取り立て人マリリン・マンソンとミラションとの音楽の元ネタを考察してみた

スタンド論

ジョジョの奇妙な冒険6部のミラションのスタンド「取り立て人マリリン・マンソン」。借金を取り立てるという強力な能力で、徐倫たちを追い詰めました。

そんな取り立て人マリリン・マンソンの音楽の元ネタについて、今回は考察してみました!


1. 取り立て人マリリン・マンソンの名前の元ネタ

まずは取り立て人マリリン・マンソンの名前の元ネタについて、考察してみます。名前の由来となったのは、アメリカのロックバンド「マリリン・マンソン」で間違いなさそうです。

ちょっぴりショッキングな見た目ですが、音楽的にはちょっとポップなメタル…という感じ。外見に反して、意外と聞きやすいバンドです。

ジョジョで採用される音楽系の元ネタは、1970~80年代を代表するバンドが多い印象です。それに比べると1990年代にデビューしたマリリン・マンソンは最近のバンドが採用されているな~という気もします。なぜマリリン・マンソンを採用したのかという考察はまた後ほど…

マリリン・マンソンとミラションの共通点

ここからはマリリン・マンソンとミラションの共通点を見ていきます。注目したいのは、キリスト教に対する言動です。

さてマリリン・マンソンは、キリスト教に対する過激なパフォーマンスや音楽性でも知られているアーティスト。アルバム名が「アンチクライスト・スーパースター」だったり、ライブパフォーマンスでは聖書を破ったりなんてことも…

また歌詞も何かとキリスト教を連想させる単語が多かったりします。例えばこちら。

Sorry your Sunday smiles are rusty nails
and your crucifixion commercials failed

Marilyn Manson(1996年)「Target Audience (Narcissus Narcosis)」『Holy Wood (In the Shadow of the Valley of Death)』Nothing, Interscope

「日曜日(=カトリックではミサの日)のお前の笑顔は古びているし、商業的な磔刑は失敗した」のような意味ですかね…ここだけ見てもキリスト教に対する批判的な姿勢が見て取れます。

そして6部ではミラションがプッチとの面会中に、反省している素振りを見せつつ、こっそり十字架を盗み取ろうとしていました。

荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』4巻 集英社(142頁)

神父の前で嘘を吐きながら十字架を盗む…それはある意味で神に背く行為とも言えるのではないでしょうか。この辺りの姿勢がマリリン・マンソンと似たものを感じさせます。

またマリリン・マンソンは厳格なカトリックの教えのもとに育っており、それが反キリスト教的な姿勢や音楽活動に影響を与えているそうです。そしてプッチも「神父」と呼ばれていることから、カトリックの教会で職務についていることが伺えます。つまりキリスト教の中の「カトリックに背く」という点でも、ミラションとマリリン・マンソンには共通点があるのではないでしょうか。

2. ミラションの前髪とマリリン・マンソン

次にミラションの前髪にも注目してみます。ミラションはスタンド能力を得た後から、顔に黒い直線が入るようになりました。

荒木飛呂彦(2000年)『ジョジョの奇妙な冒険 第6部ストーンオーシャン』4巻 集英社(146頁)

アニメ版では最初からこの線が入っているのですが、原作では短い前髪がこのように変わっています。だから多分前髪なんだろうな…

で、これの元ネタと考えられるのが、マリリン・マンソンの自伝です。見てこの表紙…!

なんか、めっちゃミラションっぽい。

多分これが元ネタなんじゃないかな~!ちなみにこの自伝、マンソンの子供時代のことや人生遍歴が書かれているので、興味のある方はぜひ…!

マリリン マンソン (著), ニール ストラウス (著)

3. マリリン・マンソンから連想されるジョジョとの関連

最後にマリリン・マンソンから連想できる、ジョジョとの関連を考察してみます。

マリリン・マンソンは俳優の一面も持っており、デビュー作は映画「ロスト・ハイウェイ」でした。こちらのサウンドトラックにも参加しています。

そして「ロスト・ハイウェイ」を手掛けたのは、デヴィッド・リンチ。精神的にくるような不気味さを持った、かな~~~~りクセのある映画を作る監督です。このリンチが手掛けたドラマに「ツイン・ピークス」という作品があるのですが、これが4部そっくりで…ツイン・ピークスという田舎町で起きた連続殺人事件を中心に、話が展開する群像劇なのです。めちゃくちゃ4部じゃん…!

また4部といえば、アンジェロこと片桐安十郎の名前の由来と言われているのが、映画音楽作曲家アンジェロ・バダラメンティ「ロスト・ハイウェイ」の劇中の音楽を手掛けた人物でもあります。

…とマリリン・マンソンから、色々なジョジョネタが繋げられそうです。映画好きの荒木先生なので、もしかしたら「ロスト・ハイウェイ」からマリリン・マンソンの着想を得ていたりして…

デイヴィッド・リンチ (監督), ビル・プルマン (出演), パトリシア・アークェット (出演)

まとめ:取り立て人マリリン・マンソンとミラションは

取り立て人マリリン・マンソンとミラションの音楽的な元ネタを考察してみました。

アメリカのロックバンドであるマリリン・マンソンから着想を得たと考えられますが、名前だけではなく、キリスト教やカトリックに対する姿勢にも共通点が伺えました。また音楽も映画もお好きな荒木先生は、映画の「ロスト・ハイウェイ」からマリリン・マンソンを連想したのかもしれません。

ただ名前をモチーフにしただけではなく、ミラションの行動などまで似ている…マリリン・マンソンとジョジョには、ちょっと面白い関係性でした!

 

ジョジョの音楽ネタはこちらもどうぞ~!

5部ポルナレフの生き様をサントラ「剣撃」と「cavaliere」から考察してみた
「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する5部ポルナレフの生き様を、アニメのサントラから分析してみました。使用したのはポルナレフがイメージされた「剣撃」「cavaliere」の2曲。そこから見えてきたのは、ただ落ち着いただけのポルナレフ像ではなかったのです…
音石明の音楽的な元ネタを考察してみた
音石明のギターは実在のモデル!?ライトハンド奏法の元ネタは!?凄腕ギタリスト顔負けのギターテクだった!?など音石明の音楽的な元ネタやルーツを探ってみました。音石のテーマ曲にもロック好きにはたまらないネタが詰まっています!
【ジョジョ】天国に行くための14の言葉について考察してみた
14の言葉にはなぜ「ジョット」が登場した?「廃墟の街」はジョースター家の運命!?「螺旋階段」はスタンド能力?など14の言葉の意味について考察してみました。




タイトルとURLをコピーしました