ジョジョの奇妙な冒険の2部「戦闘潮流」。
ジョセフ・ジョースターたちと柱の男たちで、エイジャの赤石を巡る戦いを繰り広げました。
戦いの中で様々な名言が生まれた2部でしたが、英語吹替版では何と訳されたのでしょうか。
聞き取りに挑戦です!
ドイツの医学薬学は世界一ィィィ!
だが我がドイツの医学薬学は世界一ィィィ!できんことはないイイィーッ!!
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』6巻 集英社(108頁)
シュトロハイムと言えば、この名言です。
やかましいですが、愛国心の強さは伺えます。英語訳はこちら。
We can do anything!
「準備はいいか!?ドイツの医学は世界一ィィィ!そう思わないかァァァ!?俺たちは何でも出来るゥゥゥ!」
のような直訳です。
やかましいな~!英語でもやかましいな~~~~!!!!
でもシュトロハイムは英語吹替より、日本語版のがよりやかましかったです。軽く3倍くらいはやかましい。
シュトロハイムは、やっぱり伊丸岡篤さんの名演が世界一ィィィ!です。
タコス
タコス
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』6巻 集英社(172頁)
テキーラ嬢の女装をするも、ドイツ軍人にあっさり見破られるジョセフ。
そのドイツ軍人たちが、ジョセフの波紋で発射されたテキーラの栓を食らった時の断末魔です。英語訳はこちら。
ouch=痛い!
タコスじゃないだと!!!けしからん!!!
本当に、なんでタコスにしなかったんでしょうねぇ…
アウチーズ!と言っていたので恐らくouchの複数形のようなイメージだと思います。
ドイツ軍人も2人いるシーンなので、ouch2人分ということかと…
でもなんでタコスにしなかったんでしょうねぇ…(2回目)
飲んどる場合かーッ
飲んどる場合かーッ
荒木飛呂彦(1988年)『ジョジョの奇妙な冒険』6巻 集英社(173頁)
サンタナが姿を消したことを報告する研究員に対する、シュトロハイムの名言です。
混乱のあまりシュトロハイムのコーヒーを飲んだところにこの一言。ごもっともなツッコミですが、英語訳はこちら。
「そのコーヒーを置け!」という訳です。
普通~~~~つまらんな~~~~~!!!
しかもこのシーンの吹替シュトロハイム、そんなにうるさくないんですよね…。
結構名シーンだと思うんだけどなぁ…直訳して欲しかった名言でした。
あァァァんまりだァァ
あァァァんまりだァァァァ
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』9巻 集英社(12頁)
エシディシとジョセフの一戦で、左腕を切断されたエシディシ。
冷静になるために、泣きわめいた時の名言です。英語訳はこんな感じです。
can't take it=我慢できない、耐えられない
「もう我慢できないィィィ」のようなニュアンスでしょうか。
泣きわめいているので、can't take itの辺りがとても聞き取りづらいです…
take itだけだと、「耐える」のような意味です。
ここではcan'tがつくので、「耐えられない、我慢できない」の意味になります。
ナチスの科学は世界一!!
ブァカ者がァアアアア ドイツの科学は世界一!!
ジョジョの奇妙な冒険 : 死の崖へつっ走れ . TOKYO MX, 2013-02-16.(テレビ番組)
シュトロハイムの世界一シリーズです。
原作の「ナチス」がアニメ版では「ドイツ」になりました。英語訳はこちら。
finest=最高級の、素晴らしい
「お前は馬鹿かァァァ! ドイツの科学は世界最上級だァァァ!」のような意味です。
やっぱりやかましい~~~~!!!
ところでthe foolといえば、3部のイギーのスタンドもザ・フールです。
このタロットの愚者(ザ・フール)を英語で表す場合、通常はThe FoolとTとFが大文字になります。
ワムウは風になった
ワムウは風になった―― JOJOが無意識のうちにとっていたのは「敬礼」の姿であった―― 涙は流さなかったが、無言の男の詩があった―― 奇妙な友情があった――
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』11巻 集英社(181頁)
ワムウが塵となり、風に吹かれて消えゆくシーンでの名言です。
ナレーションによるセリフでしたが、ジョセフの敬礼姿と共に印象に残りますよね…英語訳はこちら。
Though no tears fell, they had shared a silent song. They had a shared a warriors affinity.
opponent=相手
salute=敬礼
affinity=親近感
こんな訳になりそうです。
「ワムウは風とひとつになった。ジョジョは最後に相手に敬礼をした。涙は出なかったが、2人は静かな歌を分かち合った。戦士としての親近感を分かち合った。」
「奇妙な友情」が、a warriors affinityとより具体的な言葉で説明されています。
戦士同士であるからこそ、感じる親近感といったところでしょうか。
「奇妙な友情」だけでも、どんな友情であったか、視聴者には十分伝わるシーンです。
分かりやすいのは英語吹替版、洒落ているのは日本語版という名言でした!
だが頂点に立つ者は常にひとり!
