のコマで、徐倫は不安そうな表情を浮かべていました。重力はめちゃくちゃだわ、エルメェスはどっか行っちゃうわだもんね…そりゃそうだ…
そんな時に「やるんだな?」と聞かれ、「やる」と答えることは自分を奮い立たせることでもあったはず。あらためて覚悟が決まり、徐倫の闘志も燃えたのではないでしょうか。だからアナスイは色々な角度から、徐倫の心をサポートしているんだよな~!
このように見てみると、アナスイは徐倫の心を敏感に感じ取り、特に言葉で支え続けていた人なのかもしれません。そんなアナスイから、ロメオにはなかった深い愛情を感じたからこそ、結婚の申し込みの許可を出したのではないでしょうか。
あと「愛してる」だの「会うのが楽しみだった」だの言ってくれるのも、乙女心には嬉しかったりしてね…アナスイ、めちゃくちゃ褒めてくれるからなあ…
ロメオと徐倫の愛については、こちらでも取り上げています~!
まとめ:徐倫が結婚の申し込みを許可したのはアナスイを思う気持ちがあったからこそ
徐倫がアナスイに結婚の申し込みの許可を出した理由を考察してみました。
許可の台詞にはアナスイの作戦に希望を見出したことはもちろん、応援する気持ちも含まれていたはずです。さらに許可が下りたのは、真実の愛を与え続けてくれたアナスイだからこそで、本人の口からプロポーズを聞きたかったなんて徐倫の希望もあったのかもしれません。
序盤から徐倫に寄り添いつつ、グイグイアピールしていたものの、本人に結婚の話はしなかったアナスイ。しかし最後は徐倫が手を差し伸べるように、プロポーズして!と発言しているところを見ると、実は足りないところを補えるいいコンビだったりして…!
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