残るはこのカーズ独りか…だが頂点に立つ者は常にひとり!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』11巻 集英社(185頁)
ワムウを倒され、残りが自分だけとなった時のカーズの名言です。
英語訳はこちら。
Because...this world and all in it belong to me!
こんな訳です。
「自分一人が残るのだ。なぜなら…この世界とその中の全て自分のものだからだ!」
「だが頂点に立つ者は常にひとり!」の訳がちょっと違います。
「this world and all in it belong to me(世界とその中のものは自分のもの)」=「自分が1番上」のようなニュアンスになります。
「常に」の部分がないので、意味自体が少し変わってきますが、どちらも「自分が最強」の意味は入っていました!
小僧からいたわられるほどやわな人生は送っていない!
無用! たかが20歳前の小僧からいたわられるほどやわな人生は送っていない!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』12巻 集英社(16頁)
リサリサ先生のカーズ戦前の名言です。
ジョセフがリサリサの代わりに戦おうとした時の一言でした。英語訳はこちら。
as I do=私がしているように(強調のニュアンス)
all those years=長年
stripling=若者
「頼るつもりはない!その辺の小僧と代わられるために、ずっと生きて訓練してきたのではない!」
のようなニュアンスです。
「いたわられるほど」が「to be replaced」と、「取って代わられる」のように訳されました。
世代交代はさせないわよ!という感じです。50歳になってもこんなこと言えるなんて…!
英語版でもさすがなリサリサ大先生でした!
勝てばよかろうなのだァァァァッ!!
どんな手をつかおうが……最終的に…勝てばよかろうなのだァァァァッ!!
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』12巻 集英社(24頁)
リサリサとの勝負でのカーズ様の名言です。えっ!カーズ様ずるい!と言いたくなるシーンでの一言でした。
カーズ様と言えばこれ!という台詞ですが、英語訳はこちら。
no matter=どんな~であろうとも
utilize=利用する
only thing that matters=唯一の問題、唯一大事なこと
「どんな方法を使おうが、最終的には勝利こそ大事なのだァァァァッ!!」のような訳です。
日本語に忠実な訳でした。よかった~~~!
ザ・ジョジョの悪役っぽい台詞なので、直訳して欲しかったやつでした。
しかしカーズ様、ワムウ達が生きていた時はこんなズルい感じじゃなかったのに、なぜこうなったのか…
突然ウィンウィンするし、ちょっと面白いカーズ様です。
究極の生命体カーズの誕生だッー
『究極の生命体(アルティミット・シイング)カーズの誕生だッーっ』
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』12巻 集英社(103頁)
赤石をはめた石仮面と紫外線で誕生した、カーズ様最終形態。それを見たスピードワゴンの名言です。
ペコちゃんみたいな舌出しがちょっとお茶目なカーズ様ですが、英語訳はこちら。
ultimate=究極の
「彼は究極の創造物のカーズになったーッ」のような訳です。
ところで、「究極の」は「アルティメット」ではなく、「アルティミット」のフリガナが振ってあります。
そしてこちらの英語吹替版の発音は「オゥティミッ」。おぉ…忠実だ…!
声優さんが意識したのかどうかは分かりませんが、注目して聞くと面白いです!
そのうちカーズは 考えるのをやめた
そして 死にたいと思っても死ねないので― そのうちカーズは 考えるのをやめた。
荒木飛呂彦(1989年)『ジョジョの奇妙な冒険』12巻 集英社(170頁)
カーズ戦後にナレーションで入る名言です。
ナレーションなのにめちゃくちゃ印象的で、死ねない怖さにぞっとします…。英語訳はこちらでした。
The spark of thought within him went dim, and then silent.
nothing out=何もない
spark=火花
go dim=ぼける、薄暗くなる
and then=それから
全ての訳はこんな感じです。
「彼は死を望んだが、彼を殺すものはそこにはなかった。彼の中の思考の火花は薄暗くなり、そして静寂が訪れた」
「死にたいと思っても死ねないので」は英語版では「彼の中の思考の火花は薄暗くなり」。
カーズが思考することを諦めて、ぼんやりとしていく様子が想像できます。
そして最後の「and then silent」がカッコいいですね~~~~!
意味合い的には「そして静寂が訪れた」のような意味ですが、宇宙の静けさが感じられますね~!
日本語の「そのうちカーズは考えるのをやめた」とは違いますが、こちらも印象深いです。
まとめ:ジョジョ2部の名言は、英語訳でも印象的!
ジョジョの奇妙な冒険の第2部「戦闘潮流」の名言の英語訳をご紹介しました。
2部の訳は原作通りのものもあれば、洒落たものもありました。
シュトロハイムはちょっと静かでしたが…
熱い戦いの中でたくさんの名言が生まれた2部。
英語訳もぜひ楽しんでみてくださいね~!
ジョセフ、シーザーの名言の英語訳はこちら。
参考教材:
津田尚克, 2020, 『Jojo’s Bizarre Adventure Set 1: Phantom Blood And Battle Tendency』, Warner Bros